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子宮と膣の病気(子宮と膣の位置を確認する=子宮と膣はつながっている、出産という重要な役割をする)
「子宮の病気」
@子宮頸管炎=頸管は膣の炎症が伝わりやすい
原因
・流産や分娩、人工中絶のあとの不衛生。
・避妊器具やタンポンの使用で膣が炎症をおこしている。
・男性が淋菌に侵されている。
・大腸菌により膣が炎症をおこしている。
上記の場合に、淋菌や大腸菌、クラミジア、ブドウ球菌が膣内に広がり、子宮頸部の分泌腺に入り込み、炎症を起こす。
症状
子宮膣部や頸管部が赤くはれて、びらんをおこす。うみのようなおりものが増え、下腹部・腰痛・発熱などが起こる。
治療
原因の菌を特定し、その菌に対しての抗生物質を投与する。
慢性化すると、全身的・局所的に抗生物質を投与し、ホルモン治療も併用する。
A子宮内膜症(発生した内膜は、良性である)
原因
・月経の際にはがれた内膜の一部が排出されず、卵管に入り腹腔内へ逆行して分散する
・内膜の一部が、リンパ管や静脈の中に入り、運ばれて発病する。
などが原因で、内膜が子宮内壁以外のところに発生する。
症状
子宮筋層に発生した場合、月経のときの下腹部痛が激しい。
子宮頸部後面に発生した場合、腸との癒着がおこり、セックスの際に痛みを感じる。
卵巣に発生した場合、内部に血がたまり、チョコレートのようなかたまりの腫瘤をつくり機能障害をおこす(月経異常となる)
卵管での内膜症は、不妊や卵管妊娠をおこす。
治療
黄体ホルモンを長期間投与することで、排卵をおさえて無月経にし、子宮内膜を増殖させないようにする=この方法は、症状を軽くするだけで、完治はしない。
完治するためには、子宮を含めて幹部や卵巣までも摘出する手術を行います。
・アドバイス
膣はセックスのときに男性性器を受け入れる大切な臓器です。子宮は女性のからだの中心にあり、赤ちゃんがすくすく育っていくところです。子宮と膣は密接に関係しているものですから、どちらかに異常があると両方とも病気になるということもあります。
こうしたことをまねかないためにも、事前に防ぐことをこころがけましょう。
子宮筋腫
もっとも多い、良性の腫瘍
原因
はっきりした原因はわかりませんが、成熟期に多くみられ、閉経期にはできていた筋腫が小さくなってしまいます。このことから、卵胞ホルモンの過剰な刺激により、子宮をつくっている平滑筋や結合組織が増殖し、筋腫をつくるのではないかといわれています。
おおきさは豆粒ぐらいのものから、こぶしぐらいのものなどとさまざまです。
症状
月経時に激しい痛みを感じるようになり、出血量が多くなったり、期間が長くなったりします。また、レバーのような血のかたまりがみられます。
筋腫が大きくなると、腸や膀胱を圧迫し、便秘や膀胱炎をおこします。
そのほかにも筋腫の発生した場所により、さまざまな症状があります。
治療
筋腫の大きさ、発生した場所、年齢、症状によって、摘出手術を行います。おもなももには、筋腫摘出術、子宮膣上部切断術、単純性子宮全摘除術があります。
子宮内膜炎
子宮内膜が炎症をおこしたもの
子宮内膜炎は、雑菌が子宮内膜に入りこみ炎症をおこすというものです。
感染した菌によって、非特異性・特異性・老人性の大きく3つになります。
これらの内膜炎では、発熱やおりものの異常がよくみられる症状です。しかし、種類によって状態はさまざまですから、注意してよくみましょう。
子宮内膜炎の一覧表
非特異性子宮内膜炎
原因・症状
子宮内頸管炎からの感染や避妊具の挿入後におこりやすい。また、分娩や流産のあとにもよくみられる。
子宮内膜の変化がくずれるために不正出血がみられ、下腹部痛をともなう。また、うみのように黄色いおりものや血がまざったおりものがあり、量も増えている。症状がひどい場合は発熱もおこる
治療
抗生物質の投与を受け、安静にしている。子宮内膜はつきに1度はがされて、新しく修復されるため、子宮内膜炎の慢性化は珍しい。炎症が筋層へ広がる場合は慢性化もみられる
特異性子宮内膜炎
淋病性子宮内膜炎
原因・症状
淋菌感染が原因で尿道痛をともなう尿道炎が完治していないと、炎症が子宮頚管部に侵入し、子宮内膜へと広がるためにおこる
青みを含んだ黄色いおりものがあり、下腹部痛・発熱・便秘などがおこる。炎症が卵管へ広がると、淋菌性卵管炎をおこす。卵管が狭くなるので不妊症の原因にもなるので注意
治療
ペニシリンなどの抗生物質を投与し、安静にすること。淋菌の培養検査を併用して行う
結核性子宮内膜炎
原因・症状
現在では、結核がみられなくなったため、珍しい疾患のひとつである。原因の多くは、肺結核から血液を通じて卵管に感染し、子宮内膜へと広がっていく
症状としては、微熱や疲労感がみられ、内膜の変化による不正出血や無月経などがあらわれる場合もある
治療
結核菌に抗生物質を投与する化学療法を行う。入院が必要とし安静にしておくこと
老人性子宮内膜炎
原因・症状
女性の膣は、更年期ごろになると,自浄作用が低下してくるため、大腸菌による膣炎をおこす。それが膣炎から子宮へと広がる。また子宮が萎縮するため、排出物の出口がなくなり、子宮内にたまってしまう。これにより収縮作用がおこり、下腹部痛とうみのようなおりものがみられる。
治療
頸管部を広げて子宮内にたまったうみを排出する。このうみが、子宮がんとなることがあるため、子宮内膜の検査を行う
子宮後傾後屈症
子宮は前に傾いているのが正常
可動性後屈
原因、症状
子宮を支えている靭帯や筋肉の先天的な発育不全により、子宮が後方に折れ曲がってしまっているものです。
症状はほとんどみられませんが、なかには月経困難症や頭痛、便秘などを訴える人もいます。また不妊・流産の原因になる場合もあります。
治療
症状がひどいようなら、ペッサリーで矯正したり、靭帯を縮めたりします。
癒着性後屈
原因、症状
子宮内膜症や骨盤の炎症などにより、子宮が骨盤や直腸と癒着して、後方へ傾いてしまいます。
症状は、下腹部や月経困難症、腰痛、重症な便秘をおこし、不妊症になりやすくなります。
ホルモン治療で、癒着の状態をやわあらげていきます。しかし、ほとんどは癒着の剥離をして、子宮を正常な位置へもどす手術をします。
子宮下垂・子宮脱
重症は子宮下垂から子宮脱へ
原因
子宮が骨盤の中央に位置しているのは、多くの靭帯によって支えられているからです。しかし、靭帯の機能に異常が発生すると、靭帯が伸びてきてしまいます。そのために子宮が下がってきて、膣の外へ出てしまいます。
症状
下垂の状態が軽いときはとくに症状がないのですが、重症になるにつれて脱出した性器が歩行を妨げたり、炎症をおこしたりします。また、膀胱脱や直腸脱などの合併症が発生します。
治療
ペッサリーを挿入して、下垂の進行をある程度妨げることができますが、完治するためには手術を行います。
膣の病気
膣の内側の壁は重層扁平皮細胞という厚い粘膜で保護されていて、伸縮性にも富んでいます。膣の内部はふだんは酸性ですが、その酸性度が低下したときに炎症がおこります。また、膣には自浄作用がありますが、その浄化作用が低下すると細菌が膣内で繁殖します。
トリコモナス膣炎
トリコモナスは身近にいる
原因
トリコモナスという寄生虫によっておこる病気で、感染はセックス、入浴などによるものです。
感染してから、膣内の自浄作用が低下し、4〜5日に症状があらわれます。
症状
陰部にかゆみがあり、排尿のときに痛みがあります。また、悪臭のある細かい泡のまじった淡黄色のおりものが多量にでます。
ただ、感染しても発病せず、症状がまったく出ないこともあります。
治療
投薬で症状はかんたんに消えますが、再発を防ぐために、症状が消えてからも2〜3週間は治療を続けます。
治療は、必ずパートナーと一緒に受けるようにしましょう。そうしないと、せっかく直っても、また、うつし合うことになるからです。
カンジダ膣炎
抵抗力がないとき感染しやすい
原因
カンジダ・アルビカンスというカビの感染によっておこります。
からだの抵抗力が低下している糖尿病や、妊娠中の人、抗生物質を長期間にわたって多量に使用したあとの人などがかかりやすいといわれています。
また、男性はカンジダに感染していても、かゆみなどを感じないために気づかないことが多く、そのために、知らずにセックスによって女性にうつしてしまうことがあります。
症状
カッテージチーズのような白いポロポロしたおりものが増え、外陰部が非常にかゆくなります。
治療
症状は3〜4日の投薬でほぼおさまりますが、ひじょうに再発しやすいので、最低一ヵ月は治療をつづけます。
セックスで感染する病気ですから、パートナーも、まず、感染していると考えてよいでしょう。その意味から、ぜひ、パートナーと一緒に治療をうけましょう。
非特異性膣炎
異物の置き忘れも原因のひとつ
原因、症状
妊娠した人や閉経後の人、小児など、膣の自浄作用の弱まった人に多く、雑菌の侵入や、セックスによる傷などから炎症をおこします。
悪臭のある、うみ状のおりものが増え、外陰部が赤くただれます。
また、タンポンやペッサリーなど、異物の置き忘れが原因になることもあります。
治療
原因となった雑菌がどんなものかをつきとめ、抗生物質の入った膣坐薬を入れます。また、膣の洗浄などをして膣を清潔にします。
老人性膣炎
自浄作用が低下する更年期が注意
原因、症状
閉経が近づくにつれて卵巣のはたらきが低下してくるので、卵胞ホルモンの分泌量が現象します。すると、膣内の自浄作用の低下のために雑菌に感染してしまうのです。そして、抵抗力もなくなってくるので、セックスで傷ついて炎症をおこすこともあります。
症状としては、薄いピンク色のおりものや黄色っぽいおりものが増えてきます。
治療
卵胞ホルモンの分泌量を増やせば、よくなります。
卵胞ホルモンの錠剤や坐薬で補います。
膣を清潔に保つには
外陰部にふれるときは、てをよく洗うようにする。セックスやペティングのときには、パートナーも期をつけるように
入浴のときは、外陰部をよく洗うこと。強くこすると傷ができて細菌が入りこむので注意する。せっけんでのかぶれも注意
月経のときは、ナプキンをこまめにかえて外陰部をきれいにしておくように
下着でからだをしめつけないこと。また、合成繊維でかぶれることもあるので避ける
卵巣と卵管のいろいろな病気
卵巣と卵管の炎症
卵巣炎と卵管炎
卵管炎との合併症が卵巣炎
原因
セックスや避妊器具、または出産・流産・人工妊娠中絶などのときに、原因となる淋菌・ブドウ球菌・化膿菌・結核菌などが、膣・頸管・子宮内腔を通って卵管へ入りこみ、卵管炎をおこします。卵巣へ伝わり、卵巣炎を合併することもあります。ひじょうに炎症をおこしやすい部分といえます。
症状
急性期では、38度以上の高熱と激しい下腹部痛がおこり、おう吐やおりものの増加がみられます。
慢性期では、激しい痛みはおさまりますが、卵管がまわりの組織と癒着して、狭くなってしまいます。そのために、卵管溜膿腫や卵管溜水腫をおこします。さらにひどくなると、癒着性の子宮後屈や卵管閉塞になり、月経困難症や不妊の原因となります。
治療
発病まもない急性期に治療をすることが大切です。原因菌に対して、強力な抗生物質や副腎皮質ホルモンを投与し、慢性にならないように安静にします。慢性の場合は、手術を行うこともあります。
卵巣に発生する腫瘍
卵巣にはいろいろな腫瘍ができることがありますが、大きく分けて、卵巣のう腫と充実性腫瘍のふたつに分けることができます。
卵巣腫瘍の90パーセントは卵巣のう腫で、あとの10パーセントが充実性腫瘍となります。
卵巣のう腫は、できた腫瘍によって3つに分かれ、充実性腫瘍には、良性と中性、悪性があります。
卵巣腫瘍
検診を受けて、早期発見を!
原因
はっきりした原因というのは、現代の医学ではまだつきとめることはできていません。
症状
腫瘍の大きさはさまざまですが、ほとんどの場合、こぶしぐらいの大きさになると、ようやく自覚症状といえるものがあらわれます。腰痛・腹痛をおこしたり、腹水がたまったり、貧血をおこしやすくなったりします。
しかし、それまでは症状もほとんどなく、検診を受けてたまたま発見されることが多いようです。
早期発見が、何よりの予防といえます。検診は必ず受けてください。
治療
良性腫瘍の摘出手術には、腫瘍が発生している卵巣を全部摘出するものと腫瘍だけを摘出するものとがあります。後者は、卵巣の一部が残るので、今まで通りに機能し、妊娠します。
悪性腫瘍は、両方の卵巣と子宮の摘出手術を行います。この場合は、妊娠できないからだになり、若い人は心疾患で死亡するケースもあります。
・アドバイス
卵巣は、受胎する大切な場所であるとともに、からだのなかでもっとも腫瘍のできやすい器官です。
少しでもおなかが張る・下腹部が痛いといった症状を感じたら、婦人科へ行って診療を受けるようにすることが腫瘍を早くみつける最良の方法です。
また、定期的に検診を受けていれば、早期発見・早期治療につながります。
外陰の病気と性病
外陰の病気
感染性外陰炎
清潔にするのが最善の予防方
原因 症状
局部を不潔にしたままのセックスや、オナニーでの細菌感染からおこります。
症状としては、かゆみがあり、赤くはれてきたりします。
また、膣に炎症があると、そのおりもので外陰部の炎症がおこる場合も少なくありません。ときには、慢性化することもあります。
治療
原因をみつけて適切な処置をするようにします。独自の判断と治療はかえって悪化させることがありますから、はやめに医師に相談するようにしましょう。
アレルギー性外陰炎
下着やナプキンとの摩擦が原因
原因 症状
細菌に感染したのではなく、ナイロンの下着や生理用ナプキンなどがこすれて炎症をおこすもので、かゆみがあります。
治療
かゆくてもかかないようにし、抗ヒスタミン剤などを使用すれば、1週間ほどで治ります。
外陰白癬症
水虫の原因となる菌でおこる
原因 症状
手や足にできる水虫の原因である、白癬菌というかびの一種が、陰部に発生してかゆみをおこす病気です。茶褐色の湿疹が陰部全体に広がり、湿疹の周囲は白っぽくなります。
治療
この菌は湿っぽいところに発生しやすいので、通気性の悪いナイロンのストッキングや下着は避けたほうがいいでしょう。そして、白癬治療剤などをくりかえし塗ってください。
外陰部は、せいけつにしていても多少の汚れは残るものですが、炎症をおこさないために、セックスのあとや月経のときの手入れが大切です。これは、性病の予防にもなります。
外陰の病気の治療タブー
自己判断はダメ!すぐ病院へ
通気性のわるい下着はダメ!
不潔なままにしておっくのはダメ!
・アドバイス
外陰部は不衛生にしておくのが、病気を引き起こす一番の原因です。とくに女性は、月経のときの手当てをきちんとしておかないと、すぐに感染してしまいます。
性病は、セックスでうつるものですから、自分が注意していてもパートナーが病気ならたいへんです。お互いにからだのチェックをしましょう。
外陰掻痒症
いろいろな原因が考えられる
原因 症状
大陰唇や小陰唇がひじょうにかゆくなる病気です。なかなかやっかいな病気で、かいてもかいてもおさまらないという症状がでます。原因は陰部の不潔さもありますが、からだの内部の病気が起因している場合もあります。たとえば、アレルギー症・糖尿病・肝機能障害・ホルモンのアンバランスなどです。
そのほかに、カンジダ症・トリコモナス症・毛じらみ・ぎょう虫、あるいは下着の摩擦などがあります。また、これらの原因がなくておこる場合は、精神的な要因があるのではないかといわれています。
治療
まず外陰部を清潔にして1週間ぐらいようすをみます。それでもかゆみがおさまらないようなら、医師に相談しましょう。
バルトリン腺炎
原因 症状
性的衝動がおきると、膣の両脇にある分泌腺から透明な分泌液が出て、セックスの補助の役割をします。しかし、セックスのときに不潔な手で触れたり、細菌が入ったりすると、バリトリン腺が炎症をおこしてはれます。
治療
抗生物質を塗りますが、ひどいときは切開してうみを出します。
外陰萎縮症
更年期以後の女性に多い
原因 症状
原因は不明ですが、卵巣の機能低下と関係があるようです。若い人には少なく、更年期以降の女性に多くみられます。かゆみがあり、熱っぽい感じもあります。外陰部全体が城っぽくなり、この状態が進むと、外陰部が萎縮して、さらに膣も萎縮するため、セックスを行うことは不可能になります。
治療
やっかいなのは、この病気がガンに発展しやすいということです。早いうちに適切な治療が必要ですから、それらしい治療しましょう。注意したいのは、かゆみに気をとられて、市販のかゆみ止めを塗ってしまうことです。だいじに至らないうちに、医師の診断を受けましょう。
毛根炎
清潔にして治療をつづける
原因 症状
これは、陰毛の毛根から細菌が入っておこる病気です。毛根部分が赤くはれて、ヒリヒリと痛くなります。
治療
抗生物質を使うとだんだんよくなります。
ベーチュット病
原因が不明で完治はむづかしい
原因 症状
口の内部に口内炎ができてなかなか治らず、同時に外陰部にも潰瘍ができている場合は、ベーチュットびょうの疑いがあります。
難病といわれ、原因はまだわかっていません。それほど多い病気ではありませんが、20〜30歳代の女性におこることが多いようです。
治療
現代の医学では、まだ治すことはできませんが、症状を軽くすることはできます。症状に思いあたることがあったら、医師に相談してみることです。
アフタ性潰瘍と急性外陰潰瘍
原因 症状
アフタ性潰瘍は、口内炎とよく似た潰瘍が小陰唇の内側にでき、激しく痛みます。原因はよくわかっていませんが、からだの抵抗力が弱くなっているときにおこりやすいようです。
アフタ性潰瘍がひどくなると、急性外陰潰瘍になり、大陰唇から小陰唇の内側、前庭粘膜にまで多くの潰瘍ができ、熱がでます。
治療
十分な睡眠と、バランスのとれた食事をたっぷりととり、たいりょくを回復させます。
同時に清潔にして副腎皮質ステロイド薬、抗生物質などを塗ります。3日〜2週間ぐらいで治りますが、再発しやすいので気をつけます。
性病
性病はなかなか人に相談しにくいものですが、ほうっておくとびょ気はどんどん進行していきます。恥ずかしいなどと思わずに、思い切って病院に行くましょう。早めに治してしまえば治療は楽ですし、不安がなくなれば気分もすっきりします。
性病を発見したときは医師はその地域の保健所に必ず届けることが義務づけられています。
梅毒
ほっておくと脳が侵される
原因
「スピロヘータ」と呼ばれていた病原体によっておこる性病のひとつで、いまでは「トレポネーマ・パリズム」と呼ばれています。
症状
全体で第1期〜第3期に分かれています。第1期の症状は「トレポナーネ」の入りこんだ場所に2〜3週間後に大豆ほどの固いしこりと潰瘍ができます。次に、大腿部のつけ根のリンパ腺がはれてきます。
この症状は自然に消え、感染後2〜3カ月たつと全身に赤い発疹が出てきます。この時期が第2期です。陰部には返杯コンジロームというただれたしこりが出たり消えたりします。この時期は伝染力が強く、危険なときです。
第3期になると、からだ内部の各所にゴム腫というしこりができます。さらに経過すると、目に見えなくなる、心臓がわるくなる、脊髄が冒されるといった晩期梅毒の症状があらわれます。ついには脳が侵されて人格が変わり、発狂して廃人となってしまいます。
また、必ず初期の症状が出るとは限らず、第2期、第3期の症状が突然あらわれて急速に進行することもあり、梅毒の怖さを思い知らされます。検査をしても、感染後4〜7週間たたないと、感染しているかどうかはわかりません。梅毒に感染した女性が妊娠した場合、妊娠4ヶ月以前に治療をすれば問題はないのですが、感染していると、先天性梅毒児を出産する恐れがあります。
治療
抗生物質の大量投与か、筋肉注射によって治療します。
軟性下疳
海外旅行がもたらした性病
原因
日本ではあまりみられない病気でしたが、これも海外旅行ブームのおかげで日本にも上陸してきました。軟性下疳(デュクレー菌)が感染しておこります。
症状
感染後2〜3日して、外陰に赤く小さい発疹ができます。やわらかくて痛みのあるのが特徴で、それが化膿してつぶれ、潰瘍ができます。
治療
サルファ剤の投与で治療できます。
予防法としては、セックスの際にコンドームを使用することと、海外での不潔なセックスを避けることがあげられます。
淋病
外へ外へと広がっていく
原因 症状
セックスによって淋菌が感染しておこる病気です。淋菌の影響力は弱いものだと思われていましたが、最近では、意外に強いことがわかってきました。
抗生物質の登場により一時的に少なくなりましたが、海外旅行が増えるにつれ、また増加する傾向にあります。
感染のあと、2〜8日の潜伏期間を経て、尿道口のあたりが赤くはれてむずがゆくなり、黄緑色のうみが出ます。また、排尿時に激しい痛みがあります。
この病気の怖いところは、尿道炎から膀胱炎、頸肝炎から子宮内膜炎、卵管炎へと広がっていくことです。また、完治したあとも、不妊の原因になることがあります。
治療
抗生物質の投与か注射を行います。
治りにくいので、完治するまで根気よく治療しましょう。
治療は必ずパートナーとふたりで受けます。かたほうが治療しても、もういっぽうが治療をしなければ、再発をくりかえすだけになってしまいます。
第4性病
性器が変形することがある
原因
そけいリンパ肉芽腫とも呼ばれ、現在ではあまりみられない病気です。病原体は、宮川小体と呼ばれるウイルスの一種です。
症状 治療
セックス後1〜4週間でそけい部に発疹ができ、発熱したり痛みを感じたりします。膣と直腸に通じる穴があき、性器の形が変わってしまうことになります。治療には、やはり抗生物質が効果があります。
STD(性行為感染症)
クラミジア感染症
発生しやすく治りにくい
原因 症状
トラコーマ結膜炎と同じ病原体によっておこる病気です。淋病よりも発生率が高く、そのうえ治りにくいため世界中に広がり、問題になっています。
男性の場合は排尿のときに不快感があり、灰白色の分泌物が出たり、尿道内がむずがゆくなったりしますが、女性はにおいや色のないおりものが少し増えるだけなので、気づかないままのことが多い病気です。
妊婦がかかった場合には、新生児が結膜炎や肺炎になることがあるので注意が必要です。
治療
抗生物質を最低でも3週間は服用しつづけます。
ヘルペス感染症
完治するのはむずかしい
原因 症状
セックスによるヘルペス・ウイルスの感染で、まず10個ぐらいの小さな水泡が外陰部や膣にできます。それが破れて潰瘍ができ、うすい皮がついた状態になります。からだの調子がわるいときにかかりやすく、歩くだけでも激しく痛みます。再発もしやすいので、注意が必要です。
治療
完全に治す方法はありませんが、抗生物質や副腎皮質ステロイド薬で症状をおさえることはできます。
妊婦が感染した場合には、新生児に感染してヘルペス脳炎やヘルペス感染症をおこし、ひどいときは死亡することもあります。
尖形コンジローム
とがった形の腫瘍は良性である
原因 症状
ウイルスの感染によっておこる病気のひとつです。外陰部に、先端がとがった小さいイボほような腫瘍ができるのが特徴です。かゆみと発熱があり、症状が進むと悪臭を放ちます。感染するのはセックスのときが多く、またはウイルスやおりものによって人にうつる場合もあります。また、淋病が原因していることもあります。
治療
電気焼灼などで、腫瘍を取り除きます。再発することがあるので、清潔をこころがけます。ただし、ガンとは別物で良性の腫瘍ですから、心配はいりません。
エイズ
別名は後天性免疫不全症候群
原因 症状
ヒト免疫不全ウイルス(HIVウイルス)が、おもに血液と精液を媒介にして感染するものです。ふつう、2〜5年ぐらいの潜伏期間を経て発病します。発病すると、病気に対する抵抗力がなくなり、カポジ肉腫という皮膚ガンや、カリニ原虫による肺炎を併発する割合が極めて高くなります。
治療
世界中で研究が進められていますが、確かな治療法は、いまのところありません。
当初は、同性愛者同士のセックスによる感染が原因とされ、次いで輸血と血液製剤による感染が、とくに日本では問題になりました。しかし、最近では異性間のセックスによる感染も急激に増え始めました。
妊婦がエイズに感染した場合には、胎児も母親から直接感染してしまう可能性がたいへん高いのです。
エイズのいろいろQ&A
Q1外見でエイズに感染していることがわかりますか
A エイズに感染しても、症状がでるまでに10年以上かかることもあります。その間は健康そのもので、本人もエイズに感染していると気づかない場合があるのです。したがって、外見だけでエイズに感染したかどうか見分けることは不可能です。きちんと検査を受けてわかるものです。
Q2ピアスや針治療で、感染することがありますか?
Aピアス・針治療・入れ墨などで皮膚に傷をつけるのは、使う器具がきちんと消毒していれば、安全です。このことは、エイズだけに限らず、いろいろな種類の雑菌からの感染を防ぐことでもいえるのです。使う器具がしっかり消毒されているかどうか確かめることを心がけます。
Q3病院でする注射で、感染する危険性はありますか?
A病院で使う注射器のほとんどは、使い捨てのものですから、1度使ったらすぐに捨ててしまうので、感染する危険はありません。ただし、海外へ行って(とくに小さな病院で)注射を受けるようなことになったら、きちんと消毒されているかどうか、たずねてみましょう。
Q4妊娠している母親から体内の赤ちゃんへ感染するのですか?
A母親がエイズ感染者であれば、その胎児が感染する可能性はあります。エイズのウイルスが胎盤を通って、胎児へ感染することを胎内感染といいます。また、出産のときに通る産道内で血液から感染することもあります。感染者で子供を望む人は、医師に相談する必要があります。
Q5母乳のなかにもエイズウイルスは入り込むのですか?
A母乳のなかからエイズウイルスが発見されているので、母子感染のひとつということが明らかになりました。母乳は乳児にとってすばらしい栄養源ですが、母親が感染者ならば、人口ミルクを使うようにしましょう。授乳のときには、器具の消毒に十分気をつけたいものです。
Q6プールや温泉などで感染することがありますか?
Aエイズウイルスは、空気・洗剤・熱・塩素に接触するとすぐに死んでしまう、ひじょうにもろいものです。ですから、日常の生活のなかで触れるもののほとんどは安全です。くしゃみやせき、握手などからだとからだの接触でも感染することはありえません。
Q7キスでの感染はだいじょうぶですか?
Aあいさつ程度のほおやくちびるにするソフト・キスは安全ですが、唾液のなかからもウイルスが発見されているので、ディープ・キスには危険があります。しかし、唾液のなかのウイルスの量はわずかなので、感染する可能性もかなり低いもので、感染はあまりみられないようです。
Q8エイズ検査は、どこで受けられますか?
A全国の保健所や病院で受けられます。検査は仮名で受けられ、個人的なことは聞かれません。費用は約1600円です。場所によって検査日が決まっているので、前もって調べておく必要があります。病院では、実名で受けつけねばならない場合もあります。また、費用も高くなります。
乳房のいろいろな病気
乳首の異常
女性のふっくらとしたからだを象徴する乳房。出産にとっても、大役を果たす機能をもっています。それだけに、ちょっとした異常もみのがさないようにしたいものです。
陥没乳頭と偏平乳頭
授乳ができるように治す
乳首が内側にへこんだ状態を陥没乳頭、偏平なものを偏平乳頭といいます。ふだんは別にさしつかえないのですが、出産して授乳するときに困ることになります。このような人は、妊娠中から乳房のマッサージを行います。お風呂に入ったときの肌のやわらかいときに、乳首を引き出すようにすると、しだいに効果があらわれてきます。
こうした授乳を矯正する方法に、プレスとシードという器具をもちるのものあります。しかし、状態がひどいときは、形成手術が必要ですから、妊娠した時点で医師に相談しておくといいでしょう。
乳首を引き出す入浴法
皮膚がやわらかくなっているときに、乳首を引き出す。
乳頭亀裂
ひどくなるまえの治療が大切
乳首になんらかの傷があると、そこに雑菌が入りこみ、乳腺炎になることがあります。亀裂があって痛んだりする場合は、早めに医師の診断を受けてください。
・アドバイス
赤ちゃんには母乳がいちばんですが、乳頭に傷ができていたり、形がわるかったりすると母乳を与えることはできません。
母乳を与えることによる母子のコミュニケーションは、ミルクでは得られません。
乳首の状態がひどいときは、手術をすることを恐れないでください。
乳房の内部の異常
産褥性乳腺炎
乳頭の傷からの感染を防ぐ
原因 症状
これは、出産後10〜15日ごろにおこり、一般的に初産婦に多いようです。
授乳中にできた乳頭の亀裂に、黄色ブドウ球菌が感染することによっておこるものです。
症状としては、乳房がひじょうに痛み、高い熱が出ます。そのままにしておくと、乳房内に腫瘍ができます。
治療
早いうちに医師の診断が必要です。抗生物質を多量に投与して、乳汁を吸引します。炎症がつづく間は、乳児に影響をもたらすので、授乳はひかえます。
うっ滞性乳腺炎
乳汁の出がわるいのが原因
原因 症状
出産から2〜4日したころに、乳汁が乳腺にたまりすぎて乳房がはれ、痛むものです。
治療
授乳や搾乳でたまった乳汁を出し、冷たい湿布をします。
乳管乳頭腫
乳頭を清潔にすることが予防
原因 症状
40〜50歳代の出産経験のない女性に比較的多くみられる病気で、乳頭の下の太い乳管に腫瘤ができ、血性の分泌物が出ます。
治療
良性と悪性の場合があり、良性のときには腫瘤だけを切除します。
乳腺線維腺腫
一番発生しやすい良性腫瘍
原因 症状
乳房に、コリコリしたピンポン玉ぐらいの腫瘤ができます。さわるとよく動き、痛みはありません。
良性の腫瘍で、20〜30歳代に多く発生します。
治療
急に大きくなるとき以外、切除の必要はありません。
巨大線維腺腫
大きい腫瘤は良性なので安心
原因 症状
良性で、球状か葉状の大きな腫瘤が乳房にできます。腫瘤はやわらかく、弾力があります。
手術
手術で腫瘤を摘出します。
乳腺症
ガンとの併発・移行には注意
原因
卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスがくずれ、乳房分泌組織が増殖をしておこるのではないかといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。出産経験がない、月経周期が不規則、無排卵性周期である、などの女性の多く発生します。
症状
乳房に、形のはっきりしない大小さまざまなしこりができます。月経前になると、乳房がはり、鈍い痛みがあります。また、透明な分泌物や血性の分泌物が乳頭から出ることもあります。
乳腺症は、ガンと併発している場合が50%、最初は併発していなくてもガンに移行する場合が10パーセントの確率でありますから、乳腺症と診断されたら、そのあと定期的に3〜6ヶ月に1回は、検診を受けます。
治療
治療は年齢や症状によってちがいます。ただ、痛みが強いときには男性ホルモンや黄体ホルモンの投与を行います。
泌尿器のいろいろな病気
女性は尿道が短いため、尿路の病気に悩む人が多いのですが、そのほどんどは、清潔にすることで防げるものです。正しい知識を身につけて、病気の予防に役立ててください。
尿路感染症
尿路とは、その字の通り、尿がつくられ排泄される道筋のことです。
まず、からだ中をめぐり汚れた血液が腎臓でろ過されて尿がつくられます。つくられた尿は腎臓の中の腎盂に集められ、そこから尿管を経て膀胱に流れ込みます。流れ込んだ尿が膀胱にある程度以上たまると、尿道を経て尿道口より排泄されるのです。
腎臓は、上腹部の背骨の左右に1個ずつあり、そらまめのような形をしています。それぞれの腎臓と膀胱をつなぐ尿管の長さは約30センチです。
膀胱は子宮と恥骨の間にあり、個人差はありますが、平均して570ccの尿をためることができます。妊娠したときに排尿の回数がふえるのはこの場所のせいで、ふくらんだ子宮に膀胱が圧迫されるからなのです。
女性の尿道は男性にくらべて短く、約4センチほどしかありません。そのうえ、尿道口の近くに、膣や肛門といった分泌物を排泄する器官があります。そのため、尿道口から尿道を伝わって最近が入りやすく、膀胱炎や腎盂炎などの尿路感染症をおこしやすい状態にあります。
局部の清潔が徹底しない子供には、とくにおこりやすい病気なので、家族の気配りが必要です。また、思春期以降は、不潔なセックスなどが原因で尿路感染症をおこすことがあります。
尿路感染症をおこすおもな菌は、大腸菌・連鎖球菌・ブドウ球菌などです。
膀胱炎
慢性化しないうちに治療する
原因 症状
膀胱炎とは、尿道口から大腸菌などが入り、これが膀胱に至って広がり、膀胱に炎症をおこすことをいいます。
排尿のときに頭の芯まで走るような痛みを感じたり、排尿のあともまたすぐトイレにいきたくなるような残尿感があります。
また、下腹部の痛みがあり、血尿が出たりします。
命にかかわる病気ではありませんが、ほうっておくと慢性になり、たびたび発病することになります。
おりものが多いときは、膣から尿道口へ細菌が入り込みやすくなりますから、膣に炎症を起こしている人は、必ず医師にかかり治療してもらいましょう。
また、セックスのあとなどは細菌が尿道口から入りやすくなっていますから、男性側の手や性器なども清潔にするようにします。
それから、排尿をこらえすぎるのもよくありません。尿意を感じたら、がまんせずにトイレへ行くようにしないと、ますますひどくなってしまいます。
治療
検査で原因となる細菌は何かを見つけ出し、その細菌にきく抗生物質を投与します。必ず完全に細菌がいなくなるまで治療をつづけます。最低でも、1週間はみておきましょう。
・アドバイス
泌尿器の病気は、場所が場所だけに異常があっても誰にも相談できず、ひとりで悩んでいる人が多いようです。その結果、病気がひどくなったり慢性化したりしてしまいます。
そうなるまえに、なるべく早く医師の診断を受けることです。痛みやかゆみをがまんせず、適切な処置ですっきりと治しましょう。
尿道炎
膀胱炎を併発するときもある
原因
尿道炎の原因は、淋菌やトリコモナスによるものが多いようですが、最近ではこれら以外の病原菌で、とくにクラミジア・トラクマチスによるものが多いといわれています。
症状
排尿時にするどい痛みがあり、血尿が出ます。細菌が膀胱に侵入すると膀胱炎にもなりやすいので、早めの治療が必要です。
治療
原因となっている菌に効果のある抗生物質を投与します。
腎盂炎
背中やわき腹に痛みが生じる
原因 症状
炎症が膀胱から上に昇ってきて、腎臓の腎盂にまで広がった症状をいいます。
急性の腎盂炎にかかると、39度以上の高熱が出てだるくなり、それにともなって血尿も出るようになります。背中や腰、わき腹などが痛みます。じっとしていられないぐらい痛むようでしたら、入院して治療する必要があります。
治療
原因となっている菌に効果のある抗生物質の投与を行います。
そのほかの泌尿器の異常
尿失禁
くしゃみをしただけで尿がもれる
原因 症状
膀胱は一定量の尿がためられるようにできていますが、膀胱括約筋が弱くなったりして、少量の尿をもらしてしまうことを尿失禁といいます。
また、女性に多いストレス性の尿失禁もあり、せき、くしゃみ、または大きい声で笑ったりしたとき、重いものを持ち上げたり、走ったりしたときなど腹圧がかかっただけで尿のもれることがあります。これをストレス・インコンチネンといいます。
原因は、女性の尿道が男性の尿道よりはるかに短いため、もともともらしやすいこと、さらに妊娠・出産・または老化のために膀胱括約筋が弱くなることがあげられます。
治療
こうした症状は、骨盤内の筋肉の収縮を強くする体操を行うだけである程度緩和されますが、ひどい場合は外科的手術が必要になります。
女性特有のいろいろなガン
女性のからだは、子供を産み育てる機能をもっているため、男性にくらべてとても複雑な構造になっています。とくに、性器と乳房は複雑になったぶん、異常がおこりやすいのです。
子宮と卵巣に発生するガン
子宮頚ガン
自覚症状がないので検診を
原因 症状
子宮ガンは、発生場所によって子宮頸ガンと子宮体ガンに分けられます。とくに子宮頸ガンは発生率が高く、全体の90%といわれています。
子宮頸ガンができる場所は、子宮の入口の部分にあたります。ガンはこの部分にある偏平上皮から発生します。原因はまだわかっていませんが、間接的に関係のありそうなものをあげてみると、セックス・妊娠・分娩などによる刺激、多産、包茎の夫をもつ人、初めての性交の年齢が低い人、多数のセックスパートナーをもっている人、ホルモンの分泌の異常、梅毒、炎症などが、ガンを誘発するといわれています。
また、発生する年代は、40代・30代・50代・60代の順になっています。
症状がかなり進むまで、自覚症状はありません。
治療
進行の度合いによって治療法は違います。
初期のものならほぼ治すことができますが、子宮頸ガンは自覚症状がほどんどないので、早期発見のポイントは定期健診しかありません。少なくとも年1回は検診をうけましょう。
子宮体ガン
出産未経験の女性に多い
原因 症状
子宮体ガンは発生率は日本では比較的少なく、全体の10%です。しかし、近年は生活様式が欧米化してきたせいか、子宮体ガンも増えつつあります。
発生しやすい年代は、50〜60歳代に多く、閉経後の人に多くみられます。発生の原因はわかっていませんが、卵胞ホルモンの過剰が影響するといわれています。子宮体ガンは、子宮内膜のポリープや子宮筋腫、卵巣腫瘍と合併することもあるといわれています。子宮頸ガンが経産婦に多いのにくらべ、子宮体ガンは出産経験のない女性に多いようです。
体質的にかかりやすい人は、太っている人、高血圧の人、糖尿病の人などがあげられます。
症状には血性のおりものや不正出血があります。
治療
進行の度合いによります。原則として、子宮の全摘除を行います。
絨毛ガン
死亡率は低下してきている
原因
原因は、まだはっきりとはわかっていません。
胎児の成分である絨毛が異常に増殖する悪性の腫瘍です。妊婦や流産のあとに発生する事が多く、とくに胞状奇胎という異常妊娠のあとでは1〜3%という確率で発生します。
症状
分娩や流産のあとに不正出血がつづき、血のまじったおりものが増えます。
腫瘍細胞は血管を通して転移し、肺に転移すればせき・かっ血・胸痛・脳に転移すれば頭痛・おう吐・膣や外陰部に転移すれば強い出血をおこします。
治療
強力な化学療法を行った後、子宮を全摘出します。そのあとも化学療法をつづけます。
卵巣ガン
症状もなく転移が早い
原因
卵巣ガンの発生する年代は幅が広く、少女から高年齢にまでおよびます。
また卵巣ガンは未婚の女性や出産の経験のない人におこりやすいともいわれています。食べ物では、肉料理を好む人に多いともいわれています。一般的にみて、豊かな国の女性に多く、日本でも10万人に2から3人ぐらいの割合でかかっています。
症状
自覚症状がまったくないので、早期発見は困難です。
転移するのが早く、卵管・膣・子宮へと周囲に広がります。
治療
両側の卵巣の摘出、あわせて化学治療を行います。
外陰と膣に発生するガン
外陰ガン
外陰の病気から発生しやすい
原因 症状
原因は不明で、高年齢者に多く発生します。ベーチェット病・外陰萎縮症から発病することもあります。
初期には、外陰部の小さなしこりのほかにこれといった自覚症状はありません。症状が進むと、しこりが大きくなり、リンパ腺がはれてきます。
治療
程度によって、小範囲の外陰摘出か、そけい部のリンパ腺も含めた広い範囲の外陰を摘出します。
膣ガン
発生率はひじょうに低い
原因 症状
高年齢の経産婦に発生するガンです。これも初期症状はなく、進行するにつれてセックスのあとに出血したり、においのあるおりものが増えたりします。また、排尿障害や血のまじったおりものもみられるようになります。
治療
ガンの発生した場所によって、膣口の付近なら外陰の摘出、膣の上部なら子宮の全摘出を行います。
乳房に発生するガン
乳ガン
自分で早期発見できる
原因 症状
最近乳がんの死亡率が上昇しているという傾向があります。原因はわかりませんが、統計的には次のような人がなりやすいといわれています。
1未婚者
2出産経験のない人
3母乳を与えなかった人
4高齢出産の人
しかし、これはあくまでも統計的なことで、出産回数も多く、母乳で育てたにもかかわらず、乳ガンにかかる人もいます。
やはり豊かな国に多く、脂肪分を多くとることが発生率に関係があるといわれています。
診断のめやすはしこりです。皮膚のすぐ裏側に、コリコリしたでこぼこのしこりができます。自己診断の方法もありますから、自分で乳房に触れてみて発見することもあります。
乳房は女性の命です。乳がんの診断は手軽にできますから、入浴後など定期的に、イラストのような方法でさわってみてください。
しこりをみつけたら、どんなに小さいものでも、すぐに医師に診断してもらいましょう。乳がんの専門医は婦人科ではなく、外科です。
治療
乳房の切断と、大胸筋やその付近の組織・脂肪・リンパ節の切除を行います。最近では、なるべく切除する部分を小さくする手術も行われるようになりました。
乳がんはこうしてみつける
@鏡のまえでうでを上げて、乳房を観察する
A両手を腰に置いて、乳房を観察する
Bあおむけに寝て、チェックする乳房側のうでを上げて、反対側の手の指をそろえて乳房の外側を上から下へと、しこりがないかさわってみる
Cうでを下げて、下から上へと同じようにさわってみる
Dわきの下をさわって、しこりがないかチェックする
<観察するポイント>
・左右の乳頭の位置がずれていないか
・皮ふの色が変わっていたり、湿疹などがあるか
・乳房が陥没・変形していないか
・乳房にくぼんでいるところがあるか
こころが原因になるいろいろな病気
こころに深い傷を負ったり、深く思い悩んだりすると、からだにも異常が出てきます。そうなったときに、からだの症状にばかり気をとられず、原因となったこころの問題に目を向けることが大切です。
心身症とは、心理的・精神的な原因からおこるからだの病気の総称です。
人間のこころとからだは密接に関連しあっていますから、精神的なストレスを長い間受け続けたり、あまりにも深く思い悩みすぎたりすると、からだのほうも調子がくるってしまうのです。からだのどこがどのようにわるくなるかは、人によってさまざまですが、あらわれた症状に対していくら治療を行っても、原因となった心理的な要因が解決しないかぎり完治することはありません。
原因 症状
一般に、拒食症とも呼ばれ10〜20代の女性に多発している病気です。
原因として、まずあげられるものは太ることへの強い恐怖心です。太っていることはわるいことと決めつけ、ダイエットをするうちに、自分のかただについている、ほんの少しの脂肪もゆるせなくなります。このため、身長や体質に見合った体重以下になっても無理なダイエットをつづけ、ついには食べ物を受けつけなくなってしまいます。
そうなってしまうまでにも、必要な栄養を十分にとりませんから、からだが衰弱し、下痢や便秘をくりかえし、月経も止まってしまいます。
また、大人になりたくないという気持ちや、家族、とくに母親への拒絶心から、女らしい丸みをおびた体つきになることを恐れ、この病気になることもあります。
太っていることをわるいことと思いこむ風潮からは、太った自分はみじめだから、それを慰めるために食べてまた太るという悪循環をくりかえす、過食症という病気もおこります。これは、心臓病や高血圧、動脈硬化、糖尿病、腎臓病などの原因にもなります。
最近では、大量に食べて無理に吐くことをくりかえし、理想の体重をキープしようとする摂食障害も問題となっています。これは、最初のうちは太りすぎややせすぎといった異常が認められないため、まわりの人もなかなかきづきません。しかし、そのうち栄養不良から顔色がわるくなり、拒食症へと移行していくことも多いといわれています。
治療
本人に自覚のないことが多いので、自分の状態を正しく理解させることが、治療の第一歩です。精神科の医師やケースワーカーに相談し、家族が協力して、原因となった悩みや太ることへの偏見をあらためます。
食事の必要性を理解させ、少しずつ食事量を増やしていきます。
過呼吸症候群
若い女性に多くみられる
原因 症状
不安がひじょうに強いときや興奮したときなどに、速く、深い呼吸をこりかえすことから、肺や血中の二酸化炭素が排泄されすぎるのが原因です。口のまわりや手の指先のマヒ・けいれん、めまいなどがおこり、息ができなくなるほど心臓がドキドキします。
治療
あせって速く呼吸をしようとするとますますひどくなりますから、まずは落ち着いて、袋をかぶるか両手で口と鼻をおおうなどして、数分間呼吸をします。医師の指導のもとに、特殊な気体を吸入させる方法もあります。
思春期心身症
悩みを解決することが治療
原因 症状
思春期はこころもからだも不安定になり、とくにこころは敏感になってバランスを失いやすいものです。
この時期に、悩みやストレスが原因になっておこる病気を総称して思春期心身症と呼びます。
先にあげた神経性食欲不振症や過呼吸症候群のほか、胃液が胃や十二指腸の壁をとかしてしまう胃・十二指腸潰瘍や、便秘と激しい下痢をくりかえす過敏性大腸症候群、べつに心臓がわるいわけでなないのに心臓病とよく似た発作のおこる心臓神経症などが、そのおもなものです。
治療
なるべく早くに、原因となった不安や悩みをとりのぞくことです。そのうえで症状に合せた治療を行います。病院によっては、思春期の女性を専門に診察してくれる「思春期外来」を設けているところもあります。症状に思いあたることがあれば、早めに医師やケースワーカーに相談してください。
そのほかのこころが原因になる病気
自律神経失調症
ストレス解消が予防策になる
原因 症状
内臓や分泌腺などのはたらきをつかさどる自律神経が不安定になり、頭痛・めまい・息切れ・動悸・胸痛・手足の冷えやしびれ・汗の出方の異常・不眠・疲労感・便秘・下痢・食欲不振など、さまざまな症状がおこります。
女性におこる確率は男性の倍で、ホルモンのバランスが不安定になる思春期と更年期に発病することが多い病気です。
また、こころに強いショックを受けたり、ストレスをうけつづけたりすることでおこることもあります。
治療
まず、症状の出ている内臓や器官にわるいところがあるわけでないことを理解し、どんな病気なのか、納得がいくまで医師と話し合います。
そのうえで、自律訓練法や暗示療法、催眠療法などにより、こころとからだをコントロールする方法を身につけていきます。また、スポーツや趣味でストレスを解消し、規則正しい生活を送ることも、自律神経の安定に効果があります。
神経症
小さなことにきにしすぎないで!
原因 症状
神経症は、心身症と同じく、こころに原因があってからだにいろいろな症状が出る病気です。ただし、検査をしてもからだには異常のないことが多いのが特徴です。
不安を感じるあまりに動悸や呼吸困難・ふるえ・のぼせ・手足の硬直といった症状の出る不安神経症や、何かひとつのもの、たとえば汚れがとにかく怖くなり、人のさわったものや電車のつり革を直接さわることができなくなる恐怖症などがあります。
また、自分でもばかばかしいと思いながら、まるで人から脅迫されているかのように、何かひとつのことにこだわってしまう強迫神経症というのもあります。
これらは、もともと神経質で完全主義の気がある人がなりやすく、まわりのちょっとした変化をきっかけにおこることが多いようです。
治療
催眠・暗示・説得・訓練といった精神療法を、状態に合わせて行います。
※こころの病気の原因は?
仮面うつ病
更年期を迎えたころが多い
原因 症状
うつ病がもととなって内蔵のはたらきが低下し、全身がだるい・食欲がない・眠れない・頭が重い・肩がこる・胃腸障害・動悸などの症状があらわれます。
20歳ごろの発病が多いのですが、女性の場合は更年期のころにも多くあらわれます。うつ病の原因は、まだ解明されていません。
治療
抗うつ剤の投与で治すことができます。思いあたることがあれば、悩まず精神科の医師に相談してみましょう。
更年期のいろいろな障害
むかしは、更年期というと人生の終わりに近かったのですが、寿命がのびたことでライフ・サイクルも変化してきます。まだまだ人生の半ば、気に病まずに楽しくのりきりましょう。
更年期障害はこうしておこる
40歳からのからだの変化
女性のからだは、平均して45歳ぐらいから卵巣のホルモン生産能力が低くなっていき、やがて停止して閉経します。その過程でホルモンのバランスが乱れ、月経が不順になり、それにともなって、からだのあちこちにいろいろな障害が出てきます。
この障害を、更年期障害といいます。
ただ、月経が終わるころにからだやこころに不調があると、すぐ更年期障害と結びつける人がいますが、それは、あやまりです。気になる症状があるならば、早めに受診を受けましょう。
更年期にも個人差がある
更年期障害には個人差もありますが、なんの症状もないという人もたまにいるのです。
また、その逆に長い時期を更年期障害に悩まされる人もいます。
このように個人差が大きいのは、遺伝や体質もありますが、人によって生活の条件が違うからです。栄養状態の格差や運動量のちたい、また、家のなかにずっといる人、仕事や趣味などで外に出ることが多い人でも、ちがってきます。
更年期の時期にも個人差があり、一般的に初潮の遅かった人や、月経が不純だったという人は更年期に入るのが早いようです。
平均的にいうと、閉経は48〜52歳ぐらいの間です。そのまえに卵巣ホルモン、黄体ホルモン、下垂体からのホルモンのバランスが乱れ、月経が不調になってきます。
閉経するまでに月経の周期が10日間になったり2ヶ月もこなかったりします。
更年期障害の症状と対策
どんな症状が出る?
更年期の障害には、おもに次のようなものがあります。
1 微熱がある
これはよく、ほてるという表現でいわれている症状で、急に暑く感じたりすることをいいます。
2 寒気がする
その逆に、急に手足が冷えてきたり、背中がぞくぞくしてきたりする状態をいいます。
3 のぼせる
ほてるのとよく似ていますが、この場合は顔だけが紅潮して、首筋から汗が出てきます。
4 心悸亢進
これも本当に心臓が悪いわけではないのに、動機がするように感じられることです。
5 頭痛・めまい・耳鳴り・不眠・気分の不安定など
これらの症状も病気とかかわらず出てきます。
6 肩こり・頭痛・筋肉痛・関節痛
7 食欲不振・おう吐感・腹部膨張感・下痢・便秘といった消化器系統の不快感
8 しびれ・知覚過敏・掻痒感といった知覚神経系統の異常感
9 頻尿・残尿感・尿漏れなどの泌尿器関係の症状
ただ、これらの症状がすべて一緒に出るわけではなく、人によって2〜3の症状が同時に出たり、かわるがわるあらわれたりします。
また、病人が訴える苦痛には、からだにわるいところがあって訴えるのと、ひとつもわるいところがないのに訴える苦痛があります。更年期障害は、この後者にあたる場合が多く、検査をしても異常のないことが多いようです。
こんな人は強く症状が出やすい
一般に、依存症の強い人、情緒が不安定な人、内向的な人は障害がひどくなるといわれています。
これは、更年期障害の原因がからだの機能によるものだけでなく、若さが失われること、これから老いていくことへの不安や恐れなど、精神的なものからおこることも多いからです。ですからいつも身のまわりのことにしか関心のない人や、自分中心に物事を考えてしまう人は、必要以上に症状について悩み、障害を重く感じてしまうようです。
また、もともと自律神経の機能が不安定な人は、症状が重くなりがちです。
・アドバイス
更年期の障害は、気の持ち方ひとつで重くも軽くもなります。症状がひどいからといって気にしすぎると、ますます重くなってしまい、それをまた気にするというふうに、悪循環になってしまいます。
目先の痛みや悩みにとらわれず、物事のよいほうの面をみて明るくすごしましょう。
更年期を楽にのりきるには
日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合には、医師の指導のもとに精神安定剤やホルモン剤を用います。
その場合でも、更年期障害は誰にでもおこる現象なのだから、気にしすぎるのはよくないと考えてください。
医師にかかるほでではないのなら、自分だけが苦しいと思わず、障害が出てくることを、更年期への理解を深めたうえで素直に受け止めようとすれば、さほど気にならず通りすぎるものです。
自分はもう女でなくなるという意識を強く持ちすぎるのも、更年期障害を重くする原因のひとつです。そして、そういう節目を深く考えすぎることが「うつ」になってあらわれるのです。
しかし、閉経してから貧血がなくなって元気になった人もいます。旅行に行くのにも月経を気にしなくてもいいという考え方もそのひとつで、人生が終わったわけではないのです。更年期をはじめからたいへんなことと考えないことも大切です。
いまや世の中はカルチャーブームです。いままでやらなかったことができると、張り切っている人もいます。
のぼせもめまいも、趣味に夢中になっているときはあまりおこらないものです。
また、いままでのように避妊を意識しなくても、セックスをすることができます。こうした考え方しだいでは、たいした障害もなくすごすこともできるのです。
※更年期をのりきるコツ※
くよくよと気にしないようにすること
趣味をもつこと
スポーツしたり友人とあそんだりして楽しくすごす
更年期障害だとひらきなおる
髪の毛の傷みフケ症 気になる悩みにこたえます
しつもん 髪の毛にツヤがなく、パサパサしています。手にとってみると枝毛もあります。サラサラヘアにする方法はありますか?
