痴呆症・アルツハイマーはもう怖くない!
「脳を守る漢方薬」 No.139


 

岡山大学 医学博士 大山博行 著

第5章 病気を未病に防ぐ「養生の法」

アルツハイマー病の完全治癒も夢ではない

 アルツハイマー病の予防に即して、「HNシステム」を整理しておきます。アルツハイマー病を完全に予防するには、次の3つのHNシステムが駆動しなければなりません。
 [HNシステム1  アルツハイマー病で加速する脳細胞死に対する生体防御システムを駆動させる]
 その結果、脳細胞死を加速するスーパーオキシド・ラジカル(活性酸素)を完全に消去する能力を持つ誘導酵素SODの活性が、最大限に高まる。
 [HNシステム2  アルツハイマー病で90パーセント以上減少する記憶に関する神経伝達物質=アセチルコリンに対する生体防御システムを駆動させる]
 その結果、神経伝達物質=アセチルコリンを合成する酵素CAT(キャット)の活性が、最大限に高まる。
 [HNシステム3  アルツハイマー病で失われた記憶の痕跡を再生させる生体防御システムを駆動させる]
 その結果、記憶の痕跡、ニューロン・ネットワークが再生される。つまり、アルツハイマー病が進行すると、脳細胞数は減少してしまうが、生き残った脳細胞を活性化させ、神経突起を伸ばせば、新たなニューロン・ネットワークを構築し、失われた脳細胞の機能を再生させることができる。
 以上の3つのHNシステムを駆動させるのが「養生の秘法」であり、「最高の漢方薬」なのですが、完璧に駆動させるためには条件があります。先に述べた5つの生体防御システムを、それぞれ完全な状態にしておく必要があることです。そのためには、まず、私たちの「意識」を反映させる中枢神経防御システムをコントロールする最高中枢、中枢神経系(大脳皮質)を完全な状態にしておく必要があります。また、「生命」を維持するための機能を自動コントロールする最高中枢=視床下部を完全な状態にして、自律神経防御システム、内分泌防御システム、免疫防御システムを完全にすることが大事になります。
 そして、これらの最高中枢にとって最大の敵がストレスなのです。最高中枢にストレスが加わると、パニックを起こし、4つの生体防御システムに乱れが生じます。このような状態では、HNシステムはうまく働きません。
 結論を急げば、HNシステムを最大限に駆動させるためにはストレスをうまく処理し、リラックスした状態を得ることです。こうなれば、意のままにHNシステムを働かせることができ、アルツハイマー病の発病や進行を完璧に防御することができます。いや、生体が完全によい状態でHNシステムが完璧に駆動すれば、アルツハイマー病を完全治癒させることさえ可能になるかもしれません。


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。

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