「糖尿病体質改善(根治療法)と東洋医学(漢方薬・鍼灸)」

      大山漢方堂薬局の得意とする病気、大山漢方堂薬局に漢方相談のあるご病気一覧、

大山漢方堂薬局 漢方健康相談窓口、
岡山大学医学博士 徳島大学薬学修士
大山博行先生のご紹介

最終更新日は、2022年(令和4年)11月10日(木曜日)です。Last Modification Time. Thursday, November 10,2022.


特集:糖尿病によい漢方薬

糖尿病は近年日本に於いては国民病と言えるほど患者数の多い疾患です。
しかも完治し難く、長年にわたる病気へのフォローが必要になります。
このような慢性病に漢方薬はとても役立ちます。

人間の命を維持するすべての生命活動の主要なエネルギー源はブドウ糖です。
ブドウ糖は、血液に溶けた状態で全身にはこばれ、インスリンというホルモンの働きで細胞に取り込まれ消費されます。

ところが、何らかの理由で、このインスリンの製造元である膵臓が障害されるとkインスリンが分泌されなくなったり、
分泌されてもその働きが低下すると、ブドウ糖が細胞に取り込めず、血液中に高濃度で漂う状態になる。これが糖尿病です。

このようになると、細胞では必要な量のブドウ糖が受け取れずエネルギー不足をおこし、ひどい空腹感や疲れやすいなどの症状がおこりますが、
血液の中には、異常に高濃度のブドウ糖が無駄に流れていて血管を障害し、また血液を薄めようとして体は水分を欲し、のどが渇いてしかたがないという状態になります。
このままの状態を放置すれば、しまいには、血管をはじめ心臓や腎臓、脳など、全身に障害をおこし、生命の危険な状態になってしまいます。

糖尿病の進行、危険を抑えるには、血液中のブドウ糖の濃度をさげる事、つまり血糖値を下げる事が必要になります。
この場合、以下の二種類の糖尿病のタイプによって対処法が違ってきます。

1)膵臓からのインスリンが初期の段階から、ほとんど分泌されなくて糖尿病をおこしている場合は、インスリン依存型糖尿病(Ⅰ型糖尿病)と言います。
主に若いうちに突然発症するタイプで、インスリンを毎日一定量注射する事が基本的な治療法です。
この一型糖尿病の多くは食事療法・運動療法では病気の進行を抑えられません。
そしてこのタイプは、漢方薬も血糖降下の目的では効果が期待できません。
(漢方薬は、Ⅰ型糖尿病患者さんの随伴症状には、服用可能、効果が期待できます。)

2)一方、過食や肥満が原因で、インスリンは一応分泌されていても、徐々にインスリンの作用が低下して高血糖をおこしている場合は、
インスリン非依存型糖尿病(Ⅱ型糖尿病)といわれます。 糖尿病の大半はこのタイプで、食事療法・運動療法が有効であり、
効果が十分でなければ、その上で薬物療法を併用していきます。 このタイプには漢方薬が効果的です。
(漢方薬は、Ⅱ型糖尿病患者さんの根治療法、随伴症状に、服用可能、効果大、十分期待できます。)



「糖尿病によい漢方薬」 

漢方薬を糖尿病治療に使う場合、漢方薬の特性をよく理解して用いる事が大切になります。
漢方薬は西洋薬に比べ血糖値を下げる力は強くありません。その代わり低血糖などをおこす危険はありませんし、
体質、体調を改善して合併症を予防する効果は期待できます。

以下に漢方薬の糖尿病に対する目安となる使用法を挙げます。

1)糖尿病初期で、まだ薬物療法には至らず、検査で血糖値が少し高い程度で食事療法・運動療法を中心に様子をみている段階では、
漢方薬はとても有効に使えます。 食事療法・運動療法の効果が効率良く発揮され、血糖のコントロールも漢方薬で十分行える事が多いし、
病気の進行や合併症を予防できます。 また、口渇、多尿、倦怠感などの不快症状を取る働きも期待できます。
ただし、漢方薬を飲んでいれば多少暴飲暴食をしても良い、というわけではありません。(日常生活の注意は必要です。)
糖尿病中期で、内服の血糖降下剤の薬物療法を行なっている場合は、漢方薬は、こうした西洋薬に併用する形で使うのが基本です。
西洋薬と安心して併用できる漢方薬はあります。併用する事で糖尿病の進行を抑え西洋薬を強くしなくてもよい状況に持って行けます。
(西洋薬は作用が強ければ副作用も大きくなる)、また、場合によっては症状が回復し、西洋薬の服用を中止できる例もあります。
また、動脈硬化や腎臓病、糖尿病性神経障害、糖尿病性白内障などの合併症を予防または治療する働きも期待できます。

2)糖尿病のタイプで、インスリン依存型糖尿病(Ⅰ型糖尿病)の方や、長く、高単位のインスリンを用いているような慢性例の患者さんは、
漢方薬では、血糖をコントロールできません。 私も時に、このタイプの方に漢方薬を飲んでインスリンを止めていきたい、という相談を受ける事がありますが、
漢方薬では、限界があります。 ただ、このタイプの糖尿病の方も、血糖値を下げる目的では使えませんが、
漢方薬を合併症の予防や体調の維持に使う事には大いに意義があります。
そのような観点で、大山漢方堂薬局を選ばれ、調合漢方薬をご服用される事をお勧めします。

「糖尿病に効果のある漢方薬」

糖尿病に用いる漢方薬は、たくさんあります。
糖尿病の状態と自覚症状の有無によって、使用する生薬、薬草を選択して調合するのが基本なので、
漢方を試される方は、一度、大山漢方堂薬局に、お電話ください。
TEL: 0283-22-1574(大山漢方で、イゴ・不安・ナシ)

下の解説は大まかな分類によるものです。
先の分類で(1)の糖尿病初期のタイプでは、多くの場合カロリー過多や飲酒など食事に問題があり、肥満傾向がみられる事が大半です。
まだ強い自覚症状などがなく、体力的にも問題が出ていない段階なら、肥満の解消も兼ねて「九味半夏湯加減方」「大柴胡湯」「防風通聖散」などの適応になります。
又、口渇が強い時には、白虎加人参湯などもよいです。糖尿病初期では、これらの漢方で肥満の解消や体質改善、さらに血糖のコントロールも十分期待でき、
治癒に結びつく事も稀ではありません。 大山漢方堂薬局に、ご相談ください。

