痴呆症・アルツハイマーはもう怖くない!
「脳を守る漢方薬」 No.143
岡山大学 医学博士 大山博行 著
第6章 幸せになるための3つの処方箋
(1)緊張をコントロールする 「まぶたを1分間、きつく閉じてみてください」
ここ数十年の間に、すべての人間が毎日を快適に過ごすことができるための、科学的に根拠のある方法が見いだされてきています。この方法は、私たちが日常生活において、どうすれば自分の心、つまり情緒とか感情をうまくコントロールできるのかという研究から生まれたものです。
この方法は「緊張コントロール」として知られているものですが、その方法論は、毎日生じるストレスを私たちが唯一意識して動かせる筋肉を使って解放するというものです。簡単に言えば、筋肉をリラックスさせてストレスを解放する方法ということになります。リラックスの反対はテンション(緊張)ですが、これは筋肉が収縮している状態を指します。
私たちの体についている1030個の筋肉(骨格筋)を緩めてリラックスさせれば、ストレスから解放できると世界で最初に主張した人は、シカゴ生まれのエドモンド・ジェイコブソン博士(1888〜1983)という人です。
ジェイコブソン博士はアメリカ人ですが、博士の遠い先祖はデンマーク人だったといわれています。博士が14歳のとき、近所の住宅が火事になり、そのとき博士は、逃げ遅れた住人が住宅の5階から飛び降りるのを目撃したそうです。その火事で3人の方が亡くなりましたが、運よく生き残った人たちも、なぜかその日から神経過敏状態になり、神経質な興奮状態をずっと示すようになったというのです。この体験が、後の博士の研究のきっかけになったのかもしれません。
1908年からジェイコブソン博士は、ハーバード大学の大学院で実験心理学の研究を始めました。博士は、本をバタンと落としたときの物音に対する「驚きの反射」に個人差が著しいことを発見しました。そして「筋肉を過剰に緊張」させている人の驚き反射は早くて大きく、反対に「筋肉をリラックス」させている人の驚き反射は遅く小さいことに気づきました。
その後、博士は自分の故郷のシカゴに臨床生理学研究所を設立して。過剰に緊張してしまうことでさまざまな心身障害を起こしてしまった人々を集めて、どうやったらリラックスさせてあげられるのか、どうやったら緊張人間をリラックス人間に変えられるのかという心理生理学の研究と臨床研究に没頭しながら、94歳の寿命をまっとうしたそうです。この功績からジェイコブソン博士は、現在でも「緊張コントロールとリラックスの父」と呼ばれています。ここで用いた「リラックス」は動詞で、名詞は「リラクセーション」(弛緩)です。
あなたは自分の筋肉が緊張しているのか、弛緩しているのか、はっきりと自覚できるでしょうか。なかなか難しいと思います。そこで、1つ実行してもらいたいのですが、まず足の裏を床につけてゆったりと椅子に座り、まぶたを1分間きつく閉じてみてください。眼球のまわりに硬いもの、筋肉の緊張したものを感じ取れるのではないでしょうか。そのままの状態で1、2分間がまんしてみてください。その後、まぶたの力を一気に抜いて、眼球をリラックスさせてください。さっきの緊張状態とは正反対のリラクセーションが、目のまわりに広がったと思います。それをゆっくりとした気持ちで2、3分間味わってみてください。
じつは、毎日、体のどこかの筋肉でこういうことを実行していくと、しだいに全身をリラックスさせることができるのです。これがジェイコブソン博士が開発した「漸進的弛緩法(Progressive Relaxation)」というものです。また博士には、この方法を応用して「リラックス出産」という出産法を世に広めた業績もあります。
以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。
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