上質なトリートメント剤を使って髪の傷みをフォローするようにしましょう。ただし、いったん枝毛になった部分はもとにはもどりませんから、その部分を切ってしまうしかありません。
髪の毛をそれ以上傷めないために、つぎのことに注意してください。
@シャンプーのときは、ごしごし髪をこすりあわせずに、やさしくもみこむように洗う。
A髪をふくときも、まず、タオルで包み込んで上からパタパタと手で軽くたたくようにして、水気を取る
Bドライヤーを使って乾かすときは、髪の根元から乾かすようにして、毛先は自然乾燥させる。髪が完全に乾くまでドライヤーはかけず、しめり毛が少し残っているところでやめておくこと
Cブラッシングは、頭のてっぺんから一気にときおろすのではなく、毛先から徐々に上へととかしていく
最近では、市販のブロー剤の種類がたくさんあります。これらをじょうずに使って髪を傷みから守るようにしましょう。
しつもん 頭がかゆくて、いくら洗ってもフケが出ます。どうしたらフケがでなくなりますか?
フケの出にくくなる性質をもった、ジンクピリチオンや硫黄などが配合された、フケ取りシャンプーでこまめに洗髪することです。
また、頭皮のマッサージや毛髪のブラッシングなどもていねいに行います。ただしその際、ブラシをこすりつけたり、爪を立ててかいたりしないことです。
原因が栄養の低下、または慢性の病気の場合は、医師の治療を受けてください。
そのほかの原因として、遺伝的な体質や心理的ストレスが考えられ、ふだんの手入れ不足もフケ症の原因です。
わきが・口臭 気になる悩みにこたえます
わきがを防ぐには
市販の制汗剤をかけて、臭いをおさえる
毎日入浴してわきの下をよく洗う
しつもん わきの下の臭いが気になります。とくに夏場はひどく、ゆううつです。治療法はありますか?
わきの下には、粘り気のある汗を分泌するアポクリン腺が多くあります。アポクリン腺の分泌がひじょうに盛んだと、皮膚についている細菌が作用して異臭を発します。
これが、わきがといわれるものです。
次のことを試してみてください。
@わきの下の毛をこまめに剃る
A毎日入浴して、薬用石けんでわきの下をよく洗う
B通気性のよい服を着る
C外出時には制汗剤を塗る
それでも気になる場合は、わきの下の毛の生えている部分を手術で切除する方法があります。以前は、アポクリン腺をひとつひとつ電気分解によって破壊する方法がとられていましたが、再発することがわかってきたので、切除する方法がとられるようになりました。手術は2週間ぐらいの入院が必要です。
しつもん 私が話しかけると横を向いてしまう人がいるので、口臭があるようです。治療法を教えてください。
毎日きちんと歯をみがいて、においのでるようなものを食べたおぼえもないとすれば、次のようなことが原因になって口臭がおこっていると考えられます。
@虫歯・歯肉炎・歯槽膿漏など
A蓄膿症・慢性咽頭炎・慢性鼻炎など
B気管・肺などの呼吸器の病気
C食道・胃などの消化器の病気
こうした原因でおこる口臭は、その病気を治療すればなおります。
口臭を防ぐガムやキャンディーが発売されていますが、ふだんから常食していると口臭をとるのに効果のある植物があります。
サンショウの葉・実・しその葉・しその実・みかん・レモンなどそれぞれ調理法を考えて使用するといいでしょう。
愛あるふたりの豊かなセックス・ライフ
愛しあうふたりのためのセックス
成熟した男女が、愛している人と一緒にいたいと願い、愛の行為としてセックスをすることは、人間としてごく自然な姿です。ただ、知っておかなければならないこともたくさんあります。
ラブ・アンド・シンパシー
はじめてのセックス
女性の性に対する意識は、年ごとに変わり、むかしにくらべればとてもオープンになり、初体験の年齢は下がっていく一方です。
つまり、ふたりが深く愛しあっていれば、未婚、既婚を問わずセックスがあってもいいという傾向が強くなってきているのです。
ここでだいじなことは、はじめてのセックスがとうであったかが、それからのセックスライフにとても大きな影響をおよぼすということです。また、女性にとって未婚の妊娠という、現実の肉体的・精神的な打撃がともなうことを認識しておかなければなりません。
はじめてのセックスの動悸として
●愛しあっていたから 48%
●相手のことを好きだから 41%
●相手の強引さに負けて 24%
このようなデータがあります。
女性があまりセックスを望んでないのに、しかたなくというような場合は痛みも強くなりがちで、その後のセックスへの恐怖や嫌悪感の原因になります。
女性がセックスに対する不安や苦痛をのりこえ、いいイメージをもつためには、愛し合っている者同士が、お互いを思いやりながら行うということが大切です。
はじめてのセックスで妊娠を望まないときには、避妊の知識を十分に知っておかないと、女性は精神的なダメージを必ず受けることになります。言い出しにくいかもしれませんが、避けて通らずに、必ずパートナーと話し合っておかなければなりません。
セックスはからだのコミュニケーション
セックスの経験が浅いときは、相手のからだのことを知り、お互いの好みや感じ方をよく知り合うようにすれば、より豊かなセックス・ライフになるでしょう。
男女の性のしくみのちがいや、お互いの性感帯を知り、いろいろ工夫することによって、快感やバリエーションを楽しむことができるのです。
・アドバイス
セックスの際の感じ方や、そこに至るまでの気持ちの高まり方はどは、それこそ人によって千差万別です。よく雑誌などでセックスについての特集が組まれ、こういうときにはこうする、などと決めつけて書かれてあります。それらをうのみにせず、相手がどうしてほしがっているか、自分はどうしたいのか確認しあうことです。
思いやりと自分の感じ方を大切に
愛しあっているふたりの行為としてセックスがあれば、相手への思いやりやいたわりが自然にあるものですが、馴れ合いになるに従って、自分勝手な欲求やおざなりな態度で平気になってくることがあります。セックスへの考え方や感じ方は、経験や年齢などさまざまな要因で変わるものです。
性的な快感を得るには、自分の感じ方を素直に認め、お互いにどんなふうに感じているのか確かめ合うことも大切です。そのためには、おもしろ半分、ひやかし半分のマスコミ情報にまどわされずに、セックスのしくみについて、冷静にからだの生理反応がどうなっているのかを分析して、知識を得ておくこともだいじなことです。
男女の性のしくみを知っておく
男性は女性のことがよくわからないといい、女性は男性のことがわからないといいます。からだの構造がちがうように、そこから派生する欲求も違ってきます。わからないのはそのせいなのです。
性欲と性衝動・男女のちがい
性欲には男女差がある
男が女の存在を意識し、女が男の存在を意識して、互いにそのからだに触れたいと願うのが性欲の始まりです。
しかし、男の性欲と女の性欲には少しちがいがありますし、また個人差もあります。
男性は生まれながらにして攻撃的、かつ狩猟的な本能をもっています。それが青年期になるともっとも活発になり、知らない女性を見ても欲情を抱くことがあります。それは男性の肉体的な現象です。つまり、精子がある一定量以上になると勃起するというからだの変化があり、こころがそうさせるわけではないのです。
ところが、女性の場合は精神的なものから派生するのがふつうです。憧れとか、夢のように男性をこころに描いても、肉体的な衝動はもたないものです。
しかし、それはセックスの経験をもったときからしだいに変わっていきます。
女性が性にめざめるのは男性にからだを愛撫されてかれということが多く、それからの性欲は人それぞれで、強い人も弱い人もいます。それに、女性は子供を産むという動物本来の使命感もあって性欲が生まれるのです。
しかし、男性の性欲はこころで支配されている部分もあり、ストレスがたまっていたり、精神的な悩みがあると性欲は弱くなってしまいます。
こうした微妙な生理をよく理解して、男女それぞれの性欲を思いやりとやさしさで包み込むことが望ましいことです。
性衝動にも男女差がある
性の衝動は男女を問わずあるものです。性欲のあらわれ方は、男性が急激なのに対し、女性はゆるやかで、からだを愛撫されてからすこしずつ性の衝動が高まっていきます。
また、男性は女性の裸体の写真を見ただけでも刺激を受け、性衝動がおきますが、女性はそういうことはないとされています。
男性の性の興奮が、射精で頂点に達してあとは下降するのに対し、女性はオーガズムに達したあともゆるやかなカーブで性欲が落ちていき、急激には下降しないのが特徴です。
男性性器のしくみはどんなの?
勃起はセックスの第一条件
男性の象徴のペニスは、ふだんはスポンジのようにやわらかい海綿体の組織で、肉体的・精神的刺激を受けると性的に興奮して、太く長く硬直し前方上方に突き出ます。これを勃起といい、女性の膣内に挿入できるようになるための現象です。
ペニスのなかには尿道があり、セックスのときの精液の通り道と排尿のふたつの役目がありますが、セックス中に膣のなかに尿を排出することはありません。
また、ペニスの根元下には睾丸があり、陰嚢という薄くてしわの多い伸縮性のある皮膚に包まれています。
男性の勃起はたいへんにデリケートなもので、性欲も個人差があるのです。
射精はオーガズムである
セックスなどで性的興奮が頂点に達したとき、男性は精液をペニスから体外へ射出します。これを射精といいます。この精液は淡い灰色で青くさい独特のにおいがあり、射精直後はねばりけのある濃い液体で、少し時間がたつと水のような状態になります。
1回に射精する量は約2〜3ccで、3億ほどの精子が含まれ、セックスで女性の膣内に入って、卵子と受精すると妊娠します。
・アドバイス女性の場合は、興奮の度合いやオーガズムの瞬間などが、男性からはっきりとみととれるものではありません。そのうえ、恥ずかしいとか、相手に変に思われるのでは、といった気持ちから何も要求せず、男性本位のセックスになりがちです。ふたりがともに満足を得るために、勇気をだしてどうしてほしいかを伝えましょう。
エイズ
別名は後天性免疫不全症候群
原因 症状
ヒト免疫不全ウイルス(HIVウイルス)が、おもに血液と精液を媒介にして感染するものです。ふつう、2〜5年ぐらいの潜伏期間を経て発病します。発病すると、病気に対する抵抗力がなくなり、カポジ肉腫という皮膚ガンや、カリニ原虫による肺炎を併発する割合が極めて高くなります。
治療
世界中で研究が進められていますが、確かな治療法は、いまのところありません。
当初は、同性愛者同士のセックスによる感染が原因とされ、次いで輸血と血液製剤による感染が、とくに日本では問題になりました。しかし、最近では異性間のセックスによる感染も急激に増え始めました。
妊婦がエイズに感染した場合には、胎児も母親から直接感染してしまう可能性がたいへん高いのです。
エイズのいろいろQ&A
Q1外見でエイズに感染していることがわかりますか
A エイズに感染しても、症状がでるまでに10年以上かかることもあります。その間は健康そのもので、本人もエイズに感染していると気づかない場合があるのです。したがって、外見だけでエイズに感染したかどうか見分けることは不可能です。きちんと検査を受けてわかるものです。
Q2ピアスや針治療で、感染することがありますか?
Aピアス・針治療・入れ墨などで皮膚に傷をつけるのは、使う器具がきちんと消毒していれば、安全です。このことは、エイズだけに限らず、いろいろな種類の雑菌からの感染を防ぐことでもいえるのです。使う器具がしっかり消毒されているかどうか確かめることを心がけます。
Q3病院でする注射で、感染する危険性はありますか?
A病院で使う注射器のほとんどは、使い捨てのものですから、1度使ったらすぐに捨ててしまうので、感染する危険はありません。ただし、海外へ行って(とくに小さな病院で)注射を受けるようなことになったら、きちんと消毒されているかどうか、たずねてみましょう。
Q4妊娠している母親から体内の赤ちゃんへ感染するのですか?
A母親がエイズ感染者であれば、その胎児が感染する可能性はあります。
エイズ
別名は後天性免疫不全症候群
原因 症状
ヒト免疫不全ウイルス(HIVウイルス)が、おもに血液と精液を媒介にして感染するものです。ふつう、2〜5年ぐらいの潜伏期間を経て発病します。発病すると、病気に対する抵抗力がなくなり、カポジ肉腫という皮膚ガンや、カリニ原虫による肺炎を併発する割合が極めて高くなります。
治療
世界中で研究が進められていますが、確かな治療法は、いまのところありません。
当初は、同性愛者同士のセックスによる感染が原因とされ、次いで輸血と血液製剤による感染が、とくに日本では問題になりました。しかし、最近では異性間のセックスによる感染も急激に増え始めました。
妊婦がエイズに感染した場合には、胎児も母親から直接感染してしまう可能性がたいへん高いのです。
エイズのいろいろQ&A
Q1外見でエイズに感染していることがわかりますか
A エイズに感染しても、症状がでるまでに10年以上かかることもあります。その間は健康そのもので、本人もエイズに感染していると気づかない場合があるのです。したがって、外見だけでエイズに感染したかどうか見分けることは不可能です。きちんと検査を受けてわかるものです。
Q2ピアスや針治療で、感染することがありますか?
Aピアス・針治療・入れ墨などで皮膚に傷をつけるのは、使う器具がきちんと消毒していれば、安全です。このことは、エイズだけに限らず、いろいろな種類の雑菌からの感染を防ぐことでもいえるのです。使う器具がしっかり消毒されているかどうか確かめることを心がけます。
Q3病院でする注射で、感染する危険性はありますか?
A病院で使う注射器のほとんどは、使い捨てのものですから、1度使ったらすぐに捨ててしまうので、感染する危険はありません。ただし、海外へ行って(とくに小さな病院で)注射を受けるようなことになったら、きちんと消毒されているかどうか、たずねてみましょう。
Q4妊娠している母親から体内の赤ちゃんへ感染するのですか?
A母親がエイズ感染者であれば、その胎児が感染する可能性はあります。エイズのウイルスが胎盤を通って、胎児へ感染することを胎内感染といいます。また、出産のときに通る産道内で血液から感染することもあります。感染者で子供を望む人は、医師に相談する必要があります。
Q5母乳のなかにもエイズウイルスは入り込むのですか?
A母乳のなかからエイズウイルスが発見されているので、母子感染のひとつということが明らかになりました。母乳は乳児にとってすばらしい栄養源ですが、母親が感染者ならば、人口ミルクを使うようにしましょう。授乳のときには、器具の消毒に十分気をつけたいものです。
Q6プールや温泉などで感染することがありますか?
Aエイズウイルスは、空気・洗剤・熱・塩素に接触するとすぐに死んでしまう、ひじょうにもろいものです。ですから、日常の生活のなかで触れるもののほとんどは安全です。くしゃみやせき、握手などからだとからだの接触でも感染することはありえません。
Q7キスでの感染はだいじょうぶですか?
Aあいさつ程度のほおやくちびるにするソフト・キスは安全ですが、唾液のなかからもウイルスが発見されているので、ディープ・キスには危険があります。しかし、唾液のなかのウイルスの量はわずかなので、感染する可能性もかなり低いもので、感染はあまりみられないようです。
Q8エイズ検査は、どこで受けられますか?
A全国の保健所や病院で受けられます。検査は仮名で受けられ、個人的なことは聞かれません。費用は約1600円です。場所によって検査日が決まっているので、前もって調べておく必要があります。病院では、実名で受けつけねばならない場合もあります。また、費用も高くなります。
乳房のいろいろな病気
乳首の異常
女性のふっくらとしたからだを象徴する乳房。出産にとっても、大役を果たす機能をもっています。それだけに、ちょっとした異常もみのがさないようにしたいものです。
陥没乳頭と偏平乳頭
授乳ができるように治す
乳首が内側にへこんだ状態を陥没乳頭、偏平なものを偏平乳頭といいます。ふだんは別にさしつかえないのですが、出産して授乳するときに困ることになります。このような人は、妊娠中から乳房のマッサージを行います。お風呂に入ったときの肌のやわらかいときに、乳首を引き出すようにすると、しだいに効果があらわれてきます。
こうした授乳を矯正する方法に、プレスとシードという器具をもちるのものあります。しかし、状態がひどいときは、形成手術が必要ですから、妊娠した時点で医師に相談しておくといいでしょう。
乳首を引き出す入浴法
皮膚がやわらかくなっているときに、乳首を引き出す。
乳頭亀裂
ひどくなるまえの治療が大切
乳首になんらかの傷があると、そこに雑菌が入りこみ、乳腺炎になることがあります。亀裂があって痛んだりする場合は、早めに医師の診断を受けてください。
・アドバイス
赤ちゃんには母乳がいちばんですが、乳頭に傷ができていたり、形がわるかったりすると母乳を与えることはできません。
母乳を与えることによる母子のコミュニケーションは、ミルクでは得られません。
乳首の状態がひどいときは、手術をすることを恐れないでください。
乳房の内部の異常
産褥性乳腺炎
乳頭の傷からの感染を防ぐ
原因 症状
これは、出産後10〜15日ごろにおこり、一般的に初産婦に多いようです。
授乳中にできた乳頭の亀裂に、黄色ブドウ球菌が感染することによっておこるものです。
症状としては、乳房がひじょうに痛み、高い熱が出ます。そのままにしておくと、乳房内に腫瘍ができます。
治療
早いうちに医師の診断が必要です。抗生物質を多量に投与して、乳汁を吸引します。炎症がつづく間は、乳児に影響をもたらすので、授乳はひかえます。
うっ滞性乳腺炎
乳汁の出がわるいのが原因
原因 症状
出産から2〜4日したころに、乳汁が乳腺にたまりすぎて乳房がはれ、痛むものです。
治療
授乳や搾乳でたまった乳汁を出し、冷たい湿布をします。
乳管乳頭腫
乳頭を清潔にすることが予防
原因 症状
40〜50歳代の出産経験のない女性に比較的多くみられる病気で、乳頭の下の太い乳管に腫瘤ができ、血性の分泌物が出ます。
治療
良性と悪性の場合があり、良性のときには腫瘤だけを切除します。
乳腺線維腺腫
一番発生しやすい良性腫瘍
原因 症状
乳房に、コリコリしたピンポン玉ぐらいの腫瘤ができます。さわるとよく動き、痛みはありません。
良性の腫瘍で、20〜30歳代に多く発生します。
治療
急に大きくなるとき以外、切除の必要はありません。
巨大線維腺腫
大きい腫瘤は良性なので安心
原因 症状
良性で、球状か葉状の大きな腫瘤が乳房にできます。腫瘤はやわらかく、弾力があります。
手術
手術で腫瘤を摘出します。
乳腺症
ガンとの併発・移行には注意
原因
卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスがくずれ、乳房分泌組織が増殖をしておこるのではないかといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。出産経験がない、月経周期が不規則、無排卵性周期である、などの女性の多く発生します。
症状
乳房に、形のはっきりしない大小さまざまなしこりができます。月経前になると、乳房がはり、鈍い痛みがあります。また、透明な分泌物や血性の分泌物が乳頭から出ることもあります。
乳腺症は、ガンと併発している場合が50%、最初は併発していなくてもガンに移行する場合が10パーセントの確率でありますから、乳腺症と診断されたら、そのあと定期的に3〜6ヶ月に1回は、検診を受けます。
治療
治療は年齢や症状によってちがいます。ただ、痛みが強いときには男性ホルモンや黄体ホルモンの投与を行います。
泌尿器のいろいろな病気
女性は尿道が短いため、尿路の病気に悩む人が多いのですが、そのほどんどは、清潔にすることで防げるものです。正しい知識を身につけて、病気の予防に役立ててください。
尿路感染症
尿路とは、その字の通り、尿がつくられ排泄される道筋のことです。
まず、からだ中をめぐり汚れた血液が腎臓でろ過されて尿がつくられます。つくられた尿は腎臓の中の腎盂に集められ、そこから尿管を経て膀胱に流れ込みます。流れ込んだ尿が膀胱にある程度以上たまると、尿道を経て尿道口より排泄されるのです。
腎臓は、上腹部の背骨の左右に1個ずつあり、そらまめのような形をしています。それぞれの腎臓と膀胱をつなぐ尿管の長さは約30センチです。
膀胱は子宮と恥骨の間にあり、個人差はありますが、平均して570ccの尿をためることができます。妊娠したときに排尿の回数がふえるのはこの場所のせいで、ふくらんだ子宮に膀胱が圧迫されるからなのです。
女性の尿道は男性にくらべて短く、約4センチほどしかありません。そのうえ、尿道口の近くに、膣や肛門といった分泌物を排泄する器官があります。そのため、尿道口から尿道を伝わって最近が入りやすく、膀胱炎や腎盂炎などの尿路感染症をおこしやすい状態にあります。
局部の清潔が徹底しない子供には、とくにおこりやすい病気なので、家族の気配りが必要です。また、思春期以降は、不潔なセックスなどが原因で尿路感染症をおこすことがあります。
尿路感染症をおこすおもな菌は、大腸菌・連鎖球菌・ブドウ球菌などです。
膀胱炎
慢性化しないうちに治療する
原因 症状
膀胱炎とは、尿道口から大腸菌などが入り、これが膀胱に至って広がり、膀胱に炎症をおこすことをいいます。
排尿のときに頭の芯まで走るような痛みを感じたり、排尿のあともまたすぐトイレにいきたくなるような残尿感があります。
また、下腹部の痛みがあり、血尿が出たりします。
命にかかわる病気ではありませんが、ほうっておくと慢性になり、たびたび発病することになります。
おりものが多いときは、膣から尿道口へ細菌が入り込みやすくなりますから、膣に炎症を起こしている人は、必ず医師にかかり治療してもらいましょう。
また、セックスのあとなどは細菌が尿道口から入りやすくなっていますから、男性側の手や性器なども清潔にするようにします。
それから、排尿をこらえすぎるのもよくありません。尿意を感じたら、がまんせずにトイレへ行くようにしないと、ますますひどくなってしまいます。
治療
検査で原因となる細菌は何かを見つけ出し、その細菌にきく抗生物質を投与します。必ず完全に細菌がいなくなるまで治療をつづけます。最低でも、1週間はみておきましょう。
・アドバイス
泌尿器の病気は、場所が場所だけに異常があっても誰にも相談できず、ひとりで悩んでいる人が多いようです。その結果、病気がひどくなったり慢性化したりしてしまいます。
そうなるまえに、なるべく早く医師の診断を受けることです。痛みやかゆみをがまんせず、適切な処置ですっきりと治しましょう。
尿道炎
膀胱炎を併発するときもある
原因
尿道炎の原因は、淋菌やトリコモナスによるものが多いようですが、最近ではこれら以外の病原菌で、とくにクラミジア・トラクマチスによるものが多いといわれています。
症状
排尿時にするどい痛みがあり、血尿が出ます。細菌が膀胱に侵入すると膀胱炎にもなりやすいので、早めの治療が必要です。
治療
原因となっている菌に効果のある抗生物質を投与します。
腎盂炎
背中やわき腹に痛みが生じる
原因 症状
炎症が膀胱から上に昇ってきて、腎臓の腎盂にまで広がった症状をいいます。
急性の腎盂炎にかかると、39度以上の高熱が出てだるくなり、それにともなって血尿も出るようになります。背中や腰、わき腹などが痛みます。じっとしていられないぐらい痛むようでしたら、入院して治療する必要があります。
治療
原因となっている菌に効果のある抗生物質の投与を行います。
そのほかの泌尿器の異常
尿失禁
くしゃみをしただけで尿がもれる
原因 症状
膀胱は一定量の尿がためられるようにできていますが、膀胱括約筋が弱くなったりして、少量の尿をもらしてしまうことを尿失禁といいます。
また、女性に多いストレス性の尿失禁もあり、せき、くしゃみ、または大きい声で笑ったりしたとき、重いものを持ち上げたり、走ったりしたときなど腹圧がかかっただけで尿のもれることがあります。これをストレス・インコンチネンといいます。
原因は、女性の尿道が男性の尿道よりはるかに短いため、もともともらしやすいこと、さらに妊娠・出産・または老化のために膀胱括約筋が弱くなることがあげられます。
治療
こうした症状は、骨盤内の筋肉の収縮を強くする体操を行うだけである程度緩和されますが、ひどい場合は外科的手術が必要になります。
女性特有のいろいろなガン
女性のからだは、子供を産み育てる機能をもっているため、男性にくらべてとても複雑な構造になっています。とくに、性器と乳房は複雑になったぶん、異常がおこりやすいのです。
子宮と卵巣に発生するガン
子宮頚ガン
自覚症状がないので検診を
原因 症状
子宮ガンは、発生場所によって子宮頸ガンと子宮体ガンに分けられます。とくに子宮頸ガンは発生率が高く、全体の90%といわれています。
子宮頸ガンができる場所は、子宮の入口の部分にあたります。ガンはこの部分にある偏平上皮から発生します。原因はまだわかっていませんが、間接的に関係のありそうなものをあげてみると、セックス・妊娠・分娩などによる刺激、多産、包茎の夫をもつ人、初めての性交の年齢が低い人、多数のセックスパートナーをもっている人、ホルモンの分泌の異常、梅毒、炎症などが、ガンを誘発するといわれています。
また、発生する年代は、40代・30代・50代・60代の順になっています。
症状がかなり進むまで、自覚症状はありません。
治療
進行の度合いによって治療法は違います。
初期のものならほぼ治すことができますが、子宮頸ガンは自覚症状がほどんどないので、早期発見のポイントは定期健診しかありません。少なくとも年1回は検診をうけましょう。
子宮体ガン
出産未経験の女性に多い
原因 症状
子宮体ガンは発生率は日本では比較的少なく、全体の10%です。しかし、近年は生活様式が欧米化してきたせいか、子宮体ガンも増えつつあります。
発生しやすい年代は、50〜60歳代に多く、閉経後の人に多くみられます。発生の原因はわかっていませんが、卵胞ホルモンの過剰が影響するといわれています。子宮体ガンは、子宮内膜のポリープや子宮筋腫、卵巣腫瘍と合併することもあるといわれています。子宮頸ガンが経産婦に多いのにくらべ、子宮体ガンは出産経験のない女性に多いようです。
体質的にかかりやすい人は、太っている人、高血圧の人、糖尿病の人などがあげられます。
症状には血性のおりものや不正出血があります。
治療
進行の度合いによります。原則として、子宮の全摘除を行います。
絨毛ガン
死亡率は低下してきている
原因
原因は、まだはっきりとはわかっていません。
胎児の成分である絨毛が異常に増殖する悪性の腫瘍です。妊婦や流産のあとに発生する事が多く、とくに胞状奇胎という異常妊娠のあとでは1〜3%という確率で発生します。
症状
分娩や流産のあとに不正出血がつづき、血のまじったおりものが増えます。
腫瘍細胞は血管を通して転移し、肺に転移すればせき・かっ血・胸痛・脳に転移すれば頭痛・おう吐・膣や外陰部に転移すれば強い出血をおこします。
治療
強力な化学療法を行った後、子宮を全摘出します。そのあとも化学療法をつづけます。
卵巣ガン
症状もなく転移が早い
原因
卵巣ガンの発生する年代は幅が広く、少女から高年齢にまでおよびます。
また卵巣ガンは未婚の女性や出産の経験のない人におこりやすいともいわれています。食べ物では、肉料理を好む人に多いともいわれています。一般的にみて、豊かな国の女性に多く、日本でも10万人に2から3人ぐらいの割合でかかっています。
症状
自覚症状がまったくないので、早期発見は困難です。
転移するのが早く、卵管・膣・子宮へと周囲に広がります。
治療
両側の卵巣の摘出、あわせて化学治療を行います。
外陰と膣に発生するガン
外陰ガン
外陰の病気から発生しやすい
原因 症状
原因は不明で、高年齢者に多く発生します。ベーチェット病・外陰萎縮症から発病することもあります。
初期には、外陰部の小さなしこりのほかにこれといった自覚症状はありません。症状が進むと、しこりが大きくなり、リンパ腺がはれてきます。
治療
程度によって、小範囲の外陰摘出か、そけい部のリンパ腺も含めた広い範囲の外陰を摘出します。
膣ガン
発生率はひじょうに低い
原因 症状
高年齢の経産婦に発生するガンです。これも初期症状はなく、進行するにつれてセックスのあとに出血したり、においのあるおりものが増えたりします。また、排尿障害や血のまじったおりものもみられるようになります。
治療
ガンの発生した場所によって、膣口の付近なら外陰の摘出、膣の上部なら子宮の全摘出を行います。
乳房に発生するガン
乳ガン
自分で早期発見できる
原因 症状
最近乳がんの死亡率が上昇しているという傾向があります。原因はわかりませんが、統計的には次のような人がなりやすいといわれています。
1未婚者
2出産経験のない人
3母乳を与えなかった人
4高齢出産の人
しかし、これはあくまでも統計的なことで、出産回数も多く、母乳で育てたにもかかわらず、乳ガンにかかる人もいます。
やはり豊かな国に多く、脂肪分を多くとることが発生率に関係があるといわれています。
診断のめやすはしこりです。皮膚のすぐ裏側に、コリコリしたでこぼこのしこりができます。自己診断の方法もありますから、自分で乳房に触れてみて発見することもあります。
乳房は女性の命です。乳がんの診断は手軽にできますから、入浴後など定期的に、イラストのような方法でさわってみてください。
しこりをみつけたら、どんなに小さいものでも、すぐに医師に診断してもらいましょう。乳がんの専門医は婦人科ではなく、外科です。
治療
乳房の切断と、大胸筋やその付近の組織・脂肪・リンパ節の切除を行います。最近では、なるべく切除する部分を小さくする手術も行われるようになりました。
乳がんはこうしてみつける
@鏡のまえでうでを上げて、乳房を観察する
A両手を腰に置いて、乳房を観察する
Bあおむけに寝て、チェックする乳房側のうでを上げて、反対側の手の指をそろえて乳房の外側を上から下へと、しこりがないかさわってみる
Cうでを下げて、下から上へと同じようにさわってみる
Dわきの下をさわって、しこりがないかチェックする
<観察するポイント>
・左右の乳頭の位置がずれていないか
・皮ふの色が変わっていたり、湿疹などがあるか
・乳房が陥没・変形していないか
・乳房にくぼんでいるところがあるか
こころが原因になるいろいろな病気
こころに深い傷を負ったり、深く思い悩んだりすると、からだにも異常が出てきます。そうなったときに、からだの症状にばかり気をとられず、原因となったこころの問題に目を向けることが大切です。
心身症とは、心理的・精神的な原因からおこるからだの病気の総称です。
人間のこころとからだは密接に関連しあっていますから、精神的なストレスを長い間受け続けたり、あまりにも深く思い悩みすぎたりすると、からだのほうも調子がくるってしまうのです。からだのどこがどのようにわるくなるかは、人によってさまざまですが、あらわれた症状に対していくら治療を行っても、原因となった心理的な要因が解決しないかぎり完治することはありません。
原因 症状
一般に、拒食症とも呼ばれ10〜20代の女性に多発している病気です。
原因として、まずあげられるものは太ることへの強い恐怖心です。太っていることはわるいことと決めつけ、ダイエットをするうちに、自分のかただについている、ほんの少しの脂肪もゆるせなくなります。このため、身長や体質に見合った体重以下になっても無理なダイエットをつづけ、ついには食べ物を受けつけなくなってしまいます。
そうなってしまうまでにも、必要な栄養を十分にとりませんから、からだが衰弱し、下痢や便秘をくりかえし、月経も止まってしまいます。
また、大人になりたくないという気持ちや、家族、とくに母親への拒絶心から、女らしい丸みをおびた体つきになることを恐れ、この病気になることもあります。
太っていることをわるいことと思いこむ風潮からは、太った自分はみじめだから、それを慰めるために食べてまた太るという悪循環をくりかえす、過食症という病気もおこります。これは、心臓病や高血圧、動脈硬化、糖尿病、腎臓病などの原因にもなります。
最近では、大量に食べて無理に吐くことをくりかえし、理想の体重をキープしようとする摂食障害も問題となっています。これは、最初のうちは太りすぎややせすぎといった異常が認められないため、まわりの人もなかなかきづきません。しかし、そのうち栄養不良から顔色がわるくなり、拒食症へと移行していくことも多いといわれています。
治療
本人に自覚のないことが多いので、自分の状態を正しく理解させることが、治療の第一歩です。精神科の医師やケースワーカーに相談し、家族が協力して、原因となった悩みや太ることへの偏見をあらためます。
食事の必要性を理解させ、少しずつ食事量を増やしていきます。
過呼吸症候群
若い女性に多くみられる
原因 症状
不安がひじょうに強いときや興奮したときなどに、速く、深い呼吸をこりかえすことから、肺や血中の二酸化炭素が排泄されすぎるのが原因です。口のまわりや手の指先のマヒ・けいれん、めまいなどがおこり、息ができなくなるほど心臓がドキドキします。
治療
あせって速く呼吸をしようとするとますますひどくなりますから、まずは落ち着いて、袋をかぶるか両手で口と鼻をおおうなどして、数分間呼吸をします。医師の指導のもとに、特殊な気体を吸入させる方法もあります。
思春期心身症
悩みを解決することが治療
原因 症状
思春期はこころもからだも不安定になり、とくにこころは敏感になってバランスを失いやすいものです。
この時期に、悩みやストレスが原因になっておこる病気を総称して思春期心身症と呼びます。
先にあげた神経性食欲不振症や過呼吸症候群のほか、胃液が胃や十二指腸の壁をとかしてしまう胃・十二指腸潰瘍や、便秘と激しい下痢をくりかえす過敏性大腸症候群、べつに心臓がわるいわけでなないのに心臓病とよく似た発作のおこる心臓神経症などが、そのおもなものです。
治療
なるべく早くに、原因となった不安や悩みをとりのぞくことです。そのうえで症状に合せた治療を行います。病院によっては、思春期の女性を専門に診察してくれる「思春期外来」を設けているところもあります。症状に思いあたることがあれば、早めに医師やケースワーカーに相談してください。
そのほかのこころが原因になる病気
自律神経失調症
ストレス解消が予防策になる
原因 症状
内臓や分泌腺などのはたらきをつかさどる自律神経が不安定になり、頭痛・めまい・息切れ・動悸・胸痛・手足の冷えやしびれ・汗の出方の異常・不眠・疲労感・便秘・下痢・食欲不振など、さまざまな症状がおこります。
女性におこる確率は男性の倍で、ホルモンのバランスが不安定になる思春期と更年期に発病することが多い病気です。
また、こころに強いショックを受けたり、ストレスをうけつづけたりすることでおこることもあります。
治療
まず、症状の出ている内臓や器官にわるいところがあるわけでないことを理解し、どんな病気なのか、納得がいくまで医師と話し合います。
そのうえで、自律訓練法や暗示療法、催眠療法などにより、こころとからだをコントロールする方法を身につけていきます。また、スポーツや趣味でストレスを解消し、規則正しい生活を送ることも、自律神経の安定に効果があります。
神経症
小さなことにきにしすぎないで!
原因 症状
神経症は、心身症と同じく、こころに原因があってからだにいろいろな症状が出る病気です。ただし、検査をしてもからだには異常のないことが多いのが特徴です。
不安を感じるあまりに動悸や呼吸困難・ふるえ・のぼせ・手足の硬直といった症状の出る不安神経症や、何かひとつのもの、たとえば汚れがとにかく怖くなり、人のさわったものや電車のつり革を直接さわることができなくなる恐怖症などがあります。
また、自分でもばかばかしいと思いながら、まるで人から脅迫されているかのように、何かひとつのことにこだわってしまう強迫神経症というのもあります。
これらは、もともと神経質で完全主義の気がある人がなりやすく、まわりのちょっとした変化をきっかけにおこることが多いようです。
治療
催眠・暗示・説得・訓練といった精神療法を、状態に合わせて行います。
※こころの病気の原因は?
仮面うつ病
更年期を迎えたころが多い
原因 症状
うつ病がもととなって内蔵のはたらきが低下し、全身がだるい・食欲がない・眠れない・頭が重い・肩がこる・胃腸障害・動悸などの症状があらわれます。
20歳ごろの発病が多いのですが、女性の場合は更年期のころにも多くあらわれます。うつ病の原因は、まだ解明されていません。
治療
抗うつ剤の投与で治すことができます。思いあたることがあれば、悩まず精神科の医師に相談してみましょう。
更年期のいろいろな障害
むかしは、更年期というと人生の終わりに近かったのですが、寿命がのびたことでライフ・サイクルも変化してきます。まだまだ人生の半ば、気に病まずに楽しくのりきりましょう。
更年期障害はこうしておこる
40歳からのからだの変化
女性のからだは、平均して45歳ぐらいから卵巣のホルモン生産能力が低くなっていき、やがて停止して閉経します。その過程でホルモンのバランスが乱れ、月経が不順になり、それにともなって、からだのあちこちにいろいろな障害が出てきます。
この障害を、更年期障害といいます。
ただ、月経が終わるころにからだやこころに不調があると、すぐ更年期障害と結びつける人がいますが、それは、あやまりです。気になる症状があるならば、早めに受診を受けましょう。
更年期にも個人差がある
更年期障害には個人差もありますが、なんの症状もないという人もたまにいるのです。
また、その逆に長い時期を更年期障害に悩まされる人もいます。
このように個人差が大きいのは、遺伝や体質もありますが、人によって生活の条件が違うからです。栄養状態の格差や運動量のちたい、また、家のなかにずっといる人、仕事や趣味などで外に出ることが多い人でも、ちがってきます。
更年期の時期にも個人差があり、一般的に初潮の遅かった人や、月経が不純だったという人は更年期に入るのが早いようです。
平均的にいうと、閉経は48〜52歳ぐらいの間です。そのまえに卵巣ホルモン、黄体ホルモン、下垂体からのホルモンのバランスが乱れ、月経が不調になってきます。
閉経するまでに月経の周期が10日間になったり2ヶ月もこなかったりします。
更年期障害の症状と対策
どんな症状が出る?
更年期の障害には、おもに次のようなものがあります。
1 微熱がある
これはよく、ほてるという表現でいわれている症状で、急に暑く感じたりすることをいいます。
2 寒気がする
その逆に、急に手足が冷えてきたり、背中がぞくぞくしてきたりする状態をいいます。
3 のぼせる
ほてるのとよく似ていますが、この場合は顔だけが紅潮して、首筋から汗が出てきます。
4 心悸亢進
これも本当に心臓が悪いわけではないのに、動機がするように感じられることです。
5 頭痛・めまい・耳鳴り・不眠・気分の不安定など
これらの症状も病気とかかわらず出てきます。
6 肩こり・頭痛・筋肉痛・関節痛
7 食欲不振・おう吐感・腹部膨張感・下痢・便秘といった消化器系統の不快感
8 しびれ・知覚過敏・掻痒感といった知覚神経系統の異常感
9 頻尿・残尿感・尿漏れなどの泌尿器関係の症状
ただ、これらの症状がすべて一緒に出るわけではなく、人によって2〜3の症状が同時に出たり、かわるがわるあらわれたりします。
また、病人が訴える苦痛には、からだにわるいところがあって訴えるのと、ひとつもわるいところがないのに訴える苦痛があります。更年期障害は、この後者にあたる場合が多く、検査をしても異常のないことが多いようです。
こんな人は強く症状が出やすい
一般に、依存症の強い人、情緒が不安定な人、内向的な人は障害がひどくなるといわれています。
これは、更年期障害の原因がからだの機能によるものだけでなく、若さが失われること、これから老いていくことへの不安や恐れなど、精神的なものからおこることも多いからです。ですからいつも身のまわりのことにしか関心のない人や、自分中心に物事を考えてしまう人は、必要以上に症状について悩み、障害を重く感じてしまうようです。
また、もともと自律神経の機能が不安定な人は、症状が重くなりがちです。
・アドバイス
更年期の障害は、気の持ち方ひとつで重くも軽くもなります。症状がひどいからといって気にしすぎると、ますます重くなってしまい、それをまた気にするというふうに、悪循環になってしまいます。
目先の痛みや悩みにとらわれず、物事のよいほうの面をみて明るくすごしましょう。
更年期を楽にのりきるには
日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合には、医師の指導のもとに精神安定剤やホルモン剤を用います。
その場合でも、更年期障害は誰にでもおこる現象なのだから、気にしすぎるのはよくないと考えてください。
医師にかかるほでではないのなら、自分だけが苦しいと思わず、障害が出てくることを、更年期への理解を深めたうえで素直に受け止めようとすれば、さほど気にならず通りすぎるものです。
自分はもう女でなくなるという意識を強く持ちすぎるのも、更年期障害を重くする原因のひとつです。そして、そういう節目を深く考えすぎることが「うつ」になってあらわれるのです。
しかし、閉経してから貧血がなくなって元気になった人もいます。旅行に行くのにも月経を気にしなくてもいいという考え方もそのひとつで、人生が終わったわけではないのです。更年期をはじめからたいへんなことと考えないことも大切です。
いまや世の中はカルチャーブームです。いままでやらなかったことができると、張り切っている人もいます。
のぼせもめまいも、趣味に夢中になっているときはあまりおこらないものです。
また、いままでのように避妊を意識しなくても、セックスをすることができます。こうした考え方しだいでは、たいした障害もなくすごすこともできるのです。
※更年期をのりきるコツ※
くよくよと気にしないようにすること
趣味をもつこと
スポーツしたり友人とあそんだりして楽しくすごす
更年期障害だとひらきなおる
髪の毛の傷みフケ症 気になる悩みにこたえます
しつもん 髪の毛にツヤがなく、パサパサしています。手にとってみると枝毛もあります。サラサラヘアにする方法はありますか?
上質なトリートメント剤を使って髪の傷みをフォローするようにしましょう。ただし、いったん枝毛になった部分はもとにはもどりませんから、その部分を切ってしまうしかありません。
髪の毛をそれ以上傷めないために、つぎのことに注意してください。
@シャンプーのときは、ごしごし髪をこすりあわせずに、やさしくもみこむように洗う。
A髪をふくときも、まず、タオルで包み込んで上からパタパタと手で軽くたたくようにして、水気を取る
Bドライヤーを使って乾かすときは、髪の根元から乾かすようにして、毛先は自然乾燥させる。髪が完全に乾くまでドライヤーはかけず、しめり毛が少し残っているところでやめておくこと
Cブラッシングは、頭のてっぺんから一気にときおろすのではなく、毛先から徐々に上へととかしていく
最近では、市販のブロー剤の種類がたくさんあります。これらをじょうずに使って髪を傷みから守るようにしましょう。
しつもん 頭がかゆくて、いくら洗ってもフケが出ます。どうしたらフケがでなくなりますか?
フケの出にくくなる性質をもった、ジンクピリチオンや硫黄などが配合された、フケ取りシャンプーでこまめに洗髪することです。
また、頭皮のマッサージや毛髪のブラッシングなどもていねいに行います。ただしその際、ブラシをこすりつけたり、爪を立ててかいたりしないことです。
原因が栄養の低下、または慢性の病気の場合は、医師の治療を受けてください。
そのほかの原因として、遺伝的な体質や心理的ストレスが考えられ、ふだんの手入れ不足もフケ症の原因です。
わきが・口臭 気になる悩みにこたえます
わきがを防ぐには
市販の制汗剤をかけて、臭いをおさえる
毎日入浴してわきの下をよく洗う
しつもん わきの下の臭いが気になります。とくに夏場はひどく、ゆううつです。治療法はありますか?
わきの下には、粘り気のある汗を分泌するアポクリン腺が多くあります。アポクリン腺の分泌がひじょうに盛んだと、皮膚についている細菌が作用して異臭を発します。
これが、わきがといわれるものです。
次のことを試してみてください。
@わきの下の毛をこまめに剃る
A毎日入浴して、薬用石けんでわきの下をよく洗う
B通気性のよい服を着る
C外出時には制汗剤を塗る
それでも気になる場合は、わきの下の毛の生えている部分を手術で切除する方法があります。以前は、アポクリン腺をひとつひとつ電気分解によって破壊する方法がとられていましたが、再発することがわかってきたので、切除する方法がとられるようになりました。手術は2週間ぐらいの入院が必要です。
しつもん 私が話しかけると横を向いてしまう人がいるので、口臭があるようです。治療法を教えてください。
毎日きちんと歯をみがいて、においのでるようなものを食べたおぼえもないとすれば、次のようなことが原因になって口臭がおこっていると考えられます。
@虫歯・歯肉炎・歯槽膿漏など
A蓄膿症・慢性咽頭炎・慢性鼻炎など
B気管・肺などの呼吸器の病気
C食道・胃などの消化器の病気
こうした原因でおこる口臭は、その病気を治療すればなおります。
口臭を防ぐガムやキャンディーが発売されていますが、ふだんから常食していると口臭をとるのに効果のある植物があります。
サンショウの葉・実・しその葉・しその実・みかん・レモンなどそれぞれ調理法を考えて使用するといいでしょう。
愛あるふたりの豊かなセックス・ライフ
愛しあうふたりのためのセックス
成熟した男女が、愛している人と一緒にいたいと願い、愛の行為としてセックスをすることは、人間としてごく自然な姿です。ただ、知っておかなければならないこともたくさんあります。
ラブ・アンド・シンパシー
はじめてのセックス
女性の性に対する意識は、年ごとに変わり、むかしにくらべればとてもオープンになり、初体験の年齢は下がっていく一方です。
つまり、ふたりが深く愛しあっていれば、未婚、既婚を問わずセックスがあってもいいという傾向が強くなってきているのです。
ここでだいじなことは、はじめてのセックスがとうであったかが、それからのセックスライフにとても大きな影響をおよぼすということです。また、女性にとって未婚の妊娠という、現実の肉体的・精神的な打撃がともなうことを認識しておかなければなりません。
はじめてのセックスの動悸として
●愛しあっていたから 48%
●相手のことを好きだから 41%
●相手の強引さに負けて 24%
このようなデータがあります。
女性があまりセックスを望んでないのに、しかたなくというような場合は痛みも強くなりがちで、その後のセックスへの恐怖や嫌悪感の原因になります。
女性がセックスに対する不安や苦痛をのりこえ、いいイメージをもつためには、愛し合っている者同士が、お互いを思いやりながら行うということが大切です。
はじめてのセックスで妊娠を望まないときには、避妊の知識を十分に知っておかないと、女性は精神的なダメージを必ず受けることになります。言い出しにくいかもしれませんが、避けて通らずに、必ずパートナーと話し合っておかなければなりません。
セックスはからだのコミュニケーション
セックスの経験が浅いときは、相手のからだのことを知り、お互いの好みや感じ方をよく知り合うようにすれば、より豊かなセックス・ライフになるでしょう。
男女の性のしくみのちがいや、お互いの性感帯を知り、いろいろ工夫することによって、快感やバリエーションを楽しむことができるのです。
・アドバイス
セックスの際の感じ方や、そこに至るまでの気持ちの高まり方はどは、それこそ人によって千差万別です。よく雑誌などでセックスについての特集が組まれ、こういうときにはこうする、などと決めつけて書かれてあります。それらをうのみにせず、相手がどうしてほしがっているか、自分はどうしたいのか確認しあうことです。
思いやりと自分の感じ方を大切に
愛しあっているふたりの行為としてセックスがあれば、相手への思いやりやいたわりが自然にあるものですが、馴れ合いになるに従って、自分勝手な欲求やおざなりな態度で平気になってくることがあります。セックスへの考え方や感じ方は、経験や年齢などさまざまな要因で変わるものです。
性的な快感を得るには、自分の感じ方を素直に認め、お互いにどんなふうに感じているのか確かめ合うことも大切です。そのためには、おもしろ半分、ひやかし半分のマスコミ情報にまどわされずに、セックスのしくみについて、冷静にからだの生理反応がどうなっているのかを分析して、知識を得ておくこともだいじなことです。
男女の性のしくみを知っておく
男性は女性のことがよくわからないといい、女性は男性のことがわからないといいます。からだの構造がちがうように、そこから派生する欲求も違ってきます。わからないのはそのせいなのです。
性欲と性衝動・男女のちがい
性欲には男女差がある
男が女の存在を意識し、女が男の存在を意識して、互いにそのからだに触れたいと願うのが性欲の始まりです。
しかし、男の性欲と女の性欲には少しちがいがありますし、また個人差もあります。
男性は生まれながらにして攻撃的、かつ狩猟的な本能をもっています。それが青年期になるともっとも活発になり、知らない女性を見ても欲情を抱くことがあります。それは男性の肉体的な現象です。つまり、精子がある一定量以上になると勃起するというからだの変化があり、こころがそうさせるわけではないのです。
ところが、女性の場合は精神的なものから派生するのがふつうです。憧れとか、夢のように男性をこころに描いても、肉体的な衝動はもたないものです。
しかし、それはセックスの経験をもったときからしだいに変わっていきます。
女性が性にめざめるのは男性にからだを愛撫されてかれということが多く、それからの性欲は人それぞれで、強い人も弱い人もいます。それに、女性は子供を産むという動物本来の使命感もあって性欲が生まれるのです。
しかし、男性の性欲はこころで支配されている部分もあり、ストレスがたまっていたり、精神的な悩みがあると性欲は弱くなってしまいます。
こうした微妙な生理をよく理解して、男女それぞれの性欲を思いやりとやさしさで包み込むことが望ましいことです。
性衝動にも男女差がある
性の衝動は男女を問わずあるものです。性欲のあらわれ方は、男性が急激なのに対し、女性はゆるやかで、からだを愛撫されてからすこしずつ性の衝動が高まっていきます。
また、男性は女性の裸体の写真を見ただけでも刺激を受け、性衝動がおきますが、女性はそういうことはないとされています。
男性の性の興奮が、射精で頂点に達してあとは下降するのに対し、女性はオーガズムに達したあともゆるやかなカーブで性欲が落ちていき、急激には下降しないのが特徴です。
男性性器のしくみはどんなの?