糖尿病の場合、特に問題になるのは血管が障害を受け血行が滞ることからおこる全身症状です。
この病状は、漢方では古くから「瘀血(おけつ)」という状態と考え、改善薬が沢山考案されてきました。
慢性化した糖尿病の方で動脈硬化が指摘されたり、手足などに冷えや痺れ痛みなどが感じられる時は、
「瘀血」を改善する作用のある「冠心二号方」、「桂枝茯苓丸」、「疎経活血湯」などがとても役立ちます。
大山漢方堂薬局に、ご相談ください。

「糖尿病に用いる民間薬や健康食品」

これらは、体質や症状に関係なく使えるものが大半ですが、必ず誰にでも効果が上がるわけではないので過信は禁物です。
食事療法の一つと考えて使うと良いでしょう。 ただ、思わぬ著効がえられる場合もありますので、試す価値はあります。

血糖降下作用を狙うなら、桑の葉、たらの木、バナバ葉、れんせんそう、ギムネマの葉、クマ笹などの民間薬が良く利用されます。
動脈硬化の改善を狙うなら、イチョウ、柿の葉、クコの葉、ルイボスティー等が良く、
糖尿病性の白内障には、めぐすりの木が効を発揮する場合もあります。 大山漢方堂薬局に、ご相談ください。

「糖尿病の合併症と漢方薬」

いまや日本で糖尿病を患う人は700万人を超え、病院で治療を受けている患者さんはその半数にのぼります。
とりわけ40歳以上の中高年は、およそ5人に1人が糖尿病と診断されるほど増えています。
血液中のブドウ糖濃度が高くなる糖尿病の怖さは、ひと言でいうと合併症にあります。
糖尿病から網膜症を引き起こし、失明する人は年間3000人にのぼります。
腎不全を発症させ、人工透析を受ける糖尿病患者さんは年間一万人にも達するのです。
漢方薬をうまく用いれば、糖尿病の合併症の予防、治療に非常に効果があります。
特に、口渇や食欲増進などの、糖尿病特有の症状の抑制や、網膜症や手足のしびれなどに非常に効果があります。
大山漢方堂薬局に、ご相談ください。

「口渇と食欲増進を抑制して、食事療法を成功させる」

糖尿病は、血液中のブドウ糖をエネルギーに変える①インスリンの不足、②インスリン自体の作用が働かなくなることにより、
高血糖(血糖値上昇)になる病気です。高血糖になると、口渇きや食欲増進、易疲労、頻尿、多尿など、血糖値の上昇に関連するいろいろな症状が発現します。
また、血液中に溢れた糖によって細小血管や動脈血管が冒され、網膜症や腎症、末梢神経障害をはじめ、狭心症や脳卒中、閉塞性動脈硬化症などの合併症を引き起こします。

大山漢方堂薬局で、糖尿病の患者さんに、調合漢方薬を用いる目的
①口渇や食欲増進など、高血糖に関連する症状を抑える。
②網膜症や腎症、末梢神経障害の進行を抑える。

糖尿病の治療の基本は、食事療法と運動療法です。
①カロリー制限を軸とした食事療法で血糖値を上昇させない、
②運動療法で、血糖を効率よく消費すること、
この2つが基本で、それでも、うまく血糖値をコントロールできないときは、血糖値を下げる薬物(血糖降下剤)の服用が必要となります。

調合漢方薬は、食事療法をスムーズに進める、口渇や食欲増進などの改善と、糖尿病の「3大合併症」(網膜症、腎症、末梢神経障害)や
動脈硬化(脳梗塞や心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症)を予防することにあります。

漢方では、口の渇きや食欲の増進など高血糖に伴う糖尿病特有の病状を「消渇(しょうかち)」といいます。
「消渇」は、耐え難い口の渇きを覚える「上消」と、たくさん食べてもなお痩せてしまう「中消」、
さらに舌が赤くなると同時に顔色も、どす黒くなる「下消」の3つに分けられます。
「消渇」は、上消から中消、さらに下消へと進行しますが、これは糖尿病の進行と合致しています。

注)消渇(しょうかち、しょうかつ)は、現在では糖尿病を指す言葉として用いられている。
大塚敬節先生によると本来の伝統中国医学(東洋医学)の用語では、口渇がひどく多量の水を飲んでも、
体内でその水が消えてなくなる、すなわち尿量が少ないことで現在の脱水状態をいう。
古今方彙では「口渇甚だしく排尿回数多きもの」を指している。故に現代医学の病名に比較すれば糖尿病に匹敵するが、
実際には腎機能障害、心臓血管不全、水分代謝中枢障害が原因となって起こる口渇と多尿の証候を意味している。

「消渇」の中でも口の渇きは「白虎加人参湯」などの漢方薬がよく効きます。
調合漢方薬で、口の渇きがとれるため、糖分の豊富な、ジュースやコーラなどに手を出さなくなり高血糖の改善に役立つのです。
体力がある実証タイプで、かつ暑がりの熱証タイプの人は「白虎加人参湯」がよいです。
それほど実証、熱証タイプではないが、体重の減少が著しいタイプの人は、「桂枝茯苓丸」
さらに体力のない虚証タイプの人は、「麦門冬湯」が、口の渇きに効果的です。
また、食事療法をスムーズに進めるにあたって大きな役割を果たすのが、食欲を抑える「防風通聖散」です。
「防風通聖散を食前に服用すると食欲が低下し、カロリーが制限された糖尿病食でもさほどつらくありません」
食事療法を実行しようとしても、どうしても食欲を抑えられない患者さんにとって、「防風通聖散」はなくてはならない漢方薬です。
大山漢方堂薬局に、ご相談ください。

血流を改善し合併症を予防

 一方、糖尿病の進行が血管を傷めるのは、血液が血管から漏れ出たり、血液の凝固作用が強まって固まりやすくなす微小循環障害は漢方でいうところの於血(おけつ)と非常によく似た症状といえます。というのは、動脈から細小血管、毛細血管を経て身体の末端まで循環する血液が、細小血管や毛細血管のところでうっ血し、有害物質の漏出からあらわれるさまざまな症状の総称が、漢方における於血にほからならいからです。

 西洋医学では、血液中のコレステロールを下げたりするなど血液脂質の改善などで微小循環障害を治療しますが、漢方では、血液を流れやすくする線溶活性を高めると同時に、血液を固まりやすくする凝固作用を低下させることで於血を治療します。
つまり、線溶活性と凝固活性の微妙なバランスを維持する漢方薬を処方することで、血流を改善し於血を治すわけです。

①糖尿病性網膜症は、目の網膜にはりめぐらせれている細小血管が詰まって失明にいたる病気です。
②糖尿病性腎症は、血流を濾過し尿をつくる、腎臓の毛細血管が冒されて腎不全におちいる病気です。
③末梢神経障害は、末梢神経に血液を送り込んでいる細小血管の血流障害から生じる麻痺やしびれなどをさします。
いずれも微小血管障害によって細小血管や毛細血管が損傷を受け、漢方でいうところの於血をきたすことによって発症する合併症なのです。

