特集:子宮の病気と漢方薬(子宮筋腫、子宮頸管炎、子宮内膜症、子宮癌)



大特集 「子宮の病気」 

(1)子宮筋腫 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大

「子宮筋腫」 良性のこぶだから、あわてないできちんと対処。 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
生理の量が多く、出血とともにレバーのようなかたまりが出る場合=「子宮筋腫」の可能性大
子宮筋腫の女性の症状
①めまい、立ちくらみがあり、疲れやすくい。
②不正出血がある。
③排尿時に痛みがある。 尿が出にくい。
④おしっこをしても、また、すぐに行きたくなる。
⑤下腹部に、はりがあり、しこりを感じる。
これらの症状がある場合は、「子宮筋腫」の可能性大  → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大

「子宮筋腫の特徴」
子宮は暑さ1~2センチの平滑筋と呼ばれる筋肉でできている。 その筋肉の層に、こぶのような腫瘍ができる。→ 子宮筋腫。
こぶの大きさは、大豆くらいのものから、大人の頭くらいのものまである。 1つではなく複数できることも多い、10個以上の人もいる。
子宮筋腫の腫瘍は良性=大きくなっても、数がたくさんあっても、命に問題なし。
子宮筋腫は、30代以降の女性に多くみられる病気。
最近は初経の年齢が早くなったことで、20代の未婚の女性でも、子宮筋腫ができる場合も多い。
現在は、食生活も欧米化し、仕事や人間関係が大きなストレスをもたらす時代である。 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
それらの影響で、体に備わっている免疫力が低下し、子宮筋腫にかかる年齢が早まっている。
子宮筋腫の原因は、まだ、はっきりとはわかっていない。
女性は生まれつき誰でも筋腫の芽のようなものを持っていて、女性ホルモンのエストロゲンが、その芽を大きくする。
エストロゲンは成熟期に盛んに分泌されるため、子宮筋腫も、その年代の女性に多い。
思春期や閉経後に子宮筋腫ができることはほとんどない。

「子宮筋腫の種類」 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
A)子宮筋のなかに腫瘍ができる=「筋層内筋腫」
B)子宮の外側に向かって筋腫が突き出す=「漿膜下筋腫」、
C)子宮の内側に向かって突き出す=「粘膜下筋腫」
これらの筋腫が1~2個できているもの=「単発性筋腫」
いろいろな種類の筋腫が多数できているもの=「多発性筋腫」

「筋層内筋腫」 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
もっとも多いものが「筋層内筋腫」
筋層内筋腫が大きくなると、
①「生理の量が多くなる」②「生理の期間が長くなる」③「生理痛がひどい」④「おしっこが近くなる」⑤「貧血を起こす」
などの症状があらわれる。

「漿膜下筋腫」 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
「漿膜下筋腫」=初期の段階では自覚症状がない=不妊や流産の原因になる
=おなかに触れてしこりを感じたり、下腹部に、はりが出てくる=10cm以上、かなり大きくなってから。
「漿膜下筋腫」の自覚症状=①「トイレが近くなる」②「おしっこが出にくい」③「便秘がちになる」④「腰痛がある」
子宮筋腫の3タイプのなかでもっとも気づきにくいといえます。

「粘膜下筋腫」 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
筋腫が小さいうちから筋層内筋腫と同じような症状が激しく出る=粘膜下筋腫。=不妊や流産の原因になる
「黄色くて水っぽいおりものが増える」「不正出血がある」などの症状も加わる。

「子宮筋腫の検査」
①大きなしこりがある場合=触診、内診でわかる。
超音波検査、MRI検査によって、さらに詳しい筋腫の状態を調べる。
超音波検査は、プローブという検査器を使って腹腔内をモニターに映し出して診る検査。
おなかの上からあてる方法と、膣の中に入れて診る方法がある。
子宮や卵巣の状態をより精密に観察できるのは膣の中に入れる方法になる。

「子宮筋腫の一般的な治療方法 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大」
①筋腫が小さく、ふうつに日常生活を送れる状態=治療はせず、3か月に一度は健診を受けながら経過を見守る。
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②筋腫が大きくなり、上記の症状が、つらく日常生活に支障をきたす場合=治療が必要となる。
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子宮筋腫の治療方法=①薬を使うもの、②外科手術、 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大

①エストロゲンの分泌を抑える薬などを投与=症状を軽くする、筋腫を小さくする。
②それでも症状がよくならない場合=外科手術を考える

外科手術
①子宮を全部摘出する「全摘術」
②将来の妊娠・出産のために筋腫だけを取り除き、子宮を残す「核出術」

「全摘術」=開腹手術

核出術
①下腹部に数か所、小さな穴を開けて行う「腹腔鏡下手術」、
②おなかを傷つけることなく、膣から内視鏡(子宮スコープ)で処置する「膣式内視鏡下手術」
どの手術を選択するかは、筋腫の数や大きさ、筋腫がある位置などを総合的にみて判断する。

①妊娠・出産を望む場合は、子宮を残しておける可能性があるかどうかを必ず尋ねる。詳しい説明を受ける。
②手術法の長所、短所を理解する。
どのようなメリットがあり、デメリットがあるかを確認、納得して手術に臨むこと。



(2)子宮頚部びらん、子宮膣部びらん

「子宮膣部びらん」 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大

「子宮膣部びらん」=大多数は「仮性びらん」=心配いらない。
症状=おりものの量の増加、おりものの色の変化
①おりものが黄色味を帯びている
②白っぽいおりものが出る
③セックスのあと出血する
「子宮頚部びらん」=白や黄色のおりものが出る。セックスの後、出血する。

「子宮頚部びらん」の特徴
びらんというのは、「赤くただれた」状態=膣の突き当りの部分があかくただれている病気。
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子宮膣部びらん=成熟期の女性のほとんどにみられる病気=「仮性びらん」と「真性びらん」の2種類がある。

