痴呆症・アルツハイマーはもう怖くない!
「脳を守る漢方薬」 No.
26.

 

岡山大学 医学博士 大山博行 著

「脳を守る漢方薬」 第2章 脳細胞は自殺する

記憶には短期機能と長期機能がある 後編

 海馬は、「短期記憶」(言い換えれば短期間で捨てられる記憶)を一時的に貯めておくところであり、一方の「長期記憶」(長期間保存する記憶)は、側頭葉連合野に保存されるといわれています。海馬が、いうなればマガジンラックのような役割を果たすのに対し、側頭葉連合野は本棚にたとえることができるでしょう。マガジンラックに貯まった記憶のなかから、本当に必要な記憶が選択されて、側頭葉連合野の本棚に保存されるという仕組みになっています。私たち人間の学習や記憶の過程には、この側頭葉連合野と海馬を中心に、大脳皮質の連合野全体がかかわっています。
 連合野は感覚野や運動野に比べて、大脳皮質のなかでも、思考や判断を含む最も高次な機能をつかさどっているところです。つまり、人間が人間らしくあるための機能をつかさどっている部分と言えるでしょう。
 ところが問題なのは、アルツハイマー病で脳細胞死が集中的に起こり、破壊が進むのは、この最も高次の部位である連合野から始まり、より低次の感覚野や運動野の働きは末期まで比較的よく保たれているという事実です。そのため、アルツハイマー病の患者さんは、末期に至るまで耳は聞こえ、目も見え、歩くこともできます。しかし一方で、最も人間らしい行動を保つための連合野の脳細胞が広範囲に破壊されてしまうため、感覚情報を思考や判断に結びつけることができず、また筋肉運動を統合して行動に目的を与えることができません。その結果
失見当や徘徊などの悲惨なアルツハイマー病特有の痴呆症状が現れることになってしまうわけです。 続く


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。



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