勃起はセックスの第一条件
男性の象徴のペニスは、ふだんはスポンジのようにやわらかい海綿体の組織で、肉体的・精神的刺激を受けると性的に興奮して、太く長く硬直し前方上方に突き出ます。これを勃起といい、女性の膣内に挿入できるようになるための現象です。
ペニスのなかには尿道があり、セックスのときの精液の通り道と排尿のふたつの役目がありますが、セックス中に膣のなかに尿を排出することはありません。
また、ペニスの根元下には睾丸があり、陰嚢という薄くてしわの多い伸縮性のある皮膚に包まれています。
男性の勃起はたいへんにデリケートなもので、性欲も個人差があるのです。
射精はオーガズムである
セックスなどで性的興奮が頂点に達したとき、男性は精液をペニスから体外へ射出します。これを射精といいます。この精液は淡い灰色で青くさい独特のにおいがあり、射精直後はねばりけのある濃い液体で、少し時間がたつと水のような状態になります。
1回に射精する量は約2〜3ccで、3億ほどの精子が含まれ、セックスで女性の膣内に入って、卵子と受精すると妊娠します。
・アドバイス女性の場合は、興奮の度合いやオーガズムの瞬間などが、男性からはっきりとみととれるものではありません。そのうえ、恥ずかしいとか、相手に変に思われるのでは、といった気持ちから何も要求せず、男性本位のセックスになりがちです。ふたりがともに満足を得るために、勇気をだしてどうしてほしいかを伝えましょう。
男女の性反応の移り変わり
女性の性反応
興奮気
からだの全体の血管が充血し、乳首が大きくなる。性器の反応は、クリトリスが肥大し、膣壁から分泌物が出て、膣内はペニスを受け入れる準備をする
上昇期
興奮気から性的刺激が高まると、性器の充血は最高に達し、膣口が収縮して「オーガズム帯」が形成。子宮は上昇し、膣内も奥のほうが広がっていく。
オーガズム期
上昇期で形成されたオーガズム帯や子宮が0.8秒ごとに収縮する。呼吸や脈拍も最高に達し、血圧も上昇する。女性はオーガズムを何度でもくり返すことが可能
消退期
オーガズムを終えると、からだの生理的変化がゆっくりともとの状態にもどっていく。クリトリスもオーガズム帯も5〜10秒で急速にもとどおりになる
男性の性反応
興奮期
性的刺激を受けると多量の血液がペニスに流れ、全体が大きくなる勃起現象がおこる。この状態は射精まで保たれるが、年齢や健康状態によって個人差がある
上昇期
ペニスの充血が最高に達し、最も大きくなる。クーパー腺から分泌液が分泌される。このとき、副睾丸から精子が送られ、射精の準備体勢が整っている
オーガズム期
尿道周辺の筋肉がすばやく収縮し、その力によって精液がペニスから射精される。オーガズム直後は、無反応になり、このときは、勃起現象も射精もみられない
消退期
射精すると急速にからだがもとにもどる。勃起していたペニスは、2段階でゆるやかに平常時の大きさになる。次に勃起するまでの時間には、個人差がある
性感帯は人それぞれ
からだへの性的刺激で心地よい快感を敏感にかんじやすいところを性感帯といっていますが、人それぞれにちがうものですから、パートナーと触れ合い、たずねながらみつけ出していきましょう。
刺激の方法もいろいろありますから、キスをしたり、もんだりさすったり、軽くかんだりつまんだり、あるいは息を吹きかけるなど、からだの部位によって変化をつけて愛撫して、より充実したセックスを楽しみましょう。
男女の性感帯を知っておく
女
まぶた 髪 耳 首すじ 乳房 乳首 わき腹 おしり おへそ 外陰部 太ももの内側 ひざの裏側 足の指 足の表面
男
耳 口 首すじ 乳首 ペニス 手のひら 陰嚢 太ももの内側 ひざの裏側 足の表面
セックスをより楽しむために
お互いへの愛情表現にはいろいろな形があり、決まりごとがあるわけではありません。セックスに至るまでのプロセスも含めて、ふたりにフィットする表現をみつけてください。
愛と性のクミュニケーション
ペッティングで愛を高める
お互いのからだの気持ちのよいところを刺激して、愛撫することをペッティングといいます。
男性が女性に行い、女性がそれに答えて反応を示し、男性がその反応を楽しみ興奮を増すパターンが一般的ですが、女性は羞恥心から消極的になりがちです。できるだけ素直に相手にこうしてほしいと伝えるとよいでしょう。
キスという愛情表現もいろいろ
愛情表現のキスとして、唇と唇を重ねるソフトキス、舌を相手の口の中にいれてからませ合ったりするディープキスなどがあります。
唇でからだの各部を愛撫することも、快感となります。唇と舌を使った性器への愛撫をオーラスセックスといいます。
フェラチオとカリニングス
女性が男性のペニスを口で愛撫することをフェラチオといい、男性が女性の性器を舌や唇で愛撫することをカニリングスといいます。
セックスの性運動とは?
セックスのプロセスは、ふたりのこころとからだがひとつになって、お互いへの刺激から絶頂感へとたどりつく、肉体のコミュニケーションです。性的刺激を与えたい、受け合っていくふたりのフィット感があってこそのセックスであり、一方的なものでは決してないのです。
性運動とは、男女の性器が結合して、女性の膣が十分にうるおってから、男性がピストン運動をして、一体感や接触感を得ようというものです。このピストン運動はいろいろな動きがあり、前後、強弱、回転、速い遅いをとりまぜることもあり、男性の動きに従って、女性もまた応えるように動くことが大切です。
そして、セックスのときにとる姿勢を体位といっています。
どんな体位をとるかは、ふたりの体格、好み、経験などで、そのときどきに応じて最良の形で行えばいいことです。
守りたいふたりのエチケット
まず、清潔をこころがけたい
なりゆき上、ふたりのこころの高ぶりをおさえ切れずに、ということがあったにしても、デリケートなこころが支配するセックスは、不潔なからだのにおいや視覚から、興ざめということがないともかぎりません。男女ともに全身を洗ってから女性は性器をていねいに洗い、男性はペニスの恥垢が残らないよう、亀頭と包皮の間もよく洗ってもらいましょう。
強要しないことが楽しむコツ
体調がわるいときや、気分がその気になれないというときには、一方的に強引さがあっては、しこりが残ります。また、相手がいやがる愛撫や体位を無理やり強要することは、ふたりで楽しむセックスライフを味気なくするものです。
相手への思いやりこそが快適なセックスのマナーといえます。
禁句に気をつけよう
相手のからだのことをけなすことは禁句です。お互いの性感を高めるためにささやく言葉や、思わず出てしまう声だけで、セックスを終えましょう。
禁句のたとえは、からだについていえば、ペニスが小さいとか、早いとか、ヘタだとか、不用意に言ってしまった言葉のために、インポテンツや不感症の要因になってしまうことがあるのです。
余韻を大切にしよう
セックスのクライマックスのあとに、消退期がありますが、終わったとたんにシャワー室へかけこむなどは、相手に失礼な行為となります。どんなに仲のよいパートナーで、何をしても許してくれるおおらかな相手だとしても、セックスのエチケットというものはあるものですから、心得ておきましょう。
避妊の正しい知識で安全なセックスを
避妊は男女のどちらかがすればいいというものではなく、ふたりの協力と、ある程度の知識が必要です。不確かな情報にまどわされず、正確な知識を身につけてセックス・ライフを楽しみましょう。
セイフティー・セックスのすすめ
避妊したつもりではいけない
まだ子供を望まないカップルにとって、避妊は常に頭に重くのしかかる大問題です。愛をより深く確かめ合い、ふたりでセックスを心から楽しむために、正しく避妊を行う必要があります。正確な知識を身につけましょう。
女性が行う避妊法とは?
まず、女性の排卵期とその後の数日間のセックスを避ける、基礎体温法とオギノ式避妊法があります。
基礎体温法では、月経後の低体温期間の最終日を中心にして、その前後の2日間を加えた5日間が排卵期とわかります。
オギノ式避妊法は、月経の周期から排卵期を推測するもので、次の生理予定日の前日から逆算して12〜16日めの5日間を、排卵期と推測するものです。
両方法ともに、その後に精子の生存期間を加えた計8日間が、危険日ということになります。
そのほかの避妊法として、子宮の入口をふさぐペッサリー、膣に流入してきた精子を殺すゼリー・錠剤・フィルムなどの膣内避妊薬、子宮に器具を入れて受精卵の着床を妨げるIUD(子宮内リング)、ピル(経口避妊薬)を服用して排卵をおこさせないようにするなどがあります。
男性が行う避妊法とは?
男性が行う避妊法のなかで、もっともポピュラーなものにコンドームの装着があります。用い方さえまちがえなければ、かなり信頼度の高い方法です。それに対して、射精寸前にペニスを膣の外に出して精子が流入しないようにする膣外射精は、よく行われる方法の割りに効果は低い避妊法です。なぜなら、ペニスからは射精前にも少しずつ精液がもれていることが多いからです。
不妊手術は慎重に考えてから
いちばん確実な避妊法として不妊手術があげられますが、これには、一度手術をしてしまうと気が変わって子供がほしくなったとしても、もはや望めないという欠点があります。
手術内容は、男性なら精管をカットする、女性なら卵管を糸でしばるか、やはりカットするというものです。復元する手術もありますが、成功率はひじょうに低いものなのです。
ただ、からだが弱く妊娠出産にたえられない女性や、遺伝的な病気があって子供を望まない男性には、おすすめできる方法です。
男女の不妊手術方法
吸引法
子宮に吸引器を入れ、胎盤と胎児を吸い取る
掻爬法
子宮にキュレットという器具を入れ、胎児と胎盤をかき出す
人工妊娠中絶の危険性を知ろう
不幸にして望まない妊娠をしてしまい、どうしても出産できない事情のあるときは、人工妊娠中絶をすることになります。しかし、中絶が女性のからだとこころに残すダメージは、大きいものがあります。中絶後、もとどおりの健康状態にもどる保証はなく、子宮に傷がつくなどして連続性不妊症になったり、流産や早産をおこしやすくなります。また、母体にとってひじょうに危険な子宮外妊娠をおこす可能性も高まります。
精神的にも、こころに深い傷がのこり、あとあとまで罪の意識にさいなまれることになります。
中絶を決めたらここに注意
優生保護法では、妊娠22週未満なでなら人工妊娠中絶をすることを認めています。しかし、胎児は日に日に成長しており、遅くなればなるほど手術は大がかりになります。手術の危険性や後遺症を考えると、妊娠12週までに受けるべきです。
人工妊娠中絶の方法は、12週までなら掻爬といって、先端がスプーンのようになった器具で胎児と胎盤をかき出します。それ以降になると、人工的に陣痛をおこして出産させる方法になります。
病院を選ぶときは「優生保護法指定医」かどうかが重要です。病院が決まったら、パートナーの同意書を提出します。
中絶後は、最低3日間の安静が必要です。おりものが増え、出血もありますから、清潔をこころがけます。ただし、お風呂はひかえてシャワーだけにしてください。
中絶後のセックスは、回復が順調なら3週間ぐらいたてばいいのですが、必ず再診を受けて医師の許可を得てからにしましょう。また、中絶後1週間〜10日たっても出血があるような場合は、医師に相談しましょう。
男性側が行う避妊法
避妊法 コンドーム
成功率 90%
ポイント ・JISマークのついた製品であるかを確認すること
・サイズを合わせること。大きすぎると精液がこぼれてしまう
・空気がはいらないように先端をつまんでからペニスのつけ根まで装着
避妊法 膣外射精
成功率 60%
ポイント ・避妊法としては問題外。もし、男性がこの方法だけで行うときは、はっきり「ノー」を言おう
避妊法 不妊手術(パイプカット)
成功率 100%
ポイント ・入院の必要はなく、30分ほどで手術できる
・復元は、手術直後なら70%可能。年をとるにしたがって成功率は下がっていき、10年後以降は不可能
・遺伝的な病気があって、子どもを望まない男性に向いている
避妊法 基礎体温法 オギノ式
成功率 80%
ポイント ・半年ぐらいデータをとりつづけることが必要
・月経周期の定まらない人には不向き
・ふだん安定していても何らかの原因で周期が乱れるので、ほかの避妊法と併用すること
避妊法 フィルム
成功率 90%
避妊法 ゼリー 錠剤
成功率 60%
ポイント ・効果の持続時間に限りがあるので、注意すること。錠剤とゼリーは20〜50分、フィルムは2時間ほどで効果がうすれる
・ゼリーはあお向けの姿勢で注入する。上体をおこすと流れ出してしまうので注意
・3つとも、他の避妊法の補助剤として使うこと
避妊法 ペッサリー
成功率 80%
ポイント ・産婦人科医で膣の大きさを測ってもらい、使い方の指導を受けること
・せっくすのあとは、すぐに取り出さないで8時間おくこと
避妊法 IUD(子宮内リング)
成功率 98%
ポイント ・体質的にあわないひとや使用しないほうがいい人も多いので、医師に相談して指導に従うこと
避妊法 ピル(経口避妊薬)
成功率 100%
ポイント ・からだの機能の不安定な17歳以下の女性と成人病のおそれのある40歳以上の女性は服用しないこと
・持病のある人は医師の指示に従い、使用を避けること
・飲み忘れに注意する。2〜3日飲まないことがあると妊娠の可能性がある
避妊法 不妊手術
成功率 100%
ポイント ・復元はまず無理のので、子どもを産みあげた女性やからだが弱くて妊娠・出産にたえられない女性に向いている
ココが気になる!
頭痛・肩こり 気になる悩みにこたえます
しつもん ときどきですが、頭がしめつけられるような傷みがあります。どうすればよいのですか?
女性によくみられる頭痛の多くは「頭痛もち」といわれる片頭痛で、このような人は薬を常備していますが、頭痛はストレスが原因になることも多く、あまり薬を服用するのは好ましくありません。しかし、頭痛にもさまざまな症状がありますから、長くつづくようでしたら、病院で診察を受けるようにしましょう。
受診するさいには次の事項をあらかじめメモしておくと便利です。
@頭のどこが痛むのか?
A痛みのようすは?
Bいつごろから痛み出したか?
C頭痛に伴う症状はあるか?
D生活環境について
原因不明な頭痛から解放されるためには、1日も早く医師の診断を受けることが最善の方法です。
しつもん 肩がこってこまっています。なんとかならないでしょうか。
まず、姿勢をよくすることです。そして、エアロビクス・水泳・体操・散歩などで血行をよくします。運動のあとの入浴も効果的です。
また、専門家にマッサージしてもらうとすっきりしますが、そういつも専門家のところまで出向いていくわけにもいきませんから、家族に頼んでみるのもいいでしょう。
肩こりは、更年期障害のひとつといわれてきましたが、最近では若い人でも肩こりを訴える人が増えてきました。高血圧や低血圧でも、肩のこりを感じます。
ただ、肩がこったなと思ってもあまりそのことばかり考えず、気分転換をはかることも重要です。肩こりだけに気持ちを集中させないことが、症状を軽くするいちばんよい方法なのです。そのためにはストレスをためないことが一番です。
ステップ4
妊娠と出産
これだけは知っておこう
知っておきたい妊娠の知識
妊娠・出産は、女性の人生のなかでの最大のドラマといってもいいでしょう。しかし、妊娠と気がつくまえに、すでに女性のからだのなかでは劇的なドラマが繰り広げられているのです。
新しいいのちの宿るしくみ
排卵から受精へのメカニズム
月経のはじまった女性は、ふつう26〜30日に1回の周期で排卵があります。排卵によって卵巣から出た卵子は、卵管に入り、ゆっくりと子宮のほうに移動していきます。卵子が生きているのは12〜24時間ぐらいで、その間にうまく精子と出会うことができたら、受精ということになります。
また、精子は1回に2億〜4億ぐらいの数が射精され、48〜70時間ぐらい生きています。しかし、精子は酸性に弱く、強い酸性の膣内で、その半数ぐらいが死んでしまいます。
そこで生き残った精子は、子宮に入り、上へ上へと卵管めざしてのぼっていきます。その間にも、力のつきた精子は次つぎと死んでいき、また、上までのぼりつめても、半数は卵子のいない卵管のほうへ行ってしまいます。
卵子にめぐり合うことができた精子は、いっせいに卵子をとりかこんで卵子の表面の膜を溶かし、なかにもぐりこもうとします。
そうして、力があり、運にも恵まれた1個の精子が卵子のなかにいちばんのりをすると、卵子は新たにかたい膜をつくって、ほかの精子が入ってこられないようにします。これで、受精の成立です。
受精から着床のメカニズム
受精卵はすぐに細胞分裂をはじめ、増殖していきます。その間も、子宮へと移動をつづけ、子宮腔に達したところで着床します。受精から着床までは、だいたい1週間から10日ぐらいです。
着床すると、子宮膜が厚くなって受精卵を包み込み、また受精卵からは絨毛が発達して胎盤ができます。
その後も細胞分裂はつづき、胎児へと発達していくのです。
受精の成立から着床のしくみ
〈受精のしくみ〉
精子は卵子の外膜を溶かし始める。そのうち1つだけ精子が卵子のなかに入り、受精が成立する
〈着床のしくみ〉
受精卵分裂をくりかえしながら、子宮腔へ進む
受精卵が子宮内膜のなかに入って、着床となる
・アドバイス
元気でかわいい赤ちゃんの誕生のために、女性は自分のからだのなかでおこる毎月の排卵のしくみについて知っておくことです。きちんと基礎体温を計れば、いつが排卵日かがわかります。
自分のからだの周期を知り、そのしくみをよく理解して、あなたの愛する人の2世誕生に役立ててください。
母体と胎児はこんなふうに成長する
1ヵ月(0〜3週)
母体の変化
◎子宮の大きさに変化はないが、厚くてやわらかくなる
・からだがだるくなる
・基礎体温の高温期がつづいている
胎児の変化
◎身長0.5〜1cm
◎体重 1g
・受精してから第2週ごろに着床する
・胎芽といわれる時期
生活のポイント
お酒とタバコを控えるように
兆候はほとんどないが、薬の服用とX線検査には注意する
2ヵ月(4〜7週)
母体の変化
◎子宮はガチョウの卵ほどの大きさ
・月経が遅れている
・つわりの症状が出てくる
・乳頭や乳輪が黒ずむ
胎児の変化
◎身長2.5cm
◎体重 4g
・頭と胴体が区別でき、目や耳、口などができる。また内臓器官も形成してくる。
生活のポイント
流産しやすいとき、無理な動作は要注意。つわりがはじまるので、食生活に気配りを
3カ月(8〜11週)
母体の変化
◎子宮はにぎりこぶしぐらいになる
・乳白色のおりものが増える
・便秘や頻尿になり、つわりがはげしくなってくる
胎児の変化
◎身長 7.5〜9cm
◎体重 20g
・男女の区別がつき、人間らしく3頭身になってくる
・羊水がたまる
生活のポイント
つわりが激しくなるが、がまんすること。保健所などで母子手帳の交付手続きをし、病院を決めておく
4ヶ月(12〜15週)
母体の変化
◎子宮はりんごくらいの大きさになる
・基礎体温が低温期に入り、安定してくる
・つわりがおさまる
胎児の変化
◎身長 16〜18cm
◎体重 120g
・人間らしいからだになり、手足も動かせる
・内臓も活発に働く
生活のポイント
4週間に1度の定期検診を忘れないこと。つわりがおさまってくるので、食欲がでてくる
5ヶ月(16〜19週)
母体の変化
◎子宮は胎児の頭くらいになる
・乳房とお腹が大きくなる
・食欲が出て体重が増える
・貧血になりやすい
胎児の変化
◎身長 18〜27cm
◎体重 250〜300g
・髪の毛、まゆ毛が生える
・心臓の動きが活発になり、骨格や筋肉ができる
生活のポイント
流産のおそれが少なくなった時期に入る。腹帯をつけはじめる。妊婦体操を開始してみましょう。
6ヶ月(20〜23週)
母体の変化
◎子宮底の高さが18〜20cmあり、妊婦体型になる
・体重が5〜6kg増えている
・乳房がどんどん大きくなる
・胎動が感じられる。
胎児の変化
◎身長 28〜34cm
◎体重 600〜700g
・顔がはっきりして、骨もしっかりしてくる
・羊水の中を動き回る
生活のポイント
妊娠中毒症にならないように予防する
1週間に体重が500g以上増えてないかチェックすること
7ヶ月(24〜27週)
母体の変化
◎子宮底の高さは21〜24cmほどになる
・お腹が大きく目立つ
・下半身の血の循環が悪くなり、静脈瘤が出てくる
胎児の変化
◎身長 35〜38cm
◎体重 1〜1.2kg
・男女の外性器がはっきりしてくる
・まぶたが上下にわかれる
生活のポイント
出産準備をはじめ、入院の手続きをしておく
早産の危険があるので無理な姿勢に注意
8ヶ月(29〜31週)
母体の変化
◎子宮底の高さは25〜28cm
・内臓全体が圧迫されるため胸焼け・息切れがおこる
・乳首や外陰部が黒ずむ
・足のつけねに妊娠腺がでる
胎児の変化
◎身長 40cm
◎体重 1.5〜2.0kg
・皮下脂肪がついてくる
・神経が活発になり、外の音に反応してくる
生活のポイント
定期検診は2週間に1度
妊娠中毒症になりやすいので、塩分のとりすぎに注意
9ヶ月(32〜35週)
母体の変化
◎子宮底の高さは28〜30cm
・胃が圧迫されて1度にたくさん食べられない
・トイレが近くなり、おりものが増える
胎児の変化
◎身長 45cm
◎体重 2.5kg
・からだが丸くなり、顔のしわがとれる
・髪の毛が2cmくらいになる
生活のポイント
里帰り出産する人が帰るとき
食事は少量を数回で入院できる準備をしておく
10ヶ月(36〜39週)
母体の変化
◎子宮底の高さは30〜35cmくらいになる
・胃の圧迫がなくなり、食欲がでてくる
・お産の兆候があらわれる
胎児の変化
◎身長 50cm
◎体重 3.0kg
・4頭身になり、母体から外へ出る準備ができている
・病気の免疫がある
生活のポイント
定期検診は1週間に1度
休養をしておく
入浴は毎日欠かさず入ること
妊娠の初期兆候をチェック
妊娠かもしれない?こんな症状
@月経がとまる
規則正しく月経のある人が、10日〜2週間以上も遅れている
Aつわりがはじまる
胸がむかむかして吐き気がする、食欲がない、食べ物の好みが変わるなどがおもな症状だが、個人差がある
B乳房が変化する
乳房が張る、乳首とその周りが黒ずむ、乳首が痛むなどに変化
C基礎体温の高い日がつづく
月経の予定日になっても3週間以上高温がつづく
Dそのほかにもこんな変化がおこる
・肌が荒れて化粧ののりがわるい
・しみ・そばかすが出る
・全身がだるい
・おりものが多くなる
・腹痛がよくおこる
・排尿の回数が増える
・イライラする
・いくら眠っても眠けがある
妊娠中の生活はこんなことに注意
@規則正しい生活をする
からだに負担がかからないような生活をするために、1日のだいたいの予定を立てる。そのためには家族の協力が大切
Aたっぷり眠ろう
少なくとも8時間の睡眠を確保する。不足したときは昼寝をして補う
B薬や]線検査は医師に相談して
薬や]線の影響をもっとも受けやすいのは妊娠2〜12週の期間。医師にかかるときは、必ず最初に妊娠していることを告げる
C清潔をこころがけよう
できれば毎日入浴し、尿路感染症や膣炎にかからないようにきれいにしておくこと
D定期検診は必ず受けよう
定期検診では、母体の健康や胎児の成長をチェックしたり、異常を早期発見する。また、医師への相談や質問のよい機会でもある
E無理な動作はしない
無理な動作や姿勢で、早産や流産を引き起こさないように気をつける
F適度な運動で出産にそなえる
母親学級やマタニティースイミングなどで、分娩のときに関係する筋肉をきたえて出産の苦痛をやわらげる。どのような運動でも指導者のもとで行うこと
G食事は栄養のバランスを考える
ビタミン、たんぱく質、脂肪類、糖質類
H家事は無理をせず、のんびりと
妊娠前と同じように家事をこなそうとせず、家族に協力してもらい、からだに負担をかけないように
I部屋のなかをかたづけよう
妊婦のからだつきはひじょうに不安定のため転びやすい。階段にはすべり止めをつけよう
Jセックスは赤ちゃんにやさしく
おなかを圧迫しない体位を!
前側位 愛撫がしやすい
前座位 腹部を圧迫しない
後背位 結合の深さの調節が自由
Kここがポイント・分娩場所はどこを選ぶ?
・信頼のおける施設であるかどうか?
・自宅から通うのに便利か?
・どんな分娩方法か?
・会陰切開はするのか?
・個室or相部屋?
・費用はどのくらいか?
・母と子は同室or別室?
・母乳栄養or人工栄養?
・付き添いが必要or完全看護?
・夫の立ち合いはできるか?
・母親学級はあるか?
妊娠から分娩・産後まで
女性にとって、妊娠・出産のときほど幸せをかんじることはないでしょう。
分娩は母と子の共同作業です。10ヶ月の間、おなかのなかで育んできた赤ちゃんと、いよいよ対面できる日です。
妊娠中のこんな以上は要チェック
妊娠前期の異常
つわりがひどい
つわりは、妊娠につきもののからだに出る症状ですが、個人差があるものです。軽症の場合は心配はいりませんが、じゅうしょうになると栄養失調をおこしたり、寝こんだりします。
流産しやすい
もっとも流産しやすい時期は、妊娠2〜4ヵ月ごろです。からだに無理のない生活をしましょう。流産の原因は、胎児に問題がある場合と母体にある場合があります。定期検診を受けることは、流産の予防にもつながります。
子宮外妊娠が発生する場所は?
膨大部 峡部 采部 卵巣 腹腔 頸管 間質部 正常な着床の位置
胞状奇胎とは?
胎盤をつくっている繊毛組織の一部分が異常に増えて、子宮のなかに水胞がたまってしまう
胞状奇胎がみられる
胎盤を形成する絨毛組織が異常に増殖して、子宮のなかが水胞状ののう胞でいっぱいになる病気です。
胎児は吸収されてしまうのがほとんどです。原因ははっきりしていません。胎動やおなかの大きさに要注意です。
子宮外妊娠の痛みが出る
受精卵が子宮内の子宮腔以外の場所に着床するためにおこります。 場所によっていは胎児が死亡してしまうので、妊娠したら早めに受診を受けます。
・アドバイス
女性だけがなすことのできる出産は、あなだ自身で管理していくのが望ましいことです。妊娠は病気ではないのですからあまり神経質になることはありません。
そして、わが子の誕生という大事業はあなたの手で行われるのですから、誇りと希望をもって成しとげれば、女性の喜びを得られるでしょう。
妊娠前期の異常と症状
異常の種類
重症なつわり
これが危険信号!
つわりの症状には個人差があり、何も感じない人からかなり苦しむ人もいる。かなりひどい症状になると、食欲がなくなり、寝こんでしまうほどつらくなる。それが原因で栄養失調をおこしてしまう。また、胆汁や血を吐くこともある
ひとくちメモ
治療を受けるほどひどいつわりになる人はめったにいない。情緒不安定や体力がないなどの人にあらわれやすい
異常の種類
流産
これが危険信号!
流産は出血でわかる。月経のときのように、はじめは少量の出血で、しだいに多くなっていく。このとき下腹部痛もおこり、出血もさらに増え、流産は状態によって、切迫流産・不全流産・完全流産・稽溜流産などの種類がある
ひとくちメモ
出血量が多く、痛みが激しい場合はすぐに病院へ。絶対安静にする。ふだんの生活のなかで、無理をしないことが予防
異常の種類
胞状奇胎
これが危険信号!
少量の出血がはじまり、大出血になることもある。つわりもしだいに強まっていく。出血があっても下腹部痛はほとんどおこらないが、子宮のなかの奇胎が排出されるときは下腹部痛をともなう
ひとくちメモ
胞状奇胎と診断されたら、子宮のなかの繊毛組織を残さないようにして、繊毛ガンの発生を防がなければならない
異常の種類
子宮外妊娠
これが危険信号!
少量の出血が不規則におこり、それにともなって激しい下腹部痛におそわれる。吐き気や貧血などをおこす場合もある
ひとくちメモ
妊娠したらすぐに医師の検査を受けて早期発見をするように
早産の原因になる胎盤の異常
<前置胎盤>
辺縁前置胎盤
胎盤が子宮口の近くにある
部分前置胎盤
胎盤が子宮口の一部をふさぐ
全前置胎盤
胎盤が子宮口をふさぐ
<常位胎盤早期剥離>
暗色の出血とともに腹痛がおこる
胎盤と子宮のあいだに血がたまる
<正常な胎盤>
胎盤が子宮の上部にある
妊娠後期の異常
妊娠中毒症には要注意!
妊娠の後期でいちばん恐れられている病気です。原因もはっきりしていません。重症になると母子ともに生命に危険があるのです。
羊水過多少でおなかが大きい
胎児を包んでいる羊水が異常に増える病気です。原因の多くは胎児にあるといわれますが、はっきりとはしていません。
前置胎盤は少量の出血でわかる
子宮の前の内壁かうしろの壁についているはずの胎盤がなにかの原因で子宮の出口についてしまいます。早期発見なら、帝王切開で無事に出産できます。
常位胎盤早期剥離は激しく痛む
晩出前に胎盤が子宮壁からはがれてしまい、胎盤と子宮との間に血がたまっていくのです。
前置胎盤とともに母子に危険が高く、早産の原因にもなります。
妊娠後期の異常と症状
異常の種類
妊娠中毒症
これが危険信号!
おもな症状としては、むくみ・タンパク尿・高血圧である。妊娠8ヶ月ごろに、足のすねを押してへこむのは要注意。血圧が最高が140以上、最低が90以上の高血圧や、尿が白く濁ったタンパク尿が発見される
ひとくちメモ
体重が1週間に500グラム以上増える場合にも妊娠中毒症が考えられる。体重の増加もチェックすること
異常の種類
羊水過多症
これが危険信号!
お腹のなかの羊水が必要以上に増えて、異常にお腹が大きくなる。羊水の増え方によって症状も異なる。急速に増えると、腹痛や呼吸困難、吐き気がみられ、反対に少しずつ増えるのは足のむくみや早産の原因にもなる
ひとくちメモ
お腹の胎児の位置が定まりにくくなり、さかごになりやすい。原因の多くは胎児にあるようだ
異常の種類
前置胎盤
これが危険信号!
お腹がまったく痛くないのに、多量の出血がある。妊娠後期のなかでも、もうすぐ出産を迎えるときにおこりやすい
ひとくちメモ
少量の出血でも、すぐに病院へいくこと。定期検診が予防になることが多い
異常の種類
常位胎盤早期剥離
これが危険信号!
いきなり、下腹部に激しい痛みが走り、冷や汗が出て、顔色が青白くなる。ときには少量の出血もみられ、失神状態になることもある
ひとくちメモ
妊娠中毒症にかかっている人にみられやすい。妊娠中毒症を予防することが大切
異常の種類
早産
これが危険信号!
周期的に陣痛ともいえる痛みがはじまり、出血があったりする。破水するときもある。前置胎盤や常位胎盤早期剥離も早産をおこす原因となる
ひとくちメモ
早産の疑いがあったときは、すぐに横になり、安静にして医師の診察を受ける
早産には気をつけよう
妊娠29〜38週末に胎児を晩出することをいいます。原因は、胎児と母体の両方にあります。
母体の早産の兆候は次のとおりです。
・腰が重い感じがする
・子宮収縮がおこり、おなかが痛む
・子宮頸間が開きはじめ、血性のおりものがある
・破水がおこる
・胎児の頭が下がり、排尿の回数が増える
子宮筋腫や妊娠中毒症、子宮頸管裂傷などが母体の原因として考えられます。
兆候があらわれたら、横になって安静にして医師の診察を待ちます。
妊娠がおこす合併症に注意する
妊娠によって引き起こされる病気を合併症と呼んでいます。
心臓疾患のある人は、妊娠することによって心臓への負担がかかり、分娩時にはさらに大きい負担がかかるため、出産後も回復が遅れ、さまざまな病気にかかることがあります。
また、妊娠中、高血圧症になる人もいます。気をつけなければならないのは慢性腎炎後の高血圧症です。この場合は、妊娠まえに医師に相談して、許可がおりてから受胎します。そして、妊娠初期の症状が軽いうちに治療し、医師の指示に従って出産まで運ぶことです。
そのほかに糖尿病との合併症もみられます。糖尿病を合併すると、妊娠末期にはとくに、成長ホルモンや副腎皮質ホルモンが増えるため、糖尿病がわるくなることがあります。
また肛門の病気にかかる率も高くなります。妊娠してから、痔に悩まされるようになった人も多いようです。妊娠時には便秘になりやすく、便が硬く出にくくなりますから、食べるもので調節するように気をつけましょう。またどうしても無理な場合は、医師に薬などをもらい、肛門に負担をかけるのを防ぐようにします。
さかごのいろいろ
ひざをまげたまま出る複腎位
単臀位 おしりから出る
ひざから出る 膝位
全足位両足から出る
帝王切開とは?
帝王切開には、切開のしかたのちがいで2つの方法がある。どちらの方法にするかは、医師の判断による
難産になるお産のいろいろ
お産ほど個人差のあるものはありません。また本人は思いと思っているお産が、医師からみれば軽いお産であったというように、その人の感じ方でちがってきます。
しかし、誰が見ても重いお産というのがあって、それを難産といっています。
では、いったいどんなお産が難産なのでしょうか。
1.前置胎盤で、自然なお産ができない
2.微弱陣痛といって、陣痛のおこり方が弱く時間がかかる
3.常位胎盤剥離
4.子宮が破裂する
5.分娩の進行中、胎児が仮死状態になる
などさまざまなケースがあります。
また、ショック状態におちいる場合もあります。ショックには突然脈拍が早くなったり、冷汗をかく、興奮する、というような軽い症状のものから、胎盤早期剥離や、胎児が死んでしまってからのお産、胎盤が出たあとにおこる弛緩出血を原因とするショック状態もあります。
そのほか、心臓の弱い人、体力の弱っている人、お産の途中で子宮が大動脈を圧迫して、血圧が急速に下がった場合などにもショックがおこります。
しかし、これらのショックはある程度予防ができますから、妊娠中から体力をつけておくようにこころがけましょう。それには十分な栄養と、睡眠、そして精神的な不安を取り除いておくことです。
ショックの治療は、頭を低くさせて、血圧が下がるのを防ぎます。また、出血多量の場合は、輸血による手当ても行います。
そのほかに、難産になりやすいものとして骨盤位(さかご)、多胎(ふたご・みつごなど)、予定日を超過している場合などがあります。
産後の生活を快適にすごす
産褥期はしっかり休養
お産のあとの時期を産褥期といいます。母体の性器や出産の際に消耗した体力を回復する時間です。
産褥期は、分娩後6〜8週間で、子宮は産後約6週間、産道や膣は約4週間、子宮口や子宮頸管、外陰部も2〜3週間でほぼ正常の形にもどります。ただし、特殊なお産をした場合には、正常分娩よりは回復までに多少時間がかかります。
こうした身体的な回復を早めるためにも、十分な休養と睡眠をとることが必要です。
悪露の手当てはていねいに
子宮内にたまっていた血液や分泌液が出産後排出されることを悪露といいます。悪露は、産後約3週間排出され、子宮内の回復とともに色は暗赤色から褐色、黄色と変化し、量も3日目が最も多くなってその後減少します。
いつまでも血性の悪露がつづくようなら、子宮復古不全の疑いがあります。
手当てはこまめにしないと、細菌感染をおこしてしまいます。消毒した脱脂綿で外陰部を清潔にします。
産後の検診は必ず受けよう
産後の性器やからだの回復が順調かどうかを診てもらうためにも、産後1ヵ月ごろ、遅くても6週間以内に受けるようにしましょう。
産後にかかりやすい病気には、産褥熱・子宮復古不全・乳腺炎・乳頭亀裂・膀胱炎・腎盂腎炎などがあります。産後の回復がわるいと赤ちゃんも苦しむことになりますから、いつまでもからだの調子がわるい場合には、早めに医師に診てもらいましょう。
悪路の手当ての方法
消毒綿の作り方
@5cm角の脱脂綿を煮沸消毒する
A2%のホウ酸水にひたす
B清潔な密閉容器に保管する
尿道口から肛門の方向にふき、2度ぶきはしないこと。消毒綿は1回使用したら捨てる。悪路の手当てをする前と終わったあとは必ず手をよく洗うこと
月経はいつからはじまる?
出産後、再び月経がはじまる時期は人によってちがいます。
母乳で育てている人は一般的に再会は遅く、1年後という人もいます。授乳をしていない人は、2〜3ヶ月で再開することが多いようです。
産後のセックス・ライフは?
赤ちゃんが生まれたあとの子宮や性器は疲れていますから、産後の検診をして、医師の許可を得てからのほうが安全です。
まだ、月経がはじまらないうちのセックスでも、たまたま最初の排卵の時期だったりすると、妊娠することはあります。母体の回復のためにも、この時期のセックスでは避妊の必要があります。
産後の生活ではここに気をつける
1週目 昼寝しかりすること
2週目 無理は禁物。楽な姿勢を!
3〜4週目 家事ができるようになるけど、無理をしないように
1ヵ月検診 そろそろ、入浴の許可があるとき
7週目 ふだんの生活ができるようになる
不妊かしら?と思ったら
健康な夫婦が、子どもがほしくてセックスをしているのに、2年以上すぎても妊娠しないという場合には、何らかの不妊の原因があるとみて、さぐってみるよよいでしょう。
不妊の原因と治療を知っておく
なぜか妊娠しない
不妊とみられる原因にはさまざまありますが、いくつもの原因が重なりあっているケースが多く、気長に治療や方法を試みる必要があるといえます。
検査や治療は夫婦そろって専門医に出向いて、相談して指導を受けます。
女性に多い不妊の原因
女性の側の不妊原因のなかで多いのが、卵管に癒着や狭窄などがある異常です。不妊のうち約30パーセントあります。このほか、女性の内性器の異常や、黄体機能不全などもあります。
男性に多い不妊の原因
男性の側の不妊原因も約40%あります。
無精子症、精子減少症、精子形成障害、精子路障害などがあります。
不妊症の検査はどんなの?
病院へ行くとどんな検査をするのか不安になりますが、原因が複雑なことが多いために、検査は系統だてて要領よくしてもらわなければなりません。
まず、問診や一般診察で健康状態や生活状況、結婚生活などをみてから、適切な検査を行います。
女性側の検査
女性の検査はいろいろありますが、おもに次のようなものがあります。
●基礎体温の測定…排卵の有無、排卵日、卵巣のはたらきなどを知るために必ず必要です。通院中ずっと記録します。
●卵管疎通検査…月経終了後2〜3日から排卵日の間に、子宮口から造影剤を入れて子宮腔や卵管腔の内部を調べます。
●子宮内膜組織検査…排卵後7日目ごろに受精卵が着床する子宮内膜に異常がないか、組織をとって調べます。
●性交後検査(ヒューナーテスト)…もっとも受精しやすい排卵日ごろの、性交3〜4時間後に、腔内に射精された精子が子宮頸管を上昇していくかどうか調べます。
女性の膣、子宮腔内から内溶液を採取してガラス板にのせ、顕微鏡で精子の運動性や有無をみます。
男性側の検査
男性の検査は次のようなものがあります。
●精液検査…精液の精子数、運動性、ペーハー、粘ちゅう度、精子の奇形混在の有無などを調べるもので、3〜4日禁欲後、マスターベーションで検査容器に精液をとります。
●睾丸組織検査…睾丸穿刺を行い、組織を調べるもので、精液検査結果、無精子症や精子減少症などが認められた人の、造精機能をみます。
●染色体検査…無精子症の場合、性染色体などを検査して、半陰陽かどうか調べます。
・アドバイス
子どもがほしいのにできないときの、女性の気持ちは切実です。そんなとき、「どうしてつからないの」「はやくつくったほうがいいよ」などといった無神経な言葉に、つい落ち込んでしまいます。しかし、人は人と割りきって、あまり悩まずに、明るく毎日をすごすことが大切です。まわりの人も、口出しせずに見守る姿勢が必要です。
女性の不妊の原因となるもの
卵管障害(卵管閉塞 腫瘤癒着 子宮内膜症)
子宮障害(子宮の奇形 子宮筋腫 結核性内膜炎)
排卵障害
卵巣障害
女性ホルモン分泌障害
精子侵入障害
ココが気になる!
貧血・冷え症・手指の荒れ
しつもん
貧血気味でいつも顔色がわるいのですが、どんなことに注意したらよいのでしょうか?
若い女性や妊娠・授乳期の人に多くおこる貧血に、鉄欠乏性貧血があります。
これは、鉄分を多く含む食品をとることでよくなります。
そのうえで、鉄剤を服用するとさらに効果的です。鉄剤を服用しても効果がないときは、内臓の病気や、再生不良性貧血・溶血性貧血のように血液そのものに異常があっておこる貧血も考えられますから、医師に相談してください。
しつもん
冷え性でこまっています。冬場など、夜、布団に入ってもいつまでも手足が冷たいままで眠れません。
なるべくからだを冷やさないようにして、急激な温度差にさらされるのを避けます。
そして、血行をよくするために、つぎのことを実行してください。
@寝るまえに、ぬるめのお湯にゆっくりつかり、冷えを感じる部分をマッサージする
A毎日適度な運動をする
BビタミンEをたっぷりとる
そのほか、乾布摩擦をしたり、からし・山椒・エスニック料理など、香辛料を使ったりょうりはからだがあたたまり、血行もよくなります。
しつもん
指先が荒れてざらざらしています。スベスベの肌にするにはどうしたらよいですか?
手は、寒い風に当たった場合や水仕事のあとにあれることが多いようです。これは、手袋をはめることで予防できます。すでにあれてしまった人は、毎日手を清潔にして、ハンドクリームをよくすりこみます。補助としてビタミンAを飲むのもいいでしょう。ビタミンAの欠乏症は現代ではほとんどみられませんが、偏食の人、インスタント食品愛好者にはいるようです。ビタミンAは皮膚の新陳代謝に必要な成分ですから、不足すると、皮膚の荒れをおこす結果になるのです。
正しい食生活でヘルシーライフ
人が健康に生きていくためには、栄養価の高い食品をバランスよくとることが必要だといわれます。では、具体的にどんな食品をどのようにとればいいのでしょうか。
毎日はつらつとすごすために
1.ご飯は3食、きちんととろう
食べることは、健康の基本です。それも、決まった時間にきちんと3食、6つの基本食品群からバランスよく食べることが大切です。とくに、朝食はその日1日を元気にすごすための一番大切な食事です。昼食や夕食を外でとる人は、どうしても栄養がかたよりがちですから、朝食で偏りを補いたいものです。
また、不規則な生活や食事を抜いたりすることは、ダイエットにはつながらず、からだの栄養吸収率を異常に高めて、むしろ肥満になります。夜食もなるべくかまんして、寝るまえの3時間は何も食べないようにしましょう。
2.ご飯も肉類もからだに必要
最近はダイエットのために肉や魚、ご飯、油といったたんぱく質・糖質・脂肪質の供給源となる食品をまったくまたは、たまにしか食べないといった女性が増えています。
しかし、これは間違った考えです。たしかに、食べ過ぎるのはよくありません。あまった分はからだのなかに脂肪としてたくわえらら、肥満の原因となり
woman medicine
女性の医学
女性のからだには、子宮という赤ちゃんを育てる部分があります。そこで、男性がかかる病気のほかに、女性だけがかかる病気というのが別にでてきます。
ところが女性だけがかかる病気というのは、おおむね性器に関することが多いので、かりに異常をみつけても、恥ずかしくてなかなか病院に行けないという、こまった
現象がおこる場合がありmす。そのために早く発見すれば簡単になおる病気も、発見が遅れたために重大事にいたるというケースも出てきます。
一般的にいって、女性は出産前後には産婦人科を訪れることはあっても、そのはかの時期には産婦人科を訪れることがないのがふつうでしょう。
しかし、出産が終わったあとも女性のからだのなかは順調にはたらいていますから、子育てに忙しいからとか、病院に行くとまたされるからといわないで、少しでもおかしいと思ったら、専門医に相談することが大切です。
とくに更年期にはがんの発生率も多いとされていますから、変わった事があったらためらわず、早めに医師の診断を受けることです。また、自分は老人だから婦人科には縁がないと思っているひともいますが、
たとえ何歳になっても、以上を感じたらできるだけ早く医師に診てもらうことです。
逆に若い頃は、病気でもないのに病気だと思いこみ、毎日をゆううつにすごしている人がいますが、それでは本人はもとよりそれをも見ている家族も大変です。
本物の病気であるかそうでないかを判断するためには、ある程度女性医学の正しい知識と、からだの構造や病気についての理解力が必要となりmす。これらを身につけておけば、
からだに関する悩みや不安は簡単にとろのぞくことができる場合も多いのです。
そういう意味でも、本書を利用されて本物のびょうきか、気分になっているのかを知っていただき、貴女にろり明るい生活を送ってもらいたいと思います。
女性のからだ・だいじな知識・基礎の基礎
ライフ・サイクルを知っておこう
からだには変化のサイクルがある
少女期・思春期
性差のめばえ
からだはこんなふうに変化する
思春期の悩みとは
思春期の病気を探る
神経性食欲不振症/過敏症大腸症候群/心臓神経症/過呼吸症候群
思春期の月経異常
遅発性月経/原発性無月経/早発月経
成熟期
女性として最高に充実する時期
妊娠についての基礎知識
出産はできれば35歳ぐらいまでに
避妊についての基礎知識
妊娠しないなら、不妊症を考える
更年期
更年期年齢とはいつごろ?
どんな症状が更年期障害なのか
更年期の性器の衰えによる病気は
からだの変化に適応する
老年期
老年期に入ったら
老化防止はこころだけしだい
若い人と積極的に付き合う
自分の性器のことを知っておこう
外性器
恥丘と陰毛/クリトリス(陰核)/大陰唇/小陰唇/外尿道口/バルトリン腺/前庭/膣口
内性器
膣/卵管/卵巣/子宮
乳房
年齢とともに変化する乳房
乳房はこうなっている
乳房がちいさくてもはたらきは同じ
乳房をたくさんもっている?
女性の機能に影響するホルモンのはたらき
脳下垂体から分泌されるホルモン
ホルモンに左右される女性の一生
ホルモンをコントロールする
脳下垂体前葉からこんなホルモン
性腺刺激ホルモン/甲状腺刺激ホルモン/副腎皮質刺激ホルモン/成長ホルモン/乳汁分泌促進ホルモン
脳下垂体中葉からこんなホルモン
脳下垂体後葉からこんなホルモン
抗利尿ホルモン/子宮収縮ホルモン
卵巣から分泌されるホルモン
女性のからだを形成している
卵胞ホルモン/黄体ホルモン
月経のことをもっとよく知ろう
月経・初歩の初歩
月経のしくみはどんなもの?
卵胞期/排卵期/黄体期/月経
初潮はいつごろはじまるの?
やさしい月経周期の基本
出血量と日数にも個人差がある
月経のときのいろいろな症状
月経のときはこうすごす
月経の万全な手当て
月経周期をずらすには?
月経を遅らせたい/月経を早めたい
基礎体温のベーシックな基礎
基礎体温で体調の変化を知る
こうして計るのがベスト
かかりやすい気になる病気のチェック法
月経のいろいろな異常
初潮のときの異常
早発月経
遅発月経
月経がない
原発性無月経
下垂体無月経/視床下部原発性無月経/卵巣性無月経/子宮性無月経/仮性無月経/そのはかの原発性無月経
続発性無月経
心因性無月経/神経性食欲不振症による無月経/シーハン症候群による無月経/そのはかの続発性無月経
月経周期の異常
頻発月経
稀発月経
出血量の異常
随伴症状
月経困難症
月経症候群
無排卵・不正出血
無排卵性月経
代償月経
中間出血(排卵期出血)
子宮と膣のいろいろな病気
子宮の病気
子宮頚管炎
子宮内膜症
子宮筋腫
子宮内膜炎
子宮後傾後屈症
可動性後屈/癒着性後屈
子宮下垂・子宮脱
膣の病気
トリコモナス膣炎
カンジダ膣炎
非特異性膣炎
老人性膣炎
卵巣と卵管のいろいろな病気
卵巣と卵管の炎症
卵巣炎と卵管炎
卵巣に発生する腫瘍
卵巣腫瘍
外陰の病気と性病
外陰の病気
感染症外陰炎
アレルギー性外陰炎
外陰白癬症
外陰そう痒症
バルトリン腺炎
毛根炎
ベーチェット病
アフタ性潰瘍と急性外陰潰瘍
性病
軟性下疳
淋病
第4性病
STD(性行為感染病)
クラミジア感染症
ヘルペス感染症
尖形コンジローム
エイズ
乳房のいろいろな病気
乳首の異常
陥没乳頭と扁平乳頭
乳頭亀裂
乳房の内部の異常
産じょく性乳腺炎
うっ滞性乳腺炎
乳管乳頭腫線
乳腺線維腺腫
巨大線維腺腫
乳腺症
泌尿器のいろいろな病気
尿路感染症
膀胱炎
尿道炎
腎盂炎
そのほかの泌尿器の異常
尿失禁
女性特有のいろいろなガン
子宮と卵巣に発生するガン
子宮頚ガン
子宮体ガン
絨毛ガン
卵巣ガン
外陰と膣に発生するガン
外陰ガン
乳房に発生するガン
乳ガン
こころが原因になるいろいろな病気
心身症
神経性食欲不振症
過呼吸症候群
思春期心身症
そのほかのこころ原因になる病気
自律神経失調症
神経症
仮面うつ病
更年期のいろいろな障害
更年期障害はこうしておこる
40歳からのからだの変化
更年期にも個人差がある
更年期障害の症状と対策
どんな症状が出る?
こんな人は強く症状が出やすい
更年期を楽にのりきるには
愛あるふたりの豊かなセックス・ライフ
愛し合うふたりのためのセックス
ラブ・アンド・シンパシー
はじめてのセックス
セックスはからだのコミュニケーション
思いやりと自分の感じ方を大切に
男女の性のしくみを知っておく
性欲と性衝動・男女差がある
性衝動にも男女差がある
男性性器のしくみはどんなの?
性感帯は人それぞれ
セックスをより楽しむために
愛と性のコミュニケーション
ペッティングで愛を高める
キスという愛情表現もいろいろ
フェラチオとカニリングス
セックスの性運動とは?
守りたい、ふたりのエチケット
まず、清潔をここをがけたい
強要しないことが楽しむコツ
禁句に気をつけよう
余韻をたいせつにしよう
避妊の正しい知識で安全なセックスを
セイフティ-セックスのすすめ
避妊したつもりではいけない
女性が行う避妊法とは?
男性が行う避妊法とは?
不妊手術は慎重に考えてから
人工妊娠中毒の危険性を知ろう
中絶を決めたら、ここに注意
妊娠と出産・これだけは知っておこう
知っておきたい妊娠の知識
新しいいのちの宿るしくみ
排卵から受精へのメカニズム
受精から着床のメカニズム
妊娠の初期徴候をチェック
妊娠中の生活はこんなことに注意
妊娠から分娩・産後まで
妊娠中のこんな異常は要チェック
妊娠前期の異常
つわりがひどい/流産しやすい/胞状奇胎がみられる/子宮外妊娠の痛みが出る
妊娠後期の異常
妊娠中毒症には要注意!/羊水過多症でおなかが大きい/前置胎盤は少量の出血でわかる/常位胎盤早期剥離は激しく痛む/早産には気をつけよう
妊娠がおこす合併症に注意する
難産になるお産のいろいろ
さあ、分娩がはじまるよ
産後の生活を快適にすごす
産じょく期はしっかり休養
悪露の手当てはていねいに
産後の検診は必ず受けよう
月経はいつからはじまるの
産後のセックス・ライフは?
不妊かしら?と思ったら
不妊の原因と治療を知っておく
なぜか妊娠しない
女性に多い不妊の原因/男性に多い不妊の原因
不妊症の検査はどんなの?
女性側の検査/男性側の検査
毎日を健康にすごすためのライフプラン
正しい食生活でヘルシーライフ
毎日はつらつとすごすために
ご飯は3食、きちんととろう
ご飯も肉類もからだに必要
効率よくビタミンをとろう
ビタミンA/ビタミンB/ビタミンE
カルシウムで骨の健康を保つ
女性にだいじな、鉄分の補充
線維を含む食事をとろう
こころとからだのヘルシープラン
健康な美しさをめざして
はだかになって、ボディ・チェック
くらしのなかでシェイプ・アップ
ストレッチングでリフレッシュしよう
ストレス解消でより健康に
これだけは知っておきたい!