「漢方で於血をとるには、すぐれた駆於血剤が活用できます。
患者さんの症状や体質を探求して、「証」を決定し、それに合わせた駆於血剤を投与すれば、於血=微小血管障害が改善され、網膜症や腎症、末梢神経障害の進行を阻止することができます。」

一般的な駆於血薬を上げれば、桃核承気湯、桂枝茯苓丸、大黄牡丹皮湯、当帰芍薬散、四物湯、加味逍遙散、七物降下湯など、すぐに数十種類の漢方が選ばれます。そのなかから、患者さんの体質、症状に、もっとも適切な漢方薬を選び、組み合わせることによって、合併症を抑えることが可能となります。

症例報告① 糖尿病性網膜症の進行が抑えられた主婦

主婦のMさんが糖尿病と診断されたのは、2000年、52歳のときでした。
空腹時の血糖値が240mg/dlに達し、正常域の110mg/dl未満を大きく超えていたのです。
血糖を下げるためには、食事療法と運動療法だけでは間に合わない段階で、血糖降下剤とインスリン注射の薬物療法が不可欠と担当医に宣告された、ということです。しかし、最初は薬物療法で血糖値がうまく抑えられたのですが、しだいに上昇して、2年後から右目がぼやけたり、歪んで見え始めたのです。病院で検査を受けたところ糖尿病性網膜症の進行と診断され、病巣部をレーザーで焼いて出血を防止する光凝固療法を受けるように勧められました。Mさんは、まず右目の光凝固療法を受けたのですが、レーザーを照射したところが黒い斑点となって見えなくなり、周囲も暗くなるなど自覚症状がいっそう悪化してしまいました。そのため、もう一方の左目は、光凝固療法を受けるのを断り、私のところに来ました。
漢方、鍼灸で、何とかしてほしいとのことでした。

「M.Kさんには、桂枝茯苓丸のエキス剤と七物降下湯の煎じ薬を投与しました。1年、2年と服用し続けたことによって、左目の網膜の細小血管の血流が改善し、出血も目立って減少していきました。網膜における於血が解消し、糖尿病性網膜症の進行を抑えることができました。」

 通常、網膜症が進行すると、光凝固療法という治療を行いますが、これは、細小血管の破れ目をレーザーで継ぎはぎして補修するものと考えられます。漢方薬は、光凝固療法にとってかわるものではなく、併用すべきものと思いますが、血流を改善することで、(俗に言う、血液サラサラ)、細小血管が破れないように、眼を守る、より目にやさしい治療法と考えられます。


症例報告② 手足の痛みやしびれが徐々に改善

 K.K.さんが糖尿病による末梢神経障害と診断されたのは2001年、71歳のときです。
40代半ばから尿に糖が出ていると注意されてきたのに、放っておいたツケが一挙にまわってきたのです。
 「手足の先がジンジンと痛んだりしびれたりする」「ときには手足が異常に冷えたりほてったりすることもある」と訴えていました。
空腹時の血糖値が常時170mg/dl以上にのぼり、手足の末梢神経に血液を届ける細小血管がボロボロに傷んでしまった結果と言えます。
「K.Kさんは、食事療法と運動療法に加え、血糖降下剤、インスリン注射による薬物療法が行われました。
低血糖を起こさないように食事のとり方も工夫されていました。
私は、相談を受けて、手足の於血をとるために、加味逍遙散を煎じ薬で、牛車腎気丸をエキス剤で、服用してもらいました。
K.Kさんの手足の痛みやしびれが改善し始めたのは、漢方薬の服用3ヵ月後からでした。
最初は痛みが徐々に軽くなり、そのうちにしびれも解消していきました。
約1年半の継続服用で、ほとんど症状が消失し、末梢神経障害が悪化している様子は、まったく認められなかった。ということです。


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漢方薬 「黄連地黄湯加減方」 糖尿病、血糖増加による口渇によく効く漢方薬です。

糖尿病ってどんな病気?
肥満、ストレス、運動不足などが引き金となり、増加の一途をたどっている糖尿病。
私たちの周りでよく耳にする病名ですが、この糖尿病とは一体どのような病気なのでしょうか。

「糖尿病はなぜ起こる? 糖尿病とは?」
 糖尿病は、食べ物から消化・吸収された糖質(ブドウ糖)が体内で有効に活用されないために、血液中のブドウ糖(血糖)が増えてしまう 病気です。
 このブドウ糖が有効に活用されるために、大切な働きをしているのが、膵臓のランゲルハンス島ベータ(B)細胞から分泌されるインスリンと いうホルモンです。

「糖尿病とインスリン」 インスリンは血糖が上昇(食べ物の消化・分解が行われる食後など)すると働き出します。

   → 血糖降下作用で血液中のブドウ糖を一定に保ちます。

このインスリンが・・・   1)全く分泌されない 2)分泌量が不足する 3)働きが悪くなる と、
(インスリンの働きに拮抗するホルモン《成長ホルモン、副腎皮質ホルモン等》の分泌量が多くなる)
この状態になると、インスリンの作用が不足し、血液中のブドウ糖を処理できなくなるため、血糖値が高くなり、糖尿病を引き起こしてしまう のです。

   すい臓 ランゲルハンス島 ベータ(B)細胞 インスリン分泌

   肝臓や筋肉           ↓            全身の組織

  余分な糖を          血[糖]調節           働く
  グリコーゲン ←[糖]               [糖]→ エネルギー
  として蓄える
            ↑                     ↑
          インスリン                インスリン

「糖尿病の種類」
 糖尿病は、次のような2つの種類に大きく分けられます。

[インスリン依存型糖尿病]
 若年型糖尿病、ヤセ型、一般に年令は若い(ピーク10~14歳)、症状が明らか(急激)
 インスリン注射をしないと、血糖をコントロールできない

[インスリン非依存型糖尿病]
 成人型糖尿病、肥満型、一般に成年以降(ピーク40~50歳代)、症状が少なく軽症(徐々)、内服薬が有効

日本では、糖尿病全体の95%以上を占めるのが、インスリン非依存型糖尿病です。
そこで、ここでは主にこのインスリン非依存型糖尿病についてお話をすすめていくことにします。

「糖尿病を引き起こす危険因子!」
糖尿病は、加齢や遺伝なども関係していますが、最も大きな影響を与えているのは、肥満、過食、運動不足と言われています。

      肥満・過食・運動不足・ストレス・妊娠・内分泌異常、肝臓疾患、ステロイド剤
                       ↓
   このような肥満、過食、運動不足などの環境因子があると、インスリンに対する抵抗性ができやすくなります。
   その上、加齢や体質などの影響が加わることでインスリンの作用が不十分になり、血液中のブドウ糖を上手に処理できずに
   血糖値を上げてしまうことになるのです。