成熟期になると、女性ホルモンのひとつである卵胞ホルモンの分泌が盛んになる。
そのために、ふくらんだ頸部の上皮組織が子宮口から膣のほうにはみ出して赤くただれているように見える=「仮性びらん」
「真性びらん」=子宮膣部をおおっている上皮が剥けて、中のやわらかい組織がむき出しになっているもの=「真性びらん」
仮性びらんが多く、真性びらんは滅多にない。

「子宮頚部びらん」の症状
①おりものの変化、②セックスの時の出血=仮性びらんの場合は、まったくないことも多い。
おりものの変化が激しい、セックスのたびに出血するようなら、真性びらんが疑われる。=専門家に相談。

「子宮頚部びらん」の治療方法

「仮性びらん」で、とくに症状がないものは、治療しない=経過を見る。
「真性びらん」は、①膣洗浄、②炎症を抑えるために抗生物質(飲み薬)を投与、③膣の座薬を使った治療がある。
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「子宮膣部びらん」 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大

「子宮膣部びらん」で、重要なのは、「子宮頸ガン」との識別。

びらんの赤くただれた状態が「子宮頸がん」の初期症状ととてもよく似ている。
検査で、ガンでないことを確認しておく必要がある=検査は、びらんの組織を綿棒でこすりとって行う。

子宮膣部びらんから子宮頸ガンに移行することもない。
子宮膣部びらんがあっても、そのまま経過するのがふつう。
子宮膣部びらんの状態を、軽度にとどめておく注意が必要。
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(3)「子宮頸管炎」 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大

「子宮頸管炎」=放置しておくと、不妊の原因になる。
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おりものの状態がいつもとは違う
①おりものの量が増えた。②おりものの色は黄色っぽい。③おりものに悪臭がある。
ふだんより、おりものが増え、悪臭のある黄色っぽい膿のようなものが出ている場合=子宮頸管炎の可能性大。
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「子宮頸管炎の特徴」
子宮頸管炎はクラミジアや大腸菌、淋菌などが膣から子宮頸管部の分泌腺に入り込み、炎症を引き起こす病気である。
子宮頸管は外部から細菌が比較的入りやすい部分、感染の可能性も高い。
①セックスした男性が淋菌に感染していた。
②恥垢がたまっていてペニスが不潔で炎症を起こしている。
(パートナーのペニスが包茎の場合は、恥垢がたまりやすいので、ふだんから「清潔」をこころがけるよう注意する。)
(セックスの前に、彼女自身で、ペニスを綺麗に洗浄する)
③生理中にタンポンを使用している女性は、タンポンの挿入によって膣が炎症をおこしている場合もある。
④流産や人口妊娠中絶、分娩の後。
(子宮がまだ回復していない状態=この時期にセックスをしたりすると感染することがある。)

「子宮頸管炎の症状」 おりものの変化=原因になっている細菌によっておりものの状態も違う。
①クラミジア感染=白く、水っぽい、サラッとした感じのおりものが出る。
②淋菌感染=黄色い膿のようなおりものが出る。

下腹部の痛みや不正出血があり、ひどくなるとセックスのときに痛みを感じ、出血したりする。
放っておくと、感染部分は子宮の上の方に広がり、
子宮内膜炎、子宮付属器炎、骨盤腹膜炎、肝周囲炎などの病気に発展する。
オーラスセックスによって咽頭に感染する場合もある。
骨盤腹膜炎になると、下腹部に強い痛みを感じるようになる。
肝周囲炎では上腹部に激痛が起こる。=肝周囲炎では、救急車で、病院に運ばれる人もいる。
子宮頸管部の炎症が子宮内部に拡大すれば、不妊症になる。=早期発見が必要

「子宮頸管炎の治療」 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
子宮頸管部から分泌物をとって培養し、感染を引き起こしている細菌を特定して、ふさわしい抗生物質を投与する。
慢性化すると治療にも時間がかかる。=完全に治るまで治療をつづける。
自覚症状がなくなったからと勝手に治療をやめると慢性化してしまう。
卵管炎に病気が移行し、不妊症になるので、注意する。
この病気を予防するには、コンドームの着用がよい。
治療中は原則としてセックスは禁止。
若い世代にとっては、辛抱が大変な期間かもしれないが、とにかく我慢する。
夫や恋人など定期的にセックスする相手がいる場合は、いっしょに治療を受けるとよい。



(4)子宮頸管ポリープ、子宮内膜ポリープ → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大

子宮頸管ポリープ、子宮内膜ポリープ = 子宮内膜の過剰反応が原因

生理中でもないのに出血があるという場合=子宮の病気の可能性大

子宮頸管ポリープの症状
①予定日の前から生理がつづき、なかなか終わらない。
②おりものに血液が混じっている。
③セックスしたあとに出血がある。
子宮頸管ポリープではおもに以上のような症状がみられます。