女性のライフ・サイクル
月経の手当て-ナプキンを使う
月経の手当て-タンポンを使う
基礎体温表から予想される危険日と安全日
月経にはいろいろなタイプがある
エイズのいろいろQ&A
乳がんの部位別発生率
乳がんはこうしてみつける
男女の性反応の移り変わり
体位のバリエーション
男性側が行う避妊法
女性側が行う避妊法
母体と胎児はこんなふうに成長する
バランスよく食べたい6つの基礎食品
マイボディ・チェックをしよう
ストレッチングでこころとからだをリフレッシュ
気になる悩みにこたえます
腰痛
しみ・そばかす 便秘
髪の毛の痛み フケ症
わきが 口臭
頭痛 肩こり
貧血 冷え症 手指の荒れ
ステップ1
女性のからだ・だいじな知識
基礎の基礎
ライフ・サイクルを知っておこう
女性のライフ・サイクル
少女期
0〜8歳
性器に男女のちがいはあるが、まだ卵巣の活動がはじまっていないので、生殖機能はない
思春期
9〜19歳
卵巣の活動がはじまり、12〜15歳ぐらいで初潮をみる。乳房がふくらみはじめ、陰毛も生えてくる
成熟期(前期)
20〜30歳
ホルモンの分泌が安定し、女性としての機能も充実する。妊娠・出産にもっとも適した時期
成熟期(後期)
31〜45歳
女性としての機能はピークを超える。成人病の発生率が高まるので、定期健診は必ず受けたい
更年期(前期)
45〜55歳
卵巣の機能が衰えはじめ、月経の周期が乱れてやがて閉経する。更年期障害に悩まされる人も多い
更年期(後期)
55〜65歳
肌のはりやつやがなくなり、白髪が目立ちはじめる。体力が低下し、性欲も少なくなる。
老年期
65歳以降
外性器、内性器ともに萎縮して小さくなる。体毛が薄くなり、骨はもろく折れやすくなる
女性のからだを四季にたとえれば、少女期・思春期は春、成熟期は夏で更年期は秋にあたります。四季それぞれの花がさくように、女性にも時期に合ったいい花がさくようになっています。
からだには変化のサイクルがある
女性のからだは、少女期・思春期・成熟期・更年期・老年期に分かれます。
少女期は、男女のからだのちがいはあるのですが、精神的なちがいはほとんどありません。しかし、思春期になると、からだはこころの発育とともに大人へのステップをふみはじめます。からだに丸みが出てきて、女性らしいやさしいからだつきになってきます。そして、将来赤ちゃんが産めるように、ホルモンの分泌活動が開始されるのです。
成熟期では、結婚・出産と人生のなかでの重要な役割を果たします。
更年期・老年期は、出産可能年齢から解放されて、からだの機能は低下していくのです。
・アドバイス
女性のからだは一生をホルモンに動かされるといってもいいでしょう。女性としての機能を支えているホルモン作用のバランスをくずさないために、その年代・時期のからだのしくみと、自分の状態を知っておくことが大切です。
よく知ることで、こころやからだの悩みもうまく解決していくことができるのです。
少女期・思春期 0〜8歳 第1次性徴 8〜19歳 第2次性徴
●性差のめばえ
性器は男女ともはっきりと区別がついていますが、精神面ではとくにちがった点はありません。
男女とも思春期までは性ホルモンの分泌量はごくわずかで、はたらくという状態ではありません。性ホルモンの量が増えはじめる8歳ごろから、少しずつ女性らしくなってきます。
そして、14,5歳ぐらいになると、女性のからだはふっくらと丸みを帯びてきますし、男性のからだは筋肉がついてきて、ごつごつとしてきます。このころから、精神面にも少しずつ変化があらわれてきます。活発な女の子が急におとなしくなってきたり、おとなしかった男の子がなんとなくたくましく変わってきたりして、お互いに意識しはじめます。
●からだはこんなふうに変化する
ひとことで思春期といっても、まず個人差もありますから、何歳ごろからと断定することはできませんが、女性は卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が活発になり、乳房がふくらんできて、乳首も大きくなってきます。そして乳首に何かが強くあたったりしますと、痛みを感じるようになります。
性器にも変化がおこり、陰毛が生えはじめ、つづいて脇毛も生えてきて、こうしたからだの変化に、悩む少女も出てきます。また身長が146〜150センチぐらいになるころ(12〜15歳ごろ)に初めての月経がはじまります(初潮)。しかし、まだ性機能は完全とはいえず、毎月月経があるとは限りません。この時期を「第2次性徴」といいます。
またこの時期には、月経が合っても排卵はない場合が多いようです。
思春期になると、性器や乳房の発達が気になりはじめ、同じクラスの友達に月経があるのに自分にはまだない、といったようなことで悩んだりする少女も出てきます。また逆に乳房が異常に早くふくらんできたり、陰毛が早く生えてきたりする場合もあり、かなりの個人差があるということがはっきりしています。
最近は、食生活の欧米化から初潮年齢もだんだん低くなってきましたが、少し遅いからといって心配することはありません。ただ、16歳をすぎても初潮をみないという人もいますから、そういう人は早く医師に相談しましょう。
時期の早い、遅いにかかわらず、初潮は少女から女性に変わる顕著なあらわれですから、それを境にして精神面にも大きな変化があらわれます。
●思春期の悩みとは
大2次性徴の8歳ごろでは、まだそれほどの悩みはないようですが、思春期の中期(12〜14歳)ごろになりますと、初潮をみたり、異性に関心をもちはじめたりして、悩むことが多くなります。また性欲も目覚めはじめ、人によってはオナニーを覚える人も出てきます。また、ものを恥らう心も強くなり、友人とのつき合いや、異性関係も複雑に考えるようになります。恋愛問題で悩む人も出てきます。
こういったことを両親や兄弟・姉妹に話ができるようなら心配ありませんが、この時期のほとんどの人は、悩みがあっても家の人には相談しにくいといいます。悩みのせいで勉強にも身が入らなくなっているのに、受験がかさなったり成績が下がったりしてますます悩みに拍車がかかり、心身とも疲れ果てるというようなことにもなりかねません。それが原因で気持ちも不安定になり、ノイローゼや思春期特有のさまざまな心因性の病気にかかったりします。
乳房は大きく変化する
少女期のころはまだふくらみはない→乳輪とそのまわりだけがすこしふくらむ→ふくらむ範囲がだんだん広くなってくる→乳輪がなだらかになる
●思春期の病気を探る
さまざまな悩みを抱えた思春期には、その悩みが原因で、からだのほうも異常な状態になることがあります。
こころが原因の病気としては、次のようなものがあります。
神経性食欲不振症
やせたいと思うあまり、食べることをよくないことと思い込み、食べ物を受けつけなくなって、やせ衰えていく病気です。一般には拒食症と呼ばれています。
思春期のこころとからだの悩み
家族に反発してしまう
友人とのつきあいで悩む
恋愛問題で悩む
容姿について悩む(肥満・にきび・胸がちいさいなど)
受験や成績で悩む
過敏性大腸症候群
便秘と下痢をくりかえしておこし、そのため体力を消耗します。原因は胃潰瘍や十二指腸潰瘍と同じようにストレスからくることが多いようです。
心臓神経症
左胸に突くような痛みがして、呼吸が激しくなり、心臓発作に近い状態になりますが、心臓に異常があるわけではありません。悩みやストレスが原因で神経が過敏になっているのです。
過呼吸症候群
若い女性に多いといわれている心身症です。
速くて深い、激しい呼吸をくりかえすと、肺や動脈血中の二酸化炭素が過剰に排泄され、いろいろな症状がおこります。
このように、こころの悩みやストレスが原因となる病気にはいろいろなものがあります。
●思春期の月経異常
遅発性月経
12〜15歳ごろにはじまる月経が16歳をすぎてもこない場合をいいます。
遅くても、月経がはじまる場合なら、からだに異常はないでしょう。
原発性無月経
18歳をすぎても月経がこない場合です。いろいろな原因が考えられますから、必ず医師に相談しましょう。
早発月経
8歳以前に初潮が始まる場合です。体質的に早熟が関係しているともいえますが、ホルモンの分泌が過剰だったり、卵巣に卵胞ホルモンをつくり出す腫瘍ができていたり、また副腎にホルモンをつくり出す腫瘍ができたりしておこる場合もありますので、医師の診察が必要です。
成熟期 20〜45歳 女性の安定期
●女性として最高に充実する時期
この時期には生殖機能が完成し、安定するので、女性としてもっとも活躍できる時期となります。結婚・妊娠・出産・育児など、一連の活動をこの時期にこなします。
なかでも、妊娠・出産という事業は女性のみに与えられた最高で最大の事業だといえます。ただ、妊娠は病気ではありませんが、妊娠という状態のかげには、さまざまな病気が潜んでいることがあるのも事実です。
女性の人生のなかの約25年以上にわたる成熟期の間、女性のからだは、いちおう4週間ごとのリズムで周期的に排卵月経をくりかえします。卵巣の機能は、おおよそ20〜25歳ぐらいがピークであとはしだいに衰えていきます。ということは出産の時期もできればこの時期が理想的といえましょう。
しかし、現代では社会に出て仕事についている女性が多いことから、出産に適しているとされる20〜30歳ではなく、30歳以上で初めての出産に挑む人も増えています。
妊娠についての基礎知識
女性の卵巣から排卵があり、それが男性の精子との結合により妊娠するということを、いまは知らない人はいないでしょう。しかし、実際に子供を産める時期というのは初期から閉経まえでの約30年間です。
つまり、毎月1回排卵という卵巣の機能が、おおよそ12歳ごろからはじまって、48〜52歳ごろにははたらきを停止してしまうからです。
そして、子宮では卵が受精卵となって落ち着けるように、子宮内膜のマットを厚くしてまっています。
受精が成立した場合、受精卵が子宮内に付着して妊娠の成立となりますが、受精しない場合はあらかじめ用意しておいたマットは必要がなくなり、はがれて外に出てしまいます。これが生理です。
出産はできれば35歳ぐらいまでに
成熟期の女性でも常にホルモンが安定しているとはいえず、なかにはホルモンのアンバンランスに悩む人もいます。そういう人は妊娠もしにくく、精神的にも不安定になりがちなので、病院で検査を受け、ホルモンのはたらきを安定させるようにしましょう。
結婚後もはたらく女性には、仕事と家庭を両立されていくために、肉体的にも精神的にもかなりの負担がかかります。
そういう意味でも、生活設計とあわせて、出産・育児も計画を立てて無理のないようにしたいものです。仕事をもっている人でも、子供がほしい場合には35歳ぐらいまでに出産したほうが、母体にも赤ちゃんにもいいといわれます。40歳ごろでも出産することはできますが、母体の安全のためには避けたほうがいいでしょう。
避妊についての基礎知識
異性とのセックスにおいて、もっとも正しい知識をもっていなければならないのは、避妊でああるといえます。
避妊とは、男性の精子と女性の卵子の結合を未然に防ぐことです。男性側の避妊法には、コンドームの使用・膣外射精・不妊手術などがあり、女性側には、ピル・IUD・ペッサリー・錠剤・ゼリーなどの使用や、基礎体温法・洗浄法・オギノ式/不妊手術などがあります。(くわしくは108ページ参照)
なお、オギノ式NFP法・洗浄法・膣外射精は、避妊成功の確率が低いので、ほかの方法といっしょにおこなわなければなりません。
品は、男性と女性で協力していくことが必要です。パートナーと正しい知識を確認し合いましょう。
妊娠しないなら不妊症を考える
結婚したら必ず妊娠すると思いこんでいる人が妊娠しないとしたら、その人にとっても家族にとっても不安なことです。避妊もしていないのに、結婚後2年以上たっても妊娠の兆候がない場合は、不妊症を疑ってみて医師に相談することです。
また不妊の原因は女性側ばかりではなく、男性側にある場合もありますから、必ず男性も検査を受けるようします。(原因と検査法132ページ参照)
更年期
前期45〜55歳 後期55〜65歳 閉経を迎える時期
更年期とはいつごろ?
更年期というのは、一般的にいって、成熟期から老年期に移り変わる時期をいいいます。ふつう女性が正常な生活をしていくためには、体内の女性ホルモン系と自律神経系のふたつの調整機能がうまくかみあってはたらいていることが必要とされます。ところが、この時期になると、卵巣のはたらきがしだいに衰えて、月経は止まり、からだの機能は低下の一途をたどります。
それによって、個人差はあるものの、おおかたの女性が自律神経系に失調をきたし、精神的、肉体的にさまざまな障害にみまわれます。
まれに早い人では、30代の後半から更年期の症状を訴える人もあります。その反対に50すぎても卵巣の機能が衰えず、不快な症状も感じないという人もいます。
更年期は、平均的には45〜55歳55歳ぐらいにあたるといわれますが、社会生活、遺伝体質、栄養状態によって、その症状はさまざまです。まず、からだの変調を強く感じる人とそうでない人がいます。変調に適応してしまう人もいますが、適応できない人はさまざまな障害をいつまでも感じるようになります。また、更年期の期間もまちまちで、半年ぐらいですむ人や5〜6年かかる人もいます。
更年期障害の身体的な症状が、強く出る人とそうでない人がいるということは前にも書きましたが、一般的に太っている人よりやせ型の人のほうが症状が強いといわれています。
そのはか、小柄で小児的体質の人は、もともと卵巣のはたらきが低いので、更年期の生理的な障害にはあまり影響されないようです。
どんな症状が更年期障害なのか
更年期障害の症状はひじょうにいろいろな形をとってあらわれます。
更年期における肉体の変化で顕著にあらわれるのは、月経の停止です。それも、いわゆる乱れがはじまってからは、2ヵ月もなかったり、10日目にきたりしてあわてることもあります。そうして閉経したあと、精神的、肉体的なトラブルがおこります。このトラブルを、更年期障害といいます。
精神的な障害としては、月経が止まったことにショックを受け、実際はそれでもないのに体力の衰えや更年期の諸症状を気にかけすぎ、精神の安定を欠いてしまう、とおいことがあげられます。
また、その時期にはちょうど子供の進学や、早い人では結婚も重なり、家庭生活のストレスが重なります。また、性格的な要因もあって、親や夫に対して甘える気持ちの気持ちの強い人、情緒不安的な人、内向的な人は、障害を強く感じるようです。
女性によっては社会で仕事をしている人もあり、そういう人は仕事に対応する時間が多いせいか、専業主婦にくらべると更年期障害は軽いようです。
更年期の性器の衰えによる病気は
更年期になると卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)が少なくなりますので、性器も自然に萎縮してきます。
そして、それによるさまざまなトラブルがおきてくるのです。
1膣の粘膜が萎縮するために膣炎がおこりやすくなる
2外陰部のかゆみ
3白色の角化斑
4膀胱炎
5子宮脱
6性交痛
などがあげられます。この場合、不正出血や子宮ガン、子宮筋腫、膣部びんらん、頸管ポリープなどの疾患とは区別します。
こうした症状をほかの精神的な病気、肉体的な病気とまちがわないよう、医師の診察を受けて適切な処置をしていくことが大切です。
女性の一生と卵巣の寿命
女性の一生
少女期-月経はなし
思春期-月経は不順
成熟期-月経は順調
更年期-月経は不順
老年期-月経はなし
●からだの変化に対応する
精神的なものが要因となる障害を緩和するためには、自分だけが苦しいと思わないこと、家庭生活のほかに娯楽や趣味をもつこと、なんでも完全にやろうとしないこと、など、気持ちを楽にもつことです。
老年期65歳〜からだの機能の老化
●老年期に入ったら
老年期といわれるのは、一般的にいって65〜70歳ごろからのことです。その時期には、更年期を経て女性としての生殖機能は使命を終わっています。
女性はその一生をホルモンによって支配されているので、卵巣のはたらきが終わると急速に老化の道をたどることになります。
それによって、さまざまな病気が引き起こされることにもなります。
成熟期に10〜12グラムあった卵巣は、60歳になると約4グラムほどになり、成熟期の約3分の1程度に縮まってしまいます。当然性器も萎縮して、老人性の膣炎や、外陰掻痒症などの性器の病気もおこりやすくなります。
もちろん性器ばかりではなく、骨格、筋肉、その他内臓の機能も低下してきます。とくに骨の老化は早くからあらわれて、腰痛、肩こりなどの症状にも悩まされるようになります。
背中が丸くなる老人性脊椎骨粗鬆症も、50代からはじまる人もいます。
●老化防止はこころがけしだい
現代では髪は黒くも赤くも染められますから、手入れしだいで年よりはかなり若くしていられるようになりました。服装にしても、自由になっていますから、若い人の着るような洋服を身につけることもできます。
ちょっとした心づかいで、同じ年の人でもかなり老けてみえたり、若くみえたりするものです。
自分のことを老人と意識しすぎるのは、かえってからだの機能の衰えを早める原因にもつながります。
そうかといって、あまり過信して運動するのは考えもので、老年期には誰しも手足、耳、目などの機能は衰えていますから、これらをふまえて適当な運動をしましょう。
●若い人と積極的につき合う
最近では趣味のサークルなどが盛んですから、そういう集まりに出ていって、若い人と付き合うのも老化防止の一策です。若い人と同じことをしようということではなく、言葉を聞き、若い人の行動を目にしているだけでも気持ちははずむものです。
適度な運動、適度な刺激はからだのなかの活力を呼び起こしますから、からだに支障がない限り、外へ出るのが若さを維持する秘訣です。
自分の性器のことを知っておこう
人間のからだは、おどろくほど精巧に組み立てられています。とくに女性は出産という大事業を成しとげるための機能をもっています。その機能を十分に活かすためにも性器の構造を知りましょう。
外性器 外からみえる性器
恥丘と陰毛
性器の外観をつくっている
恥丘とは、恥骨の上の脂肪を含んだやわらかい部分をいいます。そして、そこに発毛する毛を陰毛といいます。陰毛の形はさまざまで、量の多い人も少ない人もいます。陰毛の発育は副腎や卵巣から分泌される、少量の男性ホルモンによって左右されます。
発毛の形は、ひし形に生えたり逆三角形がふつうでs。男性ホルモンが多い場合は三角形に生えたりすることがあります。
また無毛症といって、陰毛の生えない人がいますが、ほかに異常がない場合は心配ありません。月経異常をともなう場合には、性器の発育にも関係がありますから、医師の診断を受ける必要があります。
クリトリス(陰核)
とても敏感な性感帯のひとつ
男性のペニスに相当する部分で、もっとも敏感な部分です。性的刺激を受けると、中央の陰核海綿体に血液が流れ込み勃起します。外陰部のなかでも快感を得られやすい部分です。
大陰唇
性器を守っている
膣口を保護している部分で、暗褐色の色をしていて、外面には陰毛が生え、皮脂腺や汗腺がたくさんあります。
大陰唇は膣口や尿道を保護するため、第2次性徴の時期である思春期に急速に発育します。恥丘から肛門までの部分を占めています。
小陰唇
感度の高い性感帯
小陰唇は、左右の大陰唇の内側にあるひだで、やはり皮脂腺があります。前方では左右の小陰唇が合わさってクリトリス(陰核)を包み、後方では尿道口や膣口を包み、会陰部では、大陰唇といっしょになっています。
この部分には陰毛は生えませんが皮脂腺と動脈が発達しており、性的な刺激を受けると充血します。
外尿道口
尿の出口となるところ
クリトリスの下のほうにあって尿の出る楕円型の空間です。
・アドバイス
女性の性器は複雑です。そして、女性だけにしかない子宮や卵巣、乳房の構造を知っておくことは、困ったことがあったときなどに役立ちます。
また、妊娠して赤ちゃんを迎えるための大切な性器ですから、清潔に保ちましょう。生気の性器の病気もさまざまですから、清潔にしておくことをこころがけましょう。
バルトリン腺
セックスをスムーズにする
膣口の左右にある、大豆大の腺の集まりをいいます。とくに性的興奮によって乳白色の粘液を分泌して、セックスの際、膣口をなめらかにします。人によって形や色もちがいます。そうした意味でも悩む人のいる複雑な部分です。
前庭
男性性器と同じしくみをもつ
左右の小陰唇にかこまれた部分で、前方にクリトリス、後方に膣口があります。膣口部の両側は海綿体になっていて、男性の尿道海綿体に相当します。また多数の静脈と神経があって、性的刺激を受けると充血してふくらみます。
膣口
赤ちゃんの誕生を迎える
外尿道口の下に膣口が開いています。内面は多くのひだのあるやわらかい粘膜でおおわれていて、静止している状態では、扁平になっています。その奥に処女膜があります。処女膜はセックスによって損傷します。
処女膜は運動やオナニーでも破損をすることがあるので、必ず初めてのセックスで出血するとは限りません。また、まったく膜におおわれているわけではなく、月経のときに子宮から出た血液が出血できるような、輪状の穴が開いています。処女膜がまったく閉鎖している場合は切開手術を行います。
内性器 からだのなかにある性器
膣
膣内には自浄作用がある
膣の上のほうは子宮の頸部にあたり、下のほうは膣口の外陰部につながる、管状の器官です。管の長さは成熟女性では約7〜8センチで、分娩の際、赤ちゃんの通りがいいように進展性があり、ふだんは月経のために使われます。
膣内にはデーデルライン桿菌という特殊な菌がたくさんいて、病原性細菌の侵入を防いでいます。
デーデルライン桿菌のはたらきは、セックスによって膣内が精液でアルカリ性になってもデーデルライン桿菌の乳酸によって、膣内はまたもとの酸性にもどり、感染を防いでいるのです。
また少数の病原体が膣内に存在しても、この菌によって発育は押さえられてしまい、膣炎がおきることはあまりありません。
このように外から細菌の感染を防ぐ特殊なしくみがそなわっています。これを膣の自浄作用といいます。
卵管
卵管は卵子と精子のデート道
卵管は、子宮の両側にあって、左右一対の長さ約10センチほどの細い粘膜性の管です。
なかは非常にせまく、広いところで2,3ミリ、細いところでは1ミリ程度です。卵子を卵巣から子宮へ運ぶ通路で、精子と結合するところでもあります。
族にラッパ状に広がっているところから、ラッパ管とも呼ばれています。
このだいじな卵管に炎症をおこしたりすると、不妊の原因になったりします。
卵管のはたらきは、月に1回排出される卵子とセックスにより膣内に射出された精子とが出会うところであるということは前にも書きましたが、まれに受精卵が卵管膨大部に着床してしまうことがあります。これを子宮外妊娠といって、早く処置をしないとだいじにいたります。
卵巣
誰でも原始卵胞をもっている
卵巣は左右の卵管の下にあって、卵管に抱かれた形でつりさげられたようになっています。
卵巣は約数百万個の原始卵胞をもっていて、この卵胞のなかにひとつずつ卵子があり、思春期になるころから発育して、成熟卵胞となります。
そして成熟した卵胞から、1ヵ月に1回(月経がはじまった日から14日めごろ)、卵胞が破れて卵子が腹腔に飛び出します。
それを排卵といいます。排卵の時期に腰やお腹の痛みを感じる人は多く、なかには出血をみる人もいますが、心配はありません。
そしてこの排卵の時期を知ることは、妊娠や避妊のために重要です。
ふだんから基礎体温をつけるのも、その時期を知るための大切な方法なのです。
排卵後の卵胞は黄体となり、月経のあとは萎縮して白体となります。
妊娠した場合、黄体は妊娠3カ月末ごろまで活動をつづけ、その後はしだいに衰えます。
子宮
子宮は人類の故郷である
子宮は膀胱と直腸の間にあり、骨盤にしっかりと保護された、西洋梨のような形をした器官です。重さは約50グラムで、おおきさはにわとりの卵ぐらいあります。妊娠すると徐々に大きくなり、大人の頭ぐらいになります。最上部の最も広い部分は子宮底といって、幅は約5センチ、厚さは約2.5センチです。子宮の壁は厚い筋肉の層からできていて、赤ちゃんを分娩するのにつごうよくできています。子宮体部は、子宮の上のほうを占める大きな部分で、内部はせまい空洞になっています。
子宮体部の内側は筋肉の層がもっとも厚く、妊娠すると筋腺維は増殖・伸展します。さらに赤ちゃんが発育するにつれて、大きくなります。
お産のときの陣痛は、赤ちゃんを押し出すためにこの子宮体部の筋肉が収縮することによるものです。
子宮体部につづく下の部分を子宮頸部といいます。さらにその下には子宮膣部があり、子宮膣部の先端は、膣内に突き出しています。その下の中央の膣腔に向かって開口している部分を外子宮口といいます。
子宮腔は逆三角形で、上部では両側とも、卵管腔に向かって突き出ています。
子宮は、内膜・筋層・漿膜から成っています。
子宮の発育順序
新生児のころは、子宮頸部のほうが長い
思春期のころは、子宮体部と子宮頸部の長さが等しい
成熟期のころは、子宮体部のほうが長い
乳房 女性の美しさのシンボル
●年齢とともに変化する乳房
乳房は、幼年期から少女期にかけては男の子と変わりませんが、少女期の終わりごろになると、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)のはたらきによって乳管が発育して、盛んに枝別れし、つづいて初潮がくるころに、エストロゲンだけでなく黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用も加わり、思春期のころにはふっくらとしてきて、乳管だけでなく乳腺も発達してきます。
さらに成熟期になると、これに厚い脂肪の層がかぶさって乳房は大きくなります。
妊娠すると、エストロゲン・ブロゲステロンなどが大量に作用して、出産すると乳房から乳汁の分泌がはじまります。
●乳房はこうなっている
乳房の中心には丸い茶褐色の乳首があります。この乳首には授乳時に乳汁が分泌されるように、細い管が15〜20個ぐらい口を開けています。乳汁を出す管は乳首のすぐ下で乳管洞をつくっています。それから細い枝に別れ、乳汁をつくり、分泌する腺腔につながります。この管を腺を合わせて乳腺と呼んでいます。
●乳房が小さくてもはたらきは同じ
乳房の大きさはとくに問題にされがちですが、小さい乳房でもホルモンのはたらきは正常です。逆に大きい乳房をもっている人でも乳の出のわるい人もいます。
ですから、美容的な意味だけで乳房を整形するのは、思わぬトラブルを生む原因になりかねません。
とくに、日本人は欧米人にくらべて乳房の小さい人が多いようです。
しかし、性器がふつうに発達し、月経周期も順調であれば、からだのなかのホルモンは正常にはたらいていると考えていいでしょう。
●乳房をたくさんもっている?
出産が終わって正常に乳房がはってきて、いよいよ授乳の時期になったころ、腋の下にしこりができることがあります。これをリンパ腺の腫脹とまちがえることがありますが、これは副乳といわれるものです。哺乳動物が対になった多数の乳房をもってるのをみればわかるように、人間も退治のときにはこういう多数の対の乳房があったのですが、人類の進化により退化してしまった、その痕跡なのです。
妊娠や出産以外のときは小さいので意識することはありませんが、出産後にはれてくることがあります。もちろんたいした問題はなく2〜3日冷やせばすぐひっこんでしまいます。
女子の機能に影響するホルモンのはたらき
女性のからだは、一生を通してホルモンに左右されるといっていいでしょう。そのホルモンと仲よくつき合っていくのが賢明な方法だといえますので、ホルモンの作用を知っておきましょう。
脳下垂体から分泌されるホルモン
●ホルモンに左右される女性の一生
女性の一生は、ホルモンによって支配されているといってもいいほど、ホルモンの作用に強く影響されます。
からだのなかには、多くの内分泌腺があります。ここから分泌されるホルモンは血液のなかに入り、新陳代謝のバランスを調節することによって、発育や生殖機能に大きな影響をもたらしています。
分泌されるホルモンは微量ですが、多かったり少なかったりすると、からだに異常がおこります。
からだはホルモンに支配されている
黄体形成ホルモン 卵胞刺激ホルモン (性腺刺激ホルモン) 子宮
副腎皮質刺激ホルモン 腎臓
甲状腺刺激ホルモン 甲状腺
乳汁分泌促進ホルモン
抗利尿ホルモン 腎臓
子宮収縮ホルモン 子宮
成長ホルモン 全身へ
メラニン細胞刺激ホルモン 全身へ
視床下部と脳下垂体のしくみ
・アドバイス
脳下垂体はからだのなかのホルモンをコントロールするところです。分泌されるホルモンの量は、多くても少なくてもからだに異常をおこしてしまいます。そこで、ホルモンのコントロールタワーが活躍しているのです。
そして、女性のからだを支配しているのですから、ホルモンのバランスのチェックは欠かさないことです。
●ホルモンをコントロールする
脳下垂体は脳の中心部にあり、トルコ鞍という骨のくぼみに突出している、0.5グラムほどの小さい分泌腺です。
そして、前葉・中葉・後葉の3つに分かれていて、たくさんタンパク性のホルモンを分泌しています。
とくに前葉からは、末梢内分泌腺におけるホルモンの産出、およびその放出を刺激するホルモンが分泌されています。
こうした意味から、脳下垂体はかつては末梢内分泌腺を動かすモーターだといわれていました。
しかし、最近の研究によって、脳下垂体の機能が、さらに上位の脳、とくに間脳の一部である、視床下部によって支配され、調節されていることがわかってきました。
●脳下垂体前葉からこんなホルモン
性腺刺激ホルモン
分泌される性腺刺激ホルモンには、卵胞刺激ホルモン(FSH)と、黄体形成ホルモン(LH)があります。卵胞刺激ホルモンは思春期ごろから活発に分泌されはじめ、卵巣に作用して、原始卵胞を成熟させます。黄体形成ホルモンは成熟卵胞に作用して、排卵を誘発します。このホルモンの分泌が足りないと、排卵はうまくおこらないのです。ということは、排卵時には、この卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンのふたつが盛んに分泌され、相互作用によって排卵が行われることになるのです。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
甲状腺に作用して甲状腺ホルモンの生成・分泌とその機能を促進させる役割を果たします。
甲状腺は、からだのなかのエネルギー代謝を調節する器官ですが、あまりこの機能が高まりすぎるとバセドウ病と呼ばれていて、眼球が飛び出たりイライラと落ち着かなくなったり、月経異常になったり、そうしたことで体力を消耗して体重が減少したりします。
甲状腺は人間のからだのなかのヨードを利用して、甲状腺ホルモンをつくります。
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
副腎皮質に作用してその機能を促進させます。副腎皮質からは人間のからだの電解質を調節するホルモンや糖質ホルモンのほかに、男性ホルモンが分泌されます。
副腎皮質刺激ホルモンが異常に分泌されて、副腎皮質が刺激を受けると、クッシング症候群と呼ばれる病気が心配されます。クッシング症候群にかかると、肥満、高血圧、ムーンフェイスという症状が出ます。
また副腎皮質の男性ホルモンが過剰に産出されますと、副腎性器症候群があらわれます。
この病気にかかると女性性器のクリトリスが肥大したり、体毛が増えたりします。最も重症な場合は、半陰陽になったりすることがあります。
成長ホルモン(GH)
甲状腺ホルモンと相互作用をして、発育や成長を促進させます。したがってこのホルモンが不足しますと、小体症と呼ばれている病気がおこります。
小体症という病気は、生まれたときの身長・体重はふつうですが、2〜4歳ごろから発育が遅れはじめるようになります。ただ、知能は正常で、からだ全体のバランスはとれています。
現在ではこの成長ホルモンを人工的に合成して、小体症の治療などに使われはじめています。
乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)
乳腺を刺激して乳汁の分泌をうながすホルモンです。
妊娠初期から分泌しはじめるこのホルモンは、出産直後には分泌量が最高に達します。
しかし、あまり過剰にプロラクチンが分泌されますと、卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンのはたらきを邪魔して、無排卵、無月経などの月経異常をおこします。
赤ちゃんにおっぱいを飲ませている間に月経がおこらないのはこのホルモンの作用のためです。
脳下垂体中葉からこんなホルモン
メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)
両棲類や爬虫類のメラニン細胞に作用して皮膚の色などを変化されるこのホルモンが、人間に与えるはたらきはまだ不明です。
ただ、このホルモンが作用することによって、皮膚の色素沈着が増強されます。妊娠すると、乳頭や小陰唇が黒ずんでくるのは、このホルモンの作用のせいといわれています。
脳下垂体後葉からこんなホルモン
抗利尿ホルモン(ADH)
腎臓の尿細管で水分再吸収の調節を作用するホルモンで、血圧の上昇も調節します。とくに抗利尿作用をもっているところから、抗利尿ホルモンと名付けられています。
このホルモンが不足すると尿崩症と呼ばれる症状をおこし、のどが異常に渇いて、多量に水を飲むことになり、その結果頻尿・多尿をきたすことになります。また、小児科では、夜尿症となる傾向がありmす。
子宮収縮ホルモン(オキシトシン)
子宮筋に作用して子宮を収縮させる作用をもっています。出産のときには、オキシトシンの作用によって陣痛がおこりますので、分娩の際には必要なホルモンです。
そういう作用を応用して、人工的に陣痛をおこさせるときに、オキシトシンを注射したりします。
また、乳腺にも作用して、入管を収縮させ乳汁の分泌を補助するはたらきもあります。
授乳中に子宮が収縮する痛みを感じるのはこの作用のためです。
卵巣から分泌されるホルモン
女性のからだを」形成している
前述のように、脳下垂体がからだのなかのいろいろな内分泌腺にさまざまな指令を出していることがわがたっと思います。ここでは卵巣から分泌されるホルモンについて考えましょう。
卵巣にはふたつの重要なはたらきがあります。つまり、一般的に女性ホルモンと呼ばれる卵胞ホルモン(エストロゲン)ならびに黄体ホルモン(プロゲステロン)の産出と分泌です。
卵胞ホルモン(エストロゲン)
卵胞ホルモンは女性の第二次性徴をおこすホルモンです。
このホルモンの作用により、思春期になると女性は乳房がふくらみをもってきたり、性器に変化がおこったり、陰毛や脇毛が生えたりします。また子宮にもさようして、子宮の筋肉を発育させ、頸管の分泌液を増やしたりします。
こうして受精の準備を整えています。
少し前には、思春期に皮下脂肪が増えてからだに丸みがでて」くるのは、卵胞ホルモンのためだといわれていましたが、卵胞を摘出した女性や、閉経後にも皮下脂肪がついていることもあり、卵胞ホルモンの作用とからだの丸みは直接関係ないとされています。
女性は男性にくらべて狭心症や動脈硬化の人が少ないのですが、これは卵胞ホルモンの影響ではないかといわれています。
したがって、閉経後のは動脈硬化による病気も増えてきます。
卵胞ホルモン1回の月経でおよそ5ミリグラムが産出され、血液のなかを循環してから、肝臓内で不活性化して、胆汁や尿とともに排出されます。
黄体ホルモン(プロゲステトン)
卵巣から卵子が排出されたあとに分泌されるホルモンで主に子宮で活動し、受精したあと子宮内膜にうまく着床されるはたらきをもっています。
黄体ホルモンは体温をあげる作用をもっており、それによって排卵の時期を知ることができます。
そのほか黄体ホルモンは、たんぱく質の合成を促進させたり、平滑筋の収縮を抑えたりする役割もします。
ただし、妊娠がおこらなかった場合は黄体14〜16日で機能を失い、黄体ホルモンを分泌しなくなります。
そのあと、妊娠のために用意されていた子宮内膜は不用になり、はがれて子宮から外に流れ出ます。これが月経です。
月経のことをもっとよく知ろう
月経は女性が赤ちゃんを産むための準備をしている証拠です。初潮を迎えてから閉経までの長い時間をともにすごしていくのですから、正しい知識で対応していきたいものです。
月経・初歩の初歩
月経のしくみはどんなもの?
近ごろでは、小学校でもはっきりと月経の話をしますから、いざはじまったというときにそれほどのショックは受けないにしても、やはり少女にとっては恥ずかしいことにはちがいありません。
しかし、月経がはじまったのは少女から女性のからだになったという証拠で、赤ちゃんを産めるという証明なのです。
月経というのは、月に1回、個人差はありますが、だいたい3〜7日ぐらいの間、子宮から出血があることです。ここでは、月経がどうしておこるのか、そのしくみについて説明します。
卵胞期
女性は赤ちゃんのときから、左右の卵巣のなかに数百万個もの原始卵胞をもっています。この原始卵胞は思春期になると、脳下垂体から分泌された卵胞刺激ホルモンの作用で成熟卵胞への発育します。
そして成熟卵胞は卵胞ホルモンを分泌しはsじめ、しはじめ、血液のなかに入って全身に運ばれます。子宮へ運ばれた卵胞ホルモンは、受精のらめの子宮内膜をふやし、受精卵が着床しやすいベットを用意するようになります。
卵胞ホルモンは焼く2週間分泌されます。
排卵期
卵胞ホルモンが増えはじめてからおよそ2週間たつと、今度は脳のコントロールによって、それ以上増えないように脳下垂体の卵胞刺激ホルモンが低下しはじめます。これによって、原始卵胞のうちの数個だけが成熟します。一回の月経周期で1個ずつしか排卵しないようにさせるための、上手な方法です。
卵胞刺激ホルモンが低下しはじめると、次は黄体形成ホルモンが多量に放出され、このホルモンの作用で、卵胞のなかから卵子が1個だけ腹腔内へ出てきます。これが排卵です。
黄体期
排卵したあとの卵胞は、黄体に変化して黄体ホルモンを分泌しはじめます。黄体ホルモンは、すでにできかかっている子宮内のベットを、受精卵が着床しやすいように準備するのです。
月経
準備を整えていても受精しなかった場合、黄体の機能は衰えて、2週間で黄体ホルモンの分泌量は低下します。
このように、黄体ホルモンが低下すると、再び脳下垂体から卵胞刺激ホルモンが分泌され、その作用で卵胞のなかの卵胞が成熟しはじめます。そして受精が成立しないと、はがれて排出するというプロセスをくりかえします。
・アドバイス
人間が子孫を残すためには、月経がはじまり、そして男女の交わりが必要です。月経は成人した証拠ですから、恐れることはなく、むしろ女性の美しさややさしさのあらわれと考えます。
ホルモンの分泌によるからだのメカニズムを自然に受け止めてください。そして、毎日のからだの変化がわかると、異常の早期発見につながります。
●初潮はいつごろはじまるの?
月経の開始は、年齢に関係なく、身長が146〜150センチに達したころにはじまることが多いようです。しかし、近年は月経のはじまる時期も早まっているようです。
日本女性が初潮をみるのは、平均年齢で12歳ぐらいですが、初潮が早くなる傾向は日本だけでなく、世界的なもののようです。
●やさしい月経周期の基本
月経がはじまった日を1日目として、その次の月経がはじまる日までを月経周期といいます。ふつうの人は25〜35日ぐらいが正常の範囲で、25日以内の周期、または35日以上の周期があく場合は異常と考えていいでしょう。しかし、人によっては不順な人もいますからそう神経質になる必要もないでしょう。
月経周期とは月経がはじまった日が月経周期の第1日目で、次の月経は、またはじまった日から計算するのが常識です。
しかし、数字どおりに安定しないのはとくに異常とはいえません。初潮後の月経は数ヶ月ないようなこともあります。初潮から半年たってから次の月経がおこるようなこともめずらしくありません。いずれにしても、初潮後2〜3年は不規則な周期であっても心配ないということです。
●出血量と日数にも個人差がある
周期と同じように、出血量も個人差があります。1回の出血量は、50〜150ミリリットルです。コップ1杯の半分ほどの出血量といわれています。初潮後2〜3年は、少量で終わってしまうときがあっても異常ではありません。
月経量は、暗赤色で粘り気のあるもので、酵素の作用で溶解され、凝固しない性質になっています。
しかし、出血量が多くなると酵素の溶解がにぶくなるので、たまにはレバー状のかたまりがおりることがありますが、とくに心配はいりません。ただし、その状態があまり長くつづくのはせいじょうではないので医師に相談してください。
月経の日数にもかなり個人差があります。初潮後は不安定ですが、成熟期になりますと、平均4〜7日ぐらいです。平均より長くても短くても、異常な場合もありますので、医師に相談したほうがいいでしょう。
また出産した女性は、未産婦より出血量が多く、出産する前に順調だった月経周期もぴったりくるようになる人もいます。そして、成熟期もすぎて40歳の後半になると、出血の量もだんだん減ってきます。
●月経のときのいろいろな症状
月経のときにはさまざまな身体症状を訴える人がたくさんいます。
それは、下腹部の充血のせいで腹痛があったり、腰痛がしたりするからです。そのほかイライラして怒りっぽくなったりする人もいます。また逆に集中力がなくなり、ぼーっとする人もいます。
また、月経ごとに異常な腹痛にみまわれて、薬をのまなくてはいられないとか、激しい場合には起きていられないという人もいますが、そういう場合は医師に相談して治療を受けるといいでしょう。
それも月経が終わると治ってしまいますから、病気と考えることはなく、神経質になることはありません。
●月経のときはこうすごす
月経そのものは病気ではありませんので、とくに普段の生活様式を変えることはありません。シャワーなども浴びて、できるだけ清潔にすごすようにこころがけます。昔は髪を洗ってはいけないなどという人もいましたが、むしろ洗髪も積極的にして気分をさわやかにすごしましょう。
スポーツもとくに過激なものではなければ、適度な運動はかえって腹痛を緩和することになりますから、さしつかえありません。
月経中のセックスは避けたほうが安全です。月経時の子宮の内膜は傷つきやすくなっていて、雑菌にも弱くなっているので、膣炎などをおこしやすいためです。月経中のセックスは快感度が高いという人もいますが、愛撫などを工夫することによってリラックスすることができるはずです。
●月経の万全な手当て
現在よく使われているものに、ナプキンとタンポンがあります。生理用のショーツもいろいろなタイプのものが市販されています。
ナプキンとタンポンの2種類の使い方は、そのときどきによってですが、ふつうはナプキンを使うほうが清潔度が保てるといえます。
もちろん長い時間使用したままというのは感心しません。少なくとも1〜2時間に1度は交換してください。
初めて使う人には、アプリケーター式のミニサイズが使いやすいでしょう。
旅行やスポーツをするときにはひじょうに便利ですが、激しい運動によって糸が切れたりして、ぬけなくなったりすることもありますから気をつけましょう。
タンポンを使うときも、できるだけ頻繁に交換するようにしないと、糸から雑菌が膣内に入って膣炎をおこしますから注意してください。
月経の手当て〜ナプキンを使う
ナプキンと裏についたズレ防止テープで生理用ショーツに止める
経血がもれないよう内側が防水加工された生理用ショーツ
こんなことに注意
ナプキンはこまめにかえよう
水洗トイレには流せないので必ず汚物入れに捨てよう
ほかにもこんなタイプがある
厚型…経血の多いときや長時間ナプキンをとりかえられないときに
薄型…経血の少ないときや始まりそうなときに
月経の手当て〜タンポンを使う
両足を肩幅ぐらいに開いてすこしひざをまげ、上半身をまえに倒す。片手で膣を広げ、もう一方の手でタンポンを挿入する
フィンガー式の挿入のしかた
ひもをのばし、フィンガーベールをつけた人差し指の先をくぼみにあてる
奥までおしこむ
スティック式の挿入のしかた
ひもを取り出して、くぼみにスティックを差し込む
アプリケーター式の挿入のしかた
外筒のはしをもって挿入し、内筒を人差し指で押す
●月経周期をずらすには?
運悪く月経のときに旅行の予定が入ったり、結婚式にぶつかったりした場合は、ホルモン剤を使って時期を変更することができます。
予定がわかっていたら、遅くとも1ヵ月前までに医師に相談して薬をもらいましょう。
月経を遅らせたい
月経を遅らせるには、卵胞ホルモンや黄体ホルモンを外から与えることによって時期をずらすことができます。
具体的には、月経の4,5日前から、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの混合剤(新EP錠など)を、月経がきてもいい時期まで服用します。この方法で10〜14日は月経を遅らせることができます。
月経を早めたい
月経がおわったらすぐに、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの混合剤を2週間ほど続けて服用します。そうして排卵を抑えて、その後服用を中止してから2、3日たつと、無排卵性月経がおこります。
どちらの場合もホルモン剤を使用するときは、必ず医師に相談してください。とくに、肝臓や心臓のわるい人、腎臓病の人、ホルモンに異常のある人はこうした薬を使用するのは危険ですから、注意してください。
月経を遅らせる方法
ホルモン剤を14日〜18日ぐらい服用する長くて10〜14日ぐらい月経を遅らせることができる。ホルモン剤の服用を中止してから2〜3日後に、人工月経が起こることを考えて服用期間を決める。
月経を早める方法
月経が終わった直後から2週間ホルモン剤を服用し、2〜3日後に人工月経が起こる。正常な周期の人で約1週間ほど早めることが出来る。
基礎体温のベーシックな知識
●基礎体温で体調の変化を知る
女性のからだは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの変動によって体温が変化しますから、その体温の変化でからだの変化をつかむことができます。
ほとんどの場合、基礎体温の計測は排卵日を知り、避妊のためのものに使われていますが、不妊症の人が妊娠したいときの目安にしたり、無月経の人が治療を受けたりするときの役にも立ちます。
初潮がはじまったときから、基礎体温を測る週間をつけておきますと、将来役に立つこともありますから、計画的につけるようにしてください。
また、計った体温は、毎日体温表に記入しましょう。そのとき一緒にかぜを引いて飲んだ薬とかセックスの日などのことを記入しておくと便利です。
●こうして計るのがベスト
基礎体温は、朝、目を覚ましたときにすぐ計るのがもっともいい計り方です。あらかじめ、夜寝る前に枕元に婦人体温計をおいてください。
そして、目覚めたら、すぐに口のなかの舌の下側に体温計をはさみます。そのあと5分間口を閉じてじっとしていてください。
基礎体温は正しく計ろう
朝、目が覚めたらすぐ、ふとんのなかにいるうちにはかる
体温計は寝る前にメモリを下げて、枕元に置いておく。
基礎体温の一定の流れを知る
体温が低いときを低温期(卵胞期)と呼びます。その時期は、卵巣から卵胞ホルモンが盛んに分泌されている時期で、およそ14日間つづきます。
また、その時期に陥落期といって、排卵を示す時期でもっとも妊娠しやすい日がありますが、陥落日がはっきりしないで、高温期に移動する人もいます。
そして排卵がおこり、黄体ホルモンが分泌されはじめますと、体温はどんどん上昇して高温期に入ります。それを黄体期とも呼んでいます。高温期は黄体ホルモンのはたらきによるものなのです。
低温期と高温期の差は約0.3度以上ですから、高温期には微熱があるのだろうか、と感じる人もいます。
高温期は約2週間つづきますが、黄体ホルモンの分泌が低下すると体温は自然に下がり、再び体温期に入り、月経がはじまります。
しつもん
最近、腰が痛くなることがときどきあります。どんなことに気をつけておけばよいのですか?
腰痛には、ぎっくり腰、椎間板ヘルニア、腰部変形脊椎症、脊椎分離症、坐骨神経痛などと、たくさんの原因が考えられます。また、消化器や子宮などに病気がある場合も腰痛をおこすことがありますから、自己診断はせず、どこがどのように痛むのか、専門医に相談してみることです。
腰痛を予防するのには、まず姿勢をよくすることが第一です。そして、長い時間同じ姿勢を続けないことです。家事に時間をとられる主婦としては、流し台などは身長に合わせて、無理のない姿勢で仕事ができるようにします。
寝具は、ふかふかのやわらかい布団は腰椎に負担がかかってよくないので、かためのものにかえましょう。また、ハイヒールや窮屈な靴も腰痛の原因になります。
腰痛がはじまったら、一応安静にして、腰を休ませることが必要です。炎症があると認められた場合は、冷シップなどが便利です。
慢性の腰痛には、入浴なども効果がありますが、その場合ぬるめの温度が適切です。腰痛をやわらげる体操を図のとおり行うのもよいでしょう。
しみ・そばかす・便秘 気になる悩みにこたえます
しつもん
夏に日焼けしたら、顔とうでにしみやそばかすができてしまいました。なおす方法をおしえてください。
ビタミンCをたっぶりとることです。ただし、顔に直接レモンをのせたりするのは、かえって肌を傷めることになりますからやめましょう。
また、たんぱく質は皮膚の新陳代謝に必要な栄養素ですから、良質のたんぱく質も、しっかりとりたいものです。
皮膚にあるメラニンという色素は、紫外線や外傷、摩擦などの刺激をうけると過剰に生成されます。これが、しみ、そばかすになります。初夏から秋にかけては紫外線が強まりますから、スポーツやレジャーで外に出るときは、必ず日焼け止めクリームをつけてください。秋になると日差しは弱まるので、つい油断しがちですが、紫外線は弱まっていませんから、気をつけてください。
しつもん
3日以上も便通がなくて、おなかははってしまうことがよくあります。便秘の解消法を教えてください。
重要なポイントはふたつあります。まずひとつは、繊維質を多く含む食品を、毎日とるということ。
ふたつめは、規則正しい生活をするということです。眠る時間、活動する時間のリズムを狂わせないことです。また、朝食は腸が1日の活動を始める合図にもなります。朝食はしっかりととりましょう。
女性には便秘が多く、悩んでいる人も多いことと思いますが、わずかながらでも便通があって、そのほかに頭痛やめまいなどの不快感がなければ、そう心配することはありません。便通は1日に1回必ずなければいけないというものではなく、逆にそう思うことがストレスにつながり、便秘の原因にもなります。
そして、便通がわるいのは、ふきでものや肌荒れの原因にもなりますから、ゆううつです。ふたつのポイントをしっかり守って、悩みをすっきり解消してください。
生活のリズムを整えよう!
ステップ2
かかりやすい気になる病気のチェック法
月経のいろいろな異常
初潮のときの異常
早発月経
初潮が8歳以前にはじまる
初潮が8歳以前にはじまる場合を早発月経といい、視床下部や脳下垂体に炎症・腫瘍があるために、ホルモンが過剰分泌されることが原因です。また、母親が授乳中にホルモン剤を飲んだためにおこることもあります。
遅発月経
初潮が16歳をすぎてもこない
初潮の平均年齢は、12〜13歳といわれていますが、16歳をすぎても初潮がなかったり、第2次性徴によるからだの変化がみられない場合をいいます。
原因と思われるものには、卵胞ホルモンの分泌異常や子宮や卵巣の発育が十分でなかったということがかんがえられます。婦人科へ行って、医師に相談しましょう。
月経がない
原発性無月経18歳すぎても月経がない
ふつうなら12歳〜15歳ごろにくるはずの月経が、18歳すぎてもおこらないことをいいます。
視床下部から脳下垂体へ、そして卵巣・子宮へと、ホルモンがはたらきかけることによって月経がおこります。この流れのなかに異常があると、初潮がなかったり、月経が止まったりしてしまうのです。その異常のなかでも先天性のものがあります。
月経というのは、女性にとってとても大切なものです。原発性無月経の疑いがあったら、早めに医師にみてもらいましょう。
月に1回くる月経、この月経が順調にいかないと、女性のからだは調子がわるくなります。月経についてのさまざまな異常を知っておけば、不調になったときの不安が早く解決されます。
下垂体性無月経
脳下垂体に腫瘍ができたいたり、機能が低下していることが原因です。
卵巣が正常であれば、卵胞刺激ホルモンを与えることにより、月経がおこります。
視床下部性原発性無月経
月経をおこさせる視床下部に異常があることにより無月経になります。心因性無月経と同じような要素が原因でおこります。
卵巣性無月経
卵巣形成不全や先天的・後天的な卵巣機能の低下により、卵巣からホルモンが分泌されないので、月経がおこらないのです。
子宮性無月経
生まれつき子宮がなかったり、発育が十分でなかったということが原因です。また、性器形成不全や性器の奇形により無月経になります。
仮性無月経
ホルモン分泌に異常はなく、月経はおこっているのですが、子宮頚管や膣、処女膜の閉鎖が原因でうまく流出せずに、月経血が貯まっていることです。
そのほかの原発性無月経
染色体異常によっておこるターナー症候群や、副腎皮質からの男性ホルモンの過剰な分泌のための男性化による、無月経があります。
・アドバイス
月経は病気ではなく、健康な女性なら誰にでもおこる生理状態です。しかし、それにも個人差があり、月経にともなう症状にも軽いものから心配のあるものまでさまざまですから、自分自身のからだのチェックをしておくようにしましょう。年齢によっても月経は変化していくものですから、常に対応できるように心がけが必要です。
続発性無月経
突然、月経がなくなった!
それまであった月経が、ある時期からなくなってしまったことをいいます。
ホルモンを分泌させる機能に異常がある場合もありますが、原発性無月経とくらべて、月経が以前におこっていたものですから、先天的なからだの異常はないといえます。
3カ月以上月経がおこらない場合は、基礎体温を計ってから、医師にみてもらいましょう。
心因性無月経
環境の変化や精神的なストレスにより、視床下部や脳下垂体に異常が発生して、ホルモン分泌がくずれてしまい、無月経になります。
神経性食欲不振症による無月経
やせたいという願望で、食物を受けつけなくなってしまい、体重が減って視床下部のはたらきがストップしてしまいます。
シーハン症候群による無月経
分娩のときなどの大出血で脳下垂体へ血液がおくられなくなり、脳下垂体の機能が低下して無月経がおこります。
そのほかの続発性無月経
脳下垂体に腫瘍ができていたり、機能が低下していたりするとおこります。
またホルモン剤やピルを服用していると、無月経になりやすいのです。人工中絶をくりかえしていくうちに、子宮内膜が卵巣からのホルモンに反応しなくなることも無月経の原因です。
月経周期の異常
頻発月経
月経の周期が短すぎる!