「糖尿病の症状は?」
糖尿病の症状は、次に示すような口渇、多尿などがよく挙げられます。
しかしこうした症状は、糖尿病が進行してから現れることが多く、初期ではほとんど自覚症状が見られにくいものです。

①口渇: のどがかわいてお茶など水気がほしい。
②体重の増減: 急にふとりだした。また、やせだした。
③皮膚病: 皮膚がかゆく、化膿しやすく治りにくい。
④多尿: トイレに行く回数が多く、1回の尿量も多い。
⑤疲労・倦怠: 疲れやすく、全身がだるい。
⑥神経痛: 手足がしびれたり、坐骨神経痛で痛む。

糖尿病がこわいのは、動脈硬化や腎臓病、視力障害などの合併症が起こることです。
そこで、早期発見のために、定期的な検査を受けることが大切です。

「糖尿病の検査」
糖尿病は、初期には自覚症状がほとんどみられないこともあるため、長い間放っておくと生命にかかわる合併症
(脳卒中、心筋梗塞、網膜症など)を引き起こすことになります。そこで、早期発見のために1年に1度は定期的に検査を受けましょう。

●空腹時血糖‥‥‥‥検査当日の朝食を抜いて血液を採り血糖値を検査する方法。
                空腹時の血糖値が126㎎/dL以上あると糖尿病の可能性がある。

●HdA1c‥‥‥‥‥‥HdA1cは血糖と違い、食事の影響を受けないため、いつでも検査できる。

過去120日間の平均的な血糖状態が検査出来ます。基準値6.5%以上だと糖尿病の可能性がある。

糖尿病でおそろしいのは、自覚症状がないからといって血糖値のコントロールを怠ると、全身に合併症が現れてくることです。

どんな合併症があるのでしょうか?

①網膜症 ②腎症 ③神経障害 が挙げられ、これらは糖尿病の三大合併症と言われています。

では、三大合併症によって起こる症状とは、どのようなものなのでしょうか‥‥。

①網膜症で起こる症状: 視力の低下、目の前に黒いものや赤い点のようなものが見えるなど。最悪の場合、失明することもあります。
②腎症で起こる症状: だるさ、足のむくみなど。最悪の場合、尿毒症を起こし、生命の危険にさらされることもあります。
③神経障害で起こる症状: 神経痛、下痢、便秘などが現れやすくなります。

このように、糖尿病を長い間放置すると、全身に様々な障害が起こりやすくなります。

現代病での糖尿病対策

糖尿病の治療は、血糖値のコントロールが基本となります。
食事や運動だけで十分に血糖値のコントロールができない場合は、薬物療法を行っていきます。

「糖尿病の病型と治療法」

インスリン依存型糖尿病

食事療法、運動療法‥‥‥時間的配分が重要。インスリン投与法に合わせる。
経口薬‥‥‥‥‥‥‥‥ 無効。
インスリン‥‥‥‥‥‥‥ 治療の主体。

インスリン非依存型糖尿病

食事療法、運動療法‥‥‥治療の主体。
経口薬‥‥‥‥‥‥‥‥ 必要に応じて使用。
インスリン‥‥‥‥‥‥‥ 必要に応じて使用。

さらに、薬物療法で使われる薬には、その作用によっていくつかの種類に分けられます。
しかし、薬の量を間違えて多く飲みすぎたり、空腹の状態が長く続くと、血糖値が下がり過ぎてしまう恐れもあり、注意が必要となります。
そこで、よく使われる経口薬、インスリン注射薬と、それぞれの使用上の注意点をまとめてみました。

◆経口薬の使用上の注意◆

スルフォニル尿素剤
一般名‥‥‥‥‥‥トルブタミド、クロルプロパミド、アセトヘキサミド、グリクドピラミド、グリベンクラミド
使用上の注意‥‥‥適応条件を考慮し、効果の有無の確認と共に、副作用をチェックしながら使用する。
副作用: 低血糖、胃腸障害(食欲不振、悪心、嘔吐、下痢)、血液障害(白血球減少)、肝障害、皮膚症状(じんま疹、薬疹)

ビグアナイド剤
一般名‥‥‥‥‥‥塩酸ブフォルミン、メトフォルミン
使用上の注意‥‥‥乳酸アシドーシスや胃腸障害等の副作用を有するため、現在はほとんど使用されていない。

β-グルコシダーゼ
一般名‥‥‥‥‥‥アカルボース、ボグリボース
使用上の注意‥‥‥食後の急激な血糖値の上昇を抑えるが、食前に服用しないと効果が出ない。
副作用: 低血糖(他剤による低血糖の助長)、胃腸障害(腹部膨満感、下痢など)

◆インスリン使用上の注意◆

低血糖症状の予防と処置が大切。
低血糖症状: 脱力感、空腹感、冷汗、手のふるえ、意識障害、痙れん等

現代薬物治療法は長期服用による副作用がみられ、使用に注意が必要です。
更に対症療法であることからその治療にも限度があり、糖尿病体質の改善までにはいたらないものです。
そこで、糖尿病の根本治療に漢方療法が使われるようになりました。

漢方での糖尿病対策
漢方では昔からこの糖尿病を“消渇”という病名で呼んでいました。
消渇(ショウカツ):水が小便にたくさん流れるように出て消え去ってしまう、
口渇の激しい病気という意味で、いわゆる多尿・口渇の激しい糖尿病の状態を指しています。

糖尿病での漢方薬処方の効果は、血糖降下とコントロールにあります。
その薬効を有する生薬に、紫胡、人参、地黄、麦門冬、五味子等を、症状に合わせて組み合わせた処方が使われます。
この消渇に昔から頻用される漢方処方として次のようなものがありました。

①白虎加人参湯加減方: 体力充実し、主に口渇・口舌の乾き、発汗、のぼせ、あつがりの方
②八味地黄湯加減方: 体力が中等以上あり、利尿減少(小便が近いか、または遠くて浮腫を生じる)、腰、脚の冷え、脱力感(全身倦怠)口渇を呈する方