子宮頸管ポリープ=病気の特徴
子宮頸管は子宮内から膣につづく細い管のような器官。
腺細胞で覆われ、頸管腺がある。頸管腺からは頸管粘液が分泌される。この腺組織は過剰にできやすく、頸管内に飛び出してくることがある。
キノコが生えたような形の突起になる=これが子宮頸管ポリープである。
ポリープの茎の部分は長く伸び、キノコにあたる部分が膣内に下がってくると、膣内の細菌に感染して炎症を起こしたり、
セックスによってペニスにふれることで出血する=不正出血を起こす。
 リープができる原因は、はっきりしていないが、ホルモンの影響が考えられる。
ポリープの大きさは、ちいさいものは米粒くらい、大きくなるとそらまめ大程度になる。
ポリープは良性で、ガン化することはほとんどない=そのまま放っておいても健康上問題はない。
セックスのときに出血したり、生理中でもないのに、だらだらと出血が続いたりするため、多くは摘出する方法がとられる。
放置しておいて自然にポリープがなくなることはない。
ポリープは子宮頸管だけではなく、子宮内にもできる=子宮内膜ポリープ
子宮内膜が過剰に増殖することが原因になる=ホルモンの影響による。
そのホルモンはエストロゲンで、エストロゲンが過剰にあったり、子宮内膜のエストロゲンに対する感受性が高かったりすると、
子宮内膜が過剰に増殖し、ポリープになる。
子宮内膜ポリープは、子宮頸管ポリープにくらべて、不正出血が少ない。
生理の量が多いくらいでほとんど症状がない場合もある。
ただし、子宮体ガンと似たような形状、症状である。=両者の識別はしっかりしておくこと。

子宮頸管ポリープ=治療方法
手術でポリープを切除する=(ポリープを根元から切り落とすだけで、1~2分で終了、痛みなし)
根元が太いポリープの場合は、まれに入院が必要となる。
切除したポリープは病理組織検査で良性かどうかを確かめるが、まず悪性ということはない=心配はいらない。
子宮内膜ポリープは、通常、子宮鏡による摘出手術を行う。
麻酔なしか、ごく軽い麻酔で摘出する。出血量が多い場合は入院。



(5)子宮内膜炎 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大

子宮内膜炎=おりものが変=おりものの量や色、においに注意、おりもの以外のからだの変化にも注意

子宮内膜炎の症状
①色が膿のように黄色。
②血液が混じる。
③発熱がある。
④下腹部が痛い。
放っておくと膣や子宮頸管、子宮内膜、卵管、骨盤膜炎と炎症が広がっていく=早期発見、早期治療

子宮内膜炎=病気の特徴 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
子宮内膜が炎症を起こす病気=膣から侵入した大腸菌やブドウ球菌、クラミジア、淋菌などに感染すると発症する。
自然流産や人口妊娠中絶、分娩の後など、子宮が十分に回復していないときにかかりやすい、セックスが原因になることもある。
ダンポンやコンドームなどの異物をうっかり膣内に残してしまうと発症しやすい。膣内に細菌が入らないようにすることが最大の予防。
子宮内膜炎の初期は、おりものの量が多くなり、下腹部が痛くなる、炎症がひどくなると、おりものに血液が混じり、黄色の膿のようなおりものが出る。
発熱や激しい下半身の痛み、不正出血、腰痛なども起こる。
淋菌に感染した場合は、尿道炎を発症して排尿時に痛みがある。
放置すると炎症が子宮内膜までおよび、さらには卵管にも広がって「淋菌性卵管炎」を引き起こす。=不妊症の原因になる。
子宮内膜炎で、結核菌の感染によるものは慢性化する。
慢性子宮内膜炎 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
慢性子宮内膜炎では、だるさや微熱がある程度ではっきりした症状は出ないことが多い。
炎症がひどくなれば不正出血があったり、生理がなくなってしまったり、不妊症の原因になる。

子宮内膜炎の治療 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
おりものを培養して炎症を引き起こしている細菌が何なのかをつきとめる→治療の第一段階。
原因となっている細菌が判明したら、その細菌を退治する抗生物質を投与=同時に炎症を鎮める消炎剤を投与。
炎症がなくなるまで安静にする(入院する場合もある)=完治するまでの期間的な約一か月。



(6)子宮内膜症 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大

子宮内膜症=生理がある女性の1割はもっている=生理のとき強い痛みがある。
①生理のとき以外も下腹部に痛みがある。
②生理といっしょにレバー状のかたまりが出る。
③セックスのときに下腹部に痛みを感じる。
④腰痛に悩ませれている。
生理痛の他に、こうした症状があると「子宮内膜症」の可能性大。

子宮内膜症=病気の特徴
子宮の中に、子宮内膜という組織がある。子宮内膜は生理のときにはがれ落ち、月経血として排出される。
ところが、この子宮内膜が子宮の外側や臓器に飛び火して増殖し、生理のたびに出血をくり返すことがある。
これが子宮内膜症で、子宮には膣という出口があるが、飛び火してできた子宮内膜は、はがれ落ちても流れ出すところがない。
飛び火してできた子宮内膜は、その場にとどまってかたまり、進行すると周辺組織が癒着を起こす。
子宮内膜症は10台の後半からみられ、とくに20代から30代前半の女性に増えている。
推定では、生理のある女性の約1割が子宮内膜症とされている。 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
原因はわかっていないが、食生活などの生活環境が現在のように変わってきたのにともなって増えている。
初経年齢が低くなり、出産年齢が高くなったことで、からだのなかで女性ホルモンが働く期間が長くなり、それが子宮内膜炎の発生と関わっているとも考えられる。
子宮内膜の一部が骨盤内にはりつくのが原因とする説=子宮内膜移植説
未分化の細胞が刺激を受けて、子宮内膜に似た細胞に変化するという説などもある。
子宮内膜症で最も多いのは、内膜が卵巣に飛び火してできる 「卵巣チョコレートのう腫」 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
子宮を含む子宮筋層に内膜ができて出血し、子宮全体が腫れるもの 「子宮腺筋症」 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
子宮内膜が、腹膜外に発生する 「腹膜外子宮内膜」 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大

子宮内膜症の検査
どのような痛みが、いつごろからあるのか、痛み以外にどのような症状があるのか、自覚している症状をできるだけ詳しく、正確に伝える。
子宮内膜症が疑われる場合は、超音波検査、血液検査、腹腔鏡検査やCT、MRI検査などが行われる。
血液の中の腫瘍に関係する抗体を検査する「腫瘍マーカー」のチェックも診断の参考になる。
超音波検査、MRI検査、腹腔鏡検査で、ほぼ確実な診断が下せる。

