常楽 (剤型:エキス顆粒)

品名(効能・効果)
常楽
冷え性、しもやけ

処方(松鶴堂加減)
当帰 甘草 沢瀉 人参 桂皮 大棗 芍薬 呉茱萸 細辛 生姜 木通

原典(効能・効果)
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
(原典:傷寒論)

手足の冷えを感じ、下肢が冷えると下肢または下腹部が痛くなり易いものの次の諸症;しもやけ、頭痛、下腹部痛、腰痛(210処方 適応症)

処方解説
 ・当帰、桂皮、細辛は、血行促進作用を強めて、冷えによる痛みを解消します。
 ・芍薬、大棗、甘草は、筋肉の緊張を緩めて腹痛、腹満、腰痛などを治します。
 ・呉茱萸は、血行を良くして手足の冷えを解消するとともに、水毒による頭痛、嘔吐を取ります。
 ・生姜は、内臓を温め健胃、鎮嘔に働きます。
 ・沢瀉は、利尿作用で、体内の水分を調節します。
 ・人参は、滋養強壮作用があり、体力を補います。

使用目標
 ・冷え症で、夏もくつしたをはいていたいという人。
 ・寒冷に敏感で、寒さで頭痛を起こしたりする人。
 ・寒冷によって憎悪する種々の痛み・・・下腹部痛、腰痛、月経痛など。
 ・しもやけができやすい。

松鶴堂加減について
 常楽は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯から、木通を去って沢瀉・人参を加えたものです。
 当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、「久寒」(寒冷で憎悪する腹痛があって、抵抗と圧痛があるもの)に用いる薬方で、冷え症で、寒冷刺激によって体表の血行が悪くなってしもやけができたり、下肢・下腹部・腰・背・頭に痛みが出る人、また腹部手術後の癒着による痛みに使います。症状が激しくなると、嘔吐、下痢を起こすことがあります。
これらの症状は、慢性化していることが多く、長期的に服用することがあるので、同じ利尿作用でも苦寒性の強い木通を沢瀉に換え、脾胃を補って滋養強壮作用のある人参を加えて、幅広く虚証のひとに使え、長期にも使えるように工夫されています。

一口メモ
 ・現代社会では冷暖房が発達しているので、はっきりした冷えの痛みがでにくく、体調がすぐれない、いわゆる「不定愁訴」となることがありますが、寒冷に敏感に反応します。

使用上の注意
 添付文書に記載の「使用」を併せて必ずご参照ください。

参考事項


参考文献
 1)漢方診療のレッスン 花輪壽彦 金原出版
 2)漢方処方解説 矢数道明 創元社
 3)漢方方意ノート 千葉古方漢方研究会 丸善
 4)中医処方解説 神戸中医学研究会 医歯薬出版
 5)漢薬の臨床応用 神戸中医学研究会 医歯薬出版