現代は、ストレスの多い現代社会の中で、胃腸、肝臓などの内臓が弱っている人が増えています。

胃腸が弱い現代人には、漢方薬「黄連地黄湯加減方」が、さらに効果的

漢方薬「黄連地黄湯加減方」とは、

漢方療法も使い間違えれば副作用が出ます。 現代人の多くは胃腸が弱い(下痢症の多い)ことを忘れてはなりません。

そこで、糖尿病の今の苦情を楽にしながら、衰えた各臓器に力を付けて、ホルモン分泌の働きを良くすることが必要なのです。

糖尿病に対して必要な漢方生薬を選び出し、創り出された薬、それがダイアベトンです。


現代人に合った糖尿病薬を考える

(1)糖尿病全般に関する症状(消渇)に用いられる薬物を神農本草経の働きから見てみると・・・

  茯苓 :  止口焦舌乾     (本草経19頁)、    麦門冬 : 心腹結気、傷中傷飽、●痩短気  (本草経20頁)
  地黄 :  傷中          (本草経21頁)、    人参  : 補五臓                  (本草経23頁)
  石膏 :  口乾舌焦不能息  (本草経50頁)、    黄連  : 熱気                    (本草経53頁)
  五味子 : 労傷●痩、補不足 (本草経54頁)、    葛根 :  消渇、身大熱              (本草経56頁)
  知母  :  消渇熱中      (本草経56頁)、   瓜呂根 : 消渇身熱、煩満大熱          (本草経57頁)

などが挙げられます(神農本草経による)

糖尿病の自覚症状(口渇、多尿など)は、これらの薬物などの働きで緩解されます。

(2)証を考えずに使用して効力があり、副作用のない薬方を構成すると・・・
  先の薬物から、現代人に必要な薬味をさらに考えて、糖尿病漢方薬「黄連地黄湯加減方」が創り出されました。
  漢方薬「黄連地黄湯加減方」は糖尿病症状(消渇)の改善に用いて良い10種の漢方生薬からなっています。

 葛根 ‐ 胃の熱から来る口渇や自律神経の亢進を鎮める
 五味子 ‐ 副腎皮質ホルモンの分泌を整える
 麦門冬 ‐ 胃・心臓の弱っている時に用い、地黄の働きを助ける
 人参 ‐ 血糖を降下させる
 瓜呂根 ‐ 胸部の熱より来る口渇・多尿を治す
 茯苓 ‐ 強心利水剤で副腎ホルモンの分泌をよくする
 黄連 ‐ 自律神経の亢ぶりを鎮め、胃・心臓等の臓器の働き過ぎを鎮める
 地黄 ‐ 血行・ホルモン分泌をよくし、体に力をつける
 当帰 ‐ 血行・ホルモン分泌をよくし、血液の流れを円滑にする
 甘草 ‐ 解毒力・アレルギー反応阻止力がある


漢方薬「黄連地黄湯加減方」の薬理実験結果

●尿糖を抑える働き
  ラットにブドウ糖を過剰に与えて人工的に糖尿病状態をつくります。3~4時間後にラットの排尿中の糖分を測定します。
  こんな時、漢方薬「黄連地黄湯加減方」を投与しているとどうなるでしょう・・・。

          [ブドウ糖過剰投与]
           ↓        ↓
      糖尿病ラット   漢方薬「黄連地黄湯加減方」投与ラット
      (尿糖10%)    (尿糖0.5%)

  10%の尿糖を出した糖尿病ラットに比べて、漢方薬「黄連地黄湯加減方」を与えたラットでは、排尿中の糖分は0.5%にまで減少しました。
  このことから、ダイアベトンは尿糖を抑え、余分な糖分をスムーズに代謝する働きのあることが分かります。

●血糖を下げる働き(その1)
  ラットにアロキサン*を注射して人工的に糖尿病状態をつくります。その後次第に、ラットの血糖値は高くなっていきます。
  その後次第に、ラットの血糖値は高くなっていきます。こんな時、漢方薬「黄連地黄湯加減方」は次のように働きます。

                              [アロキサン注射]
          ↓       ↓         ↓            ↓         ↓
          正常     糖尿病    漢方薬「黄連地黄湯加減方」     八味地黄丸料
         (ラット)    (ラット)   (200ml/ラット)  (100ml/ラット)  (成人1/10ラット)

 血糖値     96      238       127          130          141
 (mg/dl)    

   *アロキサン・・・ランゲルハンス島のベータ(B)細胞を破壊し、血糖を下げるインスリンを分泌できない状態にしてしまいます。

 アロキサンによりランゲルハンス島のベータ細胞を破壊し、人工的糖尿病を起こしたラットに対して、漢方薬「黄連地黄湯加減方」は血糖を下げる働きがありました。
また、さらに昔から糖尿病に効くとされている八味地黄丸料より血糖を下げる力の強いことも分かります。
 このことから、漢方薬「黄連地黄湯加減方」はインスリンの出にくい糖尿病にも効果のあることが分かります。

●血糖を下げる働き(その2)
  マウスに過剰のブドウ糖を与えて、高血糖状態をつくります。
  こんな時、漢方薬「黄連地黄湯加減方」は余分な糖をスムーズに処理し、しかもその処理の形は血糖降下剤のインスリンに似ていることが分かります。

●精神的ストレスに耐えられる力を湧かす働き
  マウスに温度変化によるストレス(SART‐ストレス)を与え、マウスを自律神経失調症様の状態にします。
その後、次第にマウスは体重減少し始め、心拍数増加や胃腸の働きの乱れなどの症状を現してきます。
こんな時、漢方薬「黄連地黄湯加減方」を投与していると、次のような効果  が認められました。

      室温を8度⇔25度と時間ごとに変化させて、温度変化によるストレスをマウスに与えます。

       ○SART-ストレス負荷マウスには体重の減少をはじめ、種々の自律神経失調症様の症状が見られました。
       ○ダイアベトン投与マウスは体重の減少を抑えました。

 漢方薬「黄連地黄湯加減方」を投与していると、自律神経失調症様の症状の1つである体重の減少が抑えられました。
 また、心拍数増加などの症状も認められませんでした。
 このことから、漢方薬「黄連地黄湯加減方」は糖尿病の誘因の1つである精神的ストレスに耐えられる力を湧かす働きがあり、
現代人に多い神経酷使から生じる糖尿病の改善に効果のあることが分かります。

●インスリンの手助けをする働き
  インスリンを分泌する膵臓ランゲルハンス島のβ(B)細胞を破壊し、
糖尿病を起こす物質であるST6(ストレプトゾトシン)を投与した糖尿病モデル(インスリン欠損糖尿病ラット)を使った実験も行いました。

 このように、漢方薬「黄連地黄湯加減方」は糖尿病者の今の辛い苦情を除くだけでなく、血糖を安定させホルモン分泌を正常に保つことで、
体質的に糖尿病を改善するお手伝いをしていきます。