月経周期が24日以内で、人によっては、1ヵ月に2回あることもあります。
これは卵胞期が短くなって、排卵が8〜10日目ごろにおこる早期排卵によっておこるものと、黄体期が短縮するためにおこるもの、無排卵性のためにおこるものと3種類があります。医師による適切な治療が必要です。
稀発月経
月経の周期がひじょうに長い
月経周期が35日以上60日以内の場合をいいます。これは初潮を15歳以降に迎えた人に多くおこるようです。また60日以上ない場合は、無月経になることが考えられます。しかし、40日タイプとか45日タイプなどで、いつも間隔が一定している場合は治療は必要ありません。1年に3〜4回しかない場合は卵巣の異常ですから、妊娠を望んでいる人は基礎体温をつけて排卵があるかどうか調べたうえで、医師に相談しましょう。
出血量の異常
過多月経
出血量が多いようだ
月経のときの出血量は個人差がありますが、ふつうは1日にナプキン10枚以内ですむものが、20〜30枚以上も使う場合をいいます。また、血のかたまりなどが多いのは、思春期では子宮の発達が不十分のときで、更年期ではホルモンのバランスがくずれているときにおこりやすくなります。出血多量で貧血などをおこす場合は、医師にみてもらいましょう。
過少月経
出血量も少なく、月経が短周期
いわゆる月経の量が少なく、期間も短い場合をいいます。
これは子宮の発育不全や、脳下垂体のホルモンの分泌の異常による原因が多いようです。また、人工中絶したあと、月経がこなくなることがあります。そのほか、経口避妊薬(ピル)の服用で少なくなる場合もありますが、この場合は心配ありません。40〜50歳の閉経期に少なくなるのも心配ありません。
月経のときの不快な症状
よくある!月経のときの不快感
下腹部痛 頭痛 腰痛 吐き気 からだがだるくて寝込んでしまう
随伴症状
頭痛・腹痛・腰痛などがおこる
月経の際に、いろいろな不快な症状が出るのは、誰でもあることです。からだにはっきり出る症状としては、頭痛・腹痛・腰痛などですが、そのたびに薬を飲まなければいられないようでしたら、その原因を確かめるうえでも医師に相談してみましょう。
月経困難症
症状がひどくて寝込んでしまう
月経のときに不快な症状はよくみられるものですが、寝こんでしまうほど重症な場合があります。
思春期の場合は子宮の発育不全とホルモンのアンバランスによるものが原因と思われます。30〜40歳の場合は子宮筋腫・子宮内膜に原因があることがありますから、医師に相談して原因をはっきりさせましょう。
月経症候群
イライラして落ち着かない
からだにはっきり出る症状もあれば、精神的な症状もあります。管状の起伏が激しくなり、イライラしがちになります。しかし、それは病気ではなく、一時的なものだとわりきり、あまり気にしないようにすることです。
無排卵・不正出血
無排卵性月経
月経は正常だが、排卵がない
ふつうは、一定の周期で排卵・月経が行われます。
しかし、思春期や閉経期、授乳期などに、脳下垂体のホルモン失調が原因で、排卵がおこらずに月経だけが定期的におこります。
基礎体温を計ってみると、高温期がまったくない、あるいは短い期間であるということがわかります。
代償月経
突然に鼻血がでてくる
月経が遅れていたり、あっても少なかったりすると、鼻血としてあらわれたりすることがあります。
中間出血(排卵期出血)
月経以外のときに出血する
月経と月経の間に少量出血することです。
排卵後に卵胞ホルモンの分泌量が減少するために子宮内膜が変化をおこしてしまうからです。大きな心配はいりまsねんが、不正出血が長くつづくようでしたら、子宮筋腫・子宮ガンなどの子宮の病気があるかもしれません。自己判断は避けて、医師に相談するようにしましょう。
子宮と膣のいろいろな病気
子宮と膣の位置を確認
子宮と膣はつながっています。そして、出産という重要な役割をするための、大切な臓器なのです。
可愛い赤ちゃんを産むためにも、病気があってはたいへんです。
子宮の病気
子宮頸管炎
頸管は膣の炎症が伝わりやすい
原因
・流産や分娩、人工妊娠中絶のあとの不衛生。
・避妊器具やタンポンの使用で膣が炎症をおこしている。
・男性が淋菌に侵されている。
・大腸菌により膣が炎症をおこしている。
以上のような場合に、淋菌や大腸菌、クラミジア、ブドウ球菌が膣内に広がり、子宮頸部の分泌腺に入り込み、炎症をおこします。
症状
子宮膣部や頸管部が赤くはれて、びらんをおこします。そして、うみのようなおりものが増え、下腹部・腰痛・発熱などがみられます。
治療
原因の菌がどれかを調べ、その菌に対しての抗生物質を投与します。
慢性になると、全身的・局所的に抗生物質を投与し、ホルモンの治療も同時に行います。
子宮内膜症
発生した内膜は、良性である
原因
・月経の際にはがれた内膜の一部が排出されずに、卵管に入り腹腔内へ逆行して分散する
・内膜の一部が、リンパ管や静脈のなかに入り、運ばれて発病する。
などが原因で、内膜が子宮内壁以外のところに発生してしまいます。
症状
子宮筋層に発生した場合、月経のときの下腹部痛が激しいものになります。
子宮頸部後面に発生したら、腸と癒着します。また、セックスの際には、痛みを感じます。
卵巣では、内部に血がたまり、チョコレートのようなかたまりの腫瘤をつくり、機能障害をおこし、月経異常となります。卵管での内膜症は、不妊や卵管妊娠をおこします。
治療
黄体ホルモンを長期間投与することで、排卵をおさえて無月経にし、子宮内膜を増殖させないようにします。しかし、この方法は、症状を軽くするだけで、完治はしません。
完治するためには、子宮を含めて幹部や卵巣までも摘出する手術を行います。
・アドバイス
膣はセックスのときに男性性器を受け入れる大切な臓器です。子宮は女性のからだの中心にあり、赤ちゃんがすくすく育っていくところです。子宮と膣は密接に関係しているものですから、どちらかに異常があると両方とも病気になるということもあります。
こうしたことをまねかないためにも、事前に防ぐことをこころがけましょう。
子宮筋腫
もっとも多い、良性の腫瘍
原因
はっきりした原因はわかりませんが、成熟期に多くみられ、閉経期にはできていた筋腫が小さくなってしまいます。このことから、卵胞ホルモンの過剰な刺激により、子宮をつくっている平滑筋や結合組織が増殖し、筋腫をつくるのではないかといわれています。
おおきさは豆粒ぐらいのものから、こぶしぐらいのものなどとさまざまです。
症状
月経時に激しい痛みを感じるようになり、出血量が多くなったり、期間が長くなったりします。また、レバーのような血のかたまりがみられます。
筋腫が大きくなると、腸や膀胱を圧迫し、便秘や膀胱炎をおこします。
そのほかにも筋腫の発生した場所により、さまざまな症状があります。
治療
筋腫の大きさ、発生した場所、年齢、症状によって、摘出手術を行います。おもなももには、筋腫摘出術、子宮膣上部切断術、単純性子宮全摘除術があります。
子宮内膜炎
子宮内膜が炎症をおこしたもの
子宮内膜炎は、雑菌が子宮内膜に入りこみ炎症をおこすというものです。
感染した菌によって、非特異性・特異性・老人性の大きく3つになります。
これらの内膜炎では、発熱やおりものの異常がよくみられる症状です。しかし、種類によって状態はさまざまですから、注意してよくみましょう。
子宮内膜炎の一覧表
非特異性子宮内膜炎
原因・症状
子宮内頸管炎からの感染や避妊具の挿入後におこりやすい。また、分娩や流産のあとにもよくみられる。
子宮内膜の変化がくずれるために不正出血がみられ、下腹部痛をともなう。また、うみのように黄色いおりものや血がまざったおりものがあり、量も増えている。症状がひどい場合は発熱もおこる
治療
抗生物質の投与を受け、安静にしている。子宮内膜はつきに1度はがされて、新しく修復されるため、子宮内膜炎の慢性化は珍しい。炎症が筋層へ広がる場合は慢性化もみられる
特異性子宮内膜炎
淋病性子宮内膜炎
原因・症状
淋菌感染が原因で尿道痛をともなう尿道炎が完治していないと、炎症が子宮頚管部に侵入し、子宮内膜へと広がるためにおこる
青みを含んだ黄色いおりものがあり、下腹部痛・発熱・便秘などがおこる。炎症が卵管へ広がると、淋菌性卵管炎をおこす。卵管が狭くなるので不妊症の原因にもなるので注意
治療
ペニシリンなどの抗生物質を投与し、安静にすること。淋菌の培養検査を併用して行う
結核性子宮内膜炎
原因・症状
現在では、結核がみられなくなったため、珍しい疾患のひとつである。原因の多くは、肺結核から血液を通じて卵管に感染し、子宮内膜へと広がっていく
症状としては、微熱や疲労感がみられ、内膜の変化による不正出血や無月経などがあらわれる場合もある
治療
結核菌に抗生物質を投与する化学療法を行う。入院が必要とし安静にしておくこと
老人性子宮内膜炎
原因・症状
女性の膣は、更年期ごろになると,自浄作用が低下してくるため、大腸菌による膣炎をおこす。それが膣炎から子宮へと広がる。また子宮が萎縮するため、排出物の出口がなくなり、子宮内にたまってしまう。これにより収縮作用がおこり、下腹部痛とうみのようなおりものがみられる。
治療
頸管部を広げて子宮内にたまったうみを排出する。このうみが、子宮がんとなることがあるため、子宮内膜の検査を行う
子宮後傾後屈症
子宮は前に傾いているのが正常
可動性後屈
原因、症状
子宮を支えている靭帯や筋肉の先天的な発育不全により、子宮が後方に折れ曲がってしまっているものです。
症状はほとんどみられませんが、なかには月経困難症や頭痛、便秘などを訴える人もいます。また不妊・流産の原因になる場合もあります。
治療
症状がひどいようなら、ペッサリーで矯正したり、靭帯を縮めたりします。
癒着性後屈
原因、症状
子宮内膜症や骨盤の炎症などにより、子宮が骨盤や直腸と癒着して、後方へ傾いてしまいます。
症状は、下腹部や月経困難症、腰痛、重症な便秘をおこし、不妊症になりやすくなります。
ホルモン治療で、癒着の状態をやわあらげていきます。しかし、ほとんどは癒着の剥離をして、子宮を正常な位置へもどす手術をします。
子宮下垂・子宮脱
重症は子宮下垂から子宮脱へ
原因
子宮が骨盤の中央に位置しているのは、多くの靭帯によって支えられているからです。しかし、靭帯の機能に異常が発生すると、靭帯が伸びてきてしまいます。そのために子宮が下がってきて、膣の外へ出てしまいます。
症状
下垂の状態が軽いときはとくに症状がないのですが、重症になるにつれて脱出した性器が歩行を妨げたり、炎症をおこしたりします。また、膀胱脱や直腸脱などの合併症が発生します。
治療
ペッサリーを挿入して、下垂の進行をある程度妨げることができますが、完治するためには手術を行います。
膣の病気
膣の内側の壁は重層扁平皮細胞という厚い粘膜で保護されていて、伸縮性にも富んでいます。膣の内部はふだんは酸性ですが、その酸性度が低下したときに炎症がおこります。また、膣には自浄作用がありますが、その浄化作用が低下すると細菌が膣内で繁殖します。
トリコモナス膣炎
トリコモナスは身近にいる
原因
トリコモナスという寄生虫によっておこる病気で、感染はセックス、入浴などによるものです。
感染してから、膣内の自浄作用が低下し、4〜5日に症状があらわれます。
症状
陰部にかゆみがあり、排尿のときに痛みがあります。また、悪臭のある細かい泡のまじった淡黄色のおりものが多量にでます。
ただ、感染しても発病せず、症状がまったく出ないこともあります。
治療
投薬で症状はかんたんに消えますが、再発を防ぐために、症状が消えてからも2〜3週間は治療を続けます。
治療は、必ずパートナーと一緒に受けるようにしましょう。そうしないと、せっかく直っても、また、うつし合うことになるからです。
カンジダ膣炎
抵抗力がないとき感染しやすい
原因
カンジダ・アルビカンスというカビの感染によっておこります。
からだの抵抗力が低下している糖尿病や、妊娠中の人、抗生物質を長期間にわたって多量に使用したあとの人などがかかりやすいといわれています。
また、男性はカンジダに感染していても、かゆみなどを感じないために気づかないことが多く、そのために、知らずにセックスによって女性にうつしてしまうことがあります。
症状
カッテージチーズのような白いポロポロしたおりものが増え、外陰部が非常にかゆくなります。
治療
症状は3〜4日の投薬でほぼおさまりますが、ひじょうに再発しやすいので、最低一ヵ月は治療をつづけます。
セックスで感染する病気ですから、パートナーも、まず、感染していると考えてよいでしょう。その意味から、ぜひ、パートナーと一緒に治療をうけましょう。
非特異性膣炎
異物の置き忘れも原因のひとつ
原因、症状
妊娠した人や閉経後の人、小児など、膣の自浄作用の弱まった人に多く、雑菌の侵入や、セックスによる傷などから炎症をおこします。
悪臭のある、うみ状のおりものが増え、外陰部が赤くただれます。
また、タンポンやペッサリーなど、異物の置き忘れが原因になることもあります。
治療
原因となった雑菌がどんなものかをつきとめ、抗生物質の入った膣坐薬を入れます。また、膣の洗浄などをして膣を清潔にします。
老人性膣炎
自浄作用が低下する更年期が注意
原因、症状
閉経が近づくにつれて卵巣のはたらきが低下してくるので、卵胞ホルモンの分泌量が現象します。すると、膣内の自浄作用の低下のために雑菌に感染してしまうのです。そして、抵抗力もなくなってくるので、セックスで傷ついて炎症をおこすこともあります。
症状としては、薄いピンク色のおりものや黄色っぽいおりものが増えてきます。
治療
卵胞ホルモンの分泌量を増やせば、よくなります。
卵胞ホルモンの錠剤や坐薬で補います。
膣を清潔に保つには
外陰部にふれるときは、てをよく洗うようにする。セックスやペティングのときには、パートナーも期をつけるように
入浴のときは、外陰部をよく洗うこと。強くこすると傷ができて細菌が入りこむので注意する。せっけんでのかぶれも注意
月経のときは、ナプキンをこまめにかえて外陰部をきれいにしておくように
下着でからだをしめつけないこと。また、合成繊維でかぶれることもあるので避ける
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子宮と膣のいろいろな病気
子宮と膣の位置を確認
子宮と膣はつながっています。そして、出産という重要な役割をするための、大切な臓器なのです。
可愛い赤ちゃんを産むためにも、病気があってはたいへんです。
子宮の病気
子宮頸管炎
頸管は膣の炎症が伝わりやすい
原因
・流産や分娩、人工妊娠中絶のあとの不衛生。
・避妊器具やタンポンの使用で膣が炎症をおこしている。
・男性が淋菌に侵されている。
・大腸菌により膣が炎症をおこしている。
以上のような場合に、淋菌や大腸菌、クラミジア、ブドウ球菌が膣内に広がり、子宮頸部の分泌腺に入り込み、炎症をおこします。
症状
子宮膣部や頸管部が赤くはれて、びらんをおこします。そして、うみのようなおりものが増え、下腹部・腰痛・発熱などがみられます。
治療
原因の菌がどれかを調べ、その菌に対しての抗生物質を投与します。
慢性になると、全身的・局所的に抗生物質を投与し、ホルモンの治療も同時に行います。
子宮内膜症
発生した内膜は、良性である
原因
・月経の際にはがれた内膜の一部が排出されずに、卵管に入り腹腔内へ逆行して分散する
・内膜の一部が、リンパ管や静脈のなかに入り、運ばれて発病する。
などが原因で、内膜が子宮内壁以外のところに発生してしまいます。
症状
子宮筋層に発生した場合、月経のときの下腹部痛が激しいものになります。
子宮頸部後面に発生したら、腸と癒着します。また、セックスの際には、痛みを感じます。
卵巣では、内部に血がたまり、チョコレートのようなかたまりの腫瘤をつくり、機能障害をおこし、月経異常となります。卵管での内膜症は、不妊や卵管妊娠をおこします。
治療
黄体ホルモンを長期間投与することで、排卵をおさえて無月経にし、子宮内膜を増殖させないようにします。しかし、この方法は、症状を軽くするだけで、完治はしません。
完治するためには、子宮を含めて幹部や卵巣までも摘出する手術を行います。
・アドバイス
膣はセックスのときに男性性器を受け入れる大切な臓器です。子宮は女性のからだの中心にあり、赤ちゃんがすくすく育っていくところです。子宮と膣は密接に関係しているものですから、どちらかに異常があると両方とも病気になるということもあります。
こうしたことをまねかないためにも、事前に防ぐことをこころがけましょう。
子宮筋腫
もっとも多い、良性の腫瘍
原因
はっきりした原因はわかりませんが、成熟期に多くみられ、閉経期にはできていた筋腫が小さくなってしまいます。このことから、卵胞ホルモンの過剰な刺激により、子宮をつくっている平滑筋や結合組織が増殖し、筋腫をつくるのではないかといわれています。
おおきさは豆粒ぐらいのものから、こぶしぐらいのものなどとさまざまです。
症状
月経時に激しい痛みを感じるようになり、出血量が多くなったり、期間が長くなったりします。また、レバーのような血のかたまりがみられます。
筋腫が大きくなると、腸や膀胱を圧迫し、便秘や膀胱炎をおこします。
そのほかにも筋腫の発生した場所により、さまざまな症状があります。
治療
筋腫の大きさ、発生した場所、年齢、症状によって、摘出手術を行います。おもなももには、筋腫摘出術、子宮膣上部切断術、単純性子宮全摘除術があります。
子宮内膜炎
子宮内膜が炎症をおこしたもの
子宮内膜炎は、雑菌が子宮内膜に入りこみ炎症をおこすというものです。
感染した菌によって、非特異性・特異性・老人性の大きく3つになります。
これらの内膜炎では、発熱やおりものの異常がよくみられる症状です。しかし、種類によって状態はさまざまですから、注意してよくみましょう。
子宮内膜炎の一覧表
非特異性子宮内膜炎
原因・症状
子宮内頸管炎からの感染や避妊具の挿入後におこりやすい。また、分娩や流産のあとにもよくみられる。
子宮内膜の変化がくずれるために不正出血がみられ、下腹部痛をともなう。また、うみのように黄色いおりものや血がまざったおりものがあり、量も増えている。症状がひどい場合は発熱もおこる
治療
抗生物質の投与を受け、安静にしている。子宮内膜はつきに1度はがされて、新しく修復されるため、子宮内膜炎の慢性化は珍しい。炎症が筋層へ広がる場合は慢性化もみられる
特異性子宮内膜炎
淋病性子宮内膜炎
原因・症状
淋菌感染が原因で尿道痛をともなう尿道炎が完治していないと、炎症が子宮頚管部に侵入し、子宮内膜へと広がるためにおこる
青みを含んだ黄色いおりものがあり、下腹部痛・発熱・便秘などがおこる。炎症が卵管へ広がると、淋菌性卵管炎をおこす。卵管が狭くなるので不妊症の原因にもなるので注意
治療
ペニシリンなどの抗生物質を投与し、安静にすること。淋菌の培養検査を併用して行う
結核性子宮内膜炎
原因・症状
現在では、結核がみられなくなったため、珍しい疾患のひとつである。原因の多くは、肺結核から血液を通じて卵管に感染し、子宮内膜へと広がっていく
症状としては、微熱や疲労感がみられ、内膜の変化による不正出血や無月経などがあらわれる場合もある
治療
結核菌に抗生物質を投与する化学療法を行う。入院が必要とし安静にしておくこと
老人性子宮内膜炎
原因・症状
女性の膣は、更年期ごろになると,自浄作用が低下してくるため、大腸菌による膣炎をおこす。それが膣炎から子宮へと広がる。また子宮が萎縮するため、排出物の出口がなくなり、子宮内にたまってしまう。これにより収縮作用がおこり、下腹部痛とうみのようなおりものがみられる。
治療
頸管部を広げて子宮内にたまったうみを排出する。このうみが、子宮がんとなることがあるため、子宮内膜の検査を行う
子宮後傾後屈症
子宮は前に傾いているのが正常
可動性後屈
原因、症状
子宮を支えている靭帯や筋肉の先天的な発育不全により、子宮が後方に折れ曲がってしまっているものです。
症状はほとんどみられませんが、なかには月経困難症や頭痛、便秘などを訴える人もいます。また不妊・流産の原因になる場合もあります。
治療
症状がひどいようなら、ペッサリーで矯正したり、靭帯を縮めたりします。
癒着性後屈
原因、症状
子宮内膜症や骨盤の炎症などにより、子宮が骨盤や直腸と癒着して、後方へ傾いてしまいます。
症状は、下腹部や月経困難症、腰痛、重症な便秘をおこし、不妊症になりやすくなります。
ホルモン治療で、癒着の状態をやわあらげていきます。しかし、ほとんどは癒着の剥離をして、子宮を正常な位置へもどす手術をします。
子宮下垂・子宮脱
重症は子宮下垂から子宮脱へ
原因
子宮が骨盤の中央に位置しているのは、多くの靭帯によって支えられているからです。しかし、靭帯の機能に異常が発生すると、靭帯が伸びてきてしまいます。そのために子宮が下がってきて、膣の外へ出てしまいます。
症状
下垂の状態が軽いときはとくに症状がないのですが、重症になるにつれて脱出した性器が歩行を妨げたり、炎症をおこしたりします。また、膀胱脱や直腸脱などの合併症が発生します。
治療
ペッサリーを挿入して、下垂の進行をある程度妨げることができますが、完治するためには手術を行います。
膣の病気
膣の内側の壁は重層扁平皮細胞という厚い粘膜で保護されていて、伸縮性にも富んでいます。膣の内部はふだんは酸性ですが、その酸性度が低下したときに炎症がおこります。また、膣には自浄作用がありますが、その浄化作用が低下すると細菌が膣内で繁殖します。
トリコモナス膣炎
トリコモナスは身近にいる
原因
トリコモナスという寄生虫によっておこる病気で、感染はセックス、入浴などによるものです。
感染してから、膣内の自浄作用が低下し、4〜5日に症状があらわれます。
症状
陰部にかゆみがあり、排尿のときに痛みがあります。また、悪臭のある細かい泡のまじった淡黄色のおりものが多量にでます。
ただ、感染しても発病せず、症状がまったく出ないこともあります。
治療
投薬で症状はかんたんに消えますが、再発を防ぐために、症状が消えてからも2〜3週間は治療を続けます。
治療は、必ずパートナーと一緒に受けるようにしましょう。そうしないと、せっかく直っても、また、うつし合うことになるからです。
カンジダ膣炎
抵抗力がないとき感染しやすい
原因
カンジダ・アルビカンスというカビの感染によっておこります。
からだの抵抗力が低下している糖尿病や、妊娠中の人、抗生物質を長期間にわたって多量に使用したあとの人などがかかりやすいといわれています。
また、男性はカンジダに感染していても、かゆみなどを感じないために気づかないことが多く、そのために、知らずにセックスによって女性にうつしてしまうことがあります。
症状
カッテージチーズのような白いポロポロしたおりものが増え、外陰部が非常にかゆくなります。
治療
症状は3〜4日の投薬でほぼおさまりますが、ひじょうに再発しやすいので、最低一ヵ月は治療をつづけます。
セックスで感染する病気ですから、パートナーも、まず、感染していると考えてよいでしょう。その意味から、ぜひ、パートナーと一緒に治療をうけましょう。
非特異性膣炎
異物の置き忘れも原因のひとつ
原因、症状
妊娠した人や閉経後の人、小児など、膣の自浄作用の弱まった人に多く、雑菌の侵入や、セックスによる傷などから炎症をおこします。
悪臭のある、うみ状のおりものが増え、外陰部が赤くただれます。
また、タンポンやペッサリーなど、異物の置き忘れが原因になることもあります。
治療
原因となった雑菌がどんなものかをつきとめ、抗生物質の入った膣坐薬を入れます。また、膣の洗浄などをして膣を清潔にします。
老人性膣炎
自浄作用が低下する更年期が注意
原因、症状
閉経が近づくにつれて卵巣のはたらきが低下してくるので、卵胞ホルモンの分泌量が現象します。すると、膣内の自浄作用の低下のために雑菌に感染してしまうのです。そして、抵抗力もなくなってくるので、セックスで傷ついて炎症をおこすこともあります。
症状としては、薄いピンク色のおりものや黄色っぽいおりものが増えてきます。
治療
卵胞ホルモンの分泌量を増やせば、よくなります。
卵胞ホルモンの錠剤や坐薬で補います。
膣を清潔に保つには
外陰部にふれるときは、てをよく洗うようにする。セックスやペティングのときには、パートナーも期をつけるように
入浴のときは、外陰部をよく洗うこと。強くこすると傷ができて細菌が入りこむので注意する。せっけんでのかぶれも注意
月経のときは、ナプキンをこまめにかえて外陰部をきれいにしておくように
下着でからだをしめつけないこと。また、合成繊維でかぶれることもあるので避ける
卵巣と卵管のいろいろな病気
卵巣と卵管の炎症
卵巣炎と卵管炎
卵管炎との合併症が卵巣炎
原因
セックスや避妊器具、または出産・流産・人工妊娠中絶などのときに、原因となる淋菌・ブドウ球菌・化膿菌・結核菌などが、膣・頸管・子宮内腔を通って卵管へ入りこみ、卵管炎をおこします。卵巣へ伝わり、卵巣炎を合併することもあります。ひじょうに炎症をおこしやすい部分といえます。
症状
急性期では、38度以上の高熱と激しい下腹部痛がおこり、おう吐やおりものの増加がみられます。
慢性期では、激しい痛みはおさまりますが、卵管がまわりの組織と癒着して、狭くなってしまいます。そのために、卵管溜膿腫や卵管溜水腫をおこします。さらにひどくなると、癒着性の子宮後屈や卵管閉塞になり、月経困難症や不妊の原因となります。
治療
発病まもない急性期に治療をすることが大切です。原因菌に対して、強力な抗生物質や副腎皮質ホルモンを投与し、慢性にならないように安静にします。慢性の場合は、手術を行うこともあります。
卵巣に発生する腫瘍
卵巣にはいろいろな腫瘍ができることがありますが、大きく分けて、卵巣のう腫と充実性腫瘍のふたつに分けることができます。
卵巣腫瘍の90パーセントは卵巣のう腫で、あとの10パーセントが充実性腫瘍となります。
卵巣のう腫は、できた腫瘍によって3つに分かれ、充実性腫瘍には、良性と中性、悪性があります。
卵巣腫瘍
検診を受けて、早期発見を!
原因
はっきりした原因というのは、現代の医学ではまだつきとめることはできていません。
症状
腫瘍の大きさはさまざまですが、ほとんどの場合、こぶしぐらいの大きさになると、ようやく自覚症状といえるものがあらわれます。腰痛・腹痛をおこしたり、腹水がたまったり、貧血をおこしやすくなったりします。
しかし、それまでは症状もほとんどなく、検診を受けてたまたま発見されることが多いようです。
早期発見が、何よりの予防といえます。検診は必ず受けてください。
治療
良性腫瘍の摘出手術には、腫瘍が発生している卵巣を全部摘出するものと腫瘍だけを摘出するものとがあります。後者は、卵巣の一部が残るので、今まで通りに機能し、妊娠します。
悪性腫瘍は、両方の卵巣と子宮の摘出手術を行います。この場合は、妊娠できないからだになり、若い人は心疾患で死亡するケースもあります。
・アドバイス
卵巣は、受胎する大切な場所であるとともに、からだのなかでもっとも腫瘍のできやすい器官です。
少しでもおなかが張る・下腹部が痛いといった症状を感じたら、婦人科へ行って診療を受けるようにすることが腫瘍を早くみつける最良の方法です。
また、定期的に検診を受けていれば、早期発見・早期治療につながります。
外陰の病気と性病
外陰の病気
感染性外陰炎
清潔にするのが最善の予防方
原因 症状
局部を不潔にしたままのセックスや、オナニーでの細菌感染からおこります。
症状としては、かゆみがあり、赤くはれてきたりします。
また、膣に炎症があると、そのおりもので外陰部の炎症がおこる場合も少なくありません。ときには、慢性化することもあります。
治療
原因をみつけて適切な処置をするようにします。独自の判断と治療はかえって悪化させることがありますから、はやめに医師に相談するようにしましょう。
アレルギー性外陰炎
下着やナプキンとの摩擦が原因
原因 症状
細菌に感染したのではなく、ナイロンの下着や生理用ナプキンなどがこすれて炎症をおこすもので、かゆみがあります。
治療
かゆくてもかかないようにし、抗ヒスタミン剤などを使用すれば、1週間ほどで治ります。
外陰白癬症
水虫の原因となる菌でおこる
原因 症状
手や足にできる水虫の原因である、白癬菌というかびの一種が、陰部に発生してかゆみをおこす病気です。茶褐色の湿疹が陰部全体に広がり、湿疹の周囲は白っぽくなります。
治療
この菌は湿っぽいところに発生しやすいので、通気性の悪いナイロンのストッキングや下着は避けたほうがいいでしょう。そして、白癬治療剤などをくりかえし塗ってください。
外陰部は、せいけつにしていても多少の汚れは残るものですが、炎症をおこさないために、セックスのあとや月経のときの手入れが大切です。これは、性病の予防にもなります。
外陰の病気の治療タブー
自己判断はダメ!すぐ病院へ
通気性のわるい下着はダメ!
不潔なままにしておっくのはダメ!
・アドバイス
外陰部は不衛生にしておくのが、病気を引き起こす一番の原因です。とくに女性は、月経のときの手当てをきちんとしておかないと、すぐに感染してしまいます。
性病は、セックスでうつるものですから、自分が注意していてもパートナーが病気ならたいへんです。お互いにからだのチェックをしましょう。
外陰掻痒症
いろいろな原因が考えられる
原因 症状
大陰唇や小陰唇がひじょうにかゆくなる病気です。なかなかやっかいな病気で、かいてもかいてもおさまらないという症状がでます。原因は陰部の不潔さもありますが、からだの内部の病気が起因している場合もあります。たとえば、アレルギー症・糖尿病・肝機能障害・ホルモンのアンバランスなどです。
そのほかに、カンジダ症・トリコモナス症・毛じらみ・ぎょう虫、あるいは下着の摩擦などがあります。また、これらの原因がなくておこる場合は、精神的な要因があるのではないかといわれています。
治療
まず外陰部を清潔にして1週間ぐらいようすをみます。それでもかゆみがおさまらないようなら、医師に相談しましょう。
バルトリン腺炎
原因 症状
性的衝動がおきると、膣の両脇にある分泌腺から透明な分泌液が出て、セックスの補助の役割をします。しかし、セックスのときに不潔な手で触れたり、細菌が入ったりすると、バリトリン腺が炎症をおこしてはれます。
治療
抗生物質を塗りますが、ひどいときは切開してうみを出します。
外陰萎縮症
更年期以後の女性に多い
原因 症状
原因は不明ですが、卵巣の機能低下と関係があるようです。若い人には少なく、更年期以降の女性に多くみられます。かゆみがあり、熱っぽい感じもあります。外陰部全体が城っぽくなり、この状態が進むと、外陰部が萎縮して、さらに膣も萎縮するため、セックスを行うことは不可能になります。
治療
やっかいなのは、この病気がガンに発展しやすいということです。早いうちに適切な治療が必要ですから、それらしい治療しましょう。注意したいのは、かゆみに気をとられて、市販のかゆみ止めを塗ってしまうことです。だいじに至らないうちに、医師の診断を受けましょう。
毛根炎
清潔にして治療をつづける
原因 症状
これは、陰毛の毛根から細菌が入っておこる病気です。毛根部分が赤くはれて、ヒリヒリと痛くなります。
治療
抗生物質を使うとだんだんよくなります。
ベーチュット病
原因が不明で完治はむづかしい
原因 症状
口の内部に口内炎ができてなかなか治らず、同時に外陰部にも潰瘍ができている場合は、ベーチュットびょうの疑いがあります。
難病といわれ、原因はまだわかっていません。それほど多い病気ではありませんが、20〜30歳代の女性におこることが多いようです。
治療
現代の医学では、まだ治すことはできませんが、症状を軽くすることはできます。症状に思いあたることがあったら、医師に相談してみることです。
アフタ性潰瘍と急性外陰潰瘍
原因 症状
アフタ性潰瘍は、口内炎とよく似た潰瘍が小陰唇の内側にでき、激しく痛みます。原因はよくわかっていませんが、からだの抵抗力が弱くなっているときにおこりやすいようです。
アフタ性潰瘍がひどくなると、急性外陰潰瘍になり、大陰唇から小陰唇の内側、前庭粘膜にまで多くの潰瘍ができ、熱がでます。
治療
十分な睡眠と、バランスのとれた食事をたっぷりととり、たいりょくを回復させます。
同時に清潔にして副腎皮質ステロイド薬、抗生物質などを塗ります。3日〜2週間ぐらいで治りますが、再発しやすいので気をつけます。
性病
性病はなかなか人に相談しにくいものですが、ほうっておくとびょ気はどんどん進行していきます。恥ずかしいなどと思わずに、思い切って病院に行くましょう。早めに治してしまえば治療は楽ですし、不安がなくなれば気分もすっきりします。
性病を発見したときは医師はその地域の保健所に必ず届けることが義務づけられています。
梅毒
ほっておくと脳が侵される
原因
「スピロヘータ」と呼ばれていた病原体によっておこる性病のひとつで、いまでは「トレポネーマ・パリズム」と呼ばれています。
症状
全体で第1期〜第3期に分かれています。第1期の症状は「トレポナーネ」の入りこんだ場所に2〜3週間後に大豆ほどの固いしこりと潰瘍ができます。次に、大腿部のつけ根のリンパ腺がはれてきます。
この症状は自然に消え、感染後2〜3カ月たつと全身に赤い発疹が出てきます。この時期が第2期です。陰部には返杯コンジロームというただれたしこりが出たり消えたりします。この時期は伝染力が強く、危険なときです。
第3期になると、からだ内部の各所にゴム腫というしこりができます。さらに経過すると、目に見えなくなる、心臓がわるくなる、脊髄が冒されるといった晩期梅毒の症状があらわれます。ついには脳が侵されて人格が変わり、発狂して廃人となってしまいます。
また、必ず初期の症状が出るとは限らず、第2期、第3期の症状が突然あらわれて急速に進行することもあり、梅毒の怖さを思い知らされます。検査をしても、感染後4〜7週間たたないと、感染しているかどうかはわかりません。梅毒に感染した女性が妊娠した場合、妊娠4ヶ月以前に治療をすれば問題はないのですが、感染していると、先天性梅毒児を出産する恐れがあります。
治療
抗生物質の大量投与か、筋肉注射によって治療します。
軟性下疳
海外旅行がもたらした性病
原因
日本ではあまりみられない病気でしたが、これも海外旅行ブームのおかげで日本にも上陸してきました。軟性下疳(デュクレー菌)が感染しておこります。
症状
感染後2〜3日して、外陰に赤く小さい発疹ができます。やわらかくて痛みのあるのが特徴で、それが化膿してつぶれ、潰瘍ができます。
治療
サルファ剤の投与で治療できます。
予防法としては、セックスの際にコンドームを使用することと、海外での不潔なセックスを避けることがあげられます。
淋病
外へ外へと広がっていく
原因 症状
セックスによって淋菌が感染しておこる病気です。淋菌の影響力は弱いものだと思われていましたが、最近では、意外に強いことがわかってきました。
抗生物質の登場により一時的に少なくなりましたが、海外旅行が増えるにつれ、また増加する傾向にあります。
感染のあと、2〜8日の潜伏期間を経て、尿道口のあたりが赤くはれてむずがゆくなり、黄緑色のうみが出ます。また、排尿時に激しい痛みがあります。
この病気の怖いところは、尿道炎から膀胱炎、頸肝炎から子宮内膜炎、卵管炎へと広がっていくことです。また、完治したあとも、不妊の原因になることがあります。
治療
抗生物質の投与か注射を行います。
治りにくいので、完治するまで根気よく治療しましょう。
治療は必ずパートナーとふたりで受けます。かたほうが治療しても、もういっぽうが治療をしなければ、再発をくりかえすだけになってしまいます。
第4性病
性器が変形することがある
原因
そけいリンパ肉芽腫とも呼ばれ、現在ではあまりみられない病気です。病原体は、宮川小体と呼ばれるウイルスの一種です。
症状 治療
セックス後1〜4週間でそけい部に発疹ができ、発熱したり痛みを感じたりします。膣と直腸に通じる穴があき、性器の形が変わってしまうことになります。治療には、やはり抗生物質が効果があります。
STD(性行為感染症)
クラミジア感染症
発生しやすく治りにくい
原因 症状
トラコーマ結膜炎と同じ病原体によっておこる病気です。淋病よりも発生率が高く、そのうえ治りにくいため世界中に広がり、問題になっています。
男性の場合は排尿のときに不快感があり、灰白色の分泌物が出たり、尿道内がむずがゆくなったりしますが、女性はにおいや色のないおりものが少し増えるだけなので、気づかないままのことが多い病気です。
妊婦がかかった場合には、新生児が結膜炎や肺炎になることがあるので注意が必要です。
治療
抗生物質を最低でも3週間は服用しつづけます。
ヘルペス感染症
完治するのはむずかしい
原因 症状
セックスによるヘルペス・ウイルスの感染で、まず10個ぐらいの小さな水泡が外陰部や膣にできます。それが破れて潰瘍ができ、うすい皮がついた状態になります。からだの調子がわるいときにかかりやすく、歩くだけでも激しく痛みます。再発もしやすいので、注意が必要です。
治療
完全に治す方法はありませんが、抗生物質や副腎皮質ステロイド薬で症状をおさえることはできます。
妊婦が感染した場合には、新生児に感染してヘルペス脳炎やヘルペス感染症をおこし、ひどいときは死亡することもあります。
尖形コンジローム
とがった形の腫瘍は良性である
原因 症状
ウイルスの感染によっておこる病気のひとつです。外陰部に、先端がとがった小さいイボほような腫瘍ができるのが特徴です。かゆみと発熱があり、症状が進むと悪臭を放ちます。感染するのはセックスのときが多く、またはウイルスやおりものによって人にうつる場合もあります。また、淋病が原因していることもあります。
治療
電気焼灼などで、腫瘍を取り除きます。再発することがあるので、清潔をこころがけます。ただし、ガンとは別物で良性の腫瘍ですから、心配はいりません。
エイズ
別名は後天性免疫不全症候群
原因 症状
ヒト免疫不全ウイルス(HIVウイルス)が、おもに血液と精液を媒介にして感染するものです。ふつう、2〜5年ぐらいの潜伏期間を経て発病します。発病すると、病気に対する抵抗力がなくなり、カポジ肉腫という皮膚ガンや、カリニ原虫による肺炎を併発する割合が極めて高くなります。
治療
世界中で研究が進められていますが、確かな治療法は、いまのところありません。
当初は、同性愛者同士のセックスによる感染が原因とされ、次いで輸血と血液製剤による感染が、とくに日本では問題になりました。しかし、最近では異性間のセックスによる感染も急激に増え始めました。
妊婦がエイズに感染した場合には、胎児も母親から直接感染してしまう可能性がたいへん高いのです。
エイズのいろいろQ&A
Q1外見でエイズに感染していることがわかりますか
A エイズに感染しても、症状がでるまでに10年以上かかることもあります。その間は健康そのもので、本人もエイズに感染していると気づかない場合があるのです。したがって、外見だけでエイズに感染したかどうか見分けることは不可能です。きちんと検査を受けてわかるものです。
Q2ピアスや針治療で、感染することがありますか?
Aピアス・針治療・入れ墨などで皮膚に傷をつけるのは、使う器具がきちんと消毒していれば、安全です。このことは、エイズだけに限らず、いろいろな種類の雑菌からの感染を防ぐことでもいえるのです。使う器具がしっかり消毒されているかどうか確かめることを心がけます。
Q3病院でする注射で、感染する危険性はありますか?
A病院で使う注射器のほとんどは、使い捨てのものですから、1度使ったらすぐに捨ててしまうので、感染する危険はありません。ただし、海外へ行って(とくに小さな病院で)注射を受けるようなことになったら、きちんと消毒されているかどうか、たずねてみましょう。
Q4妊娠している母親から体内の赤ちゃんへ感染するのですか?
A母親がエイズ感染者であれば、その胎児が感染する可能性はあります。エイズのウイルスが胎盤を通って、胎児へ感染することを胎内感染といいます。また、出産のときに通る産道内で血液から感染することもあります。感染者で子供を望む人は、医師に相談する必要があります。
Q5母乳のなかにもエイズウイルスは入り込むのですか?
A母乳のなかからエイズウイルスが発見されているので、母子感染のひとつということが明らかになりました。母乳は乳児にとってすばらしい栄養源ですが、母親が感染者ならば、人口ミルクを使うようにしましょう。授乳のときには、器具の消毒に十分気をつけたいものです。
Q6プールや温泉などで感染することがありますか?
Aエイズウイルスは、空気・洗剤・熱・塩素に接触するとすぐに死んでしまう、ひじょうにもろいものです。ですから、日常の生活のなかで触れるもののほとんどは安全です。くしゃみやせき、握手などからだとからだの接触でも感染することはありえません。
Q7キスでの感染はだいじょうぶですか?
Aあいさつ程度のほおやくちびるにするソフト・キスは安全ですが、唾液のなかからもウイルスが発見されているので、ディープ・キスには危険があります。しかし、唾液のなかのウイルスの量はわずかなので、感染する可能性もかなり低いもので、感染はあまりみられないようです。
Q8エイズ検査は、どこで受けられますか?
A全国の保健所や病院で受けられます。検査は仮名で受けられ、個人的なことは聞かれません。費用は約1600円です。場所によって検査日が決まっているので、前もって調べておく必要があります。病院では、実名で受けつけねばならない場合もあります。また、費用も高くなります。
乳房のいろいろな病気
乳首の異常
女性のふっくらとしたからだを象徴する乳房。出産にとっても、大役を果たす機能をもっています。それだけに、ちょっとした異常もみのがさないようにしたいものです。
陥没乳頭と偏平乳頭
授乳ができるように治す
乳首が内側にへこんだ状態を陥没乳頭、偏平なものを偏平乳頭といいます。ふだんは別にさしつかえないのですが、出産して授乳するときに困ることになります。このような人は、妊娠中から乳房のマッサージを行います。お風呂に入ったときの肌のやわらかいときに、乳首を引き出すようにすると、しだいに効果があらわれてきます。
こうした授乳を矯正する方法に、プレスとシードという器具をもちるのものあります。しかし、状態がひどいときは、形成手術が必要ですから、妊娠した時点で医師に相談しておくといいでしょう。
乳首を引き出す入浴法
皮膚がやわらかくなっているときに、乳首を引き出す。
乳頭亀裂
ひどくなるまえの治療が大切
乳首になんらかの傷があると、そこに雑菌が入りこみ、乳腺炎になることがあります。亀裂があって痛んだりする場合は、早めに医師の診断を受けてください。
・アドバイス
赤ちゃんには母乳がいちばんですが、乳頭に傷ができていたり、形がわるかったりすると母乳を与えることはできません。
母乳を与えることによる母子のコミュニケーションは、ミルクでは得られません。
乳首の状態がひどいときは、手術をすることを恐れないでください。
乳房の内部の異常
産褥性乳腺炎
乳頭の傷からの感染を防ぐ
原因 症状
これは、出産後10〜15日ごろにおこり、一般的に初産婦に多いようです。
授乳中にできた乳頭の亀裂に、黄色ブドウ球菌が感染することによっておこるものです。
症状としては、乳房がひじょうに痛み、高い熱が出ます。そのままにしておくと、乳房内に腫瘍ができます。
治療
早いうちに医師の診断が必要です。抗生物質を多量に投与して、乳汁を吸引します。炎症がつづく間は、乳児に影響をもたらすので、授乳はひかえます。
うっ滞性乳腺炎
乳汁の出がわるいのが原因
原因 症状
出産から2〜4日したころに、乳汁が乳腺にたまりすぎて乳房がはれ、痛むものです。
治療
授乳や搾乳でたまった乳汁を出し、冷たい湿布をします。
乳管乳頭腫
乳頭を清潔にすることが予防
原因 症状
40〜50歳代の出産経験のない女性に比較的多くみられる病気で、乳頭の下の太い乳管に腫瘤ができ、血性の分泌物が出ます。
治療
良性と悪性の場合があり、良性のときには腫瘤だけを切除します。
乳腺線維腺腫
一番発生しやすい良性腫瘍
原因 症状
乳房に、コリコリしたピンポン玉ぐらいの腫瘤ができます。さわるとよく動き、痛みはありません。
良性の腫瘍で、20〜30歳代に多く発生します。
治療
急に大きくなるとき以外、切除の必要はありません。
巨大線維腺腫
大きい腫瘤は良性なので安心
原因 症状
良性で、球状か葉状の大きな腫瘤が乳房にできます。腫瘤はやわらかく、弾力があります。
手術
手術で腫瘤を摘出します。
乳腺症
ガンとの併発・移行には注意
原因
卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスがくずれ、乳房分泌組織が増殖をしておこるのではないかといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。出産経験がない、月経周期が不規則、無排卵性周期である、などの女性の多く発生します。
症状
乳房に、形のはっきりしない大小さまざまなしこりができます。月経前になると、乳房がはり、鈍い痛みがあります。また、透明な分泌物や血性の分泌物が乳頭から出ることもあります。
乳腺症は、ガンと併発している場合が50%、最初は併発していなくてもガンに移行する場合が10パーセントの確率でありますから、乳腺症と診断されたら、そのあと定期的に3〜6ヶ月に1回は、検診を受けます。
治療
治療は年齢や症状によってちがいます。ただ、痛みが強いときには男性ホルモンや黄体ホルモンの投与を行います。
泌尿器のいろいろな病気
女性は尿道が短いため、尿路の病気に悩む人が多いのですが、そのほどんどは、清潔にすることで防げるものです。正しい知識を身につけて、病気の予防に役立ててください。
尿路感染症
尿路とは、その字の通り、尿がつくられ排泄される道筋のことです。
まず、からだ中をめぐり汚れた血液が腎臓でろ過されて尿がつくられます。つくられた尿は腎臓の中の腎盂に集められ、そこから尿管を経て膀胱に流れ込みます。流れ込んだ尿が膀胱にある程度以上たまると、尿道を経て尿道口より排泄されるのです。
腎臓は、上腹部の背骨の左右に1個ずつあり、そらまめのような形をしています。それぞれの腎臓と膀胱をつなぐ尿管の長さは約30センチです。
膀胱は子宮と恥骨の間にあり、個人差はありますが、平均して570ccの尿をためることができます。妊娠したときに排尿の回数がふえるのはこの場所のせいで、ふくらんだ子宮に膀胱が圧迫されるからなのです。
女性の尿道は男性にくらべて短く、約4センチほどしかありません。そのうえ、尿道口の近くに、膣や肛門といった分泌物を排泄する器官があります。そのため、尿道口から尿道を伝わって最近が入りやすく、膀胱炎や腎盂炎などの尿路感染症をおこしやすい状態にあります。
局部の清潔が徹底しない子供には、とくにおこりやすい病気なので、家族の気配りが必要です。また、思春期以降は、不潔なセックスなどが原因で尿路感染症をおこすことがあります。
尿路感染症をおこすおもな菌は、大腸菌・連鎖球菌・ブドウ球菌などです。
膀胱炎
慢性化しないうちに治療する
原因 症状
膀胱炎とは、尿道口から大腸菌などが入り、これが膀胱に至って広がり、膀胱に炎症をおこすことをいいます。
排尿のときに頭の芯まで走るような痛みを感じたり、排尿のあともまたすぐトイレにいきたくなるような残尿感があります。
また、下腹部の痛みがあり、血尿が出たりします。
命にかかわる病気ではありませんが、ほうっておくと慢性になり、たびたび発病することになります。
おりものが多いときは、膣から尿道口へ細菌が入り込みやすくなりますから、膣に炎症を起こしている人は、必ず医師にかかり治療してもらいましょう。
また、セックスのあとなどは細菌が尿道口から入りやすくなっていますから、男性側の手や性器なども清潔にするようにします。
それから、排尿をこらえすぎるのもよくありません。尿意を感じたら、がまんせずにトイレへ行くようにしないと、ますますひどくなってしまいます。
治療
検査で原因となる細菌は何かを見つけ出し、その細菌にきく抗生物質を投与します。必ず完全に細菌がいなくなるまで治療をつづけます。最低でも、1週間はみておきましょう。
・アドバイス
泌尿器の病気は、場所が場所だけに異常があっても誰にも相談できず、ひとりで悩んでいる人が多いようです。その結果、病気がひどくなったり慢性化したりしてしまいます。
そうなるまえに、なるべく早く医師の診断を受けることです。痛みやかゆみをがまんせず、適切な処置ですっきりと治しましょう。
尿道炎
膀胱炎を併発するときもある
原因
尿道炎の原因は、淋菌やトリコモナスによるものが多いようですが、最近ではこれら以外の病原菌で、とくにクラミジア・トラクマチスによるものが多いといわれています。
症状
排尿時にするどい痛みがあり、血尿が出ます。細菌が膀胱に侵入すると膀胱炎にもなりやすいので、早めの治療が必要です。
治療
原因となっている菌に効果のある抗生物質を投与します。
腎盂炎
背中やわき腹に痛みが生じる
原因 症状
炎症が膀胱から上に昇ってきて、腎臓の腎盂にまで広がった症状をいいます。
急性の腎盂炎にかかると、39度以上の高熱が出てだるくなり、それにともなって血尿も出るようになります。背中や腰、わき腹などが痛みます。じっとしていられないぐらい痛むようでしたら、入院して治療する必要があります。
治療
原因となっている菌に効果のある抗生物質の投与を行います。
そのほかの泌尿器の異常
尿失禁
くしゃみをしただけで尿がもれる
原因 症状
膀胱は一定量の尿がためられるようにできていますが、膀胱括約筋が弱くなったりして、少量の尿をもらしてしまうことを尿失禁といいます。
また、女性に多いストレス性の尿失禁もあり、せき、くしゃみ、または大きい声で笑ったりしたとき、重いものを持ち上げたり、走ったりしたときなど腹圧がかかっただけで尿のもれることがあります。これをストレス・インコンチネンといいます。
原因は、女性の尿道が男性の尿道よりはるかに短いため、もともともらしやすいこと、さらに妊娠・出産・または老化のために膀胱括約筋が弱くなることがあげられます。
治療
こうした症状は、骨盤内の筋肉の収縮を強くする体操を行うだけである程度緩和されますが、ひどい場合は外科的手術が必要になります。
女性特有のいろいろなガン
女性のからだは、子供を産み育てる機能をもっているため、男性にくらべてとても複雑な構造になっています。とくに、性器と乳房は複雑になったぶん、異常がおこりやすいのです。
子宮と卵巣に発生するガン
子宮頚ガン
自覚症状がないので検診を
原因 症状
子宮ガンは、発生場所によって子宮頸ガンと子宮体ガンに分けられます。とくに子宮頸ガンは発生率が高く、全体の90%といわれています。
子宮頸ガンができる場所は、子宮の入口の部分にあたります。ガンはこの部分にある偏平上皮から発生します。原因はまだわかっていませんが、間接的に関係のありそうなものをあげてみると、セックス・妊娠・分娩などによる刺激、多産、包茎の夫をもつ人、初めての性交の年齢が低い人、多数のセックスパートナーをもっている人、ホルモンの分泌の異常、梅毒、炎症などが、ガンを誘発するといわれています。
また、発生する年代は、40代・30代・50代・60代の順になっています。
症状がかなり進むまで、自覚症状はありません。
治療
進行の度合いによって治療法は違います。
初期のものならほぼ治すことができますが、子宮頸ガンは自覚症状がほどんどないので、早期発見のポイントは定期健診しかありません。少なくとも年1回は検診をうけましょう。
子宮体ガン
出産未経験の女性に多い
原因 症状
子宮体ガンは発生率は日本では比較的少なく、全体の10%です。しかし、近年は生活様式が欧米化してきたせいか、子宮体ガンも増えつつあります。
発生しやすい年代は、50〜60歳代に多く、閉経後の人に多くみられます。発生の原因はわかっていませんが、卵胞ホルモンの過剰が影響するといわれています。子宮体ガンは、子宮内膜のポリープや子宮筋腫、卵巣腫瘍と合併することもあるといわれています。子宮頸ガンが経産婦に多いのにくらべ、子宮体ガンは出産経験のない女性に多いようです。
体質的にかかりやすい人は、太っている人、高血圧の人、糖尿病の人などがあげられます。
症状には血性のおりものや不正出血があります。
治療
進行の度合いによります。原則として、子宮の全摘除を行います。
絨毛ガン
死亡率は低下してきている
原因
原因は、まだはっきりとはわかっていません。
胎児の成分である絨毛が異常に増殖する悪性の腫瘍です。妊婦や流産のあとに発生する事が多く、とくに胞状奇胎という異常妊娠のあとでは1〜3%という確率で発生します。
症状
分娩や流産のあとに不正出血がつづき、血のまじったおりものが増えます。
腫瘍細胞は血管を通して転移し、肺に転移すればせき・かっ血・胸痛・脳に転移すれば頭痛・おう吐・膣や外陰部に転移すれば強い出血をおこします。
治療
強力な化学療法を行った後、子宮を全摘出します。そのあとも化学療法をつづけます。
卵巣ガン
症状もなく転移が早い
原因
卵巣ガンの発生する年代は幅が広く、少女から高年齢にまでおよびます。
また卵巣ガンは未婚の女性や出産の経験のない人におこりやすいともいわれています。食べ物では、肉料理を好む人に多いともいわれています。一般的にみて、豊かな国の女性に多く、日本でも10万人に2から3人ぐらいの割合でかかっています。
症状
自覚症状がまったくないので、早期発見は困難です。
転移するのが早く、卵管・膣・子宮へと周囲に広がります。
治療
両側の卵巣の摘出、あわせて化学治療を行います。
外陰と膣に発生するガン
外陰ガン
外陰の病気から発生しやすい
原因 症状
原因は不明で、高年齢者に多く発生します。ベーチェット病・外陰萎縮症から発病することもあります。
初期には、外陰部の小さなしこりのほかにこれといった自覚症状はありません。症状が進むと、しこりが大きくなり、リンパ腺がはれてきます。
治療
程度によって、小範囲の外陰摘出か、そけい部のリンパ腺も含めた広い範囲の外陰を摘出します。
膣ガン
発生率はひじょうに低い
原因 症状
高年齢の経産婦に発生するガンです。これも初期症状はなく、進行するにつれてセックスのあとに出血したり、においのあるおりものが増えたりします。また、排尿障害や血のまじったおりものもみられるようになります。
治療
ガンの発生した場所によって、膣口の付近なら外陰の摘出、膣の上部なら子宮の全摘出を行います。
乳房に発生するガン
乳ガン
自分で早期発見できる
原因 症状
最近乳がんの死亡率が上昇しているという傾向があります。原因はわかりませんが、統計的には次のような人がなりやすいといわれています。
1未婚者
2出産経験のない人
3母乳を与えなかった人
4高齢出産の人
しかし、これはあくまでも統計的なことで、出産回数も多く、母乳で育てたにもかかわらず、乳ガンにかかる人もいます。
やはり豊かな国に多く、脂肪分を多くとることが発生率に関係があるといわれています。
診断のめやすはしこりです。皮膚のすぐ裏側に、コリコリしたでこぼこのしこりができます。自己診断の方法もありますから、自分で乳房に触れてみて発見することもあります。
乳房は女性の命です。乳がんの診断は手軽にできますから、入浴後など定期的に、イラストのような方法でさわってみてください。
しこりをみつけたら、どんなに小さいものでも、すぐに医師に診断してもらいましょう。乳がんの専門医は婦人科ではなく、外科です。
治療
乳房の切断と、大胸筋やその付近の組織・脂肪・リンパ節の切除を行います。最近では、なるべく切除する部分を小さくする手術も行われるようになりました。
乳がんはこうしてみつける
@鏡のまえでうでを上げて、乳房を観察する
A両手を腰に置いて、乳房を観察する
Bあおむけに寝て、チェックする乳房側のうでを上げて、反対側の手の指をそろえて乳房の外側を上から下へと、しこりがないかさわってみる
Cうでを下げて、下から上へと同じようにさわってみる
Dわきの下をさわって、しこりがないかチェックする
<観察するポイント>
・左右の乳頭の位置がずれていないか
・皮ふの色が変わっていたり、湿疹などがあるか
・乳房が陥没・変形していないか
・乳房にくぼんでいるところがあるか
こころが原因になるいろいろな病気
こころに深い傷を負ったり、深く思い悩んだりすると、からだにも異常が出てきます。そうなったときに、からだの症状にばかり気をとられず、原因となったこころの問題に目を向けることが大切です。
心身症とは、心理的・精神的な原因からおこるからだの病気の総称です。
人間のこころとからだは密接に関連しあっていますから、精神的なストレスを長い間受け続けたり、あまりにも深く思い悩みすぎたりすると、からだのほうも調子がくるってしまうのです。からだのどこがどのようにわるくなるかは、人によってさまざまですが、あらわれた症状に対していくら治療を行っても、原因となった心理的な要因が解決しないかぎり完治することはありません。
原因 症状
一般に、拒食症とも呼ばれ10〜20代の女性に多発している病気です。
原因として、まずあげられるものは太ることへの強い恐怖心です。太っていることはわるいことと決めつけ、ダイエットをするうちに、自分のかただについている、ほんの少しの脂肪もゆるせなくなります。このため、身長や体質に見合った体重以下になっても無理なダイエットをつづけ、ついには食べ物を受けつけなくなってしまいます。
そうなってしまうまでにも、必要な栄養を十分にとりませんから、からだが衰弱し、下痢や便秘をくりかえし、月経も止まってしまいます。
また、大人になりたくないという気持ちや、家族、とくに母親への拒絶心から、女らしい丸みをおびた体つきになることを恐れ、この病気になることもあります。
太っていることをわるいことと思いこむ風潮からは、太った自分はみじめだから、それを慰めるために食べてまた太るという悪循環をくりかえす、過食症という病気もおこります。これは、心臓病や高血圧、動脈硬化、糖尿病、腎臓病などの原因にもなります。
最近では、大量に食べて無理に吐くことをくりかえし、理想の体重をキープしようとする摂食障害も問題となっています。これは、最初のうちは太りすぎややせすぎといった異常が認められないため、まわりの人もなかなかきづきません。しかし、そのうち栄養不良から顔色がわるくなり、拒食症へと移行していくことも多いといわれています。
治療
本人に自覚のないことが多いので、自分の状態を正しく理解させることが、治療の第一歩です。精神科の医師やケースワーカーに相談し、家族が協力して、原因となった悩みや太ることへの偏見をあらためます。
食事の必要性を理解させ、少しずつ食事量を増やしていきます。
過呼吸症候群
若い女性に多くみられる
原因 症状
不安がひじょうに強いときや興奮したときなどに、速く、深い呼吸をこりかえすことから、肺や血中の二酸化炭素が排泄されすぎるのが原因です。口のまわりや手の指先のマヒ・けいれん、めまいなどがおこり、息ができなくなるほど心臓がドキドキします。
治療
あせって速く呼吸をしようとするとますますひどくなりますから、まずは落ち着いて、袋をかぶるか両手で口と鼻をおおうなどして、数分間呼吸をします。医師の指導のもとに、特殊な気体を吸入させる方法もあります。
思春期心身症
悩みを解決することが治療
原因 症状
思春期はこころもからだも不安定になり、とくにこころは敏感になってバランスを失いやすいものです。
この時期に、悩みやストレスが原因になっておこる病気を総称して思春期心身症と呼びます。
先にあげた神経性食欲不振症や過呼吸症候群のほか、胃液が胃や十二指腸の壁をとかしてしまう胃・十二指腸潰瘍や、便秘と激しい下痢をくりかえす過敏性大腸症候群、べつに心臓がわるいわけでなないのに心臓病とよく似た発作のおこる心臓神経症などが、そのおもなものです。
治療
なるべく早くに、原因となった不安や悩みをとりのぞくことです。そのうえで症状に合せた治療を行います。病院によっては、思春期の女性を専門に診察してくれる「思春期外来」を設けているところもあります。症状に思いあたることがあれば、早めに医師やケースワーカーに相談してください。
そのほかのこころが原因になる病気
自律神経失調症
ストレス解消が予防策になる
原因 症状
内臓や分泌腺などのはたらきをつかさどる自律神経が不安定になり、頭痛・めまい・息切れ・動悸・胸痛・手足の冷えやしびれ・汗の出方の異常・不眠・疲労感・便秘・下痢・食欲不振など、さまざまな症状がおこります。
女性におこる確率は男性の倍で、ホルモンのバランスが不安定になる思春期と更年期に発病することが多い病気です。
また、こころに強いショックを受けたり、ストレスをうけつづけたりすることでおこることもあります。
治療
まず、症状の出ている内臓や器官にわるいところがあるわけでないことを理解し、どんな病気なのか、納得がいくまで医師と話し合います。
そのうえで、自律訓練法や暗示療法、催眠療法などにより、こころとからだをコントロールする方法を身につけていきます。また、スポーツや趣味でストレスを解消し、規則正しい生活を送ることも、自律神経の安定に効果があります。
神経症
小さなことにきにしすぎないで!