子宮内膜症の治療 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
①ホルモン薬の投与で生理のない状態にして、病気の進行を抑える薬物療法
②手術によって病巣を取り除く外科手術療法

薬物療法
①子宮内膜の増殖を促すエストロゲンの分泌を抑えるホルモン薬を使って一時的に生理を止め、閉経状態にする「偽閉経療法
②低用量ピルを使って一時的に妊娠状態にする「偽妊娠療法」
偽閉経療法では肩こり、脱力感、関節の痛み、しびれなどの副作用をともなうため、長期間つづけることはできない。
半年続け、少し休んでまた半年続けることを繰り返して、様子を見る。 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
手術には腹腔鏡手術と開腹手術がある。
腹腔鏡手術は、おへその下に小さな穴を数か所開け、そこから内視鏡と手術器具を入れて、モニター画面をみながら病巣を取り除く=全身麻酔で行うが、おなかの傷はほとんど目立たない。
開腹手術は、保存手術、準根治手術、根治手術の3つ考え方のもとに行われる。
保存手術では、病巣だけを切除して、卵巣と子宮は残す=将来、妊娠・出産を希望する場合
準根治手術は、子宮を摘出し、卵巣の一部を残す。
根治手術は、子宮と卵巣を全て摘出する。
開腹手術の場合は、方法によって下半身だけの腰椎麻酔か全身麻酔で行われ、下腹部には10~15センチの傷が残る。
子宮内膜症は、再発がかなりある病気なので、再発を完全に防ぐのは根治療法になる。
手術を受けても子宮、卵巣を残せば再発の可能性はある。

質問=「子宮内膜症の女性は、不妊症になる?」
子宮内膜症と不妊症は、確かに因果関係がある = 子宮内膜症の女性の50%(半数)は,不妊を訴えている=不妊になりやすいのは事実。
原因は、子宮内膜症によって卵管が周りの臓器に癒着し、上手に卵子を捉えられなくなる、卵管が閉じてしまう。排卵障害が起こる。
不妊症の可能性が高くはなっても妊娠の希望はあるので、一番良い方法を選択する。 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大

子宮内膜症は、子宮と卵巣を全摘出する手術以外には完治はない病気。
つまり、子宮内膜症は、閉経まで長いお付き合いをしなければならない病気。 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大
将来の生活設計や出産計画などを十分に考えて、自分自身で、一番良い治療法を選ぶ。
まず薬物療法で様子をみながら、限界段階で手術を受ける。
薬物療法と手術を組み合わせる。 → 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能→効果大



(7)子宮癌 → 調合漢方薬服用可能

子宮癌 = 生理は終わったはずなのに出血する。
①セックスのときに出血する。
②生理、セックスのとき以外にも出血する。
③おりものの量に変化がある。
④生理がいつもより多く、長引く。
これらが子宮ガンの兆候としてあらわれる場合がある。
 → 調合漢方薬服用可能

子宮癌=病気の特徴=子宮ガンは、2種類ある = ①子宮頸ガン、②子宮体ガン。

①子宮頸癌は、子宮と膣の境目(外子宮口)のあたりに発生するガン。 → 調合漢方薬服用可能
子宮ガンのほぼ90%が、子宮頸がん=原因は、「ヒトパピローマウイルス」
「ヒトパピローマウイルス」は、ペニスの恥垢や分泌液の中にいてセックスによって感染する。
また、出産回数が多い、子宮膣部びらんがある、子宮頸管炎を起こしている場合も、子宮頸がんになりやすい。
セックスする相手が包茎ということなら、恥垢がたまりやすいため感染率も高まる。
つまり、子宮頸ガンは、性感染するウイルスが原因のひとつ。
若いころからセックス経験が多い女性は、かかるリスクは高くなる。
子宮頸癌は、初期の自覚症状は、ほとんどないが、ただ、不正出血がある。
セックスのあとに出血する、生理が終わったのに、また出血する。
生理以外の出血があった場合は注意が必要。
血液の量は、さまざまで、多いことも少ないこともある。
色も、鮮血だったり、褐色だったり、個人差がある。
癌が進行すると、悪臭のある茶褐色のおりものが増える。下腹部に痛みを感じる。排尿が困難になる。
子宮頸癌は、どの年代の女性にもみられる。
30歳くらいから増え、40代、50代がピークになる。
子宮頸癌の前段階である「異形上皮細胞」は、10代、20代の女性からもみつかっている。

②子宮体癌=子宮内膜がんとも呼ばれ、子宮の内側にある子宮内膜にできるガン。 → 調合漢方薬服用可能
原因は、食生活の影響=動物性脂肪をたくさん食べる食傾向の地域に発生率が高い=食生活の欧米化に伴い、子宮体ガンも増えている。
女性ホルモンのひとつであるエストロゲンがガンの発生に関わっている=顕著な晩婚傾向、少子化傾向=子宮体ガンの増加の原因のひとつになる。
子宮体ガンも生理以外の不正出血が初期症状といえる。
セックス時や排尿時の痛み、骨盤周辺の痛みなどもあらわれる。
子宮体癌にもっともかかりやすいのは50代から60代の閉経期を迎えたあたりの女性。
子宮体ガンは、肥満、高血圧、糖尿病がある女性に多い。 → 調合漢方薬服用可能