おすすめする糖尿病の養生法

糖尿病を改善していくためには、適切な薬を服用することも大切ですが、それ以上に毎日の食事や運動の養生が大切になります。
食事と運動に気をつけ、合併症の予防のためにも全身チェックを行い積極的に自己管理を心がけましょう。

【適正な一日摂取カロリーを守りましょう】
 過食を避け、標準体重を維持するようにしましょう。
   例) 成人 25~30kcal (標準体重1㎏当たり)
        (労働量に応じて増減、肥満者はさらに減らす)
      妊婦  30~35kcal (標準体重1㎏当たり)
      小児  1000kcal/日を基本とし、年齢に応じてカロリーを加算する

【決められたカロリー内で栄養バランスを考えましょう】
 栄養のバランスを崩さないように糖質、蛋白質、脂肪の三大栄養素をうまく配合します。
 各種ビタミンやミネラル(カルシウム、鉄など)も補給しておきます。
      ○献立作りには食品交換表(日本糖尿病学会)を利用すると便利です。

【食事の量や間隔を均等にしましょう】
 食事は1日3回、ほぼ5~6時間の間隔で、摂取カロリー量も均等にして食べるようにしましょう。
      ○1回の糖質量が多くなったり、食事間隔が短くなると、食後に高血糖を引き起こすことがあるので注意!

【標準体重を維持しましょう】
 食事療法や運動療法を習慣化して、毎日実行しましょう。
 肥満度判定基準 BMI(ボディ・マス・インデックス)

                 体重(㎏)
      BMI = ――――――――――    25未満・・・非肥満
              身長(m)×身長(m)     25以上・・・肥満

【ストレスをためないようにしましょう】
 ひどい心配事、不安、緊張等の精神的ストレスがかかると、抗インスリン作用のあるステロイドホルモンの分泌が高まります。
 ストレスの解消またはストレスに耐えられるように努力しましょう!

【適度な運動をしましょう】
 疲れない範囲で散歩や家庭内での仕事など、全身を使う運動をしましょう。
 自分の体に合った運動を長期間にわたり継続することが大切です。




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漢方薬 「黄連地黄湯加減方」 糖尿病、血糖増加による口渇によく効く漢方薬です。

糖尿病ってどんな病気?
肥満、ストレス、運動不足などが引き金となり、増加の一途をたどっている糖尿病。
私たちの周りでよく耳にする病名ですが、この糖尿病とは一体どのような病気なのでしょうか。

「糖尿病はなぜ起こる? 糖尿病とは?」
 糖尿病は、食べ物から消化・吸収された糖質(ブドウ糖)が体内で有効に活用されないために、血液中のブドウ糖(血糖)が増えてしまう 病気です。
 このブドウ糖が有効に活用されるために、大切な働きをしているのが、膵臓のランゲルハンス島ベータ(B)細胞から分泌されるインスリンと いうホルモンです。

「糖尿病とインスリン」 インスリンは血糖が上昇(食べ物の消化・分解が行われる食後など)すると働き出します。

   → 血糖降下作用で血液中のブドウ糖を一定に保ちます。

このインスリンが・・・   1)全く分泌されない 2)分泌量が不足する 3)働きが悪くなる と、
(インスリンの働きに拮抗するホルモン《成長ホルモン、副腎皮質ホルモン等》の分泌量が多くなる)
この状態になると、インスリンの作用が不足し、血液中のブドウ糖を処理できなくなるため、血糖値が高くなり、糖尿病を引き起こしてしまう のです。

   すい臓 ランゲルハンス島 ベータ(B)細胞 インスリン分泌

   肝臓や筋肉           ↓            全身の組織

  余分な糖を          血[糖]調節           働く
  グリコーゲン ←[糖]               [糖]→ エネルギー
  として蓄える
            ↑                     ↑
          インスリン                インスリン

「糖尿病の種類」
 糖尿病は、次のような2つの種類に大きく分けられます。

[インスリン依存型糖尿病]
 若年型糖尿病、ヤセ型、一般に年令は若い(ピーク10~14歳)、症状が明らか(急激)
 インスリン注射をしないと、血糖をコントロールできない

[インスリン非依存型糖尿病]
 成人型糖尿病、肥満型、一般に成年以降(ピーク40~50歳代)、症状が少なく軽症(徐々)、内服薬が有効

日本では、糖尿病全体の95%以上を占めるのが、インスリン非依存型糖尿病です。
そこで、ここでは主にこのインスリン非依存型糖尿病についてお話をすすめていくことにします。

「糖尿病を引き起こす危険因子!」
糖尿病は、加齢や遺伝なども関係していますが、最も大きな影響を与えているのは、肥満、過食、運動不足と言われています。

      肥満・過食・運動不足・ストレス・妊娠・内分泌異常、肝臓疾患、ステロイド剤
                       ↓
   このような肥満、過食、運動不足などの環境因子があると、インスリンに対する抵抗性ができやすくなります。
   その上、加齢や体質などの影響が加わることでインスリンの作用が不十分になり、血液中のブドウ糖を上手に処理できずに
   血糖値を上げてしまうことになるのです。

「糖尿病の症状は?」
糖尿病の症状は、次に示すような口渇、多尿などがよく挙げられます。
しかしこうした症状は、糖尿病が進行してから現れることが多く、初期ではほとんど自覚症状が見られにくいものです。

①口渇: のどがかわいてお茶など水気がほしい。
②体重の増減: 急にふとりだした。また、やせだした。
③皮膚病: 皮膚がかゆく、化膿しやすく治りにくい。
④多尿: トイレに行く回数が多く、1回の尿量も多い。
⑤疲労・倦怠: 疲れやすく、全身がだるい。
⑥神経痛: 手足がしびれたり、坐骨神経痛で痛む。

糖尿病がこわいのは、動脈硬化や腎臓病、視力障害などの合併症が起こることです。
そこで、早期発見のために、定期的な検査を受けることが大切です。

「糖尿病の検査」
糖尿病は、初期には自覚症状がほとんどみられないこともあるため、長い間放っておくと生命にかかわる合併症
(脳卒中、心筋梗塞、網膜症など)を引き起こすことになります。そこで、早期発見のために1年に1度は定期的に検査を受けましょう。

●空腹時血糖‥‥‥‥検査当日の朝食を抜いて血液を採り血糖値を検査する方法。
                空腹時の血糖値が126㎎/dL以上あると糖尿病の可能性がある。

●HdA1c‥‥‥‥‥‥HdA1cは血糖と違い、食事の影響を受けないため、いつでも検査できる。

過去120日間の平均的な血糖状態が検査出来ます。基準値6.5%以上だと糖尿病の可能性がある。

糖尿病でおそろしいのは、自覚症状がないからといって血糖値のコントロールを怠ると、全身に合併症が現れてくることです。

どんな合併症があるのでしょうか?