原因 症状
神経症は、心身症と同じく、こころに原因があってからだにいろいろな症状が出る病気です。ただし、検査をしてもからだには異常のないことが多いのが特徴です。
不安を感じるあまりに動悸や呼吸困難・ふるえ・のぼせ・手足の硬直といった症状の出る不安神経症や、何かひとつのもの、たとえば汚れがとにかく怖くなり、人のさわったものや電車のつり革を直接さわることができなくなる恐怖症などがあります。
また、自分でもばかばかしいと思いながら、まるで人から脅迫されているかのように、何かひとつのことにこだわってしまう強迫神経症というのもあります。
これらは、もともと神経質で完全主義の気がある人がなりやすく、まわりのちょっとした変化をきっかけにおこることが多いようです。
治療
催眠・暗示・説得・訓練といった精神療法を、状態に合わせて行います。
※こころの病気の原因は?
仮面うつ病
更年期を迎えたころが多い
原因 症状
うつ病がもととなって内蔵のはたらきが低下し、全身がだるい・食欲がない・眠れない・頭が重い・肩がこる・胃腸障害・動悸などの症状があらわれます。
20歳ごろの発病が多いのですが、女性の場合は更年期のころにも多くあらわれます。うつ病の原因は、まだ解明されていません。
治療
抗うつ剤の投与で治すことができます。思いあたることがあれば、悩まず精神科の医師に相談してみましょう。
更年期のいろいろな障害
むかしは、更年期というと人生の終わりに近かったのですが、寿命がのびたことでライフ・サイクルも変化してきます。まだまだ人生の半ば、気に病まずに楽しくのりきりましょう。
更年期障害はこうしておこる
40歳からのからだの変化
女性のからだは、平均して45歳ぐらいから卵巣のホルモン生産能力が低くなっていき、やがて停止して閉経します。その過程でホルモンのバランスが乱れ、月経が不順になり、それにともなって、からだのあちこちにいろいろな障害が出てきます。
この障害を、更年期障害といいます。
ただ、月経が終わるころにからだやこころに不調があると、すぐ更年期障害と結びつける人がいますが、それは、あやまりです。気になる症状があるならば、早めに受診を受けましょう。
更年期にも個人差がある
更年期障害には個人差もありますが、なんの症状もないという人もたまにいるのです。
また、その逆に長い時期を更年期障害に悩まされる人もいます。
このように個人差が大きいのは、遺伝や体質もありますが、人によって生活の条件が違うからです。栄養状態の格差や運動量のちたい、また、家のなかにずっといる人、仕事や趣味などで外に出ることが多い人でも、ちがってきます。
更年期の時期にも個人差があり、一般的に初潮の遅かった人や、月経が不純だったという人は更年期に入るのが早いようです。
平均的にいうと、閉経は48〜52歳ぐらいの間です。そのまえに卵巣ホルモン、黄体ホルモン、下垂体からのホルモンのバランスが乱れ、月経が不調になってきます。
閉経するまでに月経の周期が10日間になったり2ヶ月もこなかったりします。
更年期障害の症状と対策
どんな症状が出る?
更年期の障害には、おもに次のようなものがあります。
1 微熱がある
これはよく、ほてるという表現でいわれている症状で、急に暑く感じたりすることをいいます。
2 寒気がする
その逆に、急に手足が冷えてきたり、背中がぞくぞくしてきたりする状態をいいます。
3 のぼせる
ほてるのとよく似ていますが、この場合は顔だけが紅潮して、首筋から汗が出てきます。
4 心悸亢進
これも本当に心臓が悪いわけではないのに、動機がするように感じられることです。
5 頭痛・めまい・耳鳴り・不眠・気分の不安定など
これらの症状も病気とかかわらず出てきます。
6 肩こり・頭痛・筋肉痛・関節痛
7 食欲不振・おう吐感・腹部膨張感・下痢・便秘といった消化器系統の不快感
8 しびれ・知覚過敏・掻痒感といった知覚神経系統の異常感
9 頻尿・残尿感・尿漏れなどの泌尿器関係の症状
ただ、これらの症状がすべて一緒に出るわけではなく、人によって2〜3の症状が同時に出たり、かわるがわるあらわれたりします。
また、病人が訴える苦痛には、からだにわるいところがあって訴えるのと、ひとつもわるいところがないのに訴える苦痛があります。更年期障害は、この後者にあたる場合が多く、検査をしても異常のないことが多いようです。
こんな人は強く症状が出やすい
一般に、依存症の強い人、情緒が不安定な人、内向的な人は障害がひどくなるといわれています。
これは、更年期障害の原因がからだの機能によるものだけでなく、若さが失われること、これから老いていくことへの不安や恐れなど、精神的なものからおこることも多いからです。ですからいつも身のまわりのことにしか関心のない人や、自分中心に物事を考えてしまう人は、必要以上に症状について悩み、障害を重く感じてしまうようです。
また、もともと自律神経の機能が不安定な人は、症状が重くなりがちです。
・アドバイス
更年期の障害は、気の持ち方ひとつで重くも軽くもなります。症状がひどいからといって気にしすぎると、ますます重くなってしまい、それをまた気にするというふうに、悪循環になってしまいます。
目先の痛みや悩みにとらわれず、物事のよいほうの面をみて明るくすごしましょう。
更年期を楽にのりきるには
日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合には、医師の指導のもとに精神安定剤やホルモン剤を用います。
その場合でも、更年期障害は誰にでもおこる現象なのだから、気にしすぎるのはよくないと考えてください。
医師にかかるほでではないのなら、自分だけが苦しいと思わず、障害が出てくることを、更年期への理解を深めたうえで素直に受け止めようとすれば、さほど気にならず通りすぎるものです。
自分はもう女でなくなるという意識を強く持ちすぎるのも、更年期障害を重くする原因のひとつです。そして、そういう節目を深く考えすぎることが「うつ」になってあらわれるのです。
しかし、閉経してから貧血がなくなって元気になった人もいます。旅行に行くのにも月経を気にしなくてもいいという考え方もそのひとつで、人生が終わったわけではないのです。更年期をはじめからたいへんなことと考えないことも大切です。
いまや世の中はカルチャーブームです。いままでやらなかったことができると、張り切っている人もいます。
のぼせもめまいも、趣味に夢中になっているときはあまりおこらないものです。
また、いままでのように避妊を意識しなくても、セックスをすることができます。こうした考え方しだいでは、たいした障害もなくすごすこともできるのです。
※更年期をのりきるコツ※
くよくよと気にしないようにすること
趣味をもつこと
スポーツしたり友人とあそんだりして楽しくすごす
更年期障害だとひらきなおる
髪の毛の傷みフケ症 気になる悩みにこたえます
しつもん 髪の毛にツヤがなく、パサパサしています。手にとってみると枝毛もあります。サラサラヘアにする方法はありますか?
上質なトリートメント剤を使って髪の傷みをフォローするようにしましょう。ただし、いったん枝毛になった部分はもとにはもどりませんから、その部分を切ってしまうしかありません。
髪の毛をそれ以上傷めないために、つぎのことに注意してください。
@シャンプーのときは、ごしごし髪をこすりあわせずに、やさしくもみこむように洗う。
A髪をふくときも、まず、タオルで包み込んで上からパタパタと手で軽くたたくようにして、水気を取る
Bドライヤーを使って乾かすときは、髪の根元から乾かすようにして、毛先は自然乾燥させる。髪が完全に乾くまでドライヤーはかけず、しめり毛が少し残っているところでやめておくこと
Cブラッシングは、頭のてっぺんから一気にときおろすのではなく、毛先から徐々に上へととかしていく
最近では、市販のブロー剤の種類がたくさんあります。これらをじょうずに使って髪を傷みから守るようにしましょう。
しつもん 頭がかゆくて、いくら洗ってもフケが出ます。どうしたらフケがでなくなりますか?
フケの出にくくなる性質をもった、ジンクピリチオンや硫黄などが配合された、フケ取りシャンプーでこまめに洗髪することです。
また、頭皮のマッサージや毛髪のブラッシングなどもていねいに行います。ただしその際、ブラシをこすりつけたり、爪を立ててかいたりしないことです。
原因が栄養の低下、または慢性の病気の場合は、医師の治療を受けてください。
そのほかの原因として、遺伝的な体質や心理的ストレスが考えられ、ふだんの手入れ不足もフケ症の原因です。
わきが・口臭 気になる悩みにこたえます
わきがを防ぐには
市販の制汗剤をかけて、臭いをおさえる
毎日入浴してわきの下をよく洗う
しつもん わきの下の臭いが気になります。とくに夏場はひどく、ゆううつです。治療法はありますか?
わきの下には、粘り気のある汗を分泌するアポクリン腺が多くあります。アポクリン腺の分泌がひじょうに盛んだと、皮膚についている細菌が作用して異臭を発します。
これが、わきがといわれるものです。
次のことを試してみてください。
@わきの下の毛をこまめに剃る
A毎日入浴して、薬用石けんでわきの下をよく洗う
B通気性のよい服を着る
C外出時には制汗剤を塗る
それでも気になる場合は、わきの下の毛の生えている部分を手術で切除する方法があります。以前は、アポクリン腺をひとつひとつ電気分解によって破壊する方法がとられていましたが、再発することがわかってきたので、切除する方法がとられるようになりました。手術は2週間ぐらいの入院が必要です。
しつもん 私が話しかけると横を向いてしまう人がいるので、口臭があるようです。治療法を教えてください。
毎日きちんと歯をみがいて、においのでるようなものを食べたおぼえもないとすれば、次のようなことが原因になって口臭がおこっていると考えられます。
@虫歯・歯肉炎・歯槽膿漏など
A蓄膿症・慢性咽頭炎・慢性鼻炎など
B気管・肺などの呼吸器の病気
C食道・胃などの消化器の病気
こうした原因でおこる口臭は、その病気を治療すればなおります。
口臭を防ぐガムやキャンディーが発売されていますが、ふだんから常食していると口臭をとるのに効果のある植物があります。
サンショウの葉・実・しその葉・しその実・みかん・レモンなどそれぞれ調理法を考えて使用するといいでしょう。
愛あるふたりの豊かなセックス・ライフ
愛しあうふたりのためのセックス
成熟した男女が、愛している人と一緒にいたいと願い、愛の行為としてセックスをすることは、人間としてごく自然な姿です。ただ、知っておかなければならないこともたくさんあります。
ラブ・アンド・シンパシー
はじめてのセックス
女性の性に対する意識は、年ごとに変わり、むかしにくらべればとてもオープンになり、初体験の年齢は下がっていく一方です。
つまり、ふたりが深く愛しあっていれば、未婚、既婚を問わずセックスがあってもいいという傾向が強くなってきているのです。
ここでだいじなことは、はじめてのセックスがとうであったかが、それからのセックスライフにとても大きな影響をおよぼすということです。また、女性にとって未婚の妊娠という、現実の肉体的・精神的な打撃がともなうことを認識しておかなければなりません。
はじめてのセックスの動悸として
●愛しあっていたから 48%
●相手のことを好きだから 41%
●相手の強引さに負けて 24%
このようなデータがあります。
女性があまりセックスを望んでないのに、しかたなくというような場合は痛みも強くなりがちで、その後のセックスへの恐怖や嫌悪感の原因になります。
女性がセックスに対する不安や苦痛をのりこえ、いいイメージをもつためには、愛し合っている者同士が、お互いを思いやりながら行うということが大切です。
はじめてのセックスで妊娠を望まないときには、避妊の知識を十分に知っておかないと、女性は精神的なダメージを必ず受けることになります。言い出しにくいかもしれませんが、避けて通らずに、必ずパートナーと話し合っておかなければなりません。
セックスはからだのコミュニケーション
セックスの経験が浅いときは、相手のからだのことを知り、お互いの好みや感じ方をよく知り合うようにすれば、より豊かなセックス・ライフになるでしょう。
男女の性のしくみのちがいや、お互いの性感帯を知り、いろいろ工夫することによって、快感やバリエーションを楽しむことができるのです。
・アドバイス
セックスの際の感じ方や、そこに至るまでの気持ちの高まり方はどは、それこそ人によって千差万別です。よく雑誌などでセックスについての特集が組まれ、こういうときにはこうする、などと決めつけて書かれてあります。それらをうのみにせず、相手がどうしてほしがっているか、自分はどうしたいのか確認しあうことです。
思いやりと自分の感じ方を大切に
愛しあっているふたりの行為としてセックスがあれば、相手への思いやりやいたわりが自然にあるものですが、馴れ合いになるに従って、自分勝手な欲求やおざなりな態度で平気になってくることがあります。セックスへの考え方や感じ方は、経験や年齢などさまざまな要因で変わるものです。
性的な快感を得るには、自分の感じ方を素直に認め、お互いにどんなふうに感じているのか確かめ合うことも大切です。そのためには、おもしろ半分、ひやかし半分のマスコミ情報にまどわされずに、セックスのしくみについて、冷静にからだの生理反応がどうなっているのかを分析して、知識を得ておくこともだいじなことです。
男女の性のしくみを知っておく
男性は女性のことがよくわからないといい、女性は男性のことがわからないといいます。からだの構造がちがうように、そこから派生する欲求も違ってきます。わからないのはそのせいなのです。
性欲と性衝動・男女のちがい
性欲には男女差がある
男が女の存在を意識し、女が男の存在を意識して、互いにそのからだに触れたいと願うのが性欲の始まりです。
しかし、男の性欲と女の性欲には少しちがいがありますし、また個人差もあります。
男性は生まれながらにして攻撃的、かつ狩猟的な本能をもっています。それが青年期になるともっとも活発になり、知らない女性を見ても欲情を抱くことがあります。それは男性の肉体的な現象です。つまり、精子がある一定量以上になると勃起するというからだの変化があり、こころがそうさせるわけではないのです。
ところが、女性の場合は精神的なものから派生するのがふつうです。憧れとか、夢のように男性をこころに描いても、肉体的な衝動はもたないものです。
しかし、それはセックスの経験をもったときからしだいに変わっていきます。
女性が性にめざめるのは男性にからだを愛撫されてかれということが多く、それからの性欲は人それぞれで、強い人も弱い人もいます。それに、女性は子供を産むという動物本来の使命感もあって性欲が生まれるのです。
しかし、男性の性欲はこころで支配されている部分もあり、ストレスがたまっていたり、精神的な悩みがあると性欲は弱くなってしまいます。
こうした微妙な生理をよく理解して、男女それぞれの性欲を思いやりとやさしさで包み込むことが望ましいことです。
性衝動にも男女差がある
性の衝動は男女を問わずあるものです。性欲のあらわれ方は、男性が急激なのに対し、女性はゆるやかで、からだを愛撫されてからすこしずつ性の衝動が高まっていきます。
また、男性は女性の裸体の写真を見ただけでも刺激を受け、性衝動がおきますが、女性はそういうことはないとされています。
男性の性の興奮が、射精で頂点に達してあとは下降するのに対し、女性はオーガズムに達したあともゆるやかなカーブで性欲が落ちていき、急激には下降しないのが特徴です。
男性性器のしくみはどんなの?
勃起はセックスの第一条件
男性の象徴のペニスは、ふだんはスポンジのようにやわらかい海綿体の組織で、肉体的・精神的刺激を受けると性的に興奮して、太く長く硬直し前方上方に突き出ます。これを勃起といい、女性の膣内に挿入できるようになるための現象です。
ペニスのなかには尿道があり、セックスのときの精液の通り道と排尿のふたつの役目がありますが、セックス中に膣のなかに尿を排出することはありません。
また、ペニスの根元下には睾丸があり、陰嚢という薄くてしわの多い伸縮性のある皮膚に包まれています。
男性の勃起はたいへんにデリケートなもので、性欲も個人差があるのです。
射精はオーガズムである
セックスなどで性的興奮が頂点に達したとき、男性は精液をペニスから体外へ射出します。これを射精といいます。この精液は淡い灰色で青くさい独特のにおいがあり、射精直後はねばりけのある濃い液体で、少し時間がたつと水のような状態になります。
1回に射精する量は約2〜3ccで、3億ほどの精子が含まれ、セックスで女性の膣内に入って、卵子と受精すると妊娠します。
・アドバイス女性の場合は、興奮の度合いやオーガズムの瞬間などが、男性からはっきりとみととれるものではありません。そのうえ、恥ずかしいとか、相手に変に思われるのでは、といった気持ちから何も要求せず、男性本位のセックスになりがちです。ふたりがともに満足を得るために、勇気をだしてどうしてほしいかを伝えましょう。
男女の性反応の移り変わり
女性の性反応
興奮気
からだの全体の血管が充血し、乳首が大きくなる。性器の反応は、クリトリスが肥大し、膣壁から分泌物が出て、膣内はペニスを受け入れる準備をする
上昇期
興奮気から性的刺激が高まると、性器の充血は最高に達し、膣口が収縮して「オーガズム帯」が形成。子宮は上昇し、膣内も奥のほうが広がっていく。
オーガズム期
上昇期で形成されたオーガズム帯や子宮が0.8秒ごとに収縮する。呼吸や脈拍も最高に達し、血圧も上昇する。女性はオーガズムを何度でもくり返すことが可能
消退期
オーガズムを終えると、からだの生理的変化がゆっくりともとの状態にもどっていく。クリトリスもオーガズム帯も5〜10秒で急速にもとどおりになる
男性の性反応
興奮期
性的刺激を受けると多量の血液がペニスに流れ、全体が大きくなる勃起現象がおこる。この状態は射精まで保たれるが、年齢や健康状態によって個人差がある
上昇期
ペニスの充血が最高に達し、最も大きくなる。クーパー腺から分泌液が分泌される。このとき、副睾丸から精子が送られ、射精の準備体勢が整っている
オーガズム期
尿道周辺の筋肉がすばやく収縮し、その力によって精液がペニスから射精される。オーガズム直後は、無反応になり、このときは、勃起現象も射精もみられない
消退期
射精すると急速にからだがもとにもどる。勃起していたペニスは、2段階でゆるやかに平常時の大きさになる。次に勃起するまでの時間には、個人差がある
性感帯は人それぞれ
からだへの性的刺激で心地よい快感を敏感にかんじやすいところを性感帯といっていますが、人それぞれにちがうものですから、パートナーと触れ合い、たずねながらみつけ出していきましょう。
刺激の方法もいろいろありますから、キスをしたり、もんだりさすったり、軽くかんだりつまんだり、あるいは息を吹きかけるなど、からだの部位によって変化をつけて愛撫して、より充実したセックスを楽しみましょう。
男女の性感帯を知っておく
女
まぶた 髪 耳 首すじ 乳房 乳首 わき腹 おしり おへそ 外陰部 太ももの内側 ひざの裏側 足の指 足の表面
男
耳 口 首すじ 乳首 ペニス 手のひら 陰嚢 太ももの内側 ひざの裏側 足の表面
セックスをより楽しむために
お互いへの愛情表現にはいろいろな形があり、決まりごとがあるわけではありません。セックスに至るまでのプロセスも含めて、ふたりにフィットする表現をみつけてください。
愛と性のクミュニケーション
ペッティングで愛を高める
お互いのからだの気持ちのよいところを刺激して、愛撫することをペッティングといいます。
男性が女性に行い、女性がそれに答えて反応を示し、男性がその反応を楽しみ興奮を増すパターンが一般的ですが、女性は羞恥心から消極的になりがちです。できるだけ素直に相手にこうしてほしいと伝えるとよいでしょう。
キスという愛情表現もいろいろ
愛情表現のキスとして、唇と唇を重ねるソフトキス、舌を相手の口の中にいれてからませ合ったりするディープキスなどがあります。
唇でからだの各部を愛撫することも、快感となります。唇と舌を使った性器への愛撫をオーラスセックスといいます。
フェラチオとカリニングス
女性が男性のペニスを口で愛撫することをフェラチオといい、男性が女性の性器を舌や唇で愛撫することをカニリングスといいます。
セックスの性運動とは?
セックスのプロセスは、ふたりのこころとからだがひとつになって、お互いへの刺激から絶頂感へとたどりつく、肉体のコミュニケーションです。性的刺激を与えたい、受け合っていくふたりのフィット感があってこそのセックスであり、一方的なものでは決してないのです。
性運動とは、男女の性器が結合して、女性の膣が十分にうるおってから、男性がピストン運動をして、一体感や接触感を得ようというものです。このピストン運動はいろいろな動きがあり、前後、強弱、回転、速い遅いをとりまぜることもあり、男性の動きに従って、女性もまた応えるように動くことが大切です。
そして、セックスのときにとる姿勢を体位といっています。
どんな体位をとるかは、ふたりの体格、好み、経験などで、そのときどきに応じて最良の形で行えばいいことです。
守りたいふたりのエチケット
まず、清潔をこころがけたい
なりゆき上、ふたりのこころの高ぶりをおさえ切れずに、ということがあったにしても、デリケートなこころが支配するセックスは、不潔なからだのにおいや視覚から、興ざめということがないともかぎりません。男女ともに全身を洗ってから女性は性器をていねいに洗い、男性はペニスの恥垢が残らないよう、亀頭と包皮の間もよく洗ってもらいましょう。
強要しないことが楽しむコツ
体調がわるいときや、気分がその気になれないというときには、一方的に強引さがあっては、しこりが残ります。また、相手がいやがる愛撫や体位を無理やり強要することは、ふたりで楽しむセックスライフを味気なくするものです。
相手への思いやりこそが快適なセックスのマナーといえます。
禁句に気をつけよう
相手のからだのことをけなすことは禁句です。お互いの性感を高めるためにささやく言葉や、思わず出てしまう声だけで、セックスを終えましょう。
禁句のたとえは、からだについていえば、ペニスが小さいとか、早いとか、ヘタだとか、不用意に言ってしまった言葉のために、インポテンツや不感症の要因になってしまうことがあるのです。
余韻を大切にしよう
セックスのクライマックスのあとに、消退期がありますが、終わったとたんにシャワー室へかけこむなどは、相手に失礼な行為となります。どんなに仲のよいパートナーで、何をしても許してくれるおおらかな相手だとしても、セックスのエチケットというものはあるものですから、心得ておきましょう。
避妊の正しい知識で安全なセックスを
避妊は男女のどちらかがすればいいというものではなく、ふたりの協力と、ある程度の知識が必要です。不確かな情報にまどわされず、正確な知識を身につけてセックス・ライフを楽しみましょう。
セイフティー・セックスのすすめ
避妊したつもりではいけない
まだ子供を望まないカップルにとって、避妊は常に頭に重くのしかかる大問題です。愛をより深く確かめ合い、ふたりでセックスを心から楽しむために、正しく避妊を行う必要があります。正確な知識を身につけましょう。
女性が行う避妊法とは?
まず、女性の排卵期とその後の数日間のセックスを避ける、基礎体温法とオギノ式避妊法があります。
基礎体温法では、月経後の低体温期間の最終日を中心にして、その前後の2日間を加えた5日間が排卵期とわかります。
オギノ式避妊法は、月経の周期から排卵期を推測するもので、次の生理予定日の前日から逆算して12〜16日めの5日間を、排卵期と推測するものです。
両方法ともに、その後に精子の生存期間を加えた計8日間が、危険日ということになります。
そのほかの避妊法として、子宮の入口をふさぐペッサリー、膣に流入してきた精子を殺すゼリー・錠剤・フィルムなどの膣内避妊薬、子宮に器具を入れて受精卵の着床を妨げるIUD(子宮内リング)、ピル(経口避妊薬)を服用して排卵をおこさせないようにするなどがあります。
男性が行う避妊法とは?
男性が行う避妊法のなかで、もっともポピュラーなものにコンドームの装着があります。用い方さえまちがえなければ、かなり信頼度の高い方法です。それに対して、射精寸前にペニスを膣の外に出して精子が流入しないようにする膣外射精は、よく行われる方法の割りに効果は低い避妊法です。なぜなら、ペニスからは射精前にも少しずつ精液がもれていることが多いからです。
不妊手術は慎重に考えてから
いちばん確実な避妊法として不妊手術があげられますが、これには、一度手術をしてしまうと気が変わって子供がほしくなったとしても、もはや望めないという欠点があります。
手術内容は、男性なら精管をカットする、女性なら卵管を糸でしばるか、やはりカットするというものです。復元する手術もありますが、成功率はひじょうに低いものなのです。
ただ、からだが弱く妊娠出産にたえられない女性や、遺伝的な病気があって子供を望まない男性には、おすすめできる方法です。
男女の不妊手術方法
吸引法
子宮に吸引器を入れ、胎盤と胎児を吸い取る
掻爬法
子宮にキュレットという器具を入れ、胎児と胎盤をかき出す
人工妊娠中絶の危険性を知ろう
不幸にして望まない妊娠をしてしまい、どうしても出産できない事情のあるときは、人工妊娠中絶をすることになります。しかし、中絶が女性のからだとこころに残すダメージは、大きいものがあります。中絶後、もとどおりの健康状態にもどる保証はなく、子宮に傷がつくなどして連続性不妊症になったり、流産や早産をおこしやすくなります。また、母体にとってひじょうに危険な子宮外妊娠をおこす可能性も高まります。
精神的にも、こころに深い傷がのこり、あとあとまで罪の意識にさいなまれることになります。
中絶を決めたらここに注意
優生保護法では、妊娠22週未満なでなら人工妊娠中絶をすることを認めています。しかし、胎児は日に日に成長しており、遅くなればなるほど手術は大がかりになります。手術の危険性や後遺症を考えると、妊娠12週までに受けるべきです。
人工妊娠中絶の方法は、12週までなら掻爬といって、先端がスプーンのようになった器具で胎児と胎盤をかき出します。それ以降になると、人工的に陣痛をおこして出産させる方法になります。
病院を選ぶときは「優生保護法指定医」かどうかが重要です。病院が決まったら、パートナーの同意書を提出します。
中絶後は、最低3日間の安静が必要です。おりものが増え、出血もありますから、清潔をこころがけます。ただし、お風呂はひかえてシャワーだけにしてください。
中絶後のセックスは、回復が順調なら3週間ぐらいたてばいいのですが、必ず再診を受けて医師の許可を得てからにしましょう。また、中絶後1週間〜10日たっても出血があるような場合は、医師に相談しましょう。
男性側が行う避妊法
避妊法 コンドーム
成功率 90%
ポイント ・JISマークのついた製品であるかを確認すること
・サイズを合わせること。大きすぎると精液がこぼれてしまう
・空気がはいらないように先端をつまんでからペニスのつけ根まで装着
避妊法 膣外射精
成功率 60%
ポイント ・避妊法としては問題外。もし、男性がこの方法だけで行うときは、はっきり「ノー」を言おう
避妊法 不妊手術(パイプカット)
成功率 100%
ポイント ・入院の必要はなく、30分ほどで手術できる
・復元は、手術直後なら70%可能。年をとるにしたがって成功率は下がっていき、10年後以降は不可能
・遺伝的な病気があって、子どもを望まない男性に向いている
避妊法 基礎体温法 オギノ式
成功率 80%
ポイント ・半年ぐらいデータをとりつづけることが必要
・月経周期の定まらない人には不向き
・ふだん安定していても何らかの原因で周期が乱れるので、ほかの避妊法と併用すること
避妊法 フィルム
成功率 90%
避妊法 ゼリー 錠剤
成功率 60%
ポイント ・効果の持続時間に限りがあるので、注意すること。錠剤とゼリーは20〜50分、フィルムは2時間ほどで効果がうすれる
・ゼリーはあお向けの姿勢で注入する。上体をおこすと流れ出してしまうので注意
・3つとも、他の避妊法の補助剤として使うこと
避妊法 ペッサリー
成功率 80%
ポイント ・産婦人科医で膣の大きさを測ってもらい、使い方の指導を受けること
・せっくすのあとは、すぐに取り出さないで8時間おくこと
避妊法 IUD(子宮内リング)
成功率 98%
ポイント ・体質的にあわないひとや使用しないほうがいい人も多いので、医師に相談して指導に従うこと
避妊法 ピル(経口避妊薬)
成功率 100%
ポイント ・からだの機能の不安定な17歳以下の女性と成人病のおそれのある40歳以上の女性は服用しないこと
・持病のある人は医師の指示に従い、使用を避けること
・飲み忘れに注意する。2〜3日飲まないことがあると妊娠の可能性がある
避妊法 不妊手術
成功率 100%
ポイント ・復元はまず無理のので、子どもを産みあげた女性やからだが弱くて妊娠・出産にたえられない女性に向いている
ココが気になる!
頭痛・肩こり 気になる悩みにこたえます
しつもん ときどきですが、頭がしめつけられるような傷みがあります。どうすればよいのですか?
女性によくみられる頭痛の多くは「頭痛もち」といわれる片頭痛で、このような人は薬を常備していますが、頭痛はストレスが原因になることも多く、あまり薬を服用するのは好ましくありません。しかし、頭痛にもさまざまな症状がありますから、長くつづくようでしたら、病院で診察を受けるようにしましょう。
受診するさいには次の事項をあらかじめメモしておくと便利です。
@頭のどこが痛むのか?
A痛みのようすは?
Bいつごろから痛み出したか?
C頭痛に伴う症状はあるか?
D生活環境について
原因不明な頭痛から解放されるためには、1日も早く医師の診断を受けることが最善の方法です。
しつもん 肩がこってこまっています。なんとかならないでしょうか。
まず、姿勢をよくすることです。そして、エアロビクス・水泳・体操・散歩などで血行をよくします。運動のあとの入浴も効果的です。
また、専門家にマッサージしてもらうとすっきりしますが、そういつも専門家のところまで出向いていくわけにもいきませんから、家族に頼んでみるのもいいでしょう。
肩こりは、更年期障害のひとつといわれてきましたが、最近では若い人でも肩こりを訴える人が増えてきました。高血圧や低血圧でも、肩のこりを感じます。
ただ、肩がこったなと思ってもあまりそのことばかり考えず、気分転換をはかることも重要です。肩こりだけに気持ちを集中させないことが、症状を軽くするいちばんよい方法なのです。そのためにはストレスをためないことが一番です。
ステップ4
妊娠と出産
これだけは知っておこう
知っておきたい妊娠の知識
妊娠・出産は、女性の人生のなかでの最大のドラマといってもいいでしょう。しかし、妊娠と気がつくまえに、すでに女性のからだのなかでは劇的なドラマが繰り広げられているのです。
新しいいのちの宿るしくみ
排卵から受精へのメカニズム
月経のはじまった女性は、ふつう26〜30日に1回の周期で排卵があります。排卵によって卵巣から出た卵子は、卵管に入り、ゆっくりと子宮のほうに移動していきます。卵子が生きているのは12〜24時間ぐらいで、その間にうまく精子と出会うことができたら、受精ということになります。
また、精子は1回に2億〜4億ぐらいの数が射精され、48〜70時間ぐらい生きています。しかし、精子は酸性に弱く、強い酸性の膣内で、その半数ぐらいが死んでしまいます。
そこで生き残った精子は、子宮に入り、上へ上へと卵管めざしてのぼっていきます。その間にも、力のつきた精子は次つぎと死んでいき、また、上までのぼりつめても、半数は卵子のいない卵管のほうへ行ってしまいます。
卵子にめぐり合うことができた精子は、いっせいに卵子をとりかこんで卵子の表面の膜を溶かし、なかにもぐりこもうとします。
そうして、力があり、運にも恵まれた1個の精子が卵子のなかにいちばんのりをすると、卵子は新たにかたい膜をつくって、ほかの精子が入ってこられないようにします。これで、受精の成立です。
受精から着床のメカニズム
受精卵はすぐに細胞分裂をはじめ、増殖していきます。その間も、子宮へと移動をつづけ、子宮腔に達したところで着床します。受精から着床までは、だいたい1週間から10日ぐらいです。
着床すると、子宮膜が厚くなって受精卵を包み込み、また受精卵からは絨毛が発達して胎盤ができます。
その後も細胞分裂はつづき、胎児へと発達していくのです。
受精の成立から着床のしくみ
〈受精のしくみ〉
精子は卵子の外膜を溶かし始める。そのうち1つだけ精子が卵子のなかに入り、受精が成立する
〈着床のしくみ〉
受精卵分裂をくりかえしながら、子宮腔へ進む
受精卵が子宮内膜のなかに入って、着床となる
・アドバイス
元気でかわいい赤ちゃんの誕生のために、女性は自分のからだのなかでおこる毎月の排卵のしくみについて知っておくことです。きちんと基礎体温を計れば、いつが排卵日かがわかります。
自分のからだの周期を知り、そのしくみをよく理解して、あなたの愛する人の2世誕生に役立ててください。
母体と胎児はこんなふうに成長する
1ヵ月(0〜3週)
母体の変化
◎子宮の大きさに変化はないが、厚くてやわらかくなる
・からだがだるくなる
・基礎体温の高温期がつづいている
胎児の変化
◎身長0.5〜1cm
◎体重 1g
・受精してから第2週ごろに着床する
・胎芽といわれる時期
生活のポイント
お酒とタバコを控えるように
兆候はほとんどないが、薬の服用とX線検査には注意する
2ヵ月(4〜7週)
母体の変化
◎子宮はガチョウの卵ほどの大きさ
・月経が遅れている
・つわりの症状が出てくる
・乳頭や乳輪が黒ずむ
胎児の変化
◎身長2.5cm
◎体重 4g
・頭と胴体が区別でき、目や耳、口などができる。また内臓器官も形成してくる。
生活のポイント
流産しやすいとき、無理な動作は要注意。つわりがはじまるので、食生活に気配りを
3カ月(8〜11週)
母体の変化
◎子宮はにぎりこぶしぐらいになる
・乳白色のおりものが増える
・便秘や頻尿になり、つわりがはげしくなってくる
胎児の変化
◎身長 7.5〜9cm
◎体重 20g
・男女の区別がつき、人間らしく3頭身になってくる
・羊水がたまる
生活のポイント
つわりが激しくなるが、がまんすること。保健所などで母子手帳の交付手続きをし、病院を決めておく
4ヶ月(12〜15週)
母体の変化
◎子宮はりんごくらいの大きさになる
・基礎体温が低温期に入り、安定してくる
・つわりがおさまる
胎児の変化
◎身長 16〜18cm
◎体重 120g
・人間らしいからだになり、手足も動かせる
・内臓も活発に働く
生活のポイント
4週間に1度の定期検診を忘れないこと。つわりがおさまってくるので、食欲がでてくる
5ヶ月(16〜19週)
母体の変化
◎子宮は胎児の頭くらいになる
・乳房とお腹が大きくなる
・食欲が出て体重が増える
・貧血になりやすい
胎児の変化
◎身長 18〜27cm
◎体重 250〜300g
・髪の毛、まゆ毛が生える
・心臓の動きが活発になり、骨格や筋肉ができる
生活のポイント
流産のおそれが少なくなった時期に入る。腹帯をつけはじめる。妊婦体操を開始してみましょう。
6ヶ月(20〜23週)
母体の変化
◎子宮底の高さが18〜20cmあり、妊婦体型になる
・体重が5〜6kg増えている
・乳房がどんどん大きくなる
・胎動が感じられる。
胎児の変化
◎身長 28〜34cm
◎体重 600〜700g
・顔がはっきりして、骨もしっかりしてくる
・羊水の中を動き回る
生活のポイント
妊娠中毒症にならないように予防する
1週間に体重が500g以上増えてないかチェックすること
7ヶ月(24〜27週)
母体の変化
◎子宮底の高さは21〜24cmほどになる
・お腹が大きく目立つ
・下半身の血の循環が悪くなり、静脈瘤が出てくる
胎児の変化
◎身長 35〜38cm
◎体重 1〜1.2kg
・男女の外性器がはっきりしてくる
・まぶたが上下にわかれる
生活のポイント
出産準備をはじめ、入院の手続きをしておく
早産の危険があるので無理な姿勢に注意
8ヶ月(29〜31週)
母体の変化
◎子宮底の高さは25〜28cm
・内臓全体が圧迫されるため胸焼け・息切れがおこる
・乳首や外陰部が黒ずむ
・足のつけねに妊娠腺がでる
胎児の変化
◎身長 40cm
◎体重 1.5〜2.0kg
・皮下脂肪がついてくる
・神経が活発になり、外の音に反応してくる
生活のポイント
定期検診は2週間に1度
妊娠中毒症になりやすいので、塩分のとりすぎに注意
9ヶ月(32〜35週)
母体の変化
◎子宮底の高さは28〜30cm
・胃が圧迫されて1度にたくさん食べられない
・トイレが近くなり、おりものが増える
胎児の変化
◎身長 45cm
◎体重 2.5kg
・からだが丸くなり、顔のしわがとれる
・髪の毛が2cmくらいになる
生活のポイント
里帰り出産する人が帰るとき
食事は少量を数回で入院できる準備をしておく
10ヶ月(36〜39週)
母体の変化
◎子宮底の高さは30〜35cmくらいになる
・胃の圧迫がなくなり、食欲がでてくる
・お産の兆候があらわれる
胎児の変化
◎身長 50cm
◎体重 3.0kg
・4頭身になり、母体から外へ出る準備ができている
・病気の免疫がある
生活のポイント
定期検診は1週間に1度
休養をしておく
入浴は毎日欠かさず入ること
妊娠の初期兆候をチェック
妊娠かもしれない?こんな症状
@月経がとまる
規則正しく月経のある人が、10日〜2週間以上も遅れている
Aつわりがはじまる
胸がむかむかして吐き気がする、食欲がない、食べ物の好みが変わるなどがおもな症状だが、個人差がある
B乳房が変化する
乳房が張る、乳首とその周りが黒ずむ、乳首が痛むなどに変化
C基礎体温の高い日がつづく
月経の予定日になっても3週間以上高温がつづく
Dそのほかにもこんな変化がおこる
・肌が荒れて化粧ののりがわるい
・しみ・そばかすが出る
・全身がだるい
・おりものが多くなる
・腹痛がよくおこる
・排尿の回数が増える
・イライラする
・いくら眠っても眠けがある
妊娠中の生活はこんなことに注意
@規則正しい生活をする
からだに負担がかからないような生活をするために、1日のだいたいの予定を立てる。そのためには家族の協力が大切
Aたっぷり眠ろう
少なくとも8時間の睡眠を確保する。不足したときは昼寝をして補う
B薬や]線検査は医師に相談して
薬や]線の影響をもっとも受けやすいのは妊娠2〜12週の期間。医師にかかるときは、必ず最初に妊娠していることを告げる
C清潔をこころがけよう
できれば毎日入浴し、尿路感染症や膣炎にかからないようにきれいにしておくこと
D定期検診は必ず受けよう
定期検診では、母体の健康や胎児の成長をチェックしたり、異常を早期発見する。また、医師への相談や質問のよい機会でもある
E無理な動作はしない
無理な動作や姿勢で、早産や流産を引き起こさないように気をつける
F適度な運動で出産にそなえる
母親学級やマタニティースイミングなどで、分娩のときに関係する筋肉をきたえて出産の苦痛をやわらげる。どのような運動でも指導者のもとで行うこと
G食事は栄養のバランスを考える
ビタミン、たんぱく質、脂肪類、糖質類
H家事は無理をせず、のんびりと
妊娠前と同じように家事をこなそうとせず、家族に協力してもらい、からだに負担をかけないように
I部屋のなかをかたづけよう
妊婦のからだつきはひじょうに不安定のため転びやすい。階段にはすべり止めをつけよう
Jセックスは赤ちゃんにやさしく
おなかを圧迫しない体位を!
前側位 愛撫がしやすい
前座位 腹部を圧迫しない
後背位 結合の深さの調節が自由
Kここがポイント・分娩場所はどこを選ぶ?
・信頼のおける施設であるかどうか?
・自宅から通うのに便利か?
・どんな分娩方法か?
・会陰切開はするのか?
・個室or相部屋?
・費用はどのくらいか?
・母と子は同室or別室?
・母乳栄養or人工栄養?
・付き添いが必要or完全看護?
・夫の立ち合いはできるか?
・母親学級はあるか?
妊娠から分娩・産後まで
女性にとって、妊娠・出産のときほど幸せをかんじることはないでしょう。
分娩は母と子の共同作業です。10ヶ月の間、おなかのなかで育んできた赤ちゃんと、いよいよ対面できる日です。
妊娠中のこんな以上は要チェック
妊娠前期の異常
つわりがひどい
つわりは、妊娠につきもののからだに出る症状ですが、個人差があるものです。軽症の場合は心配はいりませんが、じゅうしょうになると栄養失調をおこしたり、寝こんだりします。
流産しやすい
もっとも流産しやすい時期は、妊娠2〜4ヵ月ごろです。からだに無理のない生活をしましょう。流産の原因は、胎児に問題がある場合と母体にある場合があります。定期検診を受けることは、流産の予防にもつながります。
子宮外妊娠が発生する場所は?
膨大部 峡部 采部 卵巣 腹腔 頸管 間質部 正常な着床の位置
胞状奇胎とは?
胎盤をつくっている繊毛組織の一部分が異常に増えて、子宮のなかに水胞がたまってしまう
胞状奇胎がみられる
胎盤を形成する絨毛組織が異常に増殖して、子宮のなかが水胞状ののう胞でいっぱいになる病気です。
胎児は吸収されてしまうのがほとんどです。原因ははっきりしていません。胎動やおなかの大きさに要注意です。
子宮外妊娠の痛みが出る
受精卵が子宮内の子宮腔以外の場所に着床するためにおこります。 場所によっていは胎児が死亡してしまうので、妊娠したら早めに受診を受けます。
・アドバイス
女性だけがなすことのできる出産は、あなだ自身で管理していくのが望ましいことです。妊娠は病気ではないのですからあまり神経質になることはありません。
そして、わが子の誕生という大事業はあなたの手で行われるのですから、誇りと希望をもって成しとげれば、女性の喜びを得られるでしょう。
妊娠前期の異常と症状
異常の種類
重症なつわり
これが危険信号!
つわりの症状には個人差があり、何も感じない人からかなり苦しむ人もいる。かなりひどい症状になると、食欲がなくなり、寝こんでしまうほどつらくなる。それが原因で栄養失調をおこしてしまう。また、胆汁や血を吐くこともある
ひとくちメモ
治療を受けるほどひどいつわりになる人はめったにいない。情緒不安定や体力がないなどの人にあらわれやすい
異常の種類
流産
これが危険信号!
流産は出血でわかる。月経のときのように、はじめは少量の出血で、しだいに多くなっていく。このとき下腹部痛もおこり、出血もさらに増え、流産は状態によって、切迫流産・不全流産・完全流産・稽溜流産などの種類がある
ひとくちメモ
出血量が多く、痛みが激しい場合はすぐに病院へ。絶対安静にする。ふだんの生活のなかで、無理をしないことが予防
異常の種類
胞状奇胎
これが危険信号!
少量の出血がはじまり、大出血になることもある。つわりもしだいに強まっていく。出血があっても下腹部痛はほとんどおこらないが、子宮のなかの奇胎が排出されるときは下腹部痛をともなう
ひとくちメモ
胞状奇胎と診断されたら、子宮のなかの繊毛組織を残さないようにして、繊毛ガンの発生を防がなければならない
異常の種類
子宮外妊娠
これが危険信号!
少量の出血が不規則におこり、それにともなって激しい下腹部痛におそわれる。吐き気や貧血などをおこす場合もある
ひとくちメモ
妊娠したらすぐに医師の検査を受けて早期発見をするように
早産の原因になる胎盤の異常
<前置胎盤>
辺縁前置胎盤
胎盤が子宮口の近くにある
部分前置胎盤
胎盤が子宮口の一部をふさぐ
全前置胎盤
胎盤が子宮口をふさぐ
<常位胎盤早期剥離>
暗色の出血とともに腹痛がおこる
胎盤と子宮のあいだに血がたまる
<正常な胎盤>
胎盤が子宮の上部にある
妊娠後期の異常
妊娠中毒症には要注意!
妊娠の後期でいちばん恐れられている病気です。原因もはっきりしていません。重症になると母子ともに生命に危険があるのです。
羊水過多少でおなかが大きい
胎児を包んでいる羊水が異常に増える病気です。原因の多くは胎児にあるといわれますが、はっきりとはしていません。
前置胎盤は少量の出血でわかる
子宮の前の内壁かうしろの壁についているはずの胎盤がなにかの原因で子宮の出口についてしまいます。早期発見なら、帝王切開で無事に出産できます。
常位胎盤早期剥離は激しく痛む
晩出前に胎盤が子宮壁からはがれてしまい、胎盤と子宮との間に血がたまっていくのです。
前置胎盤とともに母子に危険が高く、早産の原因にもなります。
妊娠後期の異常と症状
異常の種類
妊娠中毒症
これが危険信号!
おもな症状としては、むくみ・タンパク尿・高血圧である。妊娠8ヶ月ごろに、足のすねを押してへこむのは要注意。血圧が最高が140以上、最低が90以上の高血圧や、尿が白く濁ったタンパク尿が発見される
ひとくちメモ
体重が1週間に500グラム以上増える場合にも妊娠中毒症が考えられる。体重の増加もチェックすること
異常の種類
羊水過多症
これが危険信号!
お腹のなかの羊水が必要以上に増えて、異常にお腹が大きくなる。羊水の増え方によって症状も異なる。急速に増えると、腹痛や呼吸困難、吐き気がみられ、反対に少しずつ増えるのは足のむくみや早産の原因にもなる
ひとくちメモ
お腹の胎児の位置が定まりにくくなり、さかごになりやすい。原因の多くは胎児にあるようだ
異常の種類
前置胎盤
これが危険信号!