子宮癌の検査
①子宮頸ガンの検査は、通常、膣のなかに綿棒やヘラのようなものを入れてこすり、細胞を採取して顕微鏡でガン細胞の有無を調べる=「細胞診」=短時間ですみ、痛みもない。
検査前に膣をきれいに洗いすぎると分泌物がうまく採取できず正確な判定ができないので、ごくふつうの状態で検査に臨む。
この検査で疑わしいという結果が出た場合は、その部位の組織をとってさらに詳しい検査を行う=「組織診」
②子宮体ガンの検査は、専用の器具を子宮の奥に入れて子宮内膜の一部を採取して行う=多少の痛みや検査後の出血がみられる
細胞診で疑わしい結果が出たときは組織診が行われる。痛みを伴うため、麻酔をかけて組織を削り取る。
子宮頸癌の検査で子宮体癌が発見される場合はほとんどない。発症ルートが違うので、検査を受ける場合は別々に受ける必要がある。



子宮癌の治療方法。 → 調合漢方薬服用可能

①子宮頸癌の治療は、ガンの進行段階によって異なる。。 → 調合漢方薬服用可能
子宮頸がんの進行段階、ステージ(病期)
0期…早期のガン。子宮頸部の上皮内だけにガンが認められる。
1期…子宮頸部だけにガンがあり、ほかには広がっていない。
2期…子宮頸部以外にもガンが広がっているが、骨盤壁、膣壁の下3分の1には達していない。
3期…ガンが骨盤壁まで達し、ガンと骨盤壁の間にはガン以外の組織がない。あるいは膣壁浸潤が下方向に3分の1を超えている。
4期…ガンが小骨盤腔を超えて広がっている。あるいは膀胱、直腸の粘膜にも広がっている。

子宮頸がんの治療方法。 → 調合漢方薬服用可能
外科療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法の3つがある。
ステージが、進むにしたがって、治療も困難になる。
早期発見ができれば、レーザー光線で病巣だけを取り除く方法で完全治癒可能。=妊娠、出産も可能。
国立がんセンターのデータでは、0期では治療後の再発の例はない。
5年生存率は1期が92.1%、2期73.1%、3期49.2%、4期20.4%となっている。

②子宮体がんの治療方法。 → 調合漢方薬服用可能
外科療法、放射線療法、化学療法、ホルモン療法の4つがある。
子宮体がんの進行段階、ステージ(病期)
0期…子宮内膜に正常細胞とは異なった「異型細胞」が増えている。
1期…子宮体部分にだけガン細胞が認められる。
2期…ガンが子宮体部を超えて子宮頸部にまで広がっている。
3期…ガンは子宮外に広がっているが、骨盤を超えて外には広がっていない。あるいは骨盤内、大動脈周囲のリンパ節に転移が認められる。
4期…ガンが骨盤を超えて他の部分に広がっている。あるいは膀胱、腸の内腔に入り込んでいる。
5年生存率は1期92.2%、2期88.5%、3期70.2%、4期16.7%となっている。
0期で、子宮全摘した患者さんの手術後の再発はない。(国立がんセンター調べ)

子宮癌=注意事項。 → 調合漢方薬服用可能
子宮頸ガン、子宮体ガンでは、進行段階によって治療方法も手術方法も異なる。
まず、手術前、手術後に放射線療法、抗がん剤による化学療法と組み合わせることが多い。
それぞれの「癌(ガン)」の状態と照らし合わせながら、医師から説明を受け、最良の方法を選択する。
がんの治療では、手術の痛みに加え、放射線療法や化学療法による副作用の苦痛、苦悩がある。避けて通れない道になる。
手術後の生活上の注意点、副作用について、納得がいくまで、しっかり説明を受けておくこと。
子宮ガンの検査は、会社で行う「子宮ガン検診」なら無料。
それ以外は、市町村単位で行うガン検診を受ける。
自治体が行うものは年齢制限(子宮頸ガンは30歳以上、子宮体ガンは自治体によって異なる)がある。

子宮癌の検査
①超音波検査=「エコー」と呼ばれる検査。プローブという検査器を用いて、おなかの上からあてる経腹エコーと、膣の中に入れてみる経腟エコーの2種類がある。
筋腫の位置や大きさ、だいたいの数がわかる
子宮の大きさ、内膜症の位置や癒着の状態、卵巣や卵管の病巣、子宮ガンの識別もできる。
②MRI 検査=磁気を使って、縦横斜めから体の内部の断面像を写真撮影してみる検査。
子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣の病巣が、超音波検査やX線をあててみるCTより鮮明にわかるのが特徴。
内膜症が子宮の筋層にできる腺筋症の色別にすぐれている。
③腹腔鏡検査
子宮内膜症は超音波検査やMRI 検査でもある程度のことはわかるが、
確定診断するにはおなかを開腹して調べるか、腹腔鏡で病巣を採取して調べるかのどちらかの検査が必要になる。
不妊治療でも、しばしばこの検査が行われる。
腹腔鏡検査は、全身麻酔でおなかに小さな穴を開け、腹腔鏡という先端にレンズのついた内視鏡(ファイバースコープ)を挿入し、
カメラが映し出す内部をモニター画面をみながら病巣を調べる。
腹腔鏡は、直径5~10ミリ。 細いものでは、2~3ミリ程度のものがある。
腹腔鏡下手術も同じ方法で、手術に必要な器具を挿入して行う。

統括主幹
岡山大学 医学博士 徳島大学 薬学修士
大山博行先生
ご紹介

President & Chairman
Meister of Medical Science
Dr. HIROYUKI OHYAMA (Ph.D).