①網膜症 ②腎症 ③神経障害 が挙げられ、これらは糖尿病の三大合併症と言われています。

では、三大合併症によって起こる症状とは、どのようなものなのでしょうか‥‥。

①網膜症で起こる症状: 視力の低下、目の前に黒いものや赤い点のようなものが見えるなど。最悪の場合、失明することもあります。
②腎症で起こる症状: だるさ、足のむくみなど。最悪の場合、尿毒症を起こし、生命の危険にさらされることもあります。
③神経障害で起こる症状: 神経痛、下痢、便秘などが現れやすくなります。

このように、糖尿病を長い間放置すると、全身に様々な障害が起こりやすくなります。

現代病での糖尿病対策

糖尿病の治療は、血糖値のコントロールが基本となります。
食事や運動だけで十分に血糖値のコントロールができない場合は、薬物療法を行っていきます。

「糖尿病の病型と治療法」

インスリン依存型糖尿病

食事療法、運動療法‥‥‥時間的配分が重要。インスリン投与法に合わせる。
経口薬‥‥‥‥‥‥‥‥ 無効。
インスリン‥‥‥‥‥‥‥ 治療の主体。

インスリン非依存型糖尿病

食事療法、運動療法‥‥‥治療の主体。
経口薬‥‥‥‥‥‥‥‥ 必要に応じて使用。
インスリン‥‥‥‥‥‥‥ 必要に応じて使用。

さらに、薬物療法で使われる薬には、その作用によっていくつかの種類に分けられます。
しかし、薬の量を間違えて多く飲みすぎたり、空腹の状態が長く続くと、血糖値が下がり過ぎてしまう恐れもあり、注意が必要となります。
そこで、よく使われる経口薬、インスリン注射薬と、それぞれの使用上の注意点をまとめてみました。

◆経口薬の使用上の注意◆

スルフォニル尿素剤
一般名‥‥‥‥‥‥トルブタミド、クロルプロパミド、アセトヘキサミド、グリクドピラミド、グリベンクラミド
使用上の注意‥‥‥適応条件を考慮し、効果の有無の確認と共に、副作用をチェックしながら使用する。
副作用: 低血糖、胃腸障害(食欲不振、悪心、嘔吐、下痢)、血液障害(白血球減少)、肝障害、皮膚症状(じんま疹、薬疹)

ビグアナイド剤
一般名‥‥‥‥‥‥塩酸ブフォルミン、メトフォルミン
使用上の注意‥‥‥乳酸アシドーシスや胃腸障害等の副作用を有するため、現在はほとんど使用されていない。

β-グルコシダーゼ
一般名‥‥‥‥‥‥アカルボース、ボグリボース
使用上の注意‥‥‥食後の急激な血糖値の上昇を抑えるが、食前に服用しないと効果が出ない。
副作用: 低血糖(他剤による低血糖の助長)、胃腸障害(腹部膨満感、下痢など)

◆インスリン使用上の注意◆

低血糖症状の予防と処置が大切。
低血糖症状: 脱力感、空腹感、冷汗、手のふるえ、意識障害、痙れん等

現代薬物治療法は長期服用による副作用がみられ、使用に注意が必要です。
更に対症療法であることからその治療にも限度があり、糖尿病体質の改善までにはいたらないものです。
そこで、糖尿病の根本治療に漢方療法が使われるようになりました。

漢方での糖尿病対策
漢方では昔からこの糖尿病を“消渇”という病名で呼んでいました。
消渇(ショウカツ):水が小便にたくさん流れるように出て消え去ってしまう、
口渇の激しい病気という意味で、いわゆる多尿・口渇の激しい糖尿病の状態を指しています。

糖尿病での漢方薬処方の効果は、血糖降下とコントロールにあります。
その薬効を有する生薬に、紫胡、人参、地黄、麦門冬、五味子等を、症状に合わせて組み合わせた処方が使われます。
この消渇に昔から頻用される漢方処方として次のようなものがありました。

①白虎加人参湯加減方: 体力充実し、主に口渇・口舌の乾き、発汗、のぼせ、あつがりの方
②八味地黄湯加減方: 体力が中等以上あり、利尿減少(小便が近いか、または遠くて浮腫を生じる)、腰、脚の冷え、脱力感(全身倦怠)口渇を呈する方

現代は、ストレスの多い現代社会の中で、胃腸、肝臓などの内臓が弱っている人が増えています。

胃腸が弱い現代人には、漢方薬「黄連地黄湯加減方」が、さらに効果的

漢方薬「黄連地黄湯加減方」とは、

漢方療法も使い間違えれば副作用が出ます。 現代人の多くは胃腸が弱い(下痢症の多い)ことを忘れてはなりません。

そこで、糖尿病の今の苦情を楽にしながら、衰えた各臓器に力を付けて、ホルモン分泌の働きを良くすることが必要なのです。

糖尿病に対して必要な漢方生薬を選び出し、創り出された薬、それがダイアベトンです。


現代人に合った糖尿病薬を考える

(1)糖尿病全般に関する症状(消渇)に用いられる薬物を神農本草経の働きから見てみると・・・

  茯苓 :  止口焦舌乾     (本草経19頁)、    麦門冬 : 心腹結気、傷中傷飽、●痩短気  (本草経20頁)
  地黄 :  傷中          (本草経21頁)、    人参  : 補五臓                  (本草経23頁)
  石膏 :  口乾舌焦不能息  (本草経50頁)、    黄連  : 熱気                    (本草経53頁)
  五味子 : 労傷●痩、補不足 (本草経54頁)、    葛根 :  消渇、身大熱              (本草経56頁)
  知母  :  消渇熱中      (本草経56頁)、   瓜呂根 : 消渇身熱、煩満大熱          (本草経57頁)

などが挙げられます(神農本草経による)

糖尿病の自覚症状(口渇、多尿など)は、これらの薬物などの働きで緩解されます。

(2)証を考えずに使用して効力があり、副作用のない薬方を構成すると・・・
  先の薬物から、現代人に必要な薬味をさらに考えて、糖尿病漢方薬「黄連地黄湯加減方」が創り出されました。
  漢方薬「黄連地黄湯加減方」は糖尿病症状(消渇)の改善に用いて良い10種の漢方生薬からなっています。

