痴呆症・アルツハイマーはもう怖くない!
「脳を守る漢方薬」 No.137


 

岡山大学 医学博士 大山博行 著

第5章 病気を未病に防ぐ「養生の法」

すべての病気は「心の乱れ」から始まる

 「未病」のなかには、その程度、重度により2つのグループが存在しています。私はそれを「精神的未病」と「肉体的未病」と呼んでいます。前述したヘルス・デス・フローに当てはめれば、「健康→精神的未病→肉体的未病→病気」の流れになります。
 つまり、種々のストレスにより心が乱れると、人間は不安になります。心が不安になると、人間はまず第一にこの不安の原因を突き止め、これを除去しようとします。うまく原因を突き止めて除去できれば、不安でなくなり、心の乱れもなくなります。しかし、不安の原因がうまく除去できずに、長時間にわたって心が乱れていると、心を制御している精神神経系が障害されてきます。さらに、この精神神経系の障害が長時間にわたって除去できずにいると、今度は、この精神神経系に強く関与している身体の器官、臓器が障害されてくるというわけです。
 簡単に言えば、人間が病気になるのは、種々のストレスが原因となっています。このストレスの強さに対して生体防御システムの強さが相対的に劣っていると、心身の障害が引き起こされるということです。つまり、人は誰でも「心の乱れから病気になる」のです。「すべての発病は、心が不安になることから始まる」と言い換えることもできるでしょう。「種々のストレスが加わる→心が不安になる→精神神経障害が起こる(緊張状態が持続する)→肉体的(器質的)障害が起こる」という流れです(ヘルス・デス・フロー(B)参照)。
 あとでもう一度説明しますが、私たちにストレスが加わると、脳にコントロール中枢のある大きな4つの生体防御システムが乱れます。そして、この乱れがずっと持続すると、完璧なる生体防御システムが壊れてしまい、まず、自分の最大の弱点にあたる部分に障害が起き、はつびょうしてしまいます。私たちの生体反応は「心⇔脳⇔身体」というメカニズムからなっているからです(ヘルス・デス・フロー(C)参照)。
 本来、体内に備わっているあらゆる疾患に対しての防御機能が十分に働いていれば、私たちの寿命を縮める成人病(動脈硬化性の疾患)や老人病(アルツハイマー病、ガン、心臓病、脳血管障害)の発症はかなり少なくなるはずです。それが十分に生かされていないのは、ふだんのライフスタイルや食生活、さらに種々のストレスに対する対処の仕方がまちがっているからです。
 ライフスタイルや食生活をチェックして生活習慣の歪みを整え、心理精神状態を分析して心の歪みを整え、さらに、適切な東洋医学的手法を用いることによってHNシステムを活性化させ、うまくコントロールすることができれば、すべての病いを「未病」のうちに完全治癒させることができ、人間は健康でいられるのです。すなわち、これが私の提唱する「養生の道」の理論であり、方法論です。


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。

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