大山宗伯東洋医学記念館
大山漢方堂薬局 大山鍼灸院
統括主幹 大山博行

President & Chairman
Meister of Medical Science
Dr. HIROYUKI OHYAMA (Ph.D).
大山博行

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皆様からのご信頼、本当に嬉しく思います。 私達は、この事実を謙虚に受け止め、皆様のご期待に副えるよう、
現状に甘んずることなく、日々進歩する東洋医学、最先端の漢方薬、鍼灸治療をご提供できるよう、技術研鑽、情報収集他、
心して、日々、努めております。 漢方薬局店内は狭く煩雑で、ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんが、
どうぞ、お気軽にお入りください。 また、漢方薬と鍼灸治療の併用をお考えのお客様、プライバシーを特に気になさるお客様、
ご家族全員でのご相談を希望されるお客様には、ゆったりとした、鍼灸治療室、健康相談室(カウンセリングルーム)もございます。
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大山漢方堂薬局 大山鍼灸院. 統括主幹 医学博士 大山博行

  

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認知症・アルツハイマーは、もう怖くない 「脳を守る漢方薬」 岡山大学 医学博士 大山博行 著


cf.

大山博行(おおやまひろゆき)
Dr. HIROYUKI OHYAMA (Ph.D).

研究業績

岡山大学医学博士(分子細胞医学) 徳島大学薬学修士(生物薬品化学)


    

 

Dr. HIROYUKI OHYAMA (Ph.D)
Depertment of Neurochemistry, Institute for Neurobiology,
Okayama University Medical School
( Director : Professor Akitane Mori )
March 28, 1995


          


Free Radicals in Brain Physiology and Disorders
An International Conference
Held in Celebration of the Retirement of Professor Akitane Mori

    

August 4 and 5, 1995
International Convention Center PAMIR,
Tokyo, Japan


    








大山宗伯東洋医学記念館 展示品
大山漢方堂薬局 所蔵 漢方医の薬箱(江戸時代の往診用薬箱)

 

(注) 写真をクリックすると、詳細が見られます。

 

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大山宗伯東洋医学記念館 展示品
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(薬味箪笥、往診用薬箱、薬研、薬看板、量り、上皿天秤、化学天秤(大正期クールマンウルトラ天秤)、経絡人形、鍼箱、灸箱、他)


 


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特集②:不老長寿と漢方薬)

1.瓊玉膏(不老長寿の薬)の名称の由来

「瓊」の字は『玉篇』を見ると、「美玉」、「赤玉」と記録されている。
また「瓊」を用いた単語としては「瓊樓(王の宮殿の意)」、「瓊杯(玉で作った杯の意)」がある。
 「瓊」の字は最上の美と大切の意味ををしている。昔から最高の美しい碧玉を表現する際に「瓊玉」の字が使われた。
また「瓊枝玉葉」という言葉があるが、これは皇族の子孫のことである。かつて、皇帝に献上する貴重品を至宝の玉という意味を持たせるために、
「瓊玉」と表現したこともあった。「膏」は「なめらかな味の良いもの」の意味もある。これにより「瓊玉膏」という名称は、薬の中でも最高の称号であることがわかる。
 瓊玉膏は皇帝の長寿のための補助薬として、応急薬の牛黄清心元と共に、皇室の2大名薬に数えられた。
元の皇帝であるクビライ・カーンは、健康と精力のために好んで飲み、皇室の女子らと名門家の貴婦人達も美容のために瓊玉膏を愛用した。
このように顔を玉のように手入れをするために服用したとの意味で瓊玉膏と名づけられてといわれている。
 瓊玉膏は南宋の医師である洪遵が編纂した『洪氏経験方』(1170年)に収載され、その内容をみると「人参」が「新羅人参」という名称で記載されている。
これにより朝鮮の高麗人参が既に世界的薬剤として名声を得ていることが分かる。
 瓊玉膏は東洋の名薬として東アジアの国々が製造したが世界的品質の高麗人参で製造した瓊玉膏が最優秀品質だと評価されている。



2.不老長寿と慢性病(生活習慣病)、生活習慣病に効果的な漢方薬

①老化の構造と慢性病
 生老病死の人類法則がある。人間をはじめ、すべての動物は生老病死の必然的不変の法則の中で生きている。
即ち人間は父母を通じて生命を持って生まれ、自然環境の中で生命を維持しながら成長し、最後には病気にかかって死亡」することである。
 人間は大昔から、健康で長寿でありたいという欲望がどの動物より強く、自然環境に適応し、知恵を発達させて地球を支配してきたと推測される。
 地球上の人類は、科学を発展させ、月、火星まで征服しようとする現在といえども、絶えず健康的に活動し、
寿命をいかにして延ばし、長生きするかを最大の課題として努力してきた。
人間が長寿と健康のために投資したものを金額で換算するとすれば、人類が使用している数字では表現できないほどの
金額を長い歳月に渡って投資してきたが、生老病死の法則を屈服させることはできなかった。
 しかし経済的生活向上と医療の発展によって、平均寿命は多少延びるようになった。
日本人の平均寿命は明治、大正時代には男女ともに50歳を超え、昭和22年、昭和25年には男性59.6歳、女性63歳に、昭和59年には
男性74.5歳、女性80.2歳となり、名実ともに人生80年時代を迎え、高齢化社会になったわけである。
しかし今日、科学の発達に加えて経済的開発によって最大寿命が延びてはいるものの、環境破壊、空気汚染、水不足と汚染、
オゾン層破壊による紫外線増加等の環境変化は、高齢化時代に『QOL』(quality of life:生活の質)の点からは、深刻な社会問題となっている。
 老化とは何か、また老化はどのように起こって死亡するのかは、誰もが疑問に思っていることである。昔から多くの学者達によって、老化学説が提唱されてきた。
Strehlerは、老化の特徴として普遍性(universality)、内在性(intrinsicality)、進行性(progressiveness)、
時間依存性(time dependency)、有害性(deliteriousness)の5つを提示している。
 人のように多細胞動物においては、再生系細胞より非再生系細胞の老化が、個体の老化に大きく影響を及ぼすと報告されている。
非再生系細胞中でも、神経細胞の老化が個体の寿命と密接に関係があると言われている。
哺乳動物では、脳の重量と個体の最長寿命との間に一定の関係式が成立するというSacherの科学的報告があるだけでなく、老化に対する機序等が明らかにされている。
 老化の最も基本的な形態的特徴は、実質細胞数の減少と、生理的変化による疾病の増加で、特に表には現れにくい臓器機能低下の背景を持つ疾病が多い。
また臓器の障害を惹起し、多くの臓器不全を起こしやすい症状は一定でなく、回復も遅く、慢性化もしやすい。
また回復した後でも、日常生活の活動がよくないのが老人病疾患の特徴である。
特に人間は直立歩行動物(homo erectus)でありながら、頭を使って思考する動物(homo sapiens)であるため、機能損傷によって挙動ができない時や、
認知症、脳中風等でひとりで生活できない時に、家族や周辺の人々にも負担をかけることになる老人病疾患は、高齢化社会において最も深刻な問題である。
特に共働きが一般的になっている現代人にとって道徳的な観点から必ず父母と一緒に暮らしながら親孝行をしなければならないことが
昔話となってしまった現在では、高齢化比率が高くなるほど労働力が減少するので、結果として国が高齢化するのと同じ事になる。
したがって高齢化を迎える国は、単純に長寿化するだけでなく、老人福祉施設の設置、身寄りのない高齢者の対策、
またいかにして自立的で健康に老年期を迎えるかの対策に苦心しているが、何よりも老化と関係する認知症、
高血圧病、糖尿病、関節炎、骨粗鬆症(骨多孔症)等の老人性、慢性病の予防対策が、人類の最大課題である。
 したがって、21世紀の地球人類の健康は現代医学だけでは守ることができないことから、
伝統医薬あるいは自然健康食品で病気にかからないようにする予防医学を提唱している未来を見据えた医学者達と同様に、
天然薬物及び天然健康食品で病気を予防していく必要がある。
そのため本書は、伝統医薬処方と慢性病との関係を絡めて記述したい。