お腹がまったく痛くないのに、多量の出血がある。妊娠後期のなかでも、もうすぐ出産を迎えるときにおこりやすい
ひとくちメモ
少量の出血でも、すぐに病院へいくこと。定期検診が予防になることが多い
異常の種類
常位胎盤早期剥離
これが危険信号!
いきなり、下腹部に激しい痛みが走り、冷や汗が出て、顔色が青白くなる。ときには少量の出血もみられ、失神状態になることもある
ひとくちメモ
妊娠中毒症にかかっている人にみられやすい。妊娠中毒症を予防することが大切
異常の種類
早産
これが危険信号!
周期的に陣痛ともいえる痛みがはじまり、出血があったりする。破水するときもある。前置胎盤や常位胎盤早期剥離も早産をおこす原因となる
ひとくちメモ
早産の疑いがあったときは、すぐに横になり、安静にして医師の診察を受ける
早産には気をつけよう
妊娠29〜38週末に胎児を晩出することをいいます。原因は、胎児と母体の両方にあります。
母体の早産の兆候は次のとおりです。
・腰が重い感じがする
・子宮収縮がおこり、おなかが痛む
・子宮頸間が開きはじめ、血性のおりものがある
・破水がおこる
・胎児の頭が下がり、排尿の回数が増える
子宮筋腫や妊娠中毒症、子宮頸管裂傷などが母体の原因として考えられます。
兆候があらわれたら、横になって安静にして医師の診察を待ちます。
妊娠がおこす合併症に注意する
妊娠によって引き起こされる病気を合併症と呼んでいます。
心臓疾患のある人は、妊娠することによって心臓への負担がかかり、分娩時にはさらに大きい負担がかかるため、出産後も回復が遅れ、さまざまな病気にかかることがあります。
また、妊娠中、高血圧症になる人もいます。気をつけなければならないのは慢性腎炎後の高血圧症です。この場合は、妊娠まえに医師に相談して、許可がおりてから受胎します。そして、妊娠初期の症状が軽いうちに治療し、医師の指示に従って出産まで運ぶことです。
そのほかに糖尿病との合併症もみられます。糖尿病を合併すると、妊娠末期にはとくに、成長ホルモンや副腎皮質ホルモンが増えるため、糖尿病がわるくなることがあります。
また肛門の病気にかかる率も高くなります。妊娠してから、痔に悩まされるようになった人も多いようです。妊娠時には便秘になりやすく、便が硬く出にくくなりますから、食べるもので調節するように気をつけましょう。またどうしても無理な場合は、医師に薬などをもらい、肛門に負担をかけるのを防ぐようにします。
さかごのいろいろ
ひざをまげたまま出る複腎位
単臀位 おしりから出る
ひざから出る 膝位
全足位両足から出る
帝王切開とは?
帝王切開には、切開のしかたのちがいで2つの方法がある。どちらの方法にするかは、医師の判断による
難産になるお産のいろいろ
お産ほど個人差のあるものはありません。また本人は思いと思っているお産が、医師からみれば軽いお産であったというように、その人の感じ方でちがってきます。
しかし、誰が見ても重いお産というのがあって、それを難産といっています。
では、いったいどんなお産が難産なのでしょうか。
1.前置胎盤で、自然なお産ができない
2.微弱陣痛といって、陣痛のおこり方が弱く時間がかかる
3.常位胎盤剥離
4.子宮が破裂する
5.分娩の進行中、胎児が仮死状態になる
などさまざまなケースがあります。
また、ショック状態におちいる場合もあります。ショックには突然脈拍が早くなったり、冷汗をかく、興奮する、というような軽い症状のものから、胎盤早期剥離や、胎児が死んでしまってからのお産、胎盤が出たあとにおこる弛緩出血を原因とするショック状態もあります。
そのほか、心臓の弱い人、体力の弱っている人、お産の途中で子宮が大動脈を圧迫して、血圧が急速に下がった場合などにもショックがおこります。
しかし、これらのショックはある程度予防ができますから、妊娠中から体力をつけておくようにこころがけましょう。それには十分な栄養と、睡眠、そして精神的な不安を取り除いておくことです。
ショックの治療は、頭を低くさせて、血圧が下がるのを防ぎます。また、出血多量の場合は、輸血による手当ても行います。
そのほかに、難産になりやすいものとして骨盤位(さかご)、多胎(ふたご・みつごなど)、予定日を超過している場合などがあります。
産後の生活を快適にすごす
産褥期はしっかり休養
お産のあとの時期を産褥期といいます。母体の性器や出産の際に消耗した体力を回復する時間です。
産褥期は、分娩後6〜8週間で、子宮は産後約6週間、産道や膣は約4週間、子宮口や子宮頸管、外陰部も2〜3週間でほぼ正常の形にもどります。ただし、特殊なお産をした場合には、正常分娩よりは回復までに多少時間がかかります。
こうした身体的な回復を早めるためにも、十分な休養と睡眠をとることが必要です。
悪露の手当てはていねいに
子宮内にたまっていた血液や分泌液が出産後排出されることを悪露といいます。悪露は、産後約3週間排出され、子宮内の回復とともに色は暗赤色から褐色、黄色と変化し、量も3日目が最も多くなってその後減少します。
いつまでも血性の悪露がつづくようなら、子宮復古不全の疑いがあります。
手当てはこまめにしないと、細菌感染をおこしてしまいます。消毒した脱脂綿で外陰部を清潔にします。
産後の検診は必ず受けよう
産後の性器やからだの回復が順調かどうかを診てもらうためにも、産後1ヵ月ごろ、遅くても6週間以内に受けるようにしましょう。
産後にかかりやすい病気には、産褥熱・子宮復古不全・乳腺炎・乳頭亀裂・膀胱炎・腎盂腎炎などがあります。産後の回復がわるいと赤ちゃんも苦しむことになりますから、いつまでもからだの調子がわるい場合には、早めに医師に診てもらいましょう。
悪路の手当ての方法
消毒綿の作り方
@5cm角の脱脂綿を煮沸消毒する
A2%のホウ酸水にひたす
B清潔な密閉容器に保管する
尿道口から肛門の方向にふき、2度ぶきはしないこと。消毒綿は1回使用したら捨てる。悪路の手当てをする前と終わったあとは必ず手をよく洗うこと
月経はいつからはじまる?
出産後、再び月経がはじまる時期は人によってちがいます。
母乳で育てている人は一般的に再会は遅く、1年後という人もいます。授乳をしていない人は、2〜3ヶ月で再開することが多いようです。
産後のセックス・ライフは?
赤ちゃんが生まれたあとの子宮や性器は疲れていますから、産後の検診をして、医師の許可を得てからのほうが安全です。
まだ、月経がはじまらないうちのセックスでも、たまたま最初の排卵の時期だったりすると、妊娠することはあります。母体の回復のためにも、この時期のセックスでは避妊の必要があります。
産後の生活ではここに気をつける
1週目 昼寝しかりすること
2週目 無理は禁物。楽な姿勢を!
3〜4週目 家事ができるようになるけど、無理をしないように
1ヵ月検診 そろそろ、入浴の許可があるとき
7週目 ふだんの生活ができるようになる
不妊かしら?と思ったら
健康な夫婦が、子どもがほしくてセックスをしているのに、2年以上すぎても妊娠しないという場合には、何らかの不妊の原因があるとみて、さぐってみるよよいでしょう。
不妊の原因と治療を知っておく
なぜか妊娠しない
不妊とみられる原因にはさまざまありますが、いくつもの原因が重なりあっているケースが多く、気長に治療や方法を試みる必要があるといえます。
検査や治療は夫婦そろって専門医に出向いて、相談して指導を受けます。
女性に多い不妊の原因
女性の側の不妊原因のなかで多いのが、卵管に癒着や狭窄などがある異常です。不妊のうち約30パーセントあります。このほか、女性の内性器の異常や、黄体機能不全などもあります。
男性に多い不妊の原因
男性の側の不妊原因も約40%あります。
無精子症、精子減少症、精子形成障害、精子路障害などがあります。
不妊症の検査はどんなの?
病院へ行くとどんな検査をするのか不安になりますが、原因が複雑なことが多いために、検査は系統だてて要領よくしてもらわなければなりません。
まず、問診や一般診察で健康状態や生活状況、結婚生活などをみてから、適切な検査を行います。
女性側の検査
女性の検査はいろいろありますが、おもに次のようなものがあります。
●基礎体温の測定…排卵の有無、排卵日、卵巣のはたらきなどを知るために必ず必要です。通院中ずっと記録します。
●卵管疎通検査…月経終了後2〜3日から排卵日の間に、子宮口から造影剤を入れて子宮腔や卵管腔の内部を調べます。
●子宮内膜組織検査…排卵後7日目ごろに受精卵が着床する子宮内膜に異常がないか、組織をとって調べます。
●性交後検査(ヒューナーテスト)…もっとも受精しやすい排卵日ごろの、性交3〜4時間後に、腔内に射精された精子が子宮頸管を上昇していくかどうか調べます。
女性の膣、子宮腔内から内溶液を採取してガラス板にのせ、顕微鏡で精子の運動性や有無をみます。
男性側の検査
男性の検査は次のようなものがあります。
●精液検査…精液の精子数、運動性、ペーハー、粘ちゅう度、精子の奇形混在の有無などを調べるもので、3〜4日禁欲後、マスターベーションで検査容器に精液をとります。
●睾丸組織検査…睾丸穿刺を行い、組織を調べるもので、精液検査結果、無精子症や精子減少症などが認められた人の、造精機能をみます。
●染色体検査…無精子症の場合、性染色体などを検査して、半陰陽かどうか調べます。
http://ohyama-kampo.server-shared.com/ok.htm・アドバイス
子どもがほしいのにできないときの、女性の気持ちは切実です。そんなとき、「どうしてつからないの」「はやくつくったほうがいいよ」などといった無神経な言葉に、つい落ち込んでしまいます。しかし、人は人と割りきって、あまり悩まずに、明るく毎日をすごすことが大切です。まわりの人も、口出しせずに見守る姿勢が必要です。
女性の不妊の原因となるもの
卵管障害(卵管閉塞 腫瘤癒着 子宮内膜症)
子宮障害(子宮の奇形 子宮筋腫 結核性内膜炎)
排卵障害
卵巣障害
女性ホルモン分泌障害
精子侵入障害
ココが気になる!
貧血・冷え症・手指の荒れ
しつもん
貧血気味でいつも顔色がわるいのですが、どんなことに注意したらよいのでしょうか?
若い女性や妊娠・授乳期の人に多くおこる貧血に、鉄欠乏性貧血があります。
これは、鉄分を多く含む食品をとることでよくなります。
そのうえで、鉄剤を服用するとさらに効果的です。鉄剤を服用しても効果がないときは、内臓の病気や、再生不良性貧血・溶血性貧血のように血液そのものに異常があっておこる貧血も考えられますから、医師に相談してください。
しつもん
冷え性でこまっています。冬場など、夜、布団に入ってもいつまでも手足が冷たいままで眠れません。
なるべくからだを冷やさないようにして、急激な温度差にさらされるのを避けます。
そして、血行をよくするために、つぎのことを実行してください。
@寝るまえに、ぬるめのお湯にゆっくりつかり、冷えを感じる部分をマッサージする
A毎日適度な運動をする
BビタミンEをたっぷりとる
そのほか、乾布摩擦をしたり、からし・山椒・エスニック料理など、香辛料を使ったりょうりはからだがあたたまり、血行もよくなります。
しつもん
指先が荒れてざらざらしています。スベスベの肌にするにはどうしたらよいですか?
手は、寒い風に当たった場合や水仕事のあとにあれることが多いようです。これは、手袋をはめることで予防できます。すでにあれてしまった人は、毎日手を清潔にして、ハンドクリームをよくすりこみます。補助としてビタミンAを飲むのもいいでしょう。ビタミンAの欠乏症は現代ではほとんどみられませんが、偏食の人、インスタント食品愛好者にはいるようです。ビタミンAは皮膚の新陳代謝に必要な成分ですから、不足すると、皮膚の荒れをおこす結果になるのです。
正しい食生活でヘルシーライフ
人が健康に生きていくためには、栄養価の高い食品をバランスよくとることが必要だといわれます。では、具体的にどんな食品をどのようにとればいいのでしょうか。
毎日はつらつとすごすために
1.ご飯は3食、きちんととろう
食べることは、健康の基本です。それも、決まった時間にきちんと3食、6つの基本食品群からバランスよく食べることが大切です。とくに、朝食はその日1日を元気にすごすための一番大切な食事です。昼食や夕食を外でとる人は、どうしても栄養がかたよりがちですから、朝食で偏りを補いたいものです。
また、不規則な生活や食事を抜いたりすることは、ダイエットにはつながらず、からだの栄養吸収率を異常に高めて、むしろ肥満になります。夜食もなるべくかまんして、寝るまえの3時間は何も食べないようにしましょう。
2.ご飯も肉類もからだに必要
最近はダイエットのために肉や魚、ご飯、油といったたんぱく質・糖質・脂肪質の供給源となる食品をまったくまたは、たまにしか食べないといった女性が増えています。
しかし、これは間違った考えです。たしかに、食べ過ぎるのはよくありません。あまった分はからだのなかに脂肪としてたくわえらら、肥満の原因となり
woman 3medicine
エイズ
別名は後天性免疫不全症候群
原因 症状
ヒト免疫不全ウイルス(HIVウイルス)が、おもに血液と精液を媒介にして感染するものです。ふつう、2〜5年ぐらいの潜伏期間を経て発病します。発病すると、病気に対する抵抗力がなくなり、カポジ肉腫という皮膚ガンや、カリニ原虫による肺炎を併発する割合が極めて高くなります。
治療
世界中で研究が進められていますが、確かな治療法は、いまのところありません。
当初は、同性愛者同士のセックスによる感染が原因とされ、次いで輸血と血液製剤による感染が、とくに日本では問題になりました。しかし、最近では異性間のセックスによる感染も急激に増え始めました。
妊婦がエイズに感染した場合には、胎児も母親から直接感染してしまう可能性がたいへん高いのです。
エイズのいろいろQ&A
Q1外見でエイズに感染していることがわかりますか
A エイズに感染しても、症状がでるまでに10年以上かかることもあります。その間は健康そのもので、本人もエイズに感染していると気づかない場合があるのです。したがって、外見だけでエイズに感染したかどうか見分けることは不可能です。きちんと検査を受けてわかるものです。
Q2ピアスや針治療で、感染することがありますか?
Aピアス・針治療・入れ墨などで皮膚に傷をつけるのは、使う器具がきちんと消毒していれば、安全です。このことは、エイズだけに限らず、いろいろな種類の雑菌からの感染を防ぐことでもいえるのです。使う器具がしっかり消毒されているかどうか確かめることを心がけます。
Q3病院でする注射で、感染する危険性はありますか?
A病院で使う注射器のほとんどは、使い捨てのものですから、1度使ったらすぐに捨ててしまうので、感染する危険はありません。ただし、海外へ行って(とくに小さな病院で)注射を受けるようなことになったら、きちんと消毒されているかどうか、たずねてみましょう。
Q4妊娠している母親から体内の赤ちゃんへ感染するのですか?
A母親がエイズ感染者であれば、その胎児が感染する可能性はあります。エイズのウイルスが胎盤を通って、胎児へ感染することを胎内感染といいます。また、出産のときに通る産道内で血液から感染することもあります。感染者で子供を望む人は、医師に相談する必要があります。
Q5母乳のなかにもエイズウイルスは入り込むのですか?
A母乳のなかからエイズウイルスが発見されているので、母子感染のひとつということが明らかになりました。母乳は乳児にとってすばらしい栄養源ですが、母親が感染者ならば、人口ミルクを使うようにしましょう。授乳のときには、器具の消毒に十分気をつけたいものです。
Q6プールや温泉などで感染することがありますか?
Aエイズウイルスは、空気・洗剤・熱・塩素に接触するとすぐに死んでしまう、ひじょうにもろいものです。ですから、日常の生活のなかで触れるもののほとんどは安全です。くしゃみやせき、握手などからだとからだの接触でも感染することはありえません。
Q7キスでの感染はだいじょうぶですか?
Aあいさつ程度のほおやくちびるにするソフト・キスは安全ですが、唾液のなかからもウイルスが発見されているので、ディープ・キスには危険があります。しかし、唾液のなかのウイルスの量はわずかなので、感染する可能性もかなり低いもので、感染はあまりみられないようです。
Q8エイズ検査は、どこで受けられますか?
A全国の保健所や病院で受けられます。検査は仮名で受けられ、個人的なことは聞かれません。費用は約1600円です。場所によって検査日が決まっているので、前もって調べておく必要があります。病院では、実名で受けつけねばならない場合もあります。また、費用も高くなります。
乳房のいろいろな病気
乳首の異常
女性のふっくらとしたからだを象徴する乳房。出産にとっても、大役を果たす機能をもっています。それだけに、ちょっとした異常もみのがさないようにしたいものです。
陥没乳頭と偏平乳頭
授乳ができるように治す
乳首が内側にへこんだ状態を陥没乳頭、偏平なものを偏平乳頭といいます。ふだんは別にさしつかえないのですが、出産して授乳するときに困ることになります。このような人は、妊娠中から乳房のマッサージを行います。お風呂に入ったときの肌のやわらかいときに、乳首を引き出すようにすると、しだいに効果があらわれてきます。
こうした授乳を矯正する方法に、プレスとシードという器具をもちるのものあります。しかし、状態がひどいときは、形成手術が必要ですから、妊娠した時点で医師に相談しておくといいでしょう。
乳首を引き出す入浴法
皮膚がやわらかくなっているときに、乳首を引き出す。
乳頭亀裂
ひどくなるまえの治療が大切
乳首になんらかの傷があると、そこに雑菌が入りこみ、乳腺炎になることがあります。亀裂があって痛んだりする場合は、早めに医師の診断を受けてください。
雨森センセイのベスト・アドバイス
赤ちゃんには母乳がいちばんですが、乳頭に傷ができていたり、形がわるかったりすると母乳を与えることはできません。
母乳を与えることによる母子のコミュニケーションは、ミルクでは得られません。
乳首の状態がひどいときは、手術をすることを恐れないでください。
乳房の内部の異常
産褥性乳腺炎
乳頭の傷からの感染を防ぐ
原因 症状
これは、出産後10〜15日ごろにおこり、一般的に初産婦に多いようです。
授乳中にできた乳頭の亀裂に、黄色ブドウ球菌が感染することによっておこるものです。
症状としては、乳房がひじょうに痛み、高い熱が出ます。そのままにしておくと、乳房内に腫瘍ができます。
治療
早いうちに医師の診断が必要です。抗生物質を多量に投与して、乳汁を吸引します。炎症がつづく間は、乳児に影響をもたらすので、授乳はひかえます。
うっ滞性乳腺炎
乳汁の出がわるいのが原因
原因 症状
出産から2〜4日したころに、乳汁が乳腺にたまりすぎて乳房がはれ、痛むものです。
治療
授乳や搾乳でたまった乳汁を出し、冷たい湿布をします。
乳管乳頭腫
乳頭を清潔にすることが予防
原因 症状
40〜50歳代の出産経験のない女性に比較的多くみられる病気で、乳頭の下の太い乳管に腫瘤ができ、血性の分泌物が出ます。
治療
良性と悪性の場合があり、良性のときには腫瘤だけを切除します。
乳腺線維腺腫
一番発生しやすい良性腫瘍
原因 症状
乳房に、コリコリしたピンポン玉ぐらいの腫瘤ができます。さわるとよく動き、痛みはありません。
良性の腫瘍で、20〜30歳代に多く発生します。
治療
急に大きくなるとき以外、切除の必要はありません。
巨大線維腺腫
大きい腫瘤は良性なので安心
原因 症状
良性で、球状か葉状の大きな腫瘤が乳房にできます。腫瘤はやわらかく、弾力があります。
手術
手術で腫瘤を摘出します。
乳腺症
ガンとの併発・移行には注意
原因
卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスがくずれ、乳房分泌組織が増殖をしておこるのではないかといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。出産経験がない、月経周期が不規則、無排卵性周期である、などの女性の多く発生します。
症状
乳房に、形のはっきりしない大小さまざまなしこりができます。月経前になると、乳房がはり、鈍い痛みがあります。また、透明な分泌物や血性の分泌物が乳頭から出ることもあります。
乳腺症は、ガンと併発している場合が50%、最初は併発していなくてもガンに移行する場合が10パーセントの確率でありますから、乳腺症と診断されたら、そのあと定期的に3〜6ヶ月に1回は、検診を受けます。
治療
治療は年齢や症状によってちがいます。ただ、痛みが強いときには男性ホルモンや黄体ホルモンの投与を行います。
泌尿器のいろいろな病気
女性は尿道が短いため、尿路の病気に悩む人が多いのですが、そのほどんどは、清潔にすることで防げるものです。正しい知識を身につけて、病気の予防に役立ててください。
尿路感染症
尿路とは、その字の通り、尿がつくられ排泄される道筋のことです。
まず、からだ中をめぐり汚れた血液が腎臓でろ過されて尿がつくられます。つくられた尿は腎臓の中の腎盂に集められ、そこから尿管を経て膀胱に流れ込みます。流れ込んだ尿が膀胱にある程度以上たまると、尿道を経て尿道口より排泄されるのです。
腎臓は、上腹部の背骨の左右に1個ずつあり、そらまめのような形をしています。それぞれの腎臓と膀胱をつなぐ尿管の長さは約30センチです。
膀胱は子宮と恥骨の間にあり、個人差はありますが、平均して570ccの尿をためることができます。妊娠したときに排尿の回数がふえるのはこの場所のせいで、ふくらんだ子宮に膀胱が圧迫されるからなのです。
女性の尿道は男性にくらべて短く、約4センチほどしかありません。そのうえ、尿道口の近くに、膣や肛門といった分泌物を排泄する器官があります。そのため、尿道口から尿道を伝わって最近が入りやすく、膀胱炎や腎盂炎などの尿路感染症をおこしやすい状態にあります。
局部の清潔が徹底しない子供には、とくにおこりやすい病気なので、家族の気配りが必要です。また、思春期以降は、不潔なセックスなどが原因で尿路感染症をおこすことがあります。
尿路感染症をおこすおもな菌は、大腸菌・連鎖球菌・ブドウ球菌などです。
膀胱炎
慢性化しないうちに治療する
原因 症状
膀胱炎とは、尿道口から大腸菌などが入り、これが膀胱に至って広がり、膀胱に炎症をおこすことをいいます。
排尿のときに頭の芯まで走るような痛みを感じたり、排尿のあともまたすぐトイレにいきたくなるような残尿感があります。
また、下腹部の痛みがあり、血尿が出たりします。
命にかかわる病気ではありませんが、ほうっておくと慢性になり、たびたび発病することになります。
おりものが多いときは、膣から尿道口へ細菌が入り込みやすくなりますから、膣に炎症を起こしている人は、必ず医師にかかり治療してもらいましょう。
また、セックスのあとなどは細菌が尿道口から入りやすくなっていますから、男性側の手や性器なども清潔にするようにします。
それから、排尿をこらえすぎるのもよくありません。尿意を感じたら、がまんせずにトイレへ行くようにしないと、ますますひどくなってしまいます。
治療
検査で原因となる細菌は何かを見つけ出し、その細菌にきく抗生物質を投与します。必ず完全に細菌がいなくなるまで治療をつづけます。最低でも、1週間はみておきましょう。
・アドバイス
泌尿器の病気は、場所が場所だけに異常があっても誰にも相談できず、ひとりで悩んでいる人が多いようです。その結果、病気がひどくなったり慢性化したりしてしまいます。
そうなるまえに、なるべく早く医師の診断を受けることです。痛みやかゆみをがまんせず、適切な処置ですっきりと治しましょう。
尿道炎
膀胱炎を併発するときもある
原因
尿道炎の原因は、淋菌やトリコモナスによるものが多いようですが、最近ではこれら以外の病原菌で、とくにクラミジア・トラクマチスによるものが多いといわれています。
症状
排尿時にするどい痛みがあり、血尿が出ます。細菌が膀胱に侵入すると膀胱炎にもなりやすいので、早めの治療が必要です。
治療
原因となっている菌に効果のある抗生物質を投与します。
腎盂炎
背中やわき腹に痛みが生じる
原因 症状
炎症が膀胱から上に昇ってきて、腎臓の腎盂にまで広がった症状をいいます。
急性の腎盂炎にかかると、39度以上の高熱が出てだるくなり、それにともなって血尿も出るようになります。背中や腰、わき腹などが痛みます。じっとしていられないぐらい痛むようでしたら、入院して治療する必要があります。
治療
原因となっている菌に効果のある抗生物質の投与を行います。
そのほかの泌尿器の異常
尿失禁
くしゃみをしただけで尿がもれる
原因 症状
膀胱は一定量の尿がためられるようにできていますが、膀胱括約筋が弱くなったりして、少量の尿をもらしてしまうことを尿失禁といいます。
また、女性に多いストレス性の尿失禁もあり、せき、くしゃみ、または大きい声で笑ったりしたとき、重いものを持ち上げたり、走ったりしたときなど腹圧がかかっただけで尿のもれることがあります。これをストレス・インコンチネンといいます。
原因は、女性の尿道が男性の尿道よりはるかに短いため、もともともらしやすいこと、さらに妊娠・出産・または老化のために膀胱括約筋が弱くなることがあげられます。
治療
こうした症状は、骨盤内の筋肉の収縮を強くする体操を行うだけである程度緩和されますが、ひどい場合は外科的手術が必要になります。
女性特有のいろいろなガン
女性のからだは、子供を産み育てる機能をもっているため、男性にくらべてとても複雑な構造になっています。とくに、性器と乳房は複雑になったぶん、異常がおこりやすいのです。
子宮と卵巣に発生するガン
子宮頚ガン
自覚症状がないので検診を
原因 症状
子宮ガンは、発生場所によって子宮頸ガンと子宮体ガンに分けられます。とくに子宮頸ガンは発生率が高く、全体の90%といわれています。
子宮頸ガンができる場所は、子宮の入口の部分にあたります。ガンはこの部分にある偏平上皮から発生します。原因はまだわかっていませんが、間接的に関係のありそうなものをあげてみると、セックス・妊娠・分娩などによる刺激、多産、包茎の夫をもつ人、初めての性交の年齢が低い人、多数のセックスパートナーをもっている人、ホルモンの分泌の異常、梅毒、炎症などが、ガンを誘発するといわれています。
また、発生する年代は、40代・30代・50代・60代の順になっています。
症状がかなり進むまで、自覚症状はありません。
治療
進行の度合いによって治療法は違います。
初期のものならほぼ治すことができますが、子宮頸ガンは自覚症状がほどんどないので、早期発見のポイントは定期健診しかありません。少なくとも年1回は検診をうけましょう。
子宮体ガン
出産未経験の女性に多い
原因 症状
子宮体ガンは発生率は日本では比較的少なく、全体の10%です。しかし、近年は生活様式が欧米化してきたせいか、子宮体ガンも増えつつあります。
発生しやすい年代は、50〜60歳代に多く、閉経後の人に多くみられます。発生の原因はわかっていませんが、卵胞ホルモンの過剰が影響するといわれています。子宮体ガンは、子宮内膜のポリープや子宮筋腫、卵巣腫瘍と合併することもあるといわれています。子宮頸ガンが経産婦に多いのにくらべ、子宮体ガンは出産経験のない女性に多いようです。
体質的にかかりやすい人は、太っている人、高血圧の人、糖尿病の人などがあげられます。
症状には血性のおりものや不正出血があります。
治療
進行の度合いによります。原則として、子宮の全摘除を行います。
絨毛ガン
死亡率は低下してきている
原因
原因は、まだはっきりとはわかっていません。
胎児の成分である絨毛が異常に増殖する悪性の腫瘍です。妊婦や流産のあとに発生する事が多く、とくに胞状奇胎という異常妊娠のあとでは1〜3%という確率で発生します。
症状
分娩や流産のあとに不正出血がつづき、血のまじったおりものが増えます。
腫瘍細胞は血管を通して転移し、肺に転移すればせき・かっ血・胸痛・脳に転移すれば頭痛・おう吐・膣や外陰部に転移すれば強い出血をおこします。
治療
強力な化学療法を行った後、子宮を全摘出します。そのあとも化学療法をつづけます。
卵巣ガン
症状もなく転移が早い
原因
卵巣ガンの発生する年代は幅が広く、少女から高年齢にまでおよびます。
また卵巣ガンは未婚の女性や出産の経験のない人におこりやすいともいわれています。食べ物では、肉料理を好む人に多いともいわれています。一般的にみて、豊かな国の女性に多く、日本でも10万人に2から3人ぐらいの割合でかかっています。
症状
自覚症状がまったくないので、早期発見は困難です。
転移するのが早く、卵管・膣・子宮へと周囲に広がります。
治療
両側の卵巣の摘出、あわせて化学治療を行います。
外陰と膣に発生するガン
外陰ガン
外陰の病気から発生しやすい
原因 症状
原因は不明で、高年齢者に多く発生します。ベーチェット病・外陰萎縮症から発病することもあります。
初期には、外陰部の小さなしこりのほかにこれといった自覚症状はありません。症状が進むと、しこりが大きくなり、リンパ腺がはれてきます。
治療
程度によって、小範囲の外陰摘出か、そけい部のリンパ腺も含めた広い範囲の外陰を摘出します。
膣ガン
発生率はひじょうに低い
原因 症状
高年齢の経産婦に発生するガンです。これも初期症状はなく、進行するにつれてセックスのあとに出血したり、においのあるおりものが増えたりします。また、排尿障害や血のまじったおりものもみられるようになります。
治療
ガンの発生した場所によって、膣口の付近なら外陰の摘出、膣の上部なら子宮の全摘出を行います。
乳房に発生するガン
乳ガン
自分で早期発見できる
原因 症状
最近乳がんの死亡率が上昇しているという傾向があります。原因はわかりませんが、統計的には次のような人がなりやすいといわれています。
1未婚者
2出産経験のない人
3母乳を与えなかった人
4高齢出産の人
しかし、これはあくまでも統計的なことで、出産回数も多く、母乳で育てたにもかかわらず、乳ガンにかかる人もいます。
やはり豊かな国に多く、脂肪分を多くとることが発生率に関係があるといわれています。
診断のめやすはしこりです。皮膚のすぐ裏側に、コリコリしたでこぼこのしこりができます。自己診断の方法もありますから、自分で乳房に触れてみて発見することもあります。
乳房は女性の命です。乳がんの診断は手軽にできますから、入浴後など定期的に、イラストのような方法でさわってみてください。
しこりをみつけたら、どんなに小さいものでも、すぐに医師に診断してもらいましょう。乳がんの専門医は婦人科ではなく、外科です。
治療
乳房の切断と、大胸筋やその付近の組織・脂肪・リンパ節の切除を行います。最近では、なるべく切除する部分を小さくする手術も行われるようになりました。
乳がんはこうしてみつける
@鏡のまえでうでを上げて、乳房を観察する
A両手を腰に置いて、乳房を観察する
Bあおむけに寝て、チェックする乳房側のうでを上げて、反対側の手の指をそろえて乳房の外側を上から下へと、しこりがないかさわってみる
Cうでを下げて、下から上へと同じようにさわってみる
Dわきの下をさわって、しこりがないかチェックする
<観察するポイント>
・左右の乳頭の位置がずれていないか
・皮ふの色が変わっていたり、湿疹などがあるか
・乳房が陥没・変形していないか
・乳房にくぼんでいるところがあるか
こころが原因になるいろいろな病気
こころに深い傷を負ったり、深く思い悩んだりすると、からだにも異常が出てきます。そうなったときに、からだの症状にばかり気をとられず、原因となったこころの問題に目を向けることが大切です。
心身症とは、心理的・精神的な原因からおこるからだの病気の総称です。
人間のこころとからだは密接に関連しあっていますから、精神的なストレスを長い間受け続けたり、あまりにも深く思い悩みすぎたりすると、からだのほうも調子がくるってしまうのです。からだのどこがどのようにわるくなるかは、人によってさまざまですが、あらわれた症状に対していくら治療を行っても、原因となった心理的な要因が解決しないかぎり完治することはありません。
原因 症状
一般に、拒食症とも呼ばれ10〜20代の女性に多発している病気です。
原因として、まずあげられるものは太ることへの強い恐怖心です。太っていることはわるいことと決めつけ、ダイエットをするうちに、自分のかただについている、ほんの少しの脂肪もゆるせなくなります。このため、身長や体質に見合った体重以下になっても無理なダイエットをつづけ、ついには食べ物を受けつけなくなってしまいます。
そうなってしまうまでにも、必要な栄養を十分にとりませんから、からだが衰弱し、下痢や便秘をくりかえし、月経も止まってしまいます。
また、大人になりたくないという気持ちや、家族、とくに母親への拒絶心から、女らしい丸みをおびた体つきになることを恐れ、この病気になることもあります。
太っていることをわるいことと思いこむ風潮からは、太った自分はみじめだから、それを慰めるために食べてまた太るという悪循環をくりかえす、過食症という病気もおこります。これは、心臓病や高血圧、動脈硬化、糖尿病、腎臓病などの原因にもなります。
最近では、大量に食べて無理に吐くことをくりかえし、理想の体重をキープしようとする摂食障害も問題となっています。これは、最初のうちは太りすぎややせすぎといった異常が認められないため、まわりの人もなかなかきづきません。しかし、そのうち栄養不良から顔色がわるくなり、拒食症へと移行していくことも多いといわれています。
治療
本人に自覚のないことが多いので、自分の状態を正しく理解させることが、治療の第一歩です。精神科の医師やケースワーカーに相談し、家族が協力して、原因となった悩みや太ることへの偏見をあらためます。
食事の必要性を理解させ、少しずつ食事量を増やしていきます。
過呼吸症候群
若い女性に多くみられる
原因 症状
不安がひじょうに強いときや興奮したときなどに、速く、深い呼吸をこりかえすことから、肺や血中の二酸化炭素が排泄されすぎるのが原因です。口のまわりや手の指先のマヒ・けいれん、めまいなどがおこり、息ができなくなるほど心臓がドキドキします。
治療
あせって速く呼吸をしようとするとますますひどくなりますから、まずは落ち着いて、袋をかぶるか両手で口と鼻をおおうなどして、数分間呼吸をします。医師の指導のもとに、特殊な気体を吸入させる方法もあります。
思春期心身症
悩みを解決することが治療
原因 症状
思春期はこころもからだも不安定になり、とくにこころは敏感になってバランスを失いやすいものです。
この時期に、悩みやストレスが原因になっておこる病気を総称して思春期心身症と呼びます。
先にあげた神経性食欲不振症や過呼吸症候群のほか、胃液が胃や十二指腸の壁をとかしてしまう胃・十二指腸潰瘍や、便秘と激しい下痢をくりかえす過敏性大腸症候群、べつに心臓がわるいわけでなないのに心臓病とよく似た発作のおこる心臓神経症などが、そのおもなものです。
治療
なるべく早くに、原因となった不安や悩みをとりのぞくことです。そのうえで症状に合せた治療を行います。病院によっては、思春期の女性を専門に診察してくれる「思春期外来」を設けているところもあります。症状に思いあたることがあれば、早めに医師やケースワーカーに相談してください。
そのほかのこころが原因になる病気
自律神経失調症
ストレス解消が予防策になる
原因 症状
内臓や分泌腺などのはたらきをつかさどる自律神経が不安定になり、頭痛・めまい・息切れ・動悸・胸痛・手足の冷えやしびれ・汗の出方の異常・不眠・疲労感・便秘・下痢・食欲不振など、さまざまな症状がおこります。
女性におこる確率は男性の倍で、ホルモンのバランスが不安定になる思春期と更年期に発病することが多い病気です。
また、こころに強いショックを受けたり、ストレスをうけつづけたりすることでおこることもあります。
治療
まず、症状の出ている内臓や器官にわるいところがあるわけでないことを理解し、どんな病気なのか、納得がいくまで医師と話し合います。
そのうえで、自律訓練法や暗示療法、催眠療法などにより、こころとからだをコントロールする方法を身につけていきます。また、スポーツや趣味でストレスを解消し、規則正しい生活を送ることも、自律神経の安定に効果があります。
神経症
小さなことにきにしすぎないで!
原因 症状
神経症は、心身症と同じく、こころに原因があってからだにいろいろな症状が出る病気です。ただし、検査をしてもからだには異常のないことが多いのが特徴です。
不安を感じるあまりに動悸や呼吸困難・ふるえ・のぼせ・手足の硬直といった症状の出る不安神経症や、何かひとつのもの、たとえば汚れがとにかく怖くなり、人のさわったものや電車のつり革を直接さわることができなくなる恐怖症などがあります。
また、自分でもばかばかしいと思いながら、まるで人から脅迫されているかのように、何かひとつのことにこだわってしまう強迫神経症というのもあります。
これらは、もともと神経質で完全主義の気がある人がなりやすく、まわりのちょっとした変化をきっかけにおこることが多いようです。
治療
催眠・暗示・説得・訓練といった精神療法を、状態に合わせて行います。
※こころの病気の原因は?
仮面うつ病
更年期を迎えたころが多い
原因 症状
うつ病がもととなって内蔵のはたらきが低下し、全身がだるい・食欲がない・眠れない・頭が重い・肩がこる・胃腸障害・動悸などの症状があらわれます。
20歳ごろの発病が多いのですが、女性の場合は更年期のころにも多くあらわれます。うつ病の原因は、まだ解明されていません。
治療
抗うつ剤の投与で治すことができます。思いあたることがあれば、悩まず精神科の医師に相談してみましょう。
更年期のいろいろな障害
むかしは、更年期というと人生の終わりに近かったのですが、寿命がのびたことでライフ・サイクルも変化してきます。まだまだ人生の半ば、気に病まずに楽しくのりきりましょう。
更年期障害はこうしておこる
40歳からのからだの変化
女性のからだは、平均して45歳ぐらいから卵巣のホルモン生産能力が低くなっていき、やがて停止して閉経します。その過程でホルモンのバランスが乱れ、月経が不順になり、それにともなって、からだのあちこちにいろいろな障害が出てきます。
この障害を、更年期障害といいます。
ただ、月経が終わるころにからだやこころに不調があると、すぐ更年期障害と結びつける人がいますが、それは、あやまりです。気になる症状があるならば、早めに受診を受けましょう。
更年期にも個人差がある
更年期障害には個人差もありますが、なんの症状もないという人もたまにいるのです。
また、その逆に長い時期を更年期障害に悩まされる人もいます。
このように個人差が大きいのは、遺伝や体質もありますが、人によって生活の条件が違うからです。栄養状態の格差や運動量のちたい、また、家のなかにずっといる人、仕事や趣味などで外に出ることが多い人でも、ちがってきます。
更年期の時期にも個人差があり、一般的に初潮の遅かった人や、月経が不純だったという人は更年期に入るのが早いようです。
平均的にいうと、閉経は48〜52歳ぐらいの間です。そのまえに卵巣ホルモン、黄体ホルモン、下垂体からのホルモンのバランスが乱れ、月経が不調になってきます。
閉経するまでに月経の周期が10日間になったり2ヶ月もこなかったりします。
更年期障害の症状と対策
どんな症状が出る?
更年期の障害には、おもに次のようなものがあります。
1 微熱がある
これはよく、ほてるという表現でいわれている症状で、急に暑く感じたりすることをいいます。
2 寒気がする
その逆に、急に手足が冷えてきたり、背中がぞくぞくしてきたりする状態をいいます。
3 のぼせる
ほてるのとよく似ていますが、この場合は顔だけが紅潮して、首筋から汗が出てきます。
4 心悸亢進
これも本当に心臓が悪いわけではないのに、動機がするように感じられることです。
5 頭痛・めまい・耳鳴り・不眠・気分の不安定など
これらの症状も病気とかかわらず出てきます。
6 肩こり・頭痛・筋肉痛・関節痛
7 食欲不振・おう吐感・腹部膨張感・下痢・便秘といった消化器系統の不快感
8 しびれ・知覚過敏・掻痒感といった知覚神経系統の異常感
9 頻尿・残尿感・尿漏れなどの泌尿器関係の症状
ただ、これらの症状がすべて一緒に出るわけではなく、人によって2〜3の症状が同時に出たり、かわるがわるあらわれたりします。
また、病人が訴える苦痛には、からだにわるいところがあって訴えるのと、ひとつもわるいところがないのに訴える苦痛があります。更年期障害は、この後者にあたる場合が多く、検査をしても異常のないことが多いようです。
こんな人は強く症状が出やすい
一般に、依存症の強い人、情緒が不安定な人、内向的な人は障害がひどくなるといわれています。
これは、更年期障害の原因がからだの機能によるものだけでなく、若さが失われること、これから老いていくことへの不安や恐れなど、精神的なものからおこることも多いからです。ですからいつも身のまわりのことにしか関心のない人や、自分中心に物事を考えてしまう人は、必要以上に症状について悩み、障害を重く感じてしまうようです。
また、もともと自律神経の機能が不安定な人は、症状が重くなりがちです。
・アドバイス
更年期の障害は、気の持ち方ひとつで重くも軽くもなります。症状がひどいからといって気にしすぎると、ますます重くなってしまい、それをまた気にするというふうに、悪循環になってしまいます。
目先の痛みや悩みにとらわれず、物事のよいほうの面をみて明るくすごしましょう。
更年期を楽にのりきるには
日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合には、医師の指導のもとに精神安定剤やホルモン剤を用います。
その場合でも、更年期障害は誰にでもおこる現象なのだから、気にしすぎるのはよくないと考えてください。
医師にかかるほでではないのなら、自分だけが苦しいと思わず、障害が出てくることを、更年期への理解を深めたうえで素直に受け止めようとすれば、さほど気にならず通りすぎるものです。
自分はもう女でなくなるという意識を強く持ちすぎるのも、更年期障害を重くする原因のひとつです。そして、そういう節目を深く考えすぎることが「うつ」になってあらわれるのです。
しかし、閉経してから貧血がなくなって元気になった人もいます。旅行に行くのにも月経を気にしなくてもいいという考え方もそのひとつで、人生が終わったわけではないのです。更年期をはじめからたいへんなことと考えないことも大切です。
いまや世の中はカルチャーブームです。いままでやらなかったことができると、張り切っている人もいます。
のぼせもめまいも、趣味に夢中になっているときはあまりおこらないものです。
また、いままでのように避妊を意識しなくても、セックスをすることができます。こうした考え方しだいでは、たいした障害もなくすごすこともできるのです。
※更年期をのりきるコツ※
くよくよと気にしないようにすること
趣味をもつこと
スポーツしたり友人とあそんだりして楽しくすごす
更年期障害だとひらきなおる
髪の毛の傷みフケ症 気になる悩みにこたえます
しつもん 髪の毛にツヤがなく、パサパサしています。手にとってみると枝毛もあります。サラサラヘアにする方法はありますか?
上質なトリートメント剤を使って髪の傷みをフォローするようにしましょう。ただし、いったん枝毛になった部分はもとにはもどりませんから、その部分を切ってしまうしかありません。
髪の毛をそれ以上傷めないために、つぎのことに注意してください。
@シャンプーのときは、ごしごし髪をこすりあわせずに、やさしくもみこむように洗う。
A髪をふくときも、まず、タオルで包み込んで上からパタパタと手で軽くたたくようにして、水気を取る
Bドライヤーを使って乾かすときは、髪の根元から乾かすようにして、毛先は自然乾燥させる。髪が完全に乾くまでドライヤーはかけず、しめり毛が少し残っているところでやめておくこと
Cブラッシングは、頭のてっぺんから一気にときおろすのではなく、毛先から徐々に上へととかしていく
最近では、市販のブロー剤の種類がたくさんあります。これらをじょうずに使って髪を傷みから守るようにしましょう。
しつもん 頭がかゆくて、いくら洗ってもフケが出ます。どうしたらフケがでなくなりますか?
フケの出にくくなる性質をもった、ジンクピリチオンや硫黄などが配合された、フケ取りシャンプーでこまめに洗髪することです。
また、頭皮のマッサージや毛髪のブラッシングなどもていねいに行います。ただしその際、ブラシをこすりつけたり、爪を立ててかいたりしないことです。
原因が栄養の低下、または慢性の病気の場合は、医師の治療を受けてください。
そのほかの原因として、遺伝的な体質や心理的ストレスが考えられ、ふだんの手入れ不足もフケ症の原因です。
わきが・口臭 気になる悩みにこたえます
わきがを防ぐには
市販の制汗剤をかけて、臭いをおさえる
毎日入浴してわきの下をよく洗う
しつもん わきの下の臭いが気になります。とくに夏場はひどく、ゆううつです。治療法はありますか?
わきの下には、粘り気のある汗を分泌するアポクリン腺が多くあります。アポクリン腺の分泌がひじょうに盛んだと、皮膚についている細菌が作用して異臭を発します。
これが、わきがといわれるものです。
次のことを試してみてください。
@わきの下の毛をこまめに剃る
A毎日入浴して、薬用石けんでわきの下をよく洗う
B通気性のよい服を着る
C外出時には制汗剤を塗る
それでも気になる場合は、わきの下の毛の生えている部分を手術で切除する方法があります。以前は、アポクリン腺をひとつひとつ電気分解によって破壊する方法がとられていましたが、再発することがわかってきたので、切除する方法がとられるようになりました。手術は2週間ぐらいの入院が必要です。
しつもん 私が話しかけると横を向いてしまう人がいるので、口臭があるようです。治療法を教えてください。
毎日きちんと歯をみがいて、においのでるようなものを食べたおぼえもないとすれば、次のようなことが原因になって口臭がおこっていると考えられます。
@虫歯・歯肉炎・歯槽膿漏など
A蓄膿症・慢性咽頭炎・慢性鼻炎など
B気管・肺などの呼吸器の病気
C食道・胃などの消化器の病気
こうした原因でおこる口臭は、その病気を治療すればなおります。
口臭を防ぐガムやキャンディーが発売されていますが、ふだんから常食していると口臭をとるのに効果のある植物があります。
サンショウの葉・実・しその葉・しその実・みかん・レモンなどそれぞれ調理法を考えて使用するといいでしょう。
愛あるふたりの豊かなセックス・ライフ
愛しあうふたりのためのセックス
成熟した男女が、愛している人と一緒にいたいと願い、愛の行為としてセックスをすることは、人間としてごく自然な姿です。ただ、知っておかなければならないこともたくさんあります。
ラブ・アンド・シンパシー
はじめてのセックス
女性の性に対する意識は、年ごとに変わり、むかしにくらべればとてもオープンになり、初体験の年齢は下がっていく一方です。
つまり、ふたりが深く愛しあっていれば、未婚、既婚を問わずセックスがあってもいいという傾向が強くなってきているのです。
ここでだいじなことは、はじめてのセックスがとうであったかが、それからのセックスライフにとても大きな影響をおよぼすということです。また、女性にとって未婚の妊娠という、現実の肉体的・精神的な打撃がともなうことを認識しておかなければなりません。
はじめてのセックスの動悸として
●愛しあっていたから 48%
●相手のことを好きだから 41%
●相手の強引さに負けて 24%
このようなデータがあります。
女性があまりセックスを望んでないのに、しかたなくというような場合は痛みも強くなりがちで、その後のセックスへの恐怖や嫌悪感の原因になります。
女性がセックスに対する不安や苦痛をのりこえ、いいイメージをもつためには、愛し合っている者同士が、お互いを思いやりながら行うということが大切です。
はじめてのセックスで妊娠を望まないときには、避妊の知識を十分に知っておかないと、女性は精神的なダメージを必ず受けることになります。言い出しにくいかもしれませんが、避けて通らずに、必ずパートナーと話し合っておかなければなりません。
セックスはからだのコミュニケーション
セックスの経験が浅いときは、相手のからだのことを知り、お互いの好みや感じ方をよく知り合うようにすれば、より豊かなセックス・ライフになるでしょう。
男女の性のしくみのちがいや、お互いの性感帯を知り、いろいろ工夫することによって、快感やバリエーションを楽しむことができるのです。
・アドバイス
セックスの際の感じ方や、そこに至るまでの気持ちの高まり方はどは、それこそ人によって千差万別です。よく雑誌などでセックスについての特集が組まれ、こういうときにはこうする、などと決めつけて書かれてあります。それらをうのみにせず、相手がどうしてほしがっているか、自分はどうしたいのか確認しあうことです。
思いやりと自分の感じ方を大切に
愛しあっているふたりの行為としてセックスがあれば、相手への思いやりやいたわりが自然にあるものですが、馴れ合いになるに従って、自分勝手な欲求やおざなりな態度で平気になってくることがあります。セックスへの考え方や感じ方は、経験や年齢などさまざまな要因で変わるものです。
性的な快感を得るには、自分の感じ方を素直に認め、お互いにどんなふうに感じているのか確かめ合うことも大切です。そのためには、おもしろ半分、ひやかし半分のマスコミ情報にまどわされずに、セックスのしくみについて、冷静にからだの生理反応がどうなっているのかを分析して、知識を得ておくこともだいじなことです。
男女の性のしくみを知っておく
男性は女性のことがよくわからないといい、女性は男性のことがわからないといいます。からだの構造がちがうように、そこから派生する欲求も違ってきます。わからないのはそのせいなのです。
性欲と性衝動・男女のちがい
性欲には男女差がある
男が女の存在を意識し、女が男の存在を意識して、互いにそのからだに触れたいと願うのが性欲の始まりです。
しかし、男の性欲と女の性欲には少しちがいがありますし、また個人差もあります。
男性は生まれながらにして攻撃的、かつ狩猟的な本能をもっています。それが青年期になるともっとも活発になり、知らない女性を見ても欲情を抱くことがあります。それは男性の肉体的な現象です。つまり、精子がある一定量以上になると勃起するというからだの変化があり、こころがそうさせるわけではないのです。
ところが、女性の場合は精神的なものから派生するのがふつうです。憧れとか、夢のように男性をこころに描いても、肉体的な衝動はもたないものです。
しかし、それはセックスの経験をもったときからしだいに変わっていきます。
女性が性にめざめるのは男性にからだを愛撫されてかれということが多く、それからの性欲は人それぞれで、強い人も弱い人もいます。それに、女性は子供を産むという動物本来の使命感もあって性欲が生まれるのです。
しかし、男性の性欲はこころで支配されている部分もあり、ストレスがたまっていたり、精神的な悩みがあると性欲は弱くなってしまいます。
こうした微妙な生理をよく理解して、男女それぞれの性欲を思いやりとやさしさで包み込むことが望ましいことです。
性衝動にも男女差がある
性の衝動は男女を問わずあるものです。性欲のあらわれ方は、男性が急激なのに対し、女性はゆるやかで、からだを愛撫されてからすこしずつ性の衝動が高まっていきます。
また、男性は女性の裸体の写真を見ただけでも刺激を受け、性衝動がおきますが、女性はそういうことはないとされています。
男性の性の興奮が、射精で頂点に達してあとは下降するのに対し、女性はオーガズムに達したあともゆるやかなカーブで性欲が落ちていき、急激には下降しないのが特徴です。
男性性器のしくみはどんなの?