 葛根 ‐ 胃の熱から来る口渇や自律神経の亢進を鎮める
 五味子 ‐ 副腎皮質ホルモンの分泌を整える
 麦門冬 ‐ 胃・心臓の弱っている時に用い、地黄の働きを助ける
 人参 ‐ 血糖を降下させる
 瓜呂根 ‐ 胸部の熱より来る口渇・多尿を治す
 茯苓 ‐ 強心利水剤で副腎ホルモンの分泌をよくする
 黄連 ‐ 自律神経の亢ぶりを鎮め、胃・心臓等の臓器の働き過ぎを鎮める
 地黄 ‐ 血行・ホルモン分泌をよくし、体に力をつける
 当帰 ‐ 血行・ホルモン分泌をよくし、血液の流れを円滑にする
 甘草 ‐ 解毒力・アレルギー反応阻止力がある


漢方薬「黄連地黄湯加減方」の薬理実験結果

●尿糖を抑える働き
  ラットにブドウ糖を過剰に与えて人工的に糖尿病状態をつくります。3~4時間後にラットの排尿中の糖分を測定します。
  こんな時、漢方薬「黄連地黄湯加減方」を投与しているとどうなるでしょう・・・。

          [ブドウ糖過剰投与]
           ↓        ↓
      糖尿病ラット   漢方薬「黄連地黄湯加減方」投与ラット
      (尿糖10%)    (尿糖0.5%)

  10%の尿糖を出した糖尿病ラットに比べて、漢方薬「黄連地黄湯加減方」を与えたラットでは、排尿中の糖分は0.5%にまで減少しました。
  このことから、ダイアベトンは尿糖を抑え、余分な糖分をスムーズに代謝する働きのあることが分かります。

●血糖を下げる働き(その1)
  ラットにアロキサン*を注射して人工的に糖尿病状態をつくります。その後次第に、ラットの血糖値は高くなっていきます。
  その後次第に、ラットの血糖値は高くなっていきます。こんな時、漢方薬「黄連地黄湯加減方」は次のように働きます。

                              [アロキサン注射]
          ↓       ↓         ↓            ↓         ↓
          正常     糖尿病    漢方薬「黄連地黄湯加減方」     八味地黄丸料
         (ラット)    (ラット)   (200ml/ラット)  (100ml/ラット)  (成人1/10ラット)

 血糖値     96      238       127          130          141
 (mg/dl)    

   *アロキサン・・・ランゲルハンス島のベータ(B)細胞を破壊し、血糖を下げるインスリンを分泌できない状態にしてしまいます。

 アロキサンによりランゲルハンス島のベータ細胞を破壊し、人工的糖尿病を起こしたラットに対して、漢方薬「黄連地黄湯加減方」は血糖を下げる働きがありました。
また、さらに昔から糖尿病に効くとされている八味地黄丸料より血糖を下げる力の強いことも分かります。
 このことから、漢方薬「黄連地黄湯加減方」はインスリンの出にくい糖尿病にも効果のあることが分かります。

●血糖を下げる働き(その2)
  マウスに過剰のブドウ糖を与えて、高血糖状態をつくります。
  こんな時、漢方薬「黄連地黄湯加減方」は余分な糖をスムーズに処理し、しかもその処理の形は血糖降下剤のインスリンに似ていることが分かります。

●精神的ストレスに耐えられる力を湧かす働き
  マウスに温度変化によるストレス(SART‐ストレス)を与え、マウスを自律神経失調症様の状態にします。
その後、次第にマウスは体重減少し始め、心拍数増加や胃腸の働きの乱れなどの症状を現してきます。
こんな時、漢方薬「黄連地黄湯加減方」を投与していると、次のような効果  が認められました。

      室温を8度⇔25度と時間ごとに変化させて、温度変化によるストレスをマウスに与えます。

       ○SART-ストレス負荷マウスには体重の減少をはじめ、種々の自律神経失調症様の症状が見られました。
       ○ダイアベトン投与マウスは体重の減少を抑えました。

 漢方薬「黄連地黄湯加減方」を投与していると、自律神経失調症様の症状の1つである体重の減少が抑えられました。
 また、心拍数増加などの症状も認められませんでした。
 このことから、漢方薬「黄連地黄湯加減方」は糖尿病の誘因の1つである精神的ストレスに耐えられる力を湧かす働きがあり、
現代人に多い神経酷使から生じる糖尿病の改善に効果のあることが分かります。

●インスリンの手助けをする働き
  インスリンを分泌する膵臓ランゲルハンス島のβ(B)細胞を破壊し、
糖尿病を起こす物質であるST6(ストレプトゾトシン)を投与した糖尿病モデル(インスリン欠損糖尿病ラット)を使った実験も行いました。

 このように、漢方薬「黄連地黄湯加減方」は糖尿病者の今の辛い苦情を除くだけでなく、血糖を安定させホルモン分泌を正常に保つことで、
体質的に糖尿病を改善するお手伝いをしていきます。


おすすめする糖尿病の養生法

糖尿病を改善していくためには、適切な薬を服用することも大切ですが、それ以上に毎日の食事や運動の養生が大切になります。
食事と運動に気をつけ、合併症の予防のためにも全身チェックを行い積極的に自己管理を心がけましょう。

【適正な一日摂取カロリーを守りましょう】
 過食を避け、標準体重を維持するようにしましょう。
   例) 成人 25~30kcal (標準体重1㎏当たり)
        (労働量に応じて増減、肥満者はさらに減らす)
      妊婦  30~35kcal (標準体重1㎏当たり)
      小児  1000kcal/日を基本とし、年齢に応じてカロリーを加算する

【決められたカロリー内で栄養バランスを考えましょう】
 栄養のバランスを崩さないように糖質、蛋白質、脂肪の三大栄養素をうまく配合します。
 各種ビタミンやミネラル(カルシウム、鉄など)も補給しておきます。
      ○献立作りには食品交換表(日本糖尿病学会)を利用すると便利です。

【食事の量や間隔を均等にしましょう】
 食事は1日3回、ほぼ5~6時間の間隔で、摂取カロリー量も均等にして食べるようにしましょう。
      ○1回の糖質量が多くなったり、食事間隔が短くなると、食後に高血糖を引き起こすことがあるので注意!

【標準体重を維持しましょう】
 食事療法や運動療法を習慣化して、毎日実行しましょう。
 肥満度判定基準 BMI(ボディ・マス・インデックス)

                 体重(㎏)
      BMI = ――――――――――    25未満・・・非肥満
              身長(m)×身長(m)     25以上・・・肥満

【ストレスをためないようにしましょう】
 ひどい心配事、不安、緊張等の精神的ストレスがかかると、抗インスリン作用のあるステロイドホルモンの分泌が高まります。
 ストレスの解消またはストレスに耐えられるように努力しましょう!

【適度な運動をしましょう】
 疲れない範囲で散歩や家庭内での仕事など、全身を使う運動をしましょう。
 自分の体に合った運動を長期間にわたり継続することが大切です。


       





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