1.慢性病と生活習慣
 老化と慢性病は夫婦のように切り離せず、同時に進行する。
老化は決して元に戻らない不可逆性のものであり、何人も避けることのできない不可避的なものである。
 しかし、高齢者はヒトによって差異がある。高齢で気力は劣るけれども慢性病なしに一生を平穏に暮らす人もいれば、老年期に慢性病を煩い、
本人はもちろん家族にまで苦労をかけて一生を終える人、また中年期から高血圧、糖尿病、癌、痛風等の慢性病にかかり、不幸に余生を暮らす人もいる。
 一般的に慢性病は遺伝性だと思う人が多い。勿論、遺伝的要素もあるが、それよりも平素からの生活習慣により慢性病が発生することが知られるようになってから、
慢性病は生活習慣性の疾患であるという学者達がおおくなった。
それほど慢性病は平素の生活習慣と密接な関係があるため、慢性病予防のために正しい生活習慣が必要であると解釈される。
 本書では、慢性病にかからないように自分自身が前もって予防することを目的として、発病原因と発病原理を詳しく説明することで、
本人自身の知識を通じて生活習慣の改善と予防効果が高められるよう、予防的な観念を中心に記述した。
また慢性病にかかれば専門医の治療を受けるため、治療法はなるべく簡素に書いている。



2.健康のための正しい生活習慣
1)食生活 2)性生活 3)精神的ストレスの解消 4)適度な運動などは、基本的生活習慣である。

1)食生活
 動物は食べることそのものが生きていることである。動物は行動する生き物で、食べることと身体の新陳代謝と運動は、
必須的行動であり、吸収排泄のバランスを維持しながらエネルギーを産生することが、基本条件である。
この吸収排泄のバランスが崩れると、身体は非正常状態の肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧、痛風等の慢性病にかかりやすくなる。
 ひとつの例になるが、食べものが沢山ある精米所のニワトリは土を掘りながらエサをさがして生きる放育ニワトリより不幸であるという古いことわざがある。
精米所のニワトリは周辺に米が沢山あるので、おもに米を捕食しながら楽しく暮らすようにみえるが、
放育している一般のニワトリの方が、食べ物をさがして活動をしながら様々な食べ物を食べるため、耐因性が強く健康である。
人の生活も同じく、食べたい時に食べ、食べたくない時は食べない、また美味しいものだけを好んで食べる、運動や活動を嫌がる生活をすると、慢性病の近道になる。
 このような食生活習慣、労易主義による運動不足、競争社会、職場ストレス時代に向き合っている現代人の生活では、
肥満、糖尿病、高血圧、痛風、関節炎等の慢性病にかかるのは当然だと思われる。
最も問題となるのは、病気にかかれば現代医療に依存する、またダイエットの目的で欠食や無理な節食をしたりする、
運動はフィットネスクラブやゴルフのような楽しい運動に依存する傾向が多くなっていることである。
また生活向上により、日常の食事では美味しいものだけを追求し、多色するので、肥満、糖尿病、高脂血症が21世紀の人類の脅威となっている。
 人は動く動物であり、1日3食食べるのが正常で、偏食と過食をしない規則的な食生活と適度な運動は生命維持の基本である。
人体活動のエネルギー供給源となる食物は、腸管を通じて栄養分が吸収され、代謝過程を経てエネルギーが各臓器細胞に供給され、
その事によって人は活動できる。したがって、このエネルギーに対する運動と消耗のバランスが取れた生活習慣が、健康を左右する。
 食生活習慣において喫煙と過飲、過度なトランス脂肪の摂取は、有害無得であり、また肉類の大量摂取を適切に調整する生活習慣が望ましい。
 食欲が旺盛で多色する人は、しょくじの前あるいは食事の最初に、適度に甘いものを食べるのが良い。
甘いものは食べた時の満足感が大きく、先に甘いものを食べるとその後、沢山食べなくても満腹になりやすいため、
これを利用するのも良い方法だと思われる。甘いものは砂糖が代表的である。
砂糖は肥満、糖尿病には望ましくないものであるが、日常生活で完全に禁食するのも困難である。
砂糖を利用するときには、精製した白糖より、粗精製したキビ砂糖の方が良い。精製していないキビ砂糖の黄色物質にはフェニルグルコシドが沢山含まれており、
このフェニルグルコシドは腸管において炭水化物の吸収を抑制する作用があるため、食べた砂糖や穀類中の炭水化物の吸収が抑制されるからである。