勃起はセックスの第一条件
男性の象徴のペニスは、ふだんはスポンジのようにやわらかい海綿体の組織で、肉体的・精神的刺激を受けると性的に興奮して、太く長く硬直し前方上方に突き出ます。これを勃起といい、女性の膣内に挿入できるようになるための現象です。
ペニスのなかには尿道があり、セックスのときの精液の通り道と排尿のふたつの役目がありますが、セックス中に膣のなかに尿を排出することはありません。
また、ペニスの根元下には睾丸があり、陰嚢という薄くてしわの多い伸縮性のある皮膚に包まれています。
男性の勃起はたいへんにデリケートなもので、性欲も個人差があるのです。
射精はオーガズムである
セックスなどで性的興奮が頂点に達したとき、男性は精液をペニスから体外へ射出します。これを射精といいます。この精液は淡い灰色で青くさい独特のにおいがあり、射精直後はねばりけのある濃い液体で、少し時間がたつと水のような状態になります。
1回に射精する量は約2〜3ccで、3億ほどの精子が含まれ、セックスで女性の膣内に入って、卵子と受精すると妊娠します。
・アドバイス女性の場合は、興奮の度合いやオーガズムの瞬間などが、男性からはっきりとみととれるものではありません。そのうえ、恥ずかしいとか、相手に変に思われるのでは、といった気持ちから何も要求せず、男性本位のセックスになりがちです。ふたりがともに満足を得るために、勇気をだしてどうしてほしいかを伝えましょう。
男女の性反応の移り変わり
女性の性反応
興奮気
からだの全体の血管が充血し、乳首が大きくなる。性器の反応は、クリトリスが肥大し、膣壁から分泌物が出て、膣内はペニスを受け入れる準備をする
上昇期
興奮気から性的刺激が高まると、性器の充血は最高に達し、膣口が収縮して「オーガズム帯」が形成。子宮は上昇し、膣内も奥のほうが広がっていく。
オーガズム期
上昇期で形成されたオーガズム帯や子宮が0.8秒ごとに収縮する。呼吸や脈拍も最高に達し、血圧も上昇する。女性はオーガズムを何度でもくり返すことが可能
消退期
オーガズムを終えると、からだの生理的変化がゆっくりともとの状態にもどっていく。クリトリスもオーガズム帯も5〜10秒で急速にもとどおりになる
男性の性反応
興奮期
性的刺激を受けると多量の血液がペニスに流れ、全体が大きくなる勃起現象がおこる。この状態は射精まで保たれるが、年齢や健康状態によって個人差がある
上昇期
ペニスの充血が最高に達し、最も大きくなる。クーパー腺から分泌液が分泌される。このとき、副睾丸から精子が送られ、射精の準備体勢が整っている
オーガズム期
尿道周辺の筋肉がすばやく収縮し、その力によって精液がペニスから射精される。オーガズム直後は、無反応になり、このときは、勃起現象も射精もみられない
消退期
射精すると急速にからだがもとにもどる。勃起していたペニスは、2段階でゆるやかに平常時の大きさになる。次に勃起するまでの時間には、個人差がある
性感帯は人それぞれ
からだへの性的刺激で心地よい快感を敏感にかんじやすいところを性感帯といっていますが、人それぞれにちがうものですから、パートナーと触れ合い、たずねながらみつけ出していきましょう。
刺激の方法もいろいろありますから、キスをしたり、もんだりさすったり、軽くかんだりつまんだり、あるいは息を吹きかけるなど、からだの部位によって変化をつけて愛撫して、より充実したセックスを楽しみましょう。
男女の性感帯を知っておく
女
まぶた 髪 耳 首すじ 乳房 乳首 わき腹 おしり おへそ 外陰部 太ももの内側 ひざの裏側 足の指 足の表面
男
耳 口 首すじ 乳首 ペニス 手のひら 陰嚢 太ももの内側 ひざの裏側 足の表面
セックスをより楽しむために
お互いへの愛情表現にはいろいろな形があり、決まりごとがあるわけではありません。セックスに至るまでのプロセスも含めて、ふたりにフィットする表現をみつけてください。
愛と性のクミュニケーション
ペッティングで愛を高める
お互いのからだの気持ちのよいところを刺激して、愛撫することをペッティングといいます。
男性が女性に行い、女性がそれに答えて反応を示し、男性がその反応を楽しみ興奮を増すパターンが一般的ですが、女性は羞恥心から消極的になりがちです。できるだけ素直に相手にこうしてほしいと伝えるとよいでしょう。
キスという愛情表現もいろいろ
愛情表現のキスとして、唇と唇を重ねるソフトキス、舌を相手の口の中にいれてからませ合ったりするディープキスなどがあります。
唇でからだの各部を愛撫することも、快感となります。唇と舌を使った性器への愛撫をオーラスセックスといいます。
フェラチオとカリニングス
女性が男性のペニスを口で愛撫することをフェラチオといい、男性が女性の性器を舌や唇で愛撫することをカニリングスといいます。
セックスの性運動とは?
セックスのプロセスは、ふたりのこころとからだがひとつになって、お互いへの刺激から絶頂感へとたどりつく、肉体のコミュニケーションです。性的刺激を与えたい、受け合っていくふたりのフィット感があってこそのセックスであり、一方的なものでは決してないのです。
性運動とは、男女の性器が結合して、女性の膣が十分にうるおってから、男性がピストン運動をして、一体感や接触感を得ようというものです。このピストン運動はいろいろな動きがあり、前後、強弱、回転、速い遅いをとりまぜることもあり、男性の動きに従って、女性もまた応えるように動くことが大切です。
そして、セックスのときにとる姿勢を体位といっています。
どんな体位をとるかは、ふたりの体格、好み、経験などで、そのときどきに応じて最良の形で行えばいいことです。
守りたいふたりのエチケット
まず、清潔をこころがけたい
なりゆき上、ふたりのこころの高ぶりをおさえ切れずに、ということがあったにしても、デリケートなこころが支配するセックスは、不潔なからだのにおいや視覚から、興ざめということがないともかぎりません。男女ともに全身を洗ってから女性は性器をていねいに洗い、男性はペニスの恥垢が残らないよう、亀頭と包皮の間もよく洗ってもらいましょう。
強要しないことが楽しむコツ
体調がわるいときや、気分がその気になれないというときには、一方的に強引さがあっては、しこりが残ります。また、相手がいやがる愛撫や体位を無理やり強要することは、ふたりで楽しむセックスライフを味気なくするものです。
相手への思いやりこそが快適なセックスのマナーといえます。
禁句に気をつけよう
相手のからだのことをけなすことは禁句です。お互いの性感を高めるためにささやく言葉や、思わず出てしまう声だけで、セックスを終えましょう。
禁句のたとえは、からだについていえば、ペニスが小さいとか、早いとか、ヘタだとか、不用意に言ってしまった言葉のために、インポテンツや不感症の要因になってしまうことがあるのです。
余韻を大切にしよう
セックスのクライマックスのあとに、消退期がありますが、終わったとたんにシャワー室へかけこむなどは、相手に失礼な行為となります。どんなに仲のよいパートナーで、何をしても許してくれるおおらかな相手だとしても、セックスのエチケットというものはあるものですから、心得ておきましょう。
避妊の正しい知識で安全なセックスを
避妊は男女のどちらかがすればいいというものではなく、ふたりの協力と、ある程度の知識が必要です。不確かな情報にまどわされず、正確な知識を身につけてセックス・ライフを楽しみましょう。
セイフティー・セックスのすすめ
避妊したつもりではいけない
まだ子供を望まないカップルにとって、避妊は常に頭に重くのしかかる大問題です。愛をより深く確かめ合い、ふたりでセックスを心から楽しむために、正しく避妊を行う必要があります。正確な知識を身につけましょう。
女性が行う避妊法とは?
まず、女性の排卵期とその後の数日間のセックスを避ける、基礎体温法とオギノ式避妊法があります。
基礎体温法では、月経後の低体温期間の最終日を中心にして、その前後の2日間を加えた5日間が排卵期とわかります。
オギノ式避妊法は、月経の周期から排卵期を推測するもので、次の生理予定日の前日から逆算して12〜16日めの5日間を、排卵期と推測するものです。
両方法ともに、その後に精子の生存期間を加えた計8日間が、危険日ということになります。
そのほかの避妊法として、子宮の入口をふさぐペッサリー、膣に流入してきた精子を殺すゼリー・錠剤・フィルムなどの膣内避妊薬、子宮に器具を入れて受精卵の着床を妨げるIUD(子宮内リング)、ピル(経口避妊薬)を服用して排卵をおこさせないようにするなどがあります。
男性が行う避妊法とは?
男性が行う避妊法のなかで、もっともポピュラーなものにコンドームの装着があります。用い方さえまちがえなければ、かなり信頼度の高い方法です。それに対して、射精寸前にペニスを膣の外に出して精子が流入しないようにする膣外射精は、よく行われる方法の割りに効果は低い避妊法です。なぜなら、ペニスからは射精前にも少しずつ精液がもれていることが多いからです。
不妊手術は慎重に考えてから
いちばん確実な避妊法として不妊手術があげられますが、これには、一度手術をしてしまうと気が変わって子供がほしくなったとしても、もはや望めないという欠点があります。
手術内容は、男性なら精管をカットする、女性なら卵管を糸でしばるか、やはりカットするというものです。復元する手術もありますが、成功率はひじょうに低いものなのです。
ただ、からだが弱く妊娠出産にたえられない女性や、遺伝的な病気があって子供を望まない男性には、おすすめできる方法です。
男女の不妊手術方法
吸引法
子宮に吸引器を入れ、胎盤と胎児を吸い取る
掻爬法
子宮にキュレットという器具を入れ、胎児と胎盤をかき出す
人工妊娠中絶の危険性を知ろう
不幸にして望まない妊娠をしてしまい、どうしても出産できない事情のあるときは、人工妊娠中絶をすることになります。しかし、中絶が女性のからだとこころに残すダメージは、大きいものがあります。中絶後、もとどおりの健康状態にもどる保証はなく、子宮に傷がつくなどして連続性不妊症になったり、流産や早産をおこしやすくなります。また、母体にとってひじょうに危険な子宮外妊娠をおこす可能性も高まります。
精神的にも、こころに深い傷がのこり、あとあとまで罪の意識にさいなまれることになります。
中絶を決めたらここに注意
優生保護法では、妊娠22週未満なでなら人工妊娠中絶をすることを認めています。しかし、胎児は日に日に成長しており、遅くなればなるほど手術は大がかりになります。手術の危険性や後遺症を考えると、妊娠12週までに受けるべきです。
人工妊娠中絶の方法は、12週までなら掻爬といって、先端がスプーンのようになった器具で胎児と胎盤をかき出します。それ以降になると、人工的に陣痛をおこして出産させる方法になります。
病院を選ぶときは「優生保護法指定医」かどうかが重要です。病院が決まったら、パートナーの同意書を提出します。
中絶後は、最低3日間の安静が必要です。おりものが増え、出血もありますから、清潔をこころがけます。ただし、お風呂はひかえてシャワーだけにしてください。
中絶後のセックスは、回復が順調なら3週間ぐらいたてばいいのですが、必ず再診を受けて医師の許可を得てからにしましょう。また、中絶後1週間〜10日たっても出血があるような場合は、医師に相談しましょう。
男性側が行う避妊法
避妊法 コンドーム
成功率 90%
ポイント ・JISマークのついた製品であるかを確認すること
・サイズを合わせること。大きすぎると精液がこぼれてしまう
・空気がはいらないように先端をつまんでからペニスのつけ根まで装着
避妊法 膣外射精
成功率 60%
ポイント ・避妊法としては問題外。もし、男性がこの方法だけで行うときは、はっきり「ノー」を言おう
避妊法 不妊手術(パイプカット)
成功率 100%
ポイント ・入院の必要はなく、30分ほどで手術できる
・復元は、手術直後なら70%可能。年をとるにしたがって成功率は下がっていき、10年後以降は不可能
・遺伝的な病気があって、子どもを望まない男性に向いている
避妊法 基礎体温法 オギノ式
成功率 80%
ポイント ・半年ぐらいデータをとりつづけることが必要
・月経周期の定まらない人には不向き
・ふだん安定していても何らかの原因で周期が乱れるので、ほかの避妊法と併用すること
避妊法 フィルム
成功率 90%
避妊法 ゼリー 錠剤
成功率 60%
ポイント ・効果の持続時間に限りがあるので、注意すること。錠剤とゼリーは20〜50分、フィルムは2時間ほどで効果がうすれる
・ゼリーはあお向けの姿勢で注入する。上体をおこすと流れ出してしまうので注意
・3つとも、他の避妊法の補助剤として使うこと
避妊法 ペッサリー
成功率 80%
ポイント ・産婦人科医で膣の大きさを測ってもらい、使い方の指導を受けること
・せっくすのあとは、すぐに取り出さないで8時間おくこと
避妊法 IUD(子宮内リング)
成功率 98%
ポイント ・体質的にあわないひとや使用しないほうがいい人も多いので、医師に相談して指導に従うこと
避妊法 ピル(経口避妊薬)
成功率 100%
ポイント ・からだの機能の不安定な17歳以下の女性と成人病のおそれのある40歳以上の女性は服用しないこと
・持病のある人は医師の指示に従い、使用を避けること
・飲み忘れに注意する。2〜3日飲まないことがあると妊娠の可能性がある
避妊法 不妊手術
成功率 100%
ポイント ・復元はまず無理のので、子どもを産みあげた女性やからだが弱くて妊娠・出産にたえられない女性に向いている
ココが気になる!
頭痛・肩こり 気になる悩みにこたえます
しつもん ときどきですが、頭がしめつけられるような傷みがあります。どうすればよいのですか?
女性によくみられる頭痛の多くは「頭痛もち」といわれる片頭痛で、このような人は薬を常備していますが、頭痛はストレスが原因になることも多く、あまり薬を服用するのは好ましくありません。しかし、頭痛にもさまざまな症状がありますから、長くつづくようでしたら、病院で診察を受けるようにしましょう。
受診するさいには次の事項をあらかじめメモしておくと便利です。
@頭のどこが痛むのか?
A痛みのようすは?
Bいつごろから痛み出したか?
C頭痛に伴う症状はあるか?
D生活環境について
原因不明な頭痛から解放されるためには、1日も早く医師の診断を受けることが最善の方法です。
しつもん 肩がこってこまっています。なんとかならないでしょうか。
まず、姿勢をよくすることです。そして、エアロビクス・水泳・体操・散歩などで血行をよくします。運動のあとの入浴も効果的です。
また、専門家にマッサージしてもらうとすっきりしますが、そういつも専門家のところまで出向いていくわけにもいきませんから、家族に頼んでみるのもいいでしょう。
肩こりは、更年期障害のひとつといわれてきましたが、最近では若い人でも肩こりを訴える人が増えてきました。高血圧や低血圧でも、肩のこりを感じます。
ただ、肩がこったなと思ってもあまりそのことばかり考えず、気分転換をはかることも重要です。肩こりだけに気持ちを集中させないことが、症状を軽くするいちばんよい方法なのです。そのためにはストレスをためないことが一番です。
ステップ4
妊娠と出産
これだけは知っておこう
知っておきたい妊娠の知識
妊娠・出産は、女性の人生のなかでの最大のドラマといってもいいでしょう。しかし、妊娠と気がつくまえに、すでに女性のからだのなかでは劇的なドラマが繰り広げられているのです。
新しいいのちの宿るしくみ
排卵から受精へのメカニズム
月経のはじまった女性は、ふつう26〜30日に1回の周期で排卵があります。排卵によって卵巣から出た卵子は、卵管に入り、ゆっくりと子宮のほうに移動していきます。卵子が生きているのは12〜24時間ぐらいで、その間にうまく精子と出会うことができたら、受精ということになります。
また、精子は1回に2億〜4億ぐらいの数が射精され、48〜70時間ぐらい生きています。しかし、精子は酸性に弱く、強い酸性の膣内で、その半数ぐらいが死んでしまいます。
そこで生き残った精子は、子宮に入り、上へ上へと卵管めざしてのぼっていきます。その間にも、力のつきた精子は次つぎと死んでいき、また、上までのぼりつめても、半数は卵子のいない卵管のほうへ行ってしまいます。
卵子にめぐり合うことができた精子は、いっせいに卵子をとりかこんで卵子の表面の膜を溶かし、なかにもぐりこもうとします。
そうして、力があり、運にも恵まれた1個の精子が卵子のなかにいちばんのりをすると、卵子は新たにかたい膜をつくって、ほかの精子が入ってこられないようにします。これで、受精の成立です。
受精から着床のメカニズム
受精卵はすぐに細胞分裂をはじめ、増殖していきます。その間も、子宮へと移動をつづけ、子宮腔に達したところで着床します。受精から着床までは、だいたい1週間から10日ぐらいです。
着床すると、子宮膜が厚くなって受精卵を包み込み、また受精卵からは絨毛が発達して胎盤ができます。
その後も細胞分裂はつづき、胎児へと発達していくのです。
受精の成立から着床のしくみ
〈受精のしくみ〉
精子は卵子の外膜を溶かし始める。そのうち1つだけ精子が卵子のなかに入り、受精が成立する
〈着床のしくみ〉
受精卵分裂をくりかえしながら、子宮腔へ進む
受精卵が子宮内膜のなかに入って、着床となる
・アドバイス
元気でかわいい赤ちゃんの誕生のために、女性は自分のからだのなかでおこる毎月の排卵のしくみについて知っておくことです。きちんと基礎体温を計れば、いつが排卵日かがわかります。
自分のからだの周期を知り、そのしくみをよく理解して、あなたの愛する人の2世誕生に役立ててください。
母体と胎児はこんなふうに成長する
1ヵ月(0〜3週)
母体の変化
◎子宮の大きさに変化はないが、厚くてやわらかくなる
・からだがだるくなる
・基礎体温の高温期がつづいている
胎児の変化
◎身長0.5〜1cm
◎体重 1g
・受精してから第2週ごろに着床する
・胎芽といわれる時期
生活のポイント
お酒とタバコを控えるように
兆候はほとんどないが、薬の服用とX線検査には注意する
2ヵ月(4〜7週)
母体の変化
◎子宮はガチョウの卵ほどの大きさ
・月経が遅れている
・つわりの症状が出てくる
・乳頭や乳輪が黒ずむ
胎児の変化
◎身長2.5cm
◎体重 4g
・頭と胴体が区別でき、目や耳、口などができる。また内臓器官も形成してくる。
生活のポイント
流産しやすいとき、無理な動作は要注意。つわりがはじまるので、食生活に気配りを
3カ月(8〜11週)
母体の変化
◎子宮はにぎりこぶしぐらいになる
・乳白色のおりものが増える
・便秘や頻尿になり、つわりがはげしくなってくる
胎児の変化
◎身長 7.5〜9cm
◎体重 20g
・男女の区別がつき、人間らしく3頭身になってくる
・羊水がたまる
生活のポイント
つわりが激しくなるが、がまんすること。保健所などで母子手帳の交付手続きをし、病院を決めておく
4ヶ月(12〜15週)
母体の変化
◎子宮はりんごくらいの大きさになる
・基礎体温が低温期に入り、安定してくる
・つわりがおさまる
胎児の変化
◎身長 16〜18cm
◎体重 120g
・人間らしいからだになり、手足も動かせる
・内臓も活発に働く
生活のポイント
4週間に1度の定期検診を忘れないこと。つわりがおさまってくるので、食欲がでてくる
5ヶ月(16〜19週)
母体の変化
◎子宮は胎児の頭くらいになる
・乳房とお腹が大きくなる
・食欲が出て体重が増える
・貧血になりやすい
胎児の変化
◎身長 18〜27cm
◎体重 250〜300g
・髪の毛、まゆ毛が生える
・心臓の動きが活発になり、骨格や筋肉ができる
生活のポイント
流産のおそれが少なくなった時期に入る。腹帯をつけはじめる。妊婦体操を開始してみましょう。
6ヶ月(20〜23週)
母体の変化
◎子宮底の高さが18〜20cmあり、妊婦体型になる
・体重が5〜6kg増えている
・乳房がどんどん大きくなる
・胎動が感じられる。
胎児の変化
◎身長 28〜34cm
◎体重 600〜700g
・顔がはっきりして、骨もしっかりしてくる
・羊水の中を動き回る
生活のポイント
妊娠中毒症にならないように予防する
1週間に体重が500g以上増えてないかチェックすること
7ヶ月(24〜27週)
母体の変化
◎子宮底の高さは21〜24cmほどになる
・お腹が大きく目立つ
・下半身の血の循環が悪くなり、静脈瘤が出てくる
胎児の変化
◎身長 35〜38cm
◎体重 1〜1.2kg
・男女の外性器がはっきりしてくる
・まぶたが上下にわかれる
生活のポイント
出産準備をはじめ、入院の手続きをしておく
早産の危険があるので無理な姿勢に注意
8ヶ月(29〜31週)
母体の変化
◎子宮底の高さは25〜28cm
・内臓全体が圧迫されるため胸焼け・息切れがおこる
・乳首や外陰部が黒ずむ
・足のつけねに妊娠腺がでる
胎児の変化
◎身長 40cm
◎体重 1.5〜2.0kg
・皮下脂肪がついてくる
・神経が活発になり、外の音に反応してくる
生活のポイント
定期検診は2週間に1度
妊娠中毒症になりやすいので、塩分のとりすぎに注意
9ヶ月(32〜35週)
母体の変化
◎子宮底の高さは28〜30cm
・胃が圧迫されて1度にたくさん食べられない
・トイレが近くなり、おりものが増える
胎児の変化
◎身長 45cm
◎体重 2.5kg
・からだが丸くなり、顔のしわがとれる
・髪の毛が2cmくらいになる
生活のポイント
里帰り出産する人が帰るとき
食事は少量を数回で入院できる準備をしておく
10ヶ月(36〜39週)
母体の変化
◎子宮底の高さは30〜35cmくらいになる
・胃の圧迫がなくなり、食欲がでてくる
・お産の兆候があらわれる
胎児の変化
◎身長 50cm
◎体重 3.0kg
・4頭身になり、母体から外へ出る準備ができている
・病気の免疫がある
生活のポイント
定期検診は1週間に1度
休養をしておく
入浴は毎日欠かさず入ること
妊娠の初期兆候をチェック
妊娠かもしれない?こんな症状
@月経がとまる
規則正しく月経のある人が、10日〜2週間以上も遅れている
Aつわりがはじまる
胸がむかむかして吐き気がする、食欲がない、食べ物の好みが変わるなどがおもな症状だが、個人差がある
B乳房が変化する
乳房が張る、乳首とその周りが黒ずむ、乳首が痛むなどに変化
C基礎体温の高い日がつづく
月経の予定日になっても3週間以上高温がつづく
Dそのほかにもこんな変化がおこる
・肌が荒れて化粧ののりがわるい
・しみ・そばかすが出る
・全身がだるい
・おりものが多くなる
・腹痛がよくおこる
・排尿の回数が増える
・イライラする
・いくら眠っても眠けがある
妊娠中の生活はこんなことに注意
@規則正しい生活をする
からだに負担がかからないような生活をするために、1日のだいたいの予定を立てる。そのためには家族の協力が大切
Aたっぷり眠ろう
少なくとも8時間の睡眠を確保する。不足したときは昼寝をして補う
B薬や]線検査は医師に相談して
薬や]線の影響をもっとも受けやすいのは妊娠2〜12週の期間。医師にかかるときは、必ず最初に妊娠していることを告げる
C清潔をこころがけよう
できれば毎日入浴し、尿路感染症や膣炎にかからないようにきれいにしておくこと
D定期検診は必ず受けよう
定期検診では、母体の健康や胎児の成長をチェックしたり、異常を早期発見する。また、医師への相談や質問のよい機会でもある
E無理な動作はしない
無理な動作や姿勢で、早産や流産を引き起こさないように気をつける
F適度な運動で出産にそなえる
母親学級やマタニティースイミングなどで、分娩のときに関係する筋肉をきたえて出産の苦痛をやわらげる。どのような運動でも指導者のもとで行うこと
G食事は栄養のバランスを考える
ビタミン、たんぱく質、脂肪類、糖質類
H家事は無理をせず、のんびりと
妊娠前と同じように家事をこなそうとせず、家族に協力してもらい、からだに負担をかけないように
I部屋のなかをかたづけよう
妊婦のからだつきはひじょうに不安定のため転びやすい。階段にはすべり止めをつけよう
Jセックスは赤ちゃんにやさしく
おなかを圧迫しない体位を!
前側位 愛撫がしやすい
前座位 腹部を圧迫しない
後背位 結合の深さの調節が自由
Kここがポイント・分娩場所はどこを選ぶ?
・信頼のおける施設であるかどうか?
・自宅から通うのに便利か?
・どんな分娩方法か?
・会陰切開はするのか?
・個室or相部屋?
・費用はどのくらいか?
・母と子は同室or別室?
・母乳栄養or人工栄養?
・付き添いが必要or完全看護?
・夫の立ち合いはできるか?
・母親学級はあるか?
妊娠から分娩・産後まで
女性にとって、妊娠・出産のときほど幸せをかんじることはないでしょう。
分娩は母と子の共同作業です。10ヶ月の間、おなかのなかで育んできた赤ちゃんと、いよいよ対面できる日です。
妊娠中のこんな以上は要チェック
妊娠前期の異常
つわりがひどい
つわりは、妊娠につきもののからだに出る症状ですが、個人差があるものです。軽症の場合は心配はいりませんが、じゅうしょうになると栄養失調をおこしたり、寝こんだりします。
流産しやすい
もっとも流産しやすい時期は、妊娠2〜4ヵ月ごろです。からだに無理のない生活をしましょう。流産の原因は、胎児に問題がある場合と母体にある場合があります。定期検診を受けることは、流産の予防にもつながります。
子宮外妊娠が発生する場所は?
膨大部 峡部 采部 卵巣 腹腔 頸管 間質部 正常な着床の位置
胞状奇胎とは?
胎盤をつくっている繊毛組織の一部分が異常に増えて、子宮のなかに水胞がたまってしまう
胞状奇胎がみられる
胎盤を形成する絨毛組織が異常に増殖して、子宮のなかが水胞状ののう胞でいっぱいになる病気です。
胎児は吸収されてしまうのがほとんどです。原因ははっきりしていません。胎動やおなかの大きさに要注意です。
子宮外妊娠の痛みが出る
受精卵が子宮内の子宮腔以外の場所に着床するためにおこります。 場所によっていは胎児が死亡してしまうので、妊娠したら早めに受診を受けます。
アドバイス
女性だけがなすことのできる出産は、あなだ自身で管理していくのが望ましいことです。妊娠は病気ではないのですからあまり神経質になることはありません。
そして、わが子の誕生という大事業はあなたの手で行われるのですから、誇りと希望をもって成しとげれば、女性の喜びを得られるでしょう。
妊娠前期の異常と症状
異常の種類
重症なつわり
これが危険信号!
つわりの症状には個人差があり、何も感じない人からかなり苦しむ人もいる。かなりひどい症状になると、食欲がなくなり、寝こんでしまうほどつらくなる。それが原因で栄養失調をおこしてしまう。また、胆汁や血を吐くこともある
ひとくちメモ
治療を受けるほどひどいつわりになる人はめったにいない。情緒不安定や体力がないなどの人にあらわれやすい
異常の種類
流産
これが危険信号!
流産は出血でわかる。月経のときのように、はじめは少量の出血で、しだいに多くなっていく。このとき下腹部痛もおこり、出血もさらに増え、流産は状態によって、切迫流産・不全流産・完全流産・稽溜流産などの種類がある
ひとくちメモ
出血量が多く、痛みが激しい場合はすぐに病院へ。絶対安静にする。ふだんの生活のなかで、無理をしないことが予防
異常の種類
胞状奇胎
これが危険信号!
少量の出血がはじまり、大出血になることもある。つわりもしだいに強まっていく。出血があっても下腹部痛はほとんどおこらないが、子宮のなかの奇胎が排出されるときは下腹部痛をともなう
ひとくちメモ
胞状奇胎と診断されたら、子宮のなかの繊毛組織を残さないようにして、繊毛ガンの発生を防がなければならない
異常の種類
子宮外妊娠
これが危険信号!
少量の出血が不規則におこり、それにともなって激しい下腹部痛におそわれる。吐き気や貧血などをおこす場合もある
ひとくちメモ
妊娠したらすぐに医師の検査を受けて早期発見をするように
早産の原因になる胎盤の異常
<前置胎盤>
辺縁前置胎盤
胎盤が子宮口の近くにある
部分前置胎盤
胎盤が子宮口の一部をふさぐ
全前置胎盤
胎盤が子宮口をふさぐ
<常位胎盤早期剥離>
暗色の出血とともに腹痛がおこる
胎盤と子宮のあいだに血がたまる
<正常な胎盤>
胎盤が子宮の上部にある
妊娠後期の異常
妊娠中毒症には要注意!
妊娠の後期でいちばん恐れられている病気です。原因もはっきりしていません。重症になると母子ともに生命に危険があるのです。
羊水過多少でおなかが大きい
胎児を包んでいる羊水が異常に増える病気です。原因の多くは胎児にあるといわれますが、はっきりとはしていません。
前置胎盤は少量の出血でわかる
子宮の前の内壁かうしろの壁についているはずの胎盤がなにかの原因で子宮の出口についてしまいます。早期発見なら、帝王切開で無事に出産できます。
常位胎盤早期剥離は激しく痛む
晩出前に胎盤が子宮壁からはがれてしまい、胎盤と子宮との間に血がたまっていくのです。
前置胎盤とともに母子に危険が高く、早産の原因にもなります。
妊娠後期の異常と症状
異常の種類
妊娠中毒症
これが危険信号!
おもな症状としては、むくみ・タンパク尿・高血圧である。妊娠8ヶ月ごろに、足のすねを押してへこむのは要注意。血圧が最高が140以上、最低が90以上の高血圧や、尿が白く濁ったタンパク尿が発見される
ひとくちメモ
体重が1週間に500グラム以上増える場合にも妊娠中毒症が考えられる。体重の増加もチェックすること
異常の種類
羊水過多症
これが危険信号!
お腹のなかの羊水が必要以上に増えて、異常にお腹が大きくなる。羊水の増え方によって症状も異なる。急速に増えると、腹痛や呼吸困難、吐き気がみられ、反対に少しずつ増えるのは足のむくみや早産の原因にもなる
ひとくちメモ
お腹の胎児の位置が定まりにくくなり、さかごになりやすい。原因の多くは胎児にあるようだ
異常の種類
前置胎盤
これが危険信号!
お腹がまったく痛くないのに、多量の出血がある。妊娠後期のなかでも、もうすぐ出産を迎えるときにおこりやすい
ひとくちメモ
少量の出血でも、すぐに病院へいくこと。定期検診が予防になることが多い
異常の種類
常位胎盤早期剥離
これが危険信号!
いきなり、下腹部に激しい痛みが走り、冷や汗が出て、顔色が青白くなる。ときには少量の出血もみられ、失神状態になることもある
ひとくちメモ
妊娠中毒症にかかっている人にみられやすい。妊娠中毒症を予防することが大切
異常の種類
早産
これが危険信号!
周期的に陣痛ともいえる痛みがはじまり、出血があったりする。破水するときもある。前置胎盤や常位胎盤早期剥離も早産をおこす原因となる
ひとくちメモ
早産の疑いがあったときは、すぐに横になり、安静にして医師の診察を受ける
早産には気をつけよう
妊娠29〜38週末に胎児を晩出することをいいます。原因は、胎児と母体の両方にあります。
母体の早産の兆候は次のとおりです。
・腰が重い感じがする
・子宮収縮がおこり、おなかが痛む
・子宮頸間が開きはじめ、血性のおりものがある
・破水がおこる
・胎児の頭が下がり、排尿の回数が増える
子宮筋腫や妊娠中毒症、子宮頸管裂傷などが母体の原因として考えられます。
兆候があらわれたら、横になって安静にして医師の診察を待ちます。
妊娠がおこす合併症に注意する
妊娠によって引き起こされる病気を合併症と呼んでいます。
心臓疾患のある人は、妊娠することによって心臓への負担がかかり、分娩時にはさらに大きい負担がかかるため、出産後も回復が遅れ、さまざまな病気にかかることがあります。
また、妊娠中、高血圧症になる人もいます。気をつけなければならないのは慢性腎炎後の高血圧症です。この場合は、妊娠まえに医師に相談して、許可がおりてから受胎します。そして、妊娠初期の症状が軽いうちに治療し、医師の指示に従って出産まで運ぶことです。
そのほかに糖尿病との合併症もみられます。糖尿病を合併すると、妊娠末期にはとくに、成長ホルモンや副腎皮質ホルモンが増えるため、糖尿病がわるくなることがあります。
また肛門の病気にかかる率も高くなります。妊娠してから、痔に悩まされるようになった人も多いようです。妊娠時には便秘になりやすく、便が硬く出にくくなりますから、食べるもので調節するように気をつけましょう。またどうしても無理な場合は、医師に薬などをもらい、肛門に負担をかけるのを防ぐようにします。
さかごのいろいろ
ひざをまげたまま出る複腎位
単臀位 おしりから出る
ひざから出る 膝位
全足位両足から出る
帝王切開とは?
帝王切開には、切開のしかたのちがいで2つの方法がある。どちらの方法にするかは、医師の判断による
難産になるお産のいろいろ
お産ほど個人差のあるものはありません。また本人は思いと思っているお産が、医師からみれば軽いお産であったというように、その人の感じ方でちがってきます。
しかし、誰が見ても重いお産というのがあって、それを難産といっています。
では、いったいどんなお産が難産なのでしょうか。
1.前置胎盤で、自然なお産ができない
2.微弱陣痛といって、陣痛のおこり方が弱く時間がかかる
3.常位胎盤剥離
4.子宮が破裂する
5.分娩の進行中、胎児が仮死状態になる
などさまざまなケースがあります。
また、ショック状態におちいる場合もあります。ショックには突然脈拍が早くなったり、冷汗をかく、興奮する、というような軽い症状のものから、胎盤早期剥離や、胎児が死んでしまってからのお産、胎盤が出たあとにおこる弛緩出血を原因とするショック状態もあります。
そのほか、心臓の弱い人、体力の弱っている人、お産の途中で子宮が大動脈を圧迫して、血圧が急速に下がった場合などにもショックがおこります。
しかし、これらのショックはある程度予防ができますから、妊娠中から体力をつけておくようにこころがけましょう。それには十分な栄養と、睡眠、そして精神的な不安を取り除いておくことです。
ショックの治療は、頭を低くさせて、血圧が下がるのを防ぎます。また、出血多量の場合は、輸血による手当ても行います。
そのほかに、難産になりやすいものとして骨盤位(さかご)、多胎(ふたご・みつごなど)、予定日を超過している場合などがあります。
産後の生活を快適にすごす
産褥期はしっかり休養
お産のあとの時期を産褥期といいます。母体の性器や出産の際に消耗した体力を回復する時間です。
産褥期は、分娩後6〜8週間で、子宮は産後約6週間、産道や膣は約4週間、子宮口や子宮頸管、外陰部も2〜3週間でほぼ正常の形にもどります。ただし、特殊なお産をした場合には、正常分娩よりは回復までに多少時間がかかります。
こうした身体的な回復を早めるためにも、十分な休養と睡眠をとることが必要です。
悪露の手当てはていねいに
子宮内にたまっていた血液や分泌液が出産後排出されることを悪露といいます。悪露は、産後約3週間排出され、子宮内の回復とともに色は暗赤色から褐色、黄色と変化し、量も3日目が最も多くなってその後減少します。
いつまでも血性の悪露がつづくようなら、子宮復古不全の疑いがあります。
手当てはこまめにしないと、細菌感染をおこしてしまいます。消毒した脱脂綿で外陰部を清潔にします。
産後の検診は必ず受けよう
産後の性器やからだの回復が順調かどうかを診てもらうためにも、産後1ヵ月ごろ、遅くても6週間以内に受けるようにしましょう。
産後にかかりやすい病気には、産褥熱・子宮復古不全・乳腺炎・乳頭亀裂・膀胱炎・腎盂腎炎などがあります。産後の回復がわるいと赤ちゃんも苦しむことになりますから、いつまでもからだの調子がわるい場合には、早めに医師に診てもらいましょう。
悪路の手当ての方法
消毒綿の作り方
@5cm角の脱脂綿を煮沸消毒する
A2%のホウ酸水にひたす
B清潔な密閉容器に保管する
尿道口から肛門の方向にふき、2度ぶきはしないこと。消毒綿は1回使用したら捨てる。悪路の手当てをする前と終わったあとは必ず手をよく洗うこと
月経はいつからはじまる?
出産後、再び月経がはじまる時期は人によってちがいます。
母乳で育てている人は一般的に再会は遅く、1年後という人もいます。授乳をしていない人は、2〜3ヶ月で再開することが多いようです。
産後のセックス・ライフは?
赤ちゃんが生まれたあとの子宮や性器は疲れていますから、産後の検診をして、医師の許可を得てからのほうが安全です。
まだ、月経がはじまらないうちのセックスでも、たまたま最初の排卵の時期だったりすると、妊娠することはあります。母体の回復のためにも、この時期のセックスでは避妊の必要があります。
産後の生活ではここに気をつける
1週目 昼寝しかりすること
2週目 無理は禁物。楽な姿勢を!
3〜4週目 家事ができるようになるけど、無理をしないように
1ヵ月検診 そろそろ、入浴の許可があるとき
7週目 ふだんの生活ができるようになる
不妊かしら?と思ったら
健康な夫婦が、子どもがほしくてセックスをしているのに、2年以上すぎても妊娠しないという場合には、何らかの不妊の原因があるとみて、さぐってみるよよいでしょう。
不妊の原因と治療を知っておく
なぜか妊娠しない
不妊とみられる原因にはさまざまありますが、いくつもの原因が重なりあっているケースが多く、気長に治療や方法を試みる必要があるといえます。
検査や治療は夫婦そろって専門医に出向いて、相談して指導を受けます。
女性に多い不妊の原因
女性の側の不妊原因のなかで多いのが、卵管に癒着や狭窄などがある異常です。不妊のうち約30パーセントあります。このほか、女性の内性器の異常や、黄体機能不全などもあります。
男性に多い不妊の原因
男性の側の不妊原因も約40%あります。
無精子症、精子減少症、精子形成障害、精子路障害などがあります。
不妊症の検査はどんなの?
病院へ行くとどんな検査をするのか不安になりますが、原因が複雑なことが多いために、検査は系統だてて要領よくしてもらわなければなりません。
まず、問診や一般診察で健康状態や生活状況、結婚生活などをみてから、適切な検査を行います。
女性側の検査
女性の検査はいろいろありますが、おもに次のようなものがあります。
●基礎体温の測定…排卵の有無、排卵日、卵巣のはたらきなどを知るために必ず必要です。通院中ずっと記録します。
●卵管疎通検査…月経終了後2〜3日から排卵日の間に、子宮口から造影剤を入れて子宮腔や卵管腔の内部を調べます。
●子宮内膜組織検査…排卵後7日目ごろに受精卵が着床する子宮内膜に異常がないか、組織をとって調べます。
●性交後検査(ヒューナーテスト)…もっとも受精しやすい排卵日ごろの、性交3〜4時間後に、腔内に射精された精子が子宮頸管を上昇していくかどうか調べます。
女性の膣、子宮腔内から内溶液を採取してガラス板にのせ、顕微鏡で精子の運動性や有無をみます。
男性側の検査
男性の検査は次のようなものがあります。
●精液検査…精液の精子数、運動性、ペーハー、粘ちゅう度、精子の奇形混在の有無などを調べるもので、3〜4日禁欲後、マスターベーションで検査容器に精液をとります。
●睾丸組織検査…睾丸穿刺を行い、組織を調べるもので、精液検査結果、無精子症や精子減少症などが認められた人の、造精機能をみます。
●染色体検査…無精子症の場合、性染色体などを検査して、半陰陽かどうか調べます。
雨森センセイのベスト・アドバイス
子どもがほしいのにできないときの、女性の気持ちは切実です。そんなとき、「どうしてつからないの」「はやくつくったほうがいいよ」などといった無神経な言葉に、つい落ち込んでしまいます。しかし、人は人と割りきって、あまり悩まずに、明るく毎日をすごすことが大切です。まわりの人も、口出しせずに見守る姿勢が必要です。
女性の不妊の原因となるもの
卵管障害(卵管閉塞 腫瘤癒着 子宮内膜症)
子宮障害(子宮の奇形 子宮筋腫 結核性内膜炎)
排卵障害
卵巣障害
女性ホルモン分泌障害
精子侵入障害
ココが気になる!
貧血・冷え症・手指の荒れ
しつもん
貧血気味でいつも顔色がわるいのですが、どんなことに注意したらよいのでしょうか?
若い女性や妊娠・授乳期の人に多くおこる貧血に、鉄欠乏性貧血があります。
これは、鉄分を多く含む食品をとることでよくなります。
そのうえで、鉄剤を服用するとさらに効果的です。鉄剤を服用しても効果がないときは、内臓の病気や、再生不良性貧血・溶血性貧血のように血液そのものに異常があっておこる貧血も考えられますから、医師に相談してください。
しつもん
冷え性でこまっています。冬場など、夜、布団に入ってもいつまでも手足が冷たいままで眠れません。
なるべくからだを冷やさないようにして、急激な温度差にさらされるのを避けます。
そして、血行をよくするために、つぎのことを実行してください。
@寝るまえに、ぬるめのお湯にゆっくりつかり、冷えを感じる部分をマッサージする
A毎日適度な運動をする
BビタミンEをたっぷりとる
そのほか、乾布摩擦をしたり、からし・山椒・エスニック料理など、香辛料を使ったりょうりはからだがあたたまり、血行もよくなります。
しつもん
指先が荒れてざらざらしています。スベスベの肌にするにはどうしたらよいですか?
手は、寒い風に当たった場合や水仕事のあとにあれることが多いようです。これは、手袋をはめることで予防できます。すでにあれてしまった人は、毎日手を清潔にして、ハンドクリームをよくすりこみます。補助としてビタミンAを飲むのもいいでしょう。ビタミンAの欠乏症は現代ではほとんどみられませんが、偏食の人、インスタント食品愛好者にはいるようです。ビタミンAは皮膚の新陳代謝に必要な成分ですから、不足すると、皮膚の荒れをおこす結果になるのです。
正しい食生活でヘルシーライフ
人が健康に生きていくためには、栄養価の高い食品をバランスよくとることが必要だといわれます。では、具体的にどんな食品をどのようにとればいいのでしょうか。
毎日はつらつとすごすために
1.ご飯は3食、きちんととろう
食べることは、健康の基本です。それも、決まった時間にきちんと3食、6つの基本食品群からバランスよく食べることが大切です。とくに、朝食はその日1日を元気にすごすための一番大切な食事です。昼食や夕食を外でとる人は、どうしても栄養がかたよりがちですから、朝食で偏りを補いたいものです。
また、不規則な生活や食事を抜いたりすることは、ダイエットにはつながらず、からだの栄養吸収率を異常に高めて、むしろ肥満になります。夜食もなるべくかまんして、寝るまえの3時間は何も食べないようにしましょう。
2.ご飯も肉類もからだに必要
最近はダイエットのために肉や魚、ご飯、油といったたんぱく質・糖質・脂肪質の供給源となる食品をまったくまたは、たまにしか食べないといった女性が増えています。
しかし、これは間違った考えです。たしかに、食べ過ぎるのはよくありません。あまった分はからだのなかに脂肪としてたくわえらら、肥満の原因となり、成人病につながります。ですが、女性がふつうに生活していれば、1日に約1800キロカロリーが必要だとされています。野菜やくだもの主体のダイエット食では、それだけにエネルギーは得られません。
やせるとしても、メリハリのきいたプロポーションに、つやのある肌の健康美人をめざすのなら、たんぱく質と糖質・脂肪質はきちんととるべきです。
3.効率よくビタミンをとろう
●ビタミンA
緑黄色野菜に多く含まれるカロチンは、体内に入るとビタミンAに変化します。このビタミンAは、毛髪に自然なツヤを与え、皮膚の張りをよくし、歯、つめなどを健康に保ちます。また抵抗力を高めて、病気にかかりにくくするはたらきもあります。
からだに必要な分量を得るには、1日200グラムの緑黄色野菜をとるのがめやすです。量だけ聞くと多いようですが、ゆでたり、いためたりするとたくさん食べられます。カロチンは、油と一緒にとると吸収がよくなりますから、ほうれん草のバターいためや小松菜のごまあえなどは、その点でもおすすめの料理です。
・アドバイス
食べるときは、ゆっくりよくかんで、時間をかけるようにしてください。あわてて食べると、満腹感を感じないうちに必要以上の量を食べてしまい、肥満の原因にもなりますから、気をつけましょう。また、何回もかむことによって唾液の分泌が盛んになり、消化が促進されますから、効率よく栄養をとることができるのです。
バランスよく食べたい6つの基礎食品
1群たんぱく質
ソーセージ
ハム 肉 魚 卵
2群カルシウム
チーズ ヨーグルト のり 牛乳 にぼし
3群カロチン
トマト ニンジン ブロッコリー かぼちゃ
4群ビタミンC
セロリ きゅうり 大根 いちご ばなな
5群 糖質類
ご飯 パン じゃがいも そうめん
6群 脂肪類
バター 落花生 サラダ油 マヨネーズ
●ビタミンC
不足すると老化が早くなり、皮膚の色素が沈着しやすくなってしみができやすくなります。かぜをひきやすい人や貧血ぎみの人も、ビタミンCがたりない場合が多いようです。
このビタミンCは、野菜やくだものに多く含まれているのですが、熱に弱いため、煮たり焼いたりすると多くがこわれてしまいます。ですから、生で食べるのがいちばんいいのですが、それでは量が限られてしまいます。
ただ、ジャガイモに含まれるビタミンCは、煮てもほかの野菜よりこわれる量が少なく、ピーマンは油で手早く炒めるだけなら、ほとんどビタミンCを失いません。
成人の女性がとりたい1日のビタミンCno量は、50ミリグラムです。しかし、ここで注意したいのは、ビタミンCはとりだめがきかないということです。多くとりすぎた分は、尿と一緒に排泄されてしまい、たくわえておくことはできません。今日、たくさん食べたから明日はいい、というわけにはいかず、毎日、必要な量を補充しなければならないのです。
●ビタミンE
老化を予防するビタミンにEがあります。
そればかりではなく、からだのなかの細胞分裂を倍増させ、細胞の活性化をはかり、リンパ球にもはたらきかけるので、ガンの予防にもなるのです。
ビタミンEを多く含む食品は、うなぎ、大豆、胡麻油などですが、さまざまな食品にすこしずつ含まれているので、多くの食品をバランスよくとれば自然に摂取できます。
4 カルシウムで骨の健康を保つ
人間の骨の主成分となるのがカルシウムです。
これが少ないためにおこる病気に、骨の密度が低くなって、もろく折れやすくなる骨粗鬆症があります。もともとは老年期の女性に多い病気だったのが、最近は、ダイエットをつづける若い女性の間で増えてきているといいます。からだの脂肪が落ちるだけでなく、骨までが細くきゃしゃになってきたら、ほぼ骨粗鬆症と思っていいでしょう。
また、妊婦や授乳期の人は、子供や乳汁の分までたっぷりとカルシウムをとる必要があります。
5 女性にだいじな鉄分の補充
月経のある女性は、毎月血液を補給しなければならいため、鉄分を含む食品を多くとらなければなりません。
血液をつくるためには、多くの鉄分が必要なのです。
また、ふだんから鉄分の補充をこころがけていれば、貧血の予防にも役立ちます。
6 線維を含む食事をとろう
女性には便秘症の人が多いのですが、繊維質の食物をとることは、便通を助ける役目も果たします。
最近は、日本人の食生活が欧米化されて、昔からよく食べられてきた、ひじきや切干大根の煮物も、かえりみられなくなっています。
繊維質をとる量が減ることによって、大腸や直腸のガンが、増えてきているといわれていますから、できるだけ、従来の日本の食べ物もとるようにしたいものです。
繊維質は注目されている栄養素です。繊維質を含んだ食品がお店に並んでいます。これらを利用して毎日、少しでもとるようにしましょう。
からだに必要な栄養素を多く含む食品
ビタミンA
卵黄 ほうれん草 かぼちゃ こまつ菜
ビタミンC
みかん いちご ピーマン じゃがいも
ビタミンE
うなぎ ごま油 カリフラワー 大豆
カルシウム
牛乳 しらす干し チーズ わかめ
鉄分
豚レバー ほうれん草 しじみ プルーン
線維
ひじき さつまいも 大根 しいたけ
こころとからだのヘルシープラン
いつまでも健康で美しくありたいと思う女性には、からだを動かすことが不可欠です。まずは自分の状態を知り、日常生活に気をつけ、そのうえでスポーツをという3段階のプランで望みましょう。
健康な美しさをめざして
1 はだかになってボディ・チェック
女性は、とくに主婦の場合、特別に何かスポーツをやっていなくても、掃除、洗濯、炊事、買い物と、けっこう動き回ることが多いようです。しかし、こうした家事や日常の動作に使う筋肉は、からだ全体の筋肉のほんの一部分にすぎません。使わない筋肉は退化していき、その部分には脂肪がつきやすくなります。とくに、中年以降の女性には脂肪がつきやすく、一度ついたら、とるのにたいへん苦労をしなければなりません。
そこで、月に1回程度、お風呂に入ったときに自分のからだを鏡に映してみて、姿勢や脂肪のつき具合などをチェックしてみましょう。
2 くらしのなかでシェイプ・アップ
筋肉を衰えさせず、健康的な美しいボディ・ラインを保つためには、ふだんからのこころがけが大切です。
こころがけなどというと、たいへんなことのように思われるかもしれませんが、日常していることに少し気を配るだけき、からだはずいぶんとひきしまってくるものなのです。そのうえで、スポーツをするようにすれば、効果はみるみるあらわれます。
3 ストレッチングでリフレッシュしよう
ふだんから運動不足が気になっているのだけれど、その時間がない、という人におすすめできるのが、ストレチングです。
自然な息づかいをつづけながら、首、肩、背中、腕、足、腰と、それぞれの筋肉を無理のないように、ゆっくり10〜30秒伸ばしてから、静かにもとの位置にもどします。
本来は、スポーツまえのウォーミングアップと、スポーツ後の筋肉の緊張をほぐすためにアメリカで開発されたものなのですが、これを毎日、10〜20分ほどのあいだ時間にすれば、筋肉の衰えを防ぎ、ぜい肉を落とすこともできます。また、血行がひじょうによくなるので、筋肉の疲れを取り除くこともできます。
これがふつうの柔軟体操とちがうのは、まず、からだをまげたりそらせたりするときも、もとにもどすときも、ゆっくりやるということであり、反動をつけたり、無理に力を入れたりしないということです。曲がらなければまがるところまででいいのです。毎日つづけていれば、必ず柔軟になり、からだの線はびっくりするほどきれいになって、生き生きとした自分を発見することになるでしょう。
・アドバイス
何かスポーツをはじめたい、またはもうすでにスポーツをやっているという活動できな女性も多いことでしょう。
しかし、適当だと思ってはじめたスポーツが、以外とからだに負担になっていることもあります。人間のからだは人それぞれで、生まれつき筋肉の強い人も弱い人もいます。自分の体力に合わせて、スポーツを楽しみましょう。
マイボディ・チェックをしよう
<うで>
・うでの下の肉をつまんで、2cm以上あるのは太りぎみ
<ふくらはぎ>
・筋肉がつきすぎていたり、ダボダボしすぎていないか
<顔>
・顔色が、悪くないか
・二重あごになっていないか
<おしり>
・余分なお肉がつきすぎていないか
・おしりがたれていないか
<背中>
・背中の肉をつまんで、2cm以上あるのは注意
<ウエスト>
・ウエストのくびれがあるか
・つまんで、3cm以上ぜい肉があるのは注意!
4 ストレス解消でより健康に
人は、必要以上に物事を考えるとストレスがたまります。ストレスは、緊張にかかわりがあるのです。原因はさまざまですが、人間関係や家庭環境のなかの苦痛が引きおこすものが多いのです。
人によって、ストレスのたまりやすい人とそうでない人がいます。というよりも、ストレスを発散させることがヘタな人と、じょうずな人がいるといったほうがよいでしょう。
どんなに明るく楽しそうにふるまっている人でも、多少のストレスはあるものです。しかし、発散させることのじょうずな人というのは、自分でも気づかないうちに発想を変えてみたり、気分転換をしてみたり、物事のよいほうの面に目をむけるなどして、ストレスを発散してしまっているのです。
そんな器用に気持ちを切り替えられない、どうしてもためこんでしまうという人は、次のことを試してみてください。
1 好きな音楽を聴く
音楽は、自律神経のバランスをととのえ、こころをゆったりとさせますから、自分に合った曲を聴くのがいいでしょう。
2 趣味や好きなスポーツをする時間をとる
1週間に1回程度でもいいですから、日ごろの不安やイライラを忘れて、おもいきりうちこんでみてください。
3 おふろに入る
1日の終わりに、ぬるめのおふろにゆっくり入ります。好みに合った入浴剤を使うのも効果があります。
4 寝るまえに少量のアルコールを飲む
とくに、ストレスのために不眠症がちの人におすすめです。
ストレス解消は、とにかく気分を変えること、これが基本です。身体的にも影響がでてきます。汗を流して、こころとからだを健康にしましょう。
ストレッチングでこころとからだをリフレッシュ
<背中と腰のストレッチング>
@すわって両足をのばす
A左足の外側に、ひざをまげた右足をおいて、からだを右へひねる
B左右をぎゃくにして行う
<足の裏のストレッチング>
@すわって、両足を大きく広げる
A左足を内側へまげて、右足の方向にゆっくりと上体を倒す
B左足を逆にして行う
<背中とうでのストレッチング>
@両足を肩幅くらいに開いて立つ
A腰のうしろで両手を組む
B両腕をのばすように、うしろへ引く
<腰のストレッチング>
@足を肩幅くらいに開いて立つ
A足をまげずに、手のひらが床につくようにゆっくりと体をまえへ倒す
<からだの側面のストレッチング>
@両足を肩幅より少し開いて立つ
A両腕を頭の上で組む
Bゆっくりからだを横にまげる
C左右交互に行う
<太もものストレッチング>
@大きく右足を前へ出して、かがむ
A両手を前について、左足をのばす
B左右の足を逆にして行う