2)菜食と肉食の比
(1)人は菜食と肉食の雑食動物である。では野菜と肉を食べる比率はどの程度が良いのか、疑問が出てくると思われる。
それは人によって差異があるが、人体構造的に考えてみると、人間の歯牙の構造は32本になっている。
 門歯-8本(細切)
 犬歯-4本(細切補助)
 臼歯(奥歯)-20本(粥状に細磨)
 8本の門歯で細切、犬歯は細切補助、臼歯(奥歯)は粥状に細磨する役割をする。
牛、馬、象、羊等の草食動物は門歯の8本で細切し、臼歯を上下左右に動かしながら植物類を細かい粥状にして消化する。
ライオン、虎、犬、猫等は犬歯が発達しており、犬歯で肉に噛み付き臼歯(奥歯)を上下に動かして肉類を消化する。
人間は歯牙の構造から雑食動物である。人の歯牙は門歯と臼歯を合わせて28本、対する犬歯は4本で、『7:1』の比率で構成されている。
したがって、人は身体構造からみて、日常の食事の比率は、菜食87~88%、肉食12~13%で摂取するのが適切であるとみられる。
即ち、肉類は1週間に1回程度、野菜類と一緒に食べるのが、望ましいと思われる。

(2)旬のもの
 人間は自然環境の中で暮らしている。地球は1年365日、春夏秋冬の四季があり、春は万物が蘇生する季節で、
植物は芽を出し花が咲く、夏は成長、秋は成熟、冬は貯蔵と冬眠の季節である。
それらの季節を繰り返す環境の中で、すべての動物は自然と共存しながら、生老病死法則の下で生命を維持し、最終的には自然に帰化する。
人間も同じように自然環境の中で共存しながら生命を維持するので、季節に合った食べ物、つまり旬のものを摂取するのが健康に良いと考えられる。
特に旬の野菜類は輸入品よりも、自身が日頃居住している地域で生産されるものが健康に最も良いと言われている。
『産地地消』、『身土不二』といった言葉があるが、自然と生活の摂理ともいえよう。
 すなわち、春にはヨモギ、タケノコ、山菜やその乾燥品、夏にはトマト、スイカ、イチゴ等の夏の野菜、
秋には各種の成熟した果実類、穀類、野菜類、冬には穀類、醗酵食品(キムチ、味付け)、茶類などや、
その季節に多く取れる魚介類の料理、また体を強くする旬の素材を摂取するのが良い。

3)家庭の生活習慣と性生活
『三つ子の魂百まで』と言うことわざがある。
子供の頃の生活習慣は人の一生の人格形成に関ることは勿論、自身の人生において健康的に生きられるかどうかを左右するといえる。
 社会活動は家庭から始まり、家庭の平和は社会生活を円満にする。
また家庭の平和は夫婦の円満な性生活と密接な関係があり、健全な性生活は健康にも大きな影響を与える。
 性生活も食生活と同じく、節制の上、若い時から夫婦の生活環境に合わせ、規則的に性生活をすることが、老化防止や疾病の予防と健康に良い。
即ち、乱れた性生活は老化と慢性病を促進すると共に、職場生活においても集中力が落ちる。
食事の量と日頃の性生活は8文目に調整するのが長寿の秘訣だと言われている。
鶴と亀は夫婦間で性生活を調整し、食べ物は活動の合わせて量を減らすので、長生きすると言われている。
日常生活において夫婦が互いの人格を尊重し合い、譲歩し合う、真心の愛も大事な性生活の一部であり、家庭の平和の鍵となる。
反面、無節制な性生活や不倫による性生活で家庭の不和等を起こすと、家庭は不幸となり、
慢性病を引き起こすだけでなく、老化が早く、短命で人生の末路がよくないことは当然である。

4)精神的ストレスの解消と適度な運動
 現代人は、職場、社会、国家間等、激しい競争の中で生活をしている。
21世紀になって科学の発達により、物があふれた豊かな生活をしているが、時代にあった経済水準にすべての人が達しているとは言えないため、
就職難、子供の教育費、職場の上司や同僚間、または業務等で受ける精神的ストレスの累積は、その度を越えている。
精神的ストレスの累積は高血圧、心疾患、糖尿病、うつ病、関節炎、癌等の慢性病の根源になるとの学会報告は、もはや新しいことではない。
社会生活において避けることができない精神的ストレスを、薬や医師に頼って解決しようという考えは間違ったことである。
自分が日常生活において受けるストレスは、まず自身で解決する方法を探し出し、習慣化して治すべきである。

 精神的ストレスを解消することは簡単にはできないが、すべてにおいて肯定的思考を持つ、職場の同僚たちと打ち解ける、
趣味生活を通じて自身を持つ、家族とは会話により家庭を平穏にする、宗教生活、尊敬する先生または先輩、親友、恋人との会話を持つ、
目的を完成した時の達成感を増大する、仕事の際はこの仕事があるから自分が必要であると考える、
また仕事があるから家族の幸福があると肯定的に思うことで、ストレスを解消する。
あるいは適度な運動などで、精神的ストレスを解消する方法が何